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” ルララン♪ ”

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『えっと……アイテムボックスに回復のくすりが入ってた気がする。よる、ちょっと待っててね?』
「わわ、ゲームみたい! ひぐれ、すっごーい!」
『えっへん! とは言っても、さいきんアイテムボックスのくすりを使ってなかったから……これじゃない、これじゃないし、これでもない……』

 あのお魚、何だっけ? お母さんにおみそ汁の作りかたを教えてもらったときに使った……ひぼ、し……うー、ちがう気がする……あ、にぼしだぁ!

 いっぱいのにぼしとカツオブシのいいにおい!
 でもでも、今はおさかなじゃなくって、おくすりがほしいの!
 
「ひぐれ、早く早く、わんちゃんが元気いっぱいになる、回復のおくすりくださいな! 抱っこしてなでなでして待ってるから!」
『う、うん! 待っててね!……あっれえ? おっかしいなあ。これはにぼし、にぼしにぼしにぼし、カツオブシ、アジのひらき、あ! またたびがこんなところに!』

 もう、ひぐれ~。
 わんちゃん、もう少しだけ待っててね?

 怒る元気もなくなってきたのかも……。
 痛いの痛いの、飛んでいけ。

 なでなで。
 なでなで。



 くうん。



 カワイイ声!
 よる、お母さんになったみたい!
 
 よしよし。
 なでなで。
 

 どこが痛いとか、くるしいとか、ひぐれみたいにおしゃべりできたらいいのにね。よるの夢だから、よるが頑張れば、このわんちゃんもおしゃべりできるようになるのかなあ。

 でも今は、元気になるのが先!

 おっちょこちょいに見えるけど、ひぐれはスゴイ猫なの。
 いっつもよるにいっぱい元気をくれるんだ。

 ひぐれがおくすりを探すまで、なでなでしててあげる。

 痛いの痛いの、とんでけ。

 あっ!
 お母さんが歌ってくれた歌、忘れてた!



 ぽやぽや、ふわふわ、雲のうえ~♪
 まん丸おめめで見ていたら~♪♪



「心が洗われるようだ……。が、反対に。世にもめずらしい、無限むげんの広さを持つと言われるアイテムボックスから、なぜ小魚こざかなしか出てこないのだ? ひぐれ、と名のるきさまは本当に、『疾風しっぷうのしもべ』のヒースなのか? 魔人まじんじゅつのまぼろしではないのか?」

『うるさいな! アイテムボックスの中は時間が進まないから、食べ物を入れておくのにちょうどいいんだよ! まったく、魔族まぞくのクセにツッコミがはげしい……あ、あった! よる、これっ……え? よるの手から魔力まりょく?! よる、回復の魔法まほうをつかえるのかい?!』

 …………え?
 あっ!

 夢だから、そうなのかも!

「実はそうなのです、ひぐれ。よるが『ルララン♪』ってお歌を歌いながらなでなですると、キセキがおこるのですっ!」
『さすが、よる。太陽の勇者の和樹と月の女神ファルルの……おっとっと。まだナイショだったっけ』
「む。すばらしい回復の力だな……でございますな。まるでミリ姫様のようなりりしいお姿すがた……」
『ゴート、お前……お姫様をやさしく見まもる騎士みたいになっちゃってるけど何なの?! っていうか、お前がていねいな言葉づかいするの、はじめて聞いたぞ?!』
「うるさいぞ、まぬけな猫」
『何だとー!』

 ふふふ。ケンカみたいだけど、テレビの芸人げいにんさんたちみたいに楽しそう。

「また、お姫様だって! でもでも、ふたりはなかよしさんなんだねえ」



 わふ!



 君もそう思う?
 …………あ! わんちゃんが元気になった!

「『誰がこんなヤツとなかよし、など!』」

 息もぴったり!

 そうだ。
 楽しいけど、こんなことしてる場合じゃないや。

「ねえ、ひぐれ。この子を心配してる女のひとのところはどこなんだろう? 早くつれて行こうよ!」
「ラナのいるところかい?」



 
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