狐は喋るし、俺は疲れてる〜25尾のキツネのコジャク〜

豊川夢久

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ゴミの中の宝石

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「う、うんち!?」

 思わず声を上げた俺は、すっかり“排泄問題”のことを忘れていたのだった。

 そういえば、昨日うちに連れて帰った時から──
 こいつ、どうやってうんちしてたんだ?

 おしっこもしてない。
 今朝もダンボールの中は綺麗なままだったし、病院でも何もしてなかった。

(……まさか、溜めてたのか?)

 いや、今はそんなことを考えてる場合じゃない。
 問題はこれからだ。

 どこで、どうやって、するつもりなんだ。

 猫みたいに砂の中?
 犬みたいに散歩中?
 いや、どっちにしても無理だ。

 こいつ、絶対「この砂は気に入りませんわ!」とか言うタイプだし、
 そんなことになったらまた病院コース。
 あの地獄の出費はもう御免だ。

(……よし、こうなったら新聞紙作戦だ!)

 俺は郵便受けに突っ込まれていたチラシを抜き取り、
 何枚も重ねて床に敷いた。

「いや待て、これじゃ染みるな……」

 慌ててビニール袋を取り出し、その上にチラシ、さらにティッシュ。
 完璧だ。どこからどう見ても、即席の簡易トイレ。

 俺は深呼吸して、コジャクを振り返る。

「よし、ここでうんちしてくれ!」

 その瞬間。

「……何なさってますの?」

 涼しい声が背後から響いた。
 振り返ると、トイレのドアが開いていて──

 ジャーッ。

 水が流れる音。

 そして、コジャクがトコトコとリビングに戻ってきた。

「私の寝床か何かですの? そんな安っぽいの嫌ですわ」

 完敗だった。

「……お前、トイレでうんちするの?」
「当たり前ですわ」
「当たり前なのか……」
「ハイブリット種ですもの」
「……あ、そう……」

(ハイブリット種って……すごいんだなぁ……)

 どっと疲れが押し寄せて、俺はそのままベッドに倒れ込む。

 天井を見つめながら、心の底から叫んだ。

「──やっぱり夢オチだったって目を覚ましたい!!!」
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