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お兄ちゃんはとうとう、二人への気持ちに気付いてしまいました。

38 【挿し絵あり】あああ?!やらかした?! 〜またもや怒りのアイアンクロー~

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 ぐぅ……痛かった!
 アイアンクローかよ……。

「……昨日の今日であんなに絡んだ奴らを忘れるわけないでしょ!しかもあたし達を散々に煽ったあいつらを!」

 ああ、だから真っ先に二人の事を思い浮かべたのか。
 これは浅はかだった。

 いや、でも。
 しかし、だ。
 
 恋バナどころか普段から大した会話もしていない幸田に、言いづらい事だってあるじゃないか。

 幸田の言い分ももっともではあるが……。

 深呼吸をして、気持ちを整える。
 よし。

「いやいや待て待て、早合点するな。確かにほのかとかずらのインパクトが絶大だったからそう思うのかもしれないが、友人の話と言ってるだろ?話を聞いてくれ」
「……ほお?まだ粘るんだ。じゃあいいよ、そういう事にしといてあげるよ。で、その男はどんな奴なんよ」

 お、話を少し逸らせたかもしれない。

 青筋を浮かべながら笑っている幸田の顔がとんでもなく恐ろしいが、またアイアンクローを食らわないように、これ以上気を悪くさせないように今度は慎重に行こう。

 どんな奴?
 関係あるのか?

「聞いてどうする?今の話の流れに必要か?」
「あるよ。んでその二人がそいつに対してどんな感じなのかも聞きたいの。脈がありそうかどうか。何とも思ってなかったら、告白してもしなくても一緒でしょ?逆にイケてたら、諦めない方法もあんじゃないの?」
「おおお……!」

 そういう事か!
 すごいな幸田。
 恋愛経験豊富、伊達じゃない。

「相談してよかった。心強いよ」
「でっしょー!ほら!聞くから!先、話しなさいよ!」

 あ、ドヤ顔でふんすふんすし始めた。
 こいつ意外と可愛いとこあるな。
 
 えっと……どこまで話したっけ。

「まあ結局、の悩みはさっき言った通りで……」

 ガッ!!!

 ぐああ?!
 またアイアンクロー?!

 僕の頭はリンゴじゃないんだぞ!
 変な汁出ちゃう!
 握りつぶされちゃう!

「何なんだよ!『僕』って言っちゃってんじゃねえか!できもしねえ例え話しねーでキリキリ吐けや!話が進まねえだろうが!」

 あああ?!
 やらかした!



「そういう訳です。嘘をついてました。僕の事です」
「最初からそう言えってんだよ!ったくもう!」
「ごめんなさい」
「有本がおかしな事ばっかり言うから注目浴びちゃってるよ……。ちゃんと言ってよ!」

 二回目のアイアンクローは本気で命の危険を感じたわ。
 周りのお客様、本当にごめんなさい。

 ホントだ……周りからめちゃめちゃ見られて、え?!

 勇者がいる。

 ひよこの着ぐるみの人は何かのイベント?
 後、高級感溢れる黒いベールのドレスの女子?
 悪役令嬢みたいな雰囲気をめちゃ醸し出してる。後姿だからどんな人なのかはわからないが。

 もしかしてレイヤーさんと、バイト休憩中な着ぐるみさんなのかな。

 ま、まあ。
 あまりジロジロ見るのも失礼だな。
 それに騒がしくして迷惑をかけ、注目を浴びてるのは僕らの方だ。
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