百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常

坂餅

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とある観測者編 2

休み時間にて 15

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「なに話してたの?」
「あっ、あやちゃんー」

 菜々美ななみは躊躇っていたが彩は躊躇わない。

 聞かれた明里あかりはうふふと笑い答える。

「彩ちゃんのことだよぉ」

 そして明里の視線は、彩の背後にいる菜々美ななみとここね、おまけの涼香りょうかに向けられる。

「話すことなんて無いだろ」

 呆れたように言う彩に首を振る。

「あるよぉ、彩ちゃんを振り向かせるにはどうしたらいいのかなぁって」
「はっ⁉ いや待て、は⁉」
「大丈夫だよぉ、ここねちゃんは秘密にしてくれるって言ってたし」
「いやいやいや、そんなの分かんないだろ‼ マジかよ……最悪……」

 明里がどこまで話したのか。彩が誰を想っているというのはさすがに黙っているだろう。

 でも、明里が想いを向けている人物が自分だと知られると、これからはなにを言われたり、されたりするのか分からない。

「彩ちゃん、大丈夫。ほらぁ見て」

 軽く項垂れる彩の肩を叩き、後ろを向かせる。

 そこでは菜々美とここね、おまけの涼香がなにやら話し込んでいた。見るからに明里との会話内容を聞き出そうとしているのだろう。

「えぇ……? なんか聞こえないけど解る気がする……嫌だなぁ」

 そう呟きながらも彩はあの三人の観測を始める。

『なにを話したのよ。答えた方がいいわよ?』
『やめなさい涼香。ここねが答えたくないと言っているのよ!』
『菜々美ちゃん。わたし答えたくないなんて言ってないよ?』
『ここね⁉』
『ここねもそう言っているではないの!』
『えっ、でも……』
『別に世間話だから隠す必要ないよ。明里ちゃんと話していたのはね、文化祭のことなんだぁ』
『あら、そのこと。でもそれなら、菜々美を仲間外れにする必要はないではないの』
『やめてよ涼香、なんでそんなに無駄に鋭いの? 学力残量残りすぎよ』
『うーん……これは秘密なんだけどね――ってことなの。言っちゃった、せっかく菜々美ちゃんを驚かせようと思ったのに……』
『ここね……ごめんさい。せっかくここねがサプライズしてくれようとしていたのに、無理に問いただしてしまって……』
『ううん。わたしも菜々美ちゃんに隠すのは辛かったから。それに、もうちょっと時間と場所を考えた方がよかったなあって』
『悪いことをしたわね。ごめんなさい』
『そうよ! 原因は涼香よ‼』
『ううん、いいんだよ』

 ここねが微笑んだところで彩は明里に向き直る。

「秘密の話は解らなかったけど大丈夫っぽい……」
「でしょぉ?」

 会話内容は明里のことではなく文化祭の話になっている。

 自分になにも被害が起きそうにないと知れて、安心する彩であった。
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