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ゴミの中の宝石
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仕事の帰り、俺はペットショップに寄った。
(……たぶん遊び道具とか必要なんだろ)
吉井さんの言葉が頭をよぎる。
だが——
「……たっっっか!!??」
棚に並んでいる、小動物用の知育玩具の値札。
4,500円
6,300円
8,900円
(うそだろ……!?これが“石油王専用ペット用品売り場”ですか!?)
狐が小屋の中でコロコロ遊んでる写真が広告にあるが……
コジャクがあんなふうに可愛く遊んでる姿、一ミリも想像できない。
(いや、無理だ……高すぎる……!!)
そのとき、ふと視界に飛び込んできた。
——ワゴンセール。
そこには、安っぽいけどフワフワの、
タヌキ型の大きめぬいぐるみがあった。
《ワケあり 980円》
(……これでいいだろ)
大きさはコジャクより一回り小さいくらい。
吉井さんの猫がぬいぐるみと遊んでたし、
案外、気に入るかもしれない。
(猫は可愛くじゃれたりしてたしな……
狐も、まあ……似たような……)
そう思いながら家へ帰ると、
玄関で待ち構えていたコジャクの目が、
ぬいぐるみに向けて一瞬で変わった。
「…………ッ!」
毛が逆立ち、耳が伏せられる。
尻尾がワッサァ!!
「やめろ!戦闘態勢入るな!」
俺が慌てて両手で制止すると、コジャクが低く唸った。
「……なんですの、この不気味な生き物は……?」
「いや、生き物じゃない。ぬいぐるみ。遊ぶやつ」
「……敵ですの?」
「違う!なんでそうなる!!」
完全に警戒MAX。
ぬいぐるみを置くと、部屋の隅まで下がって睨みつけている。
(猫みたいに可愛くじゃれるんじゃなかったんか……
想像してたのと全然違う……)
仕方なく、コジャクから見えない位置にぬいぐるみを避難させ、
俺は買ったばかりのペットカメラを取り付けた。
(ふぅ……これで吉井さんに映像見せられる……)
やっと一息ついたら、もう眠気が襲ってくる。
「……寝るぞー」
「…………」
コジャクは返事もせず、ぬいぐるみの隠された方向を警戒し続けていたが——
俺がベッドに横になると、
タタタッ……と走ってきて、
当然のように俺の横へ滑り込み、丸くなった。
そして、丸くなったまま、ぬいぐるみの方向をずっと睨んでいる。
(いやいや……
お前……そんな怖いなら俺の横来るなよ……
ぬいぐるみ置いたほうがむしろストレス溜まってないか……?)
「……こわくない?」
「怖くはありませんわ。ただ……“気に食わない”だけですわ」
「お前……感情豊かだな……」
「当然ですわ。ワタクシはハイブリット種ですもの」
そう言いながら、俺の腕にぴとっと背中を寄せてくる。
(いや、可愛いな……
……いや!!ダメだ!!一時保護してるだけだから!!)
自分に言い聞かせながら、
俺はゆっくり目を閉じた。
コジャクは最後の最後まで、
ぬいぐるみの影に向かって尻尾を膨らませていた。
(ぬいぐるみ……逆効果じゃねぇかこれ……)
そんな不安を抱えたまま、
俺は眠りについたのだった。
(……たぶん遊び道具とか必要なんだろ)
吉井さんの言葉が頭をよぎる。
だが——
「……たっっっか!!??」
棚に並んでいる、小動物用の知育玩具の値札。
4,500円
6,300円
8,900円
(うそだろ……!?これが“石油王専用ペット用品売り場”ですか!?)
狐が小屋の中でコロコロ遊んでる写真が広告にあるが……
コジャクがあんなふうに可愛く遊んでる姿、一ミリも想像できない。
(いや、無理だ……高すぎる……!!)
そのとき、ふと視界に飛び込んできた。
——ワゴンセール。
そこには、安っぽいけどフワフワの、
タヌキ型の大きめぬいぐるみがあった。
《ワケあり 980円》
(……これでいいだろ)
大きさはコジャクより一回り小さいくらい。
吉井さんの猫がぬいぐるみと遊んでたし、
案外、気に入るかもしれない。
(猫は可愛くじゃれたりしてたしな……
狐も、まあ……似たような……)
そう思いながら家へ帰ると、
玄関で待ち構えていたコジャクの目が、
ぬいぐるみに向けて一瞬で変わった。
「…………ッ!」
毛が逆立ち、耳が伏せられる。
尻尾がワッサァ!!
「やめろ!戦闘態勢入るな!」
俺が慌てて両手で制止すると、コジャクが低く唸った。
「……なんですの、この不気味な生き物は……?」
「いや、生き物じゃない。ぬいぐるみ。遊ぶやつ」
「……敵ですの?」
「違う!なんでそうなる!!」
完全に警戒MAX。
ぬいぐるみを置くと、部屋の隅まで下がって睨みつけている。
(猫みたいに可愛くじゃれるんじゃなかったんか……
想像してたのと全然違う……)
仕方なく、コジャクから見えない位置にぬいぐるみを避難させ、
俺は買ったばかりのペットカメラを取り付けた。
(ふぅ……これで吉井さんに映像見せられる……)
やっと一息ついたら、もう眠気が襲ってくる。
「……寝るぞー」
「…………」
コジャクは返事もせず、ぬいぐるみの隠された方向を警戒し続けていたが——
俺がベッドに横になると、
タタタッ……と走ってきて、
当然のように俺の横へ滑り込み、丸くなった。
そして、丸くなったまま、ぬいぐるみの方向をずっと睨んでいる。
(いやいや……
お前……そんな怖いなら俺の横来るなよ……
ぬいぐるみ置いたほうがむしろストレス溜まってないか……?)
「……こわくない?」
「怖くはありませんわ。ただ……“気に食わない”だけですわ」
「お前……感情豊かだな……」
「当然ですわ。ワタクシはハイブリット種ですもの」
そう言いながら、俺の腕にぴとっと背中を寄せてくる。
(いや、可愛いな……
……いや!!ダメだ!!一時保護してるだけだから!!)
自分に言い聞かせながら、
俺はゆっくり目を閉じた。
コジャクは最後の最後まで、
ぬいぐるみの影に向かって尻尾を膨らませていた。
(ぬいぐるみ……逆効果じゃねぇかこれ……)
そんな不安を抱えたまま、
俺は眠りについたのだった。
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