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Episode:リュウ
EPリュウ:4
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「やれやれ……」
クロネコが、足を組んで椅子に座っている。
「……君らが何か仕掛けてくるのはわかっていたさ。対策しないとでも?」
カソケだけが立っており、ウマとリュウはうつ伏せで倒れていた。
「私以外はこのリモコン一つで脳と心臓が停止するように出来ているんだよ。残念だったね部外者の君」
「うーん、参ったな」
ワシワシと髪の毛を揺するカソケ。
「しかし……君、一度もその刀を抜かなかったね?察するに、君は日和見主義だな?」
クロネコはカソケの目の前まで来ると、不適な笑みを浮かべる。
「常に勝っている方にしか味方しない。違うかな?」
「まぁ、私は『違法ツール』が欲しいだけの人間だし」
アンニュイな目で答えるカソケを見て、クロネコは笑う。
「ふむ。気に入った。ヘビもウサギもネズミも死んだし、今ちょうど懐刀が欲しい所だ。どうだい?私と組まないか?」
「んー、じゃあそれ下さい。その手に持ってる矢みたいな奴」
「ん?これか?」
クロネコは自分の胸の前にソレを持ってくる。
「それはまだダメだな。なぜなら……」
「強化人間であるアンタにも効くから……っすよね」
「……ッッ!?」
腕が掴まれ、矢の先端がズグっとクロネコの胸元に刺さった。
「な……が……は!?」
「ハッハッハ!!死んだふりとは新鮮だな!!初めてやったがとても楽しい!!」
「……ッッ!?!?」
驚いているクロネコの隙をついて、リュウがさらに深く矢を突き刺す。
「アンタが何か仕組んでると知って、対策しないとでも思ったんすか?」
「……な、どうや……て……」
クロネコの肌が、火傷のようにジワジワと壊死していく。
「簡単さ!!彼の違法ツールで体内の装置の電波を遮断した!!」
「じゃーん『インターセプト』、お値段なんとありません」
「そんなもん売っててたまるか」
ウマは壊死していくクロネコを見据えて笑う。
「ふむ!良かった!!俺が蹴るまでも無いようだ!!ここでゆっくり見物するとしよう!!」
「舐め……やが……って……」
「ハッハッハ!!お戯れを!!一番舐めていたのは貴方だろう?」
ガンッと、脚を顔面に打ちつけ続ける。
「敗因は単純!油断と驕り!!ハッハッハ!!惨めなものだな!!」
クロネコから脚を離すと、ウマはリュウの肩にポンと手を置く。
「さて、クロネコは見ての通り放っておいても死にそうだが、君にはトドメを刺す権利がある」
ウマはリュウに目を合わせて、いつもと違う声色で続ける
「だが、義務じゃない。だから好きな方を選ぶと良い。どんな選択をしても、俺は君を肯定する」
一歩、また一歩。混濁した感情が足跡に滲む。
「……」
「……」
初めて、しっかりと目を見た気がする。じわじわと肌の色が変わり、ガクンっと体勢も崩れる。もう時間が残っていないのだろう。
「……どうか」
「どうか苦しんで死んでください」
「…………」
クロネコの顔は苦痛に歪む。手刀でまだ壊死していない部分を貫く。
そして、やがてボロボロと灰のようにその体が崩れた。
ファイアウォール軍の基地を後にする。ウマさん曰く、『クロネコが乗っ取ってもどうにかなってたなら、今回もなるようになる』だそうだ。
「さて、俺は今後の事を考えてないが君はどうする?」
零号から離脱する為、男三人で領域内を散歩している。
「……俺は…」
言い淀んでいると、カソケが話しかけてくる。
「じゃあ私と一緒に来る?」
「……は?」
「まぁ『違法ツールコレクター』だから指名手配されてるけど、君も同じようなもんでしょ?」
「……まぁ」
「それに、そこそこ『アウトサイダー』に近い事してるから」
「……違法ツール集めてる時点で、アウトサイダーでは?」
軍にも所属せず、正式なバグハンターでもない。つまりは非合法な略奪者。それが『アウトサイダー』だ。
「……まぁ、今更っすね」
カソケの手を取る。
「体内の装置の礼もあるっすから。ただ……」
「ただ?」
「……しばらくは、ぼんやり生きたいっすね」
「好都合、私は怠惰だからね」
「ハッハッハ!!さて、俺はここらでさよならと行こう!」
ウマは腕を組んで明朗に笑う。
「ウマさんはこれからどうするんで?」
聞くと、顎に手を添えて思考する。
「うむ、それがな!助けを断られたバグハンターを蹴り飛ばしてしまってな!俺もアウトサイダーになるしかなさそうだ!」
……何してんだこの人。
「ではなリュウ!生き急ぐなよ!生きてる内はな!!」
そういって、すごい速度でウマは去っていった。
「……あの人、どうやって助け求めてたか分かる?」
「え?」
カソケは笑いながら続けた。
「……頭を下げてたよ。もちろん膝を着きながら」
『蹴り飛ばしてしまった事は謝る!だが頼む!もう数日経っているんだ!!』
『あぁん?都合が良いにも程が……』
『頼む、この通りだ!!必ず助けに行くと言った!!頼む!!』
『ふざけんな!いきなり蹴り飛ばしてきた奴に協力なんかするかよ!!』
『出てけ!!』
「……下げた頭を足蹴にされても、袋叩きにされても、一切やり返さずに黙々とお願いしてたよ」
「……あの人が?」
「ま、流石に何かあると思って、出てきた所で声をかけたんだよね」
「アンタ助けに行かなかったのか」
「まぁ恩は出来るだけ高く売りつける主義でね」
「……はぁ、で?これからどこに向かっているんです?」
「とりあえず君の身体を調べて貰う為に知り合いのトコへ。そのあとは……」
カソケはアンニュイな瞳を悪そうに細める。
「とある『組』に、違法ツールがあるらしいんだよね。無料で自販機とか使えるらしくってさぁ」
「……はぁ、まぁいいっすよ」
過去を振り切り、臥竜は羽ばたく。
……広い、とても広い世界へと。
『Episodeリュウ:END』
クロネコが、足を組んで椅子に座っている。
「……君らが何か仕掛けてくるのはわかっていたさ。対策しないとでも?」
カソケだけが立っており、ウマとリュウはうつ伏せで倒れていた。
「私以外はこのリモコン一つで脳と心臓が停止するように出来ているんだよ。残念だったね部外者の君」
「うーん、参ったな」
ワシワシと髪の毛を揺するカソケ。
「しかし……君、一度もその刀を抜かなかったね?察するに、君は日和見主義だな?」
クロネコはカソケの目の前まで来ると、不適な笑みを浮かべる。
「常に勝っている方にしか味方しない。違うかな?」
「まぁ、私は『違法ツール』が欲しいだけの人間だし」
アンニュイな目で答えるカソケを見て、クロネコは笑う。
「ふむ。気に入った。ヘビもウサギもネズミも死んだし、今ちょうど懐刀が欲しい所だ。どうだい?私と組まないか?」
「んー、じゃあそれ下さい。その手に持ってる矢みたいな奴」
「ん?これか?」
クロネコは自分の胸の前にソレを持ってくる。
「それはまだダメだな。なぜなら……」
「強化人間であるアンタにも効くから……っすよね」
「……ッッ!?」
腕が掴まれ、矢の先端がズグっとクロネコの胸元に刺さった。
「な……が……は!?」
「ハッハッハ!!死んだふりとは新鮮だな!!初めてやったがとても楽しい!!」
「……ッッ!?!?」
驚いているクロネコの隙をついて、リュウがさらに深く矢を突き刺す。
「アンタが何か仕組んでると知って、対策しないとでも思ったんすか?」
「……な、どうや……て……」
クロネコの肌が、火傷のようにジワジワと壊死していく。
「簡単さ!!彼の違法ツールで体内の装置の電波を遮断した!!」
「じゃーん『インターセプト』、お値段なんとありません」
「そんなもん売っててたまるか」
ウマは壊死していくクロネコを見据えて笑う。
「ふむ!良かった!!俺が蹴るまでも無いようだ!!ここでゆっくり見物するとしよう!!」
「舐め……やが……って……」
「ハッハッハ!!お戯れを!!一番舐めていたのは貴方だろう?」
ガンッと、脚を顔面に打ちつけ続ける。
「敗因は単純!油断と驕り!!ハッハッハ!!惨めなものだな!!」
クロネコから脚を離すと、ウマはリュウの肩にポンと手を置く。
「さて、クロネコは見ての通り放っておいても死にそうだが、君にはトドメを刺す権利がある」
ウマはリュウに目を合わせて、いつもと違う声色で続ける
「だが、義務じゃない。だから好きな方を選ぶと良い。どんな選択をしても、俺は君を肯定する」
一歩、また一歩。混濁した感情が足跡に滲む。
「……」
「……」
初めて、しっかりと目を見た気がする。じわじわと肌の色が変わり、ガクンっと体勢も崩れる。もう時間が残っていないのだろう。
「……どうか」
「どうか苦しんで死んでください」
「…………」
クロネコの顔は苦痛に歪む。手刀でまだ壊死していない部分を貫く。
そして、やがてボロボロと灰のようにその体が崩れた。
ファイアウォール軍の基地を後にする。ウマさん曰く、『クロネコが乗っ取ってもどうにかなってたなら、今回もなるようになる』だそうだ。
「さて、俺は今後の事を考えてないが君はどうする?」
零号から離脱する為、男三人で領域内を散歩している。
「……俺は…」
言い淀んでいると、カソケが話しかけてくる。
「じゃあ私と一緒に来る?」
「……は?」
「まぁ『違法ツールコレクター』だから指名手配されてるけど、君も同じようなもんでしょ?」
「……まぁ」
「それに、そこそこ『アウトサイダー』に近い事してるから」
「……違法ツール集めてる時点で、アウトサイダーでは?」
軍にも所属せず、正式なバグハンターでもない。つまりは非合法な略奪者。それが『アウトサイダー』だ。
「……まぁ、今更っすね」
カソケの手を取る。
「体内の装置の礼もあるっすから。ただ……」
「ただ?」
「……しばらくは、ぼんやり生きたいっすね」
「好都合、私は怠惰だからね」
「ハッハッハ!!さて、俺はここらでさよならと行こう!」
ウマは腕を組んで明朗に笑う。
「ウマさんはこれからどうするんで?」
聞くと、顎に手を添えて思考する。
「うむ、それがな!助けを断られたバグハンターを蹴り飛ばしてしまってな!俺もアウトサイダーになるしかなさそうだ!」
……何してんだこの人。
「ではなリュウ!生き急ぐなよ!生きてる内はな!!」
そういって、すごい速度でウマは去っていった。
「……あの人、どうやって助け求めてたか分かる?」
「え?」
カソケは笑いながら続けた。
「……頭を下げてたよ。もちろん膝を着きながら」
『蹴り飛ばしてしまった事は謝る!だが頼む!もう数日経っているんだ!!』
『あぁん?都合が良いにも程が……』
『頼む、この通りだ!!必ず助けに行くと言った!!頼む!!』
『ふざけんな!いきなり蹴り飛ばしてきた奴に協力なんかするかよ!!』
『出てけ!!』
「……下げた頭を足蹴にされても、袋叩きにされても、一切やり返さずに黙々とお願いしてたよ」
「……あの人が?」
「ま、流石に何かあると思って、出てきた所で声をかけたんだよね」
「アンタ助けに行かなかったのか」
「まぁ恩は出来るだけ高く売りつける主義でね」
「……はぁ、で?これからどこに向かっているんです?」
「とりあえず君の身体を調べて貰う為に知り合いのトコへ。そのあとは……」
カソケはアンニュイな瞳を悪そうに細める。
「とある『組』に、違法ツールがあるらしいんだよね。無料で自販機とか使えるらしくってさぁ」
「……はぁ、まぁいいっすよ」
過去を振り切り、臥竜は羽ばたく。
……広い、とても広い世界へと。
『Episodeリュウ:END』
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