垢BANズ!!

幽零

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サメジマエリア編

4話

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「その羽ってどれくらい飛べるんですか?」

「ん~、ウチは超頑張って30秒ってとこやね~」

「それでも飛べるのすごいですね」

「まぁでも、飛んでる間って全力疾走続けるような感じだからさ。めっちゃ疲れる」

タフちゃんとリアさんと共に、データ転送システムのある深部へと向かう。

「ていうか『サメジマエリア』のデータ転送システムってちゃんと使えるんすかねー」

「うちの持ってる職員カード、さっき自販機で使えたから、多分その系統でいける……と思いたいな……」

「SSSの職員さんいてホンマ助かったわ~」

ゆらゆらと翼を揺らして、リアさんは言葉を続ける。

「そや、パシャ~」

「ん?俺の事?」

「そそ、パシャリだからパシャ。良くない?」

「最高」


トッパー君の事件があったとはいえ、その後は特に何かある訳でもなく。普通にデータ転送システムの場所を目指して歩いていた。


「そや、気になってたんやけど~」

リアさんが羽をパタパタしつつ、言葉を紡ぐ。

「パシャとタフちゃんってどんな関係?」

「「バイトと正職員。時々ランチ仲間」」

「仲良いんやね!」

「まぁ、俺は元々ポストマン的な仕事だったんだけどね~。廃業しちゃいまして……んで、古巣でもあるSSSに拾ってもらったって感じなのですよ」

「うちがバイト時代の時から知り合いだから、そこそこ付き合いは長いと思う」

「そうなんやね!そや!ウチが聞いてばっかりやったし、ウチの事で何か聞きたい事ない!?」

ニッと笑うリアさん。

「ん~~……あ、なんで歌手目指そうと思ったの?」

「ん?あぁ、そっちなんや」



リアさんは一瞬戸惑った顔を浮かべるが、すぐにいつもの笑顔になった。

「そやね。ウチは歌うの好きやからさー。やっぱ聞いてくれた人が『元気でたー』とか、『頑張ろうって思えるー』って言ってくれたら、嬉しいやん?」

「ほほう、確かに!」

「……アレ」

「ん?どしたタフちゃん」

タフちゃんは職員カードを何度かカードリーダーにかざすが、反応が無いようで。

「……何か、入れない……かも」

「マジィ……?」

「ありゃ」


データ転送システムは深部にあるが、そこへ向かう為に経由する部屋のドアが開かないのだ。


とりあえず休憩所の椅子に3人座る。円形テーブルの上にはコーヒー、コーヒー、そしてエクレア。

「ウチお腹すいちゃって……」

ちょっと恥ずかしそうにする悪魔系歌手お姉さん。

「え~と、つまり……タフちゃんのカードは自販機には使える。だけど『サメジマエリア』……こっちのSSS内部のセキュリティは突破できない……と……」

口にした挙句、言わずにはいられなかった。

「何か都合よくね?」

「えーっと、多分自販機はSSSの管轄じゃあないから使えたのかも?」

「え?じゃあウチら少なくとも餓死はしないって事?」

「あ、確かに!よかったー!」

「パシャさん……ここから出ないとアカバンされるよ」

「良くない!!!」



手のひらドリルであった。そんな手元で突貫工事をしている俺はさておき、タフちゃんは髪の毛を触りながら考え込んでいた。



「……多分『サメジマエリア』にあるSSSのセキュリティは、『サメジマエリア』に元々ある職員カードじゃないと開かないのかも?」

「あ、そうなんだ。じゃあ俺がいつもバイトしてる端末部屋に入って、誰かのを拝借してくれば……」

言って、気がつく。

「まずそのドアが開かねぇじゃん!!」

「それ以前に、職員カードは肌身離さず持ってる人が殆どだから、ここに無い可能性があるかも……」

「うっそーん」

「……あ、でも。もしかしたら」

「ん?タフちゃん何か思いついた!?」

「局長の部屋に……『マスターキー』がある筈」

「え?マジ!?あ……でも殆ど持って帰るって……」

「ううん、局長室の鍵は局長しか持てないから、いつもマスターキーは一定の場所に置いてるって言ってた」

「タフちゃんナイス!!正職員バンザイ!!」

「え?ちょっと待って、ウチ聞いてただけだけど……それなら局長って人がこっちにいないとその部屋入れなくない?」

リアさんは至極当然な疑問をあげる。

「うん。でも、局長室の鍵ってアナログ錠なんですよ。パシャリさんは特技があってね。それが……」

ガシーンっとガッツポーズを決める。

「ピッキングが得意です!!」

「……それ堂々と言える事なん……?」

「大丈夫ですよリリアさん。SSSって元ハッカーとか働いてたりするので」

「セキュリティって何やっけ?」

「まぁまぁ。それでタフちゃん。局長室ってどこだっけ?」

「SSS最上階」

「真逆やーーん!!」









『セキュリティシステムセンター』

正面は割とオープンな設計になっているが、裏口は案外そうでもない。従軍経験者も裸足で逃げ出すような戦闘ロボが複数配備されており、国家機関に相応しい強固なセキュリティを維持している。

「……はぁ」

灰色のコートを靡かせ、不審者のような男がそこに立っていた。すだれのような白髪の下には、アンニュイな瞳が揺れている。

「……やれやれ、厄介な事に巻き込まれちゃったな」

白刃を納刀し、周囲を見渡す。

「とりあえず、元の場所に戻らないとね。行こうか『リュウ』」

「若~、ちょっと金持ってないすか?コーク飲みたくて」

リュウと呼ばれた半袖シャツの男は自販機を指差す。

「『カソケ』で良いって。で……コーク……あぁ、あの黒い炭酸飲料か。生憎お金は持ってないから……」

カソケと呼ばれた灰色コートの男は、手を自販機にくっつける。すると、ビー!っという機械音の後、ガコンッとコーク缶が出てきた。

「違法ツールで買っちゃうか」

「いやほんと便利っすねそれ」

「じゃあ、歩きながら飲もうか」




カソケとリュウ。得体の知れない二人は、缶ジュースを開けながら裏口へと入っていった。






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