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第三章 新入生交流会
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神秘的。
初めて美術室に入ったときに口からこぼれ落ちたのはそんな感想だった。そこだけ空間が切り離されたような静寂さに、並べられた美しい風景画。
僕がそこを訪ねたのは放課後の日が沈むくらいの時間だったせいか、夕陽に照らされ色付く風景が印象的だった。
ここで本を読むのもいいな.....。
そう思った僕は活動していた美術部員に出入りしてもいいかと聞いたところ、ものに触らないならとOKを貰った。なんでも油絵の匂いなどの独特な匂いが嫌いなのか生徒があまり寄り付かない場所らしく一人で活動するのは寂しかったと美術部員は語った。
こんな綺麗で静かな場所を嫌うなんて勿体ないと思った。
そんな美術室に僕は今いる。
やっぱりここは落ち着くなぁ。
「聞いてんのか!?なんでメール返信してくれなかったんだよ!?俺はずっと待ってたんだぞ」
まるで恋人みたいなことを言うケーキ君にげっそりする。せっかくこの美術室の美しさに浸っていたのに.....ケーキ君には風情がないなぁ。
「すみません。寝てました」
「もっとマシな嘘つけよ」
ホントなんですけど。
鋭い瞳を吊り上げるケーキ君を前にそう言おうとしてやめる。このままだと話が進まない気がした。
「もう合流できたからいいじゃないですか。話を進めますよ。ケーキ君はこの人狼狩りをどこまで把握してますか?」
「.....それは人狼がプレイヤーを狩るっつー」
「言いますが僕は人狼です」
「!!」
「ケーキ君は?」
「俺も人狼だ」
これはもう決定かな?
「これ、新入生全員が人狼じゃないですか?」
「!!.....そうか、そういう事か!!」
なにかに気づいたのかケーキ君はポケットから紙を取り出した。広げられた紙に書かれていたのはQRコード。
「僕のチームは『海』でした」
望月先生に見てもらった。先生も一応他人だからね。このゲームに参加してないけど。
ケーキ君のチームは....っと
スマホを翳してQRコードを読み取る。
「俺は......『空』だな」
「軍人のような迷彩服にチームが海と空.....なら最後は陸ですね」
「クソっ!この服の色はブラフかよ!?」
「全く.....性格の悪いゲームです。これではバランスもクソもないですよ。ただ強い者が勝つだけ.....とんだ脳筋仕様ですね」
「.......そりゃそうか。結局は全員が人狼。当然ノルマ達成のタグの数が足りなくなる。今の時間、生き残ってる奴は強ぇ奴しかいねぇだろうな」
「ええ。しかも相手が人狼と知らず狩ってるなら相手が持っているタグにも気づいてない可能性もあります。脱落者からタグを探そうとしても既に回収者によって回収されてますから.....ちなみに今いくつタグ持ってますか?」
「7」
「僕は9です」
「なんでそんな持ってんだよ....」
「ここに来る途中回収前の脱落者達から少々」
「そういうのもアリか」
アリだよ。戦わなくてもいいんだからすごい楽だ。中には死体なんかもあったけど....。
「さて、どうします?」
「どうとは?」
「このままノルマ達成のためのタグだけ狩って隠れるか、それともこのクソみたいなゲームに一矢報いるか」
「ほーん。燈弥は?」
「もちろん後者です。これはもう何がなんでも発案者の思い通りの展開にさせないようにしなくては」
「なら付き合うぜ。面白そうだしな」
「では取り敢えず僕が所属する海チームを優勝させる方向で」
「優勝には興味ないんじゃなかったか?」
「やるからには優勝狙います」
そのためにも今の時間でどのくらいの新入生が残っているのか知りたい。どうにかしてまた望月先生を捕まえたほうがいいかな?先生ならペラペラ話してくれるはずだし。
と、考え込んでいるとジジジと美術室に備え付けられたスピーカーが鳴った。
【中間発表だ。半分の時間が過ぎた現時点で生き残りは約50名】
副会長の声だ。
いいタイミングだなぁ。生き残りを知りたい時にちょうど放送が鳴るなんて。
それにしても50人か.......隠れれば生き残れそうだ。
【人数も少なくなり探すのが大変だろう。そのため特別ルールを設ける。今から10分以内に体育館周辺のエリアに行け。そこが最後の舞台だ。因みにそのエリアから出る行為をしたらスマホのアラームが大音量で鳴り響くから気をつけろ。以上で放送を終わる】
隠れてもダメだねこれは。
「厄介なルールを付け足してくれましたね。行きましょう。10分なんて直ぐですよ」
「こんなん1時間半も持たねぇよ。50人だぞ?早く決着がつきそうだな!」
「ええそうですね」
美術室を飛び出し、僕達は体育館へと向かう。何事もなければ10分以内に着くだろう。
......今自分でフラグを立ててしまったかな?
「出会った生徒は片っ端から無力化してください。そしてその人のチームが海以外のチームならタグを奪って気絶させる。海ならタグを最低限分けて余計なことが出来ないよう縛りつけましょう」
「了解!!」
これが正解かな。敵チームを排除しつつ自チームを生き残らせる最適解だ。
これで何事もなければ.....いやフラグ!!
ビュォォォォォ!!!
バキバキバキッ!!!
ほらフラグ回収しちゃったじゃん!?
風の音を聞いたと思ったら突然木が倒れてきた。
「なんで木が??風....?」
「このエリアはヤバい!燈弥こっちだ!!」
腕を引っ張られ方向転換。ケーキ君を見ると苦虫を噛み潰したような顔で後方を確認していた。
僕もつられて見るとちょうど竜巻が.....竜巻?
「ちょっと見てきます」
僕は近くにあった木に駆け登り辺りを見渡すと....うん、あっちはダメだね。竜巻のせいで木々がなぎ倒され見晴らしのいい平地と化している。
それに見知った顔が居たような気がしたが、気のせいだろう。
「ケーキ君の判断に従いましょう。今は兎に角、海チームの生き残り確保です」
「ナイス判断だ燈弥!戦闘狂に関わってちゃ命がいくつあっても足らねぇよ」
今のうちに友人の武運でも祈ろうかな。
「兎君......生きて会いましょうね」
初めて美術室に入ったときに口からこぼれ落ちたのはそんな感想だった。そこだけ空間が切り離されたような静寂さに、並べられた美しい風景画。
僕がそこを訪ねたのは放課後の日が沈むくらいの時間だったせいか、夕陽に照らされ色付く風景が印象的だった。
ここで本を読むのもいいな.....。
そう思った僕は活動していた美術部員に出入りしてもいいかと聞いたところ、ものに触らないならとOKを貰った。なんでも油絵の匂いなどの独特な匂いが嫌いなのか生徒があまり寄り付かない場所らしく一人で活動するのは寂しかったと美術部員は語った。
こんな綺麗で静かな場所を嫌うなんて勿体ないと思った。
そんな美術室に僕は今いる。
やっぱりここは落ち着くなぁ。
「聞いてんのか!?なんでメール返信してくれなかったんだよ!?俺はずっと待ってたんだぞ」
まるで恋人みたいなことを言うケーキ君にげっそりする。せっかくこの美術室の美しさに浸っていたのに.....ケーキ君には風情がないなぁ。
「すみません。寝てました」
「もっとマシな嘘つけよ」
ホントなんですけど。
鋭い瞳を吊り上げるケーキ君を前にそう言おうとしてやめる。このままだと話が進まない気がした。
「もう合流できたからいいじゃないですか。話を進めますよ。ケーキ君はこの人狼狩りをどこまで把握してますか?」
「.....それは人狼がプレイヤーを狩るっつー」
「言いますが僕は人狼です」
「!!」
「ケーキ君は?」
「俺も人狼だ」
これはもう決定かな?
「これ、新入生全員が人狼じゃないですか?」
「!!.....そうか、そういう事か!!」
なにかに気づいたのかケーキ君はポケットから紙を取り出した。広げられた紙に書かれていたのはQRコード。
「僕のチームは『海』でした」
望月先生に見てもらった。先生も一応他人だからね。このゲームに参加してないけど。
ケーキ君のチームは....っと
スマホを翳してQRコードを読み取る。
「俺は......『空』だな」
「軍人のような迷彩服にチームが海と空.....なら最後は陸ですね」
「クソっ!この服の色はブラフかよ!?」
「全く.....性格の悪いゲームです。これではバランスもクソもないですよ。ただ強い者が勝つだけ.....とんだ脳筋仕様ですね」
「.......そりゃそうか。結局は全員が人狼。当然ノルマ達成のタグの数が足りなくなる。今の時間、生き残ってる奴は強ぇ奴しかいねぇだろうな」
「ええ。しかも相手が人狼と知らず狩ってるなら相手が持っているタグにも気づいてない可能性もあります。脱落者からタグを探そうとしても既に回収者によって回収されてますから.....ちなみに今いくつタグ持ってますか?」
「7」
「僕は9です」
「なんでそんな持ってんだよ....」
「ここに来る途中回収前の脱落者達から少々」
「そういうのもアリか」
アリだよ。戦わなくてもいいんだからすごい楽だ。中には死体なんかもあったけど....。
「さて、どうします?」
「どうとは?」
「このままノルマ達成のためのタグだけ狩って隠れるか、それともこのクソみたいなゲームに一矢報いるか」
「ほーん。燈弥は?」
「もちろん後者です。これはもう何がなんでも発案者の思い通りの展開にさせないようにしなくては」
「なら付き合うぜ。面白そうだしな」
「では取り敢えず僕が所属する海チームを優勝させる方向で」
「優勝には興味ないんじゃなかったか?」
「やるからには優勝狙います」
そのためにも今の時間でどのくらいの新入生が残っているのか知りたい。どうにかしてまた望月先生を捕まえたほうがいいかな?先生ならペラペラ話してくれるはずだし。
と、考え込んでいるとジジジと美術室に備え付けられたスピーカーが鳴った。
【中間発表だ。半分の時間が過ぎた現時点で生き残りは約50名】
副会長の声だ。
いいタイミングだなぁ。生き残りを知りたい時にちょうど放送が鳴るなんて。
それにしても50人か.......隠れれば生き残れそうだ。
【人数も少なくなり探すのが大変だろう。そのため特別ルールを設ける。今から10分以内に体育館周辺のエリアに行け。そこが最後の舞台だ。因みにそのエリアから出る行為をしたらスマホのアラームが大音量で鳴り響くから気をつけろ。以上で放送を終わる】
隠れてもダメだねこれは。
「厄介なルールを付け足してくれましたね。行きましょう。10分なんて直ぐですよ」
「こんなん1時間半も持たねぇよ。50人だぞ?早く決着がつきそうだな!」
「ええそうですね」
美術室を飛び出し、僕達は体育館へと向かう。何事もなければ10分以内に着くだろう。
......今自分でフラグを立ててしまったかな?
「出会った生徒は片っ端から無力化してください。そしてその人のチームが海以外のチームならタグを奪って気絶させる。海ならタグを最低限分けて余計なことが出来ないよう縛りつけましょう」
「了解!!」
これが正解かな。敵チームを排除しつつ自チームを生き残らせる最適解だ。
これで何事もなければ.....いやフラグ!!
ビュォォォォォ!!!
バキバキバキッ!!!
ほらフラグ回収しちゃったじゃん!?
風の音を聞いたと思ったら突然木が倒れてきた。
「なんで木が??風....?」
「このエリアはヤバい!燈弥こっちだ!!」
腕を引っ張られ方向転換。ケーキ君を見ると苦虫を噛み潰したような顔で後方を確認していた。
僕もつられて見るとちょうど竜巻が.....竜巻?
「ちょっと見てきます」
僕は近くにあった木に駆け登り辺りを見渡すと....うん、あっちはダメだね。竜巻のせいで木々がなぎ倒され見晴らしのいい平地と化している。
それに見知った顔が居たような気がしたが、気のせいだろう。
「ケーキ君の判断に従いましょう。今は兎に角、海チームの生き残り確保です」
「ナイス判断だ燈弥!戦闘狂に関わってちゃ命がいくつあっても足らねぇよ」
今のうちに友人の武運でも祈ろうかな。
「兎君......生きて会いましょうね」
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