垢BANズ!!

幽零

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サメジマエリア編

14話

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「もう、多いなぁ……」

ハネルさんは右腕を支えながら、呆れ気味に話す。

「もうコレ金属摩擦でオーバーヒートしちゃいますよ」

「ハネルさん大丈夫!?」

「あぁリアさん。探しにきましたよ」

「いや今それいうん!?いや嬉しいけど!いやそれどころじゃないやん!!」

「え、ハネルさん戦えんくなったらワシら不味くない?」

見るとハネルさんの衝撃波兵器は、熱を帯びているのか煙が出ていた。

《抹殺執行、抹殺執行》
《抹殺執行、抹殺執行》
《マッチョ最高、マッチョ最高》
《抹殺執行、抹殺執行》

「なぁおい、今度は筋肉フェチがいるぞ」

「あぁもう。本当にキリがないなぁ……」

つぶやいたハネルさんは、兵器を収納すると……

「じゃあもう普通に殴るか」

普通にトッパー君を殴り始めた。

「パーツ的にはあんまり良くないですけど。まぁ、友人の為にちょっと無理はしますか」


タフちゃんは、ずっと極薄のキーボードでカタカタし続けている。

「タフちゃん、今はどんな感じ?」

「ヒーホーの弱体化が……ちょっと厳しくなってきたかも」

ジワ……とタフちゃんの額に汗が滲み始めていた。

「俺に何か出来る事ある?」

「えっと……ヒーホーに直接弱体化プログラムを打ち込めれば良いんだけど……」

言ったあとに、タフちゃんがあのビデオに目を落とす。

「ちょっとこれかして!!」

「え!?」

パッとそれを手に取ると、コードを繋ぎ直して素早く何かを打ち込んでいく。

「これで良し!中身の書き換え完了!あとはコレを直で打ち込めれば……」

「え?ヒーホーにエロビデオ強制視聴させるの!?」

「確かに動きが鈍くなるかもなぁ……」

「喧しいぞとりあえず聞け。これ注入型に変更したから!直でインストール出来ればヒーホーがかなり弱体化出来る筈!」

「でも……直接って事は……」

チラリと向こうを見る。



《我が弱くなった所で、貴様らが強くなった訳では無いだろう?》

「でも弱体化してるのは事実なんだよねー」

「さっきから動きが鈍いっすよね」

「あのさー二人とも、さっきから僕に攻撃当たるように誘導してない?」

「「いやそんなまさか言いがかりやめてよねー」」

「確信犯だなー?よーし、夢の国までぶっ飛ばしちゃうぞー」

「永眠の国の間違いでは?」

「夢どころか現実からお別れになるっすね」





「……あの中に入るの無理でしょ」

「上からならいけないかな?」

「いやいや、リアさん。それは流石に……」

振り返る。リアさんはキョトンとした顔で、羽をパタパタしていた。

「……いけるじゃん」






「ん~、ちょっと僕でもしんどくなって来た」

「私らそれより前から戦ってるんですけどー」

「ソーダソーダ……いや浮気はしない!コークコーク!」

《我を相手にここまで立ち回った事、誇るが良い》

ヒーホーが右手を開いて、腰を鎮める。

《秘技・八卦掌!》

「『吐き気っしょ』?なんて?」

「『ハッケショウ』じゃ無いすか?」

「いや、君ら普通に避けた方が……」

途端ヒーホーの右手から放たれたビリビリとした風圧のようなものに、三人とも吹き飛ばされた。

「ゲホっ、奥義の後に秘技とか使うんかい……」

「後出しジャンケンじゃないっすか……」

「遠当てかなー、これ内側から壊されるね。あと……1回かな」

「何が?」

「あと1回、同じの受けたらー、内臓やられて僕らオシャカかな」

「「こわー」」

ケポッと水っぽい音を出して、マグさんは口から血を垂らす。

《左様、故に言っただろう。良くやった、と》

「………………ァァ……」

《……?何だ?》

「うわァァァァァァ!!!」

ヒーホーが上を見上げた瞬間、ゴチーン!!!と星が舞った。

「いてて……リアさん大丈夫!?」

「ウチは全然平気や!」

「さすが強化人間……」

「そやパシャ!ビデオは!?」

「え!?……あ」

何とびっくり、落下した勢いでしっかり刺さってらぁ。

「これ表面にくっ付ければ良いんだっけ?」

「確かそう言ってたと思う!」

「ただのビデオが注入型の弱体化プログラムになるとは……タフちゃんすげー」

《わ、我の頭に何がっ》

流石の最強ボスでも、空から人が降ってくる事は予想外だったらしい。

「親方!空から強化人間が!」

「収容監視官ね。チャンスだけど、僕もう足腰に来ちゃってるなぁ」

「……って事は勢い付ければ良いんすよね?」

「あぁ、じゃあ私とリュウで吹き飛ばすのでトドメ宜しくです」

「それしか無いかぁ……それしか無いかぁ?ねぇ、本当に……」

「「じゃあ行きますよー」」

「ためらい無さすぎだろお前らー」

リュウは強化した腕で、カソケは違法ツールで、マグを弾き飛ばした。



《ぬぉぉぉぉぉぉぉ!!!?》

「あ、なんか技名言った方が良い?えーとえーと……」

マグは考えるも、結局思いつかなかったようで。

「なんかすごいパーンチ」

ガシャーン!!と、ヒーホーの土手っ腹をぶち抜く。


……やる気のない掛け声と共に。



《我が武……至らず……か》

「うん、強かったぞ、もう一人の俺」

《我より遥かに弱者……だが、仲間の力を得た我か……》

膝をついたヒーホーは、穴の空いた胴体から、金属片のようなものをボロボロと落としていた。

《我には終ぞ、得られなかった物だ……誇れ……》

「そっちの俺はストイックだなー。少し休めよー」

ヒーホーは、最後の力を振り絞るように言葉を繋いだ。

《……見事》

それを最後に、ガシャン!!とヒーホーは力尽きた。




《バカな……負ける筈がない!私の最高傑作が……そんな……》

デキル子ちゃんは信じられないといった様子で、呆然としていた。

「……バグってさ、偶然生まれても正されるだけだから」

淡々と、結んだ髪を解きながら話す。

「だから最初から無理だったんだと思う。元に戻ろうとするうち達と、ずっとここに居ようとする貴女じゃあ」

《…………》

「それに……」

チラリと彼らを見る。



「って訳で逮捕ね」

「監視官ー、私に手錠効かないって」

「俺も物理的にこれ砕けちゃうっすね」

「建前でも捕まっとけよー」

「帰ったらカラオケ行こハネルさん!」

「腕修理したいんですが……まぁこっちは後でも良いか」

「ワシお腹すいた。カラオケ飯食う」

「ジュキトも来るん?めっちゃええやん!」

「え、何々カラオケ~?私らも行こうよリュウー」

「若、俺ら一応指名手配犯なんすけど」

「カラオケ行ったら最初に何歌う?」

「『麺津メンズ 素師シロシ』」

「あぁいいっすよね麺津」




「それに……うち達の仲間、普通じゃないから」

《それは本当にそう》






データ転送システムを使う直前、今一度振り返る。

「うーん、今回はワシの責任だし、ワシの奢りでいいぜ」

「マジ?僕もいこーかなー」

「え、収容監視官いるなら私ら逃げる?」

「そうします?」

「来なかったら逮捕ね」

「「行きまーす」」

「私……とりあえず腕を何とかしたいんですが」

「あー、後でたぬさや教授に言っておくわ。教授にも手伝って貰ったし、カラオケ誘うついでに」

「ありがとうございます……って、あの教授そんな事も出来るんですか?」

「そうやで。あ、キノエさんも誘おう」


長かったようで、短かったようで、だけども、絶対に濃い時間だった冒険は、そろそろ終わる。

「タフちゃん」

「うん、帰ろう」



今となっては懐かしい、白い光で視界が埋め尽くされた。

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