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ゴミの中の宝石
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コジャクを拾ってから、初めての出勤日だ。
朝から体が重い。
──いや、正直、まだ現実を受け入れきれてない。
台所には昨夜の茶葉の残骸。
リビングには、ふわふわした金色の毛が数本。
どこを見ても、夢じゃない。
「コジャク、俺は仕事だから、昼間は静かにしてろよ? いいな?飯はそこ、ダージリンもそっちに入れてるからな。」
「──分かってますわ」
短く答える声が妙に落ち着いていて、
まるで“行ってらっしゃい”と言われたみたいだった。
昨日のトイレ事件のあと、俺は夜遅くまでスマホで調べた。
“ハイブリット種とは何か”を。
──そして、思っていたよりもずっと現実的な存在だと知った。
ハイブリット種は、もともとペットとして作られた人工の生命体。
遺伝子操作で動物同士の特徴を掛け合わせ、
人間に懐きやすく、世話がしやすいように設計されている。
毛が抜けにくく、アレルギー反応も起こしにくい。
排泄も人間と同じように便座でできる個体が多いという。
つまり──人でもロボットでもない。
けれど動物でもない、“飼いやすく作られた存在”。
そんな彼らは、ひとたび捨てられたら自力で生きるのが難しい。
狩猟本能もないし、繁殖能力も制限されている。
だから「野生のハイブリット種」はほとんど存在しない。
要は、“便利な命”。
そういうものなんだと、胸の奥が少し重くなった。
でも、思い返せばブドウや柿だって、タネのないものが増えた。
人間が食べやすいように改良され、
その結果、タネ──つまり命を繋ぐ仕組みを失った。
そう考えたら、ハイブリット種も似たようなものなのかもしれない。
人間にとって“扱いやすい”ことが、必ずしも彼らにとって幸せとは限らないのに──。
思わず、目に熱いものが込み上げてくる。
目の前の小さな存在が、一気に愛おしく感じてしまい、
つい、手を伸ばしてその頭をそっと撫でた。
ふわふわと柔らかい毛。
温かい。
──たぶん、この子も、誰かに撫でられて生きてきたんだろう。
「……お前も、大変だったな」
ぽつりと呟いた瞬間。
シュタッ。
コジャクが素早く手から逃げ、
その金の尻尾をバサッと揺らした。
「ちょっと痛いですわよ!? その手、ささくれだらけじゃありませんの!?」
「えっ……」
「もう! ちゃんとケアなさい! 女性にモテない理由が凝縮されてましてよ!」
まくしたてるように言われて、言葉が出ない。
──あぁ、やっぱり。
そっとため息をついて、俺は苦笑した。
「……やっぱ、可愛くない」
朝から体が重い。
──いや、正直、まだ現実を受け入れきれてない。
台所には昨夜の茶葉の残骸。
リビングには、ふわふわした金色の毛が数本。
どこを見ても、夢じゃない。
「コジャク、俺は仕事だから、昼間は静かにしてろよ? いいな?飯はそこ、ダージリンもそっちに入れてるからな。」
「──分かってますわ」
短く答える声が妙に落ち着いていて、
まるで“行ってらっしゃい”と言われたみたいだった。
昨日のトイレ事件のあと、俺は夜遅くまでスマホで調べた。
“ハイブリット種とは何か”を。
──そして、思っていたよりもずっと現実的な存在だと知った。
ハイブリット種は、もともとペットとして作られた人工の生命体。
遺伝子操作で動物同士の特徴を掛け合わせ、
人間に懐きやすく、世話がしやすいように設計されている。
毛が抜けにくく、アレルギー反応も起こしにくい。
排泄も人間と同じように便座でできる個体が多いという。
つまり──人でもロボットでもない。
けれど動物でもない、“飼いやすく作られた存在”。
そんな彼らは、ひとたび捨てられたら自力で生きるのが難しい。
狩猟本能もないし、繁殖能力も制限されている。
だから「野生のハイブリット種」はほとんど存在しない。
要は、“便利な命”。
そういうものなんだと、胸の奥が少し重くなった。
でも、思い返せばブドウや柿だって、タネのないものが増えた。
人間が食べやすいように改良され、
その結果、タネ──つまり命を繋ぐ仕組みを失った。
そう考えたら、ハイブリット種も似たようなものなのかもしれない。
人間にとって“扱いやすい”ことが、必ずしも彼らにとって幸せとは限らないのに──。
思わず、目に熱いものが込み上げてくる。
目の前の小さな存在が、一気に愛おしく感じてしまい、
つい、手を伸ばしてその頭をそっと撫でた。
ふわふわと柔らかい毛。
温かい。
──たぶん、この子も、誰かに撫でられて生きてきたんだろう。
「……お前も、大変だったな」
ぽつりと呟いた瞬間。
シュタッ。
コジャクが素早く手から逃げ、
その金の尻尾をバサッと揺らした。
「ちょっと痛いですわよ!? その手、ささくれだらけじゃありませんの!?」
「えっ……」
「もう! ちゃんとケアなさい! 女性にモテない理由が凝縮されてましてよ!」
まくしたてるように言われて、言葉が出ない。
──あぁ、やっぱり。
そっとため息をついて、俺は苦笑した。
「……やっぱ、可愛くない」
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