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サメジマエリア編
5話
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「ふ……はぁ……」
「大丈夫かタフちゃん?」
「ちょっと……階段キツい……」
「お?タフちゃんしんどいん?ウチが手伝ってあげる~」
ヒョイっとタフちゃんを抱き抱えて、階段を登っていくリアさん。
「お~すげ~力持ちだなー」
「まぁ、ウチは適正低かったから腕力はそんなにやけどね!」
現在、『マスターキー』を求めてSSS最上階の局長室を目指しているのだが……
『タフちゃん、最上階ってエレベーターで行けたよね?』
『そうだね。だからあんまり難しく無いと思う』
『なんや!結構ラクショーやん!』
……なんて思ってた矢先、エレベーター前に見覚えのある二足歩行のアンドロイドが……
『……タフちゃん。エレベーターガールの代わりにトッパー君各階に配置しようって言ったの誰だっけ?』
『確か……あぁ、そうそう。収容監視官の『マグ』さんだ。確か、エレガと警備を同時に出来る点で良いコスパだって』
『なんの意味があるって思ったけど、しっかり仕事してやがるなチキショー!!』
『う~ん、あんなドア正面にいたら電源ボタンも押せないし……壊すだけならウチ出来ると思うけどどうする?』
『いや大丈夫。別にその為のその身体じゃないっしょリアさん。普通に危ないし』
『へぇ~、例えば?』
『NTRのエロビデオ見せたら殺しにかかってきた』
『……誰でもそうじゃない?』
『パシャリさんの言い方には大語弊があるけど、一部事実だから凄い説明が難しいな……』
……と言う訳で、泣く泣くエレベーターを断念。故にこうして階段で最上階まで向かっているという訳である。
「そういえば、俺収容監視官に会った事ないわ」
「まぁ、アルバイトだと一日中あそこの端末部屋にいるだろうし」
「え?ここ収容所とかあるの?」
タフちゃんをおんぶしたリアさんが、驚いた表情で聞き返す。
「まぁ、あんまり知られてないのかも。ほら、世間の話題って零号バグストーム領域の話ばっかりだし」
「あぁ~確かにそやね。バグったモンスターがめっちゃ出てくるエリアってゲームみたいやし」
「無限湧きするモンスターとか、ゴキブリぐらいでいいのにな……」
「いや、ゴキブリ無限湧きとか嫌だけど」
ゴキブリとモンスターを同列に扱う時点で、やはり一般庶民からしたら脅威度なんてその程度だ。
「あ、そういえばマグさんは元々そこにいたって言ってたっけ」
「え?て事はウチらと同じなん?」
「あぁそうか。強化人間手術に補助が出るんだっけ。手術費も維持費も軍持ちだからなぁ~」
「いや、確か普通に生身で行って生身で帰ってきたらしい」
「なんだ化け物か」
「片目無くなって眼帯になってたけど」
「なんだ重症か」
まだ最上階まで距離はあるが、一旦休憩する事にした。
円卓を囲み、一息つく。テーブルの上には、コーヒー、コーヒー、そしてハンバーガー。
「お腹すいちゃって……」
テヘヘと恥ずかしそうに笑うリアさんは、ハンバーガーを頬張る。
「そや、さっき話してたけど、SSSの収容所ってどんなのなん?」
「あ、それ俺も聞きたい」
コーヒーを飲みつつ、興味を吐き出す。
「う~ん、と言ってもそこまで大した物でもないよ。普通にSSSのセキュリティに捕まった犯罪者とか指名手配犯とかが収容されてるってだけで」
「へぇ、だから収容監視官なんているんだ」
「まぁユニオンラインのセキュリティを担う機関だしね」
「ウチが思ってたより色々やってるトコなんやね!」
「そして一部にバーベキュー信者がいるっていう」
「???」
再び階段クライミングを開始。コーヒーバフのおかげで多少元気が出たのか、タフちゃんはチャキチャキと階段を登っていく。
「あ、そうだ。タフちゃん」
「なにーパシャリさん」
「収容所がSSSの中にあるって事はさ。そこにいた人たちもワンチャン『サメジマエリア』に転送されるとかない?」
途端に、タフちゃんの動きがピタッと止まって踊り場でうずくまった。
「その可能性は考えたくなかった~~……」
「まぁ今のところウチら以外に人の気配ないし!大丈夫やん?」
「楽観的に行こうぜ~」
……と、言った事を、俺はすぐに後悔した。
「……全然楽観的に行けない」
最上階へ向かうためには、一度連絡用通路を経由する必要があったのだが、やはりというか何というか……
「エレベーター前には、トッパー君いないけどさぁ……」
目の前を指さして、言葉を垂らす。
「戦闘ロボいるのは、聞いてないって!!」
「あ、ごめん言ってなかった」
通路を塞ぐように戦闘ロボが鎮座していた。下半身はキャタピラ、両手にはガトリングガンのような兵器。
「警備ロボにしては、オーバーキルすぎるやん」
「どーすんのあれぇ!トッパー君と違ってガチガチの武装ロボやん!!配備したの誰だよ!」
「マグさんだけど?」
「良い仕事し過ぎだろその人ォ!?」
事実『サメジマエリア』で侵入者扱いされてる俺たちが、こうも毎度足止めされてる。成程、収容監視官の名は伊達じゃないらしい。
「え~……どうするよ」
「せめてうちの職員カードが使えればなぁ……」
「しゃーない。またこのアダルトテープを……」
「ねぇピンチの時に毎回それ出すのやめない?」
タフちゃんの真剣な言葉の後、ポーンという音がなる。
3人の視線は、音の主……エレベーターのドアに集中する。
途端、ドアからヌッと何かが出てきた。灰色のコートを着た男と、半袖シャツの男。頭文字に怪しいが付く二人組。
この2人に反応した戦闘ロボは、キャタピラを器用に動かし二人をロックオンするが……
「うわ、びっくり」
灰色コートの男はそう呟くや否や、反射的に手に持った刀を突き刺し、そのままスルル~っと豆腐を切るように戦闘ロボを細切れにしてしまった。
「はい、残念」
「あれ、若。俺ら以外にも誰かいますよ」
「あぁホントだ。こんにちは」
急に現れた二人組は、近所の知り合いに会ったような雰囲気で挨拶してきた。
「いや誰~~」
「いや誰!?」
「いや誰や!」
三者三様、心からの叫びだった。
「大丈夫かタフちゃん?」
「ちょっと……階段キツい……」
「お?タフちゃんしんどいん?ウチが手伝ってあげる~」
ヒョイっとタフちゃんを抱き抱えて、階段を登っていくリアさん。
「お~すげ~力持ちだなー」
「まぁ、ウチは適正低かったから腕力はそんなにやけどね!」
現在、『マスターキー』を求めてSSS最上階の局長室を目指しているのだが……
『タフちゃん、最上階ってエレベーターで行けたよね?』
『そうだね。だからあんまり難しく無いと思う』
『なんや!結構ラクショーやん!』
……なんて思ってた矢先、エレベーター前に見覚えのある二足歩行のアンドロイドが……
『……タフちゃん。エレベーターガールの代わりにトッパー君各階に配置しようって言ったの誰だっけ?』
『確か……あぁ、そうそう。収容監視官の『マグ』さんだ。確か、エレガと警備を同時に出来る点で良いコスパだって』
『なんの意味があるって思ったけど、しっかり仕事してやがるなチキショー!!』
『う~ん、あんなドア正面にいたら電源ボタンも押せないし……壊すだけならウチ出来ると思うけどどうする?』
『いや大丈夫。別にその為のその身体じゃないっしょリアさん。普通に危ないし』
『へぇ~、例えば?』
『NTRのエロビデオ見せたら殺しにかかってきた』
『……誰でもそうじゃない?』
『パシャリさんの言い方には大語弊があるけど、一部事実だから凄い説明が難しいな……』
……と言う訳で、泣く泣くエレベーターを断念。故にこうして階段で最上階まで向かっているという訳である。
「そういえば、俺収容監視官に会った事ないわ」
「まぁ、アルバイトだと一日中あそこの端末部屋にいるだろうし」
「え?ここ収容所とかあるの?」
タフちゃんをおんぶしたリアさんが、驚いた表情で聞き返す。
「まぁ、あんまり知られてないのかも。ほら、世間の話題って零号バグストーム領域の話ばっかりだし」
「あぁ~確かにそやね。バグったモンスターがめっちゃ出てくるエリアってゲームみたいやし」
「無限湧きするモンスターとか、ゴキブリぐらいでいいのにな……」
「いや、ゴキブリ無限湧きとか嫌だけど」
ゴキブリとモンスターを同列に扱う時点で、やはり一般庶民からしたら脅威度なんてその程度だ。
「あ、そういえばマグさんは元々そこにいたって言ってたっけ」
「え?て事はウチらと同じなん?」
「あぁそうか。強化人間手術に補助が出るんだっけ。手術費も維持費も軍持ちだからなぁ~」
「いや、確か普通に生身で行って生身で帰ってきたらしい」
「なんだ化け物か」
「片目無くなって眼帯になってたけど」
「なんだ重症か」
まだ最上階まで距離はあるが、一旦休憩する事にした。
円卓を囲み、一息つく。テーブルの上には、コーヒー、コーヒー、そしてハンバーガー。
「お腹すいちゃって……」
テヘヘと恥ずかしそうに笑うリアさんは、ハンバーガーを頬張る。
「そや、さっき話してたけど、SSSの収容所ってどんなのなん?」
「あ、それ俺も聞きたい」
コーヒーを飲みつつ、興味を吐き出す。
「う~ん、と言ってもそこまで大した物でもないよ。普通にSSSのセキュリティに捕まった犯罪者とか指名手配犯とかが収容されてるってだけで」
「へぇ、だから収容監視官なんているんだ」
「まぁユニオンラインのセキュリティを担う機関だしね」
「ウチが思ってたより色々やってるトコなんやね!」
「そして一部にバーベキュー信者がいるっていう」
「???」
再び階段クライミングを開始。コーヒーバフのおかげで多少元気が出たのか、タフちゃんはチャキチャキと階段を登っていく。
「あ、そうだ。タフちゃん」
「なにーパシャリさん」
「収容所がSSSの中にあるって事はさ。そこにいた人たちもワンチャン『サメジマエリア』に転送されるとかない?」
途端に、タフちゃんの動きがピタッと止まって踊り場でうずくまった。
「その可能性は考えたくなかった~~……」
「まぁ今のところウチら以外に人の気配ないし!大丈夫やん?」
「楽観的に行こうぜ~」
……と、言った事を、俺はすぐに後悔した。
「……全然楽観的に行けない」
最上階へ向かうためには、一度連絡用通路を経由する必要があったのだが、やはりというか何というか……
「エレベーター前には、トッパー君いないけどさぁ……」
目の前を指さして、言葉を垂らす。
「戦闘ロボいるのは、聞いてないって!!」
「あ、ごめん言ってなかった」
通路を塞ぐように戦闘ロボが鎮座していた。下半身はキャタピラ、両手にはガトリングガンのような兵器。
「警備ロボにしては、オーバーキルすぎるやん」
「どーすんのあれぇ!トッパー君と違ってガチガチの武装ロボやん!!配備したの誰だよ!」
「マグさんだけど?」
「良い仕事し過ぎだろその人ォ!?」
事実『サメジマエリア』で侵入者扱いされてる俺たちが、こうも毎度足止めされてる。成程、収容監視官の名は伊達じゃないらしい。
「え~……どうするよ」
「せめてうちの職員カードが使えればなぁ……」
「しゃーない。またこのアダルトテープを……」
「ねぇピンチの時に毎回それ出すのやめない?」
タフちゃんの真剣な言葉の後、ポーンという音がなる。
3人の視線は、音の主……エレベーターのドアに集中する。
途端、ドアからヌッと何かが出てきた。灰色のコートを着た男と、半袖シャツの男。頭文字に怪しいが付く二人組。
この2人に反応した戦闘ロボは、キャタピラを器用に動かし二人をロックオンするが……
「うわ、びっくり」
灰色コートの男はそう呟くや否や、反射的に手に持った刀を突き刺し、そのままスルル~っと豆腐を切るように戦闘ロボを細切れにしてしまった。
「はい、残念」
「あれ、若。俺ら以外にも誰かいますよ」
「あぁホントだ。こんにちは」
急に現れた二人組は、近所の知り合いに会ったような雰囲気で挨拶してきた。
「いや誰~~」
「いや誰!?」
「いや誰や!」
三者三様、心からの叫びだった。
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