はい、そうです。敗走です

幽零

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ピクニックに森は退屈

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ほとんど追放されるみたいに村を出て、王国に向かう事になったのだが……

「渡されたのは木の剣(おもちゃ)に端金……どうしろっていうんだよー」

ハイサルはトボトボ森を歩く。

「せめてサンドイッチぐらいくれれば良かったのにー」

「ピクニックじゃ無いんだぞ」

フォルトに突っ込まれ、それもそうかと思い直す。

「でも食べ物無いと困っちゃうよなー」

「……そうだな。早く森を抜けよう。ただでさえ俺たちの居た村は辺境にあるんだ。王国に着くまで時間もかかる」

「まぁ、歩いてればその内抜けられるだろー」

「……迷ったら死ぬぞ」

「そんな大袈裟なー。魔物に出会った訳でも無いのにー」

手を前に伸ばして、欠伸をしながら進んでいると……




むにゅん



……何か、当たった。

気楽な笑顔のまま固まったハイサルは、首をギギギ……と錆びついた人形のように動かし、伸ばした手の方向をゆっくりと見る。



《スライム が あらわれた!》



「ギャーーッッっス!?魔物ー!?!?」

目にも止まらぬ速さでフォルトの背後に隠れる。

「……なんだ、スライムか。ハイサル、戦ってみたらどうだ?」

フォルトが背中に隠れるハイサルに諭すが、それどころでは無いらしい。首が取れそうな勢いで横に振っている。

「無理無理無理ムリムリ!!!」

「……そうか、わかった」

フォルトは諦めたようにため息をつくと、どこからとも無く金属のハンマーを取り出した。


《フォルト は 鍛治のハンマー を 装備した!》


「鍛治のハンマーって!!フォル兄鍛冶屋でしょ!?もっと強い武器あっただろーー!!」

「……お前が原因で急遽旅立ったから、これしか持って来れなかっただけだが?」

「本当にすいませんでした」


後で土下座するハイサルを横目に、フォルトは両手でハンマーを振りかぶってスライムに振り下ろす。


フォルトのハンマーでダメージが入ったのか、スライムは溶けるように消えた。


「……こんなものか。ほら、終わったぞ……って」

手の甲で汗を拭いながら振り返ると、そこにハイサルの姿が無く、かなり遠い岩陰の裏に隠れていた。

「……遠いな」

「おわったー!?」

大声で叫びながら手を振っているハイサル。すると隠れていた岩陰に突然矢がカツンっと当たった。

「ーーーーー~~~~ッッッ!!!?」

驚きのあまり声が出ず、悲鳴にならない悲鳴をあげながらダッシュでフォルトの背中に隠れる。

「……お前、あの距離その速度で走れるって結構足速いんだな」

「感心してないで!?襲われたんだけど!!なに!!なんかいるじゃん絶対!!!」

「そりゃあそんな大声で話していれば魔物もよって来るだろう」

「あ、たしかに。それはそうとフォル兄なんでそんな冷静なんだよー!!魔物って怖いじゃーん!!」

そんなハイサルの情けない姿を見たからか、ぎゃっぎゃっぎゃと笑いながらぺたぺたと魔物が出てきた。



《ゴブリン が 3匹 あらわれた!》



「ウギャァ!!?ゴブリンだァァァ!!!!」

「あぁ、そうだな」

「ねぇ!アイツ槍持ってる!!」

「そうだな」

「弓持ってるやつもいるー!!」

「そうだな」

「ナイフ持ってる奴もいる!!」

「そうだな」

「何で冷静なんだよーー!!」

「何でってそりゃ……」


次の瞬間には、ボロボロになったゴブリンの頭を持ち上げるフォルトの絵面が、網膜に飛びついてきた。

「ゴブリンぐらいなら何とかなるからな」

「…………」


あれー、ゴブリンって確かに小さいけど魔物に変わりはないんだけどなー。3匹ぐらい居たんだけどなー。それ一人で圧倒してるフォル兄って本当に鍛冶屋なん?

そんなハイサルの思惑などそっちのけで、フォルトはゴブリンの持っていた武器を漁ると一つを拾い上げた。

「ほら、このナイフならそのおもちゃよりマシだろう。持っておけ」

フォルトにナイフを手渡される。

「……次からはお前も戦ってみたらどうだ?」

「いやムリだって!!ただの村人が魔物と戦って勝てる訳ないじゃん!!」

ハイサルの言葉に、フォルトはさも不思議そうな顔で答える

「……勝てたが?」



「……確かに」





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