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会合
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「んにゃー…厳彦ォ~、疲れたー…」
「あ゛?」
霊体なのに疲れる訳ねーだろと言った顔をする厳彦。由々は今魂状態なのでフワフワ浮いてるだけなのだ。つまるところ、「お前散々俺にイタズラしておいて『疲れた』はねぇだろ…」と言った心境だ。
「お前なんのために来たんだ……」
「そりゃ厳彦に着いてこーかなーって」
他愛無い会話を続けていると、ふと由々が止まる。
「……?どうした由々?」
厳彦が問いかけると、由々は珍しく神妙な顔付きで答える。
「ん~…なんか、ここから変な空気を感じるにゃ~……」
由々が「ここ」と指指したのは、路地裏に通ずる道だった。普通に歩いていたらまず気が付かないような空間だ。道行く人も、何の気なしに通り過ぎている。逆にこの場で立ち止まっている厳彦が怪しく見えてしまうぐらいだ。
厳彦は北河に言われた言葉を思い出す。
『路地裏にあるはずだ…』
「………路地裏……」
「え?」
厳彦がつぶやく。
「由々、その変な空気みたいなのはまだ感じるか?」
「え~?あ~そうだにゃ~…なんか空気と言うか、気配みたいな…とりあえず気持ち悪い感じだにゃ~」
「……そうか」
厳彦はグッと手に力を入れる。
「行こう、由々。たぶん、北河さんの言う『路地裏の神社』はこの先だ……由々、気配を辿ってくれるか?」
「う、うん。わかったにゃ~…」
こうして路地裏に入った訳だが、なるほど物理的にも精神的も気持ち悪い。ネズミの死骸などが放置されたままであったり、どこからがずっと見られているような気配までする。それにずっと同じような景色で、クネクネ曲がっているが、これが本当にどこかへ続いてるのかも不安になってくる。
どこまで続くのかと辟易としてした頃、ぽっと突然小さな社が現れた。
「神社……?」
「うーんここな気がするにゃ~?」
何故ここに言いたくなるような場所。まるでここにこの社が収まるために他の建物が間を開けたように感じる程、違和感なくその小さな社はそこにあった。
「……小さな神社……」
北河の言っていた通り、路地裏にある小さな神社。
北河の言っていた場所は恐らくここだろう。とにかく位置座標を手にした端末で記録する。
すると、カツンと下駄のような音が前方から聞こえてきた。反射的に顔を上げると、目の前には目元に御札を貼った男が口をニヤァっと歪ませたっていた。
「おやァ?お客さんみたいですねぇ?しかも若い男女と来たァ…ご依頼はぁ?心中?それとも姑殺し?それともぉ~……」
目元に御札を貼った男は、男とも女ともつかない粘着質な声で楽しそうに続ける。
「復讐とかぁ?ですかねぇ?」
「い、いや…たまたまこの道を通ったらここにたどり着いて。いやぁ、こんな所あったんですね」
ワザとシラを切った。
「おやおやぁ?でもォ、ずぅいぶん的確に辿ってきましたよねぇ?気配ぃ?」
「…なんの事か分かりませんね。私は1人で…」
ある言葉を思い出し、しまったと思った。この男はさっきなんと言った?
男女ふたり
つまり、魂になった由々が見えている。
バッと男から距離を取り、由々の前に手を伸ばす。
目付き鋭く、厳彦は問う。
「……アンタ、名前は」
男はニタァッとしながら答えた。
「まずはそちらがァ名乗るのが礼儀だと思うんですがねぇ?まぁいいやぁ…私はですねぇ~」
男はわざとらしくもったいぶると続ける。
「南雲ですぅ。呪殺専門家、南雲 文幸ですぅ。以後お見知り置きぉ」
男はぺこりとお辞儀する。
「あ゛?」
霊体なのに疲れる訳ねーだろと言った顔をする厳彦。由々は今魂状態なのでフワフワ浮いてるだけなのだ。つまるところ、「お前散々俺にイタズラしておいて『疲れた』はねぇだろ…」と言った心境だ。
「お前なんのために来たんだ……」
「そりゃ厳彦に着いてこーかなーって」
他愛無い会話を続けていると、ふと由々が止まる。
「……?どうした由々?」
厳彦が問いかけると、由々は珍しく神妙な顔付きで答える。
「ん~…なんか、ここから変な空気を感じるにゃ~……」
由々が「ここ」と指指したのは、路地裏に通ずる道だった。普通に歩いていたらまず気が付かないような空間だ。道行く人も、何の気なしに通り過ぎている。逆にこの場で立ち止まっている厳彦が怪しく見えてしまうぐらいだ。
厳彦は北河に言われた言葉を思い出す。
『路地裏にあるはずだ…』
「………路地裏……」
「え?」
厳彦がつぶやく。
「由々、その変な空気みたいなのはまだ感じるか?」
「え~?あ~そうだにゃ~…なんか空気と言うか、気配みたいな…とりあえず気持ち悪い感じだにゃ~」
「……そうか」
厳彦はグッと手に力を入れる。
「行こう、由々。たぶん、北河さんの言う『路地裏の神社』はこの先だ……由々、気配を辿ってくれるか?」
「う、うん。わかったにゃ~…」
こうして路地裏に入った訳だが、なるほど物理的にも精神的も気持ち悪い。ネズミの死骸などが放置されたままであったり、どこからがずっと見られているような気配までする。それにずっと同じような景色で、クネクネ曲がっているが、これが本当にどこかへ続いてるのかも不安になってくる。
どこまで続くのかと辟易としてした頃、ぽっと突然小さな社が現れた。
「神社……?」
「うーんここな気がするにゃ~?」
何故ここに言いたくなるような場所。まるでここにこの社が収まるために他の建物が間を開けたように感じる程、違和感なくその小さな社はそこにあった。
「……小さな神社……」
北河の言っていた通り、路地裏にある小さな神社。
北河の言っていた場所は恐らくここだろう。とにかく位置座標を手にした端末で記録する。
すると、カツンと下駄のような音が前方から聞こえてきた。反射的に顔を上げると、目の前には目元に御札を貼った男が口をニヤァっと歪ませたっていた。
「おやァ?お客さんみたいですねぇ?しかも若い男女と来たァ…ご依頼はぁ?心中?それとも姑殺し?それともぉ~……」
目元に御札を貼った男は、男とも女ともつかない粘着質な声で楽しそうに続ける。
「復讐とかぁ?ですかねぇ?」
「い、いや…たまたまこの道を通ったらここにたどり着いて。いやぁ、こんな所あったんですね」
ワザとシラを切った。
「おやおやぁ?でもォ、ずぅいぶん的確に辿ってきましたよねぇ?気配ぃ?」
「…なんの事か分かりませんね。私は1人で…」
ある言葉を思い出し、しまったと思った。この男はさっきなんと言った?
男女ふたり
つまり、魂になった由々が見えている。
バッと男から距離を取り、由々の前に手を伸ばす。
目付き鋭く、厳彦は問う。
「……アンタ、名前は」
男はニタァッとしながら答えた。
「まずはそちらがァ名乗るのが礼儀だと思うんですがねぇ?まぁいいやぁ…私はですねぇ~」
男はわざとらしくもったいぶると続ける。
「南雲ですぅ。呪殺専門家、南雲 文幸ですぅ。以後お見知り置きぉ」
男はぺこりとお辞儀する。
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