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第四章 雨はお好きですか?
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しおりを挟む「おい、登坂」
「は.....ぃ」
「保健医はなんて言っていた?」
あぁそうだ、トサカ君に頼んでいたっけ?情報を擦り合わせなきゃね。
「そ.....れが、その.....こ....ぃ....が」
「あぁ??」
これ絶対に伝わんないよ。トサカ君って委員長に対してはポンコツ化するんだ.....いつも報告ってどうしてんの?
うーん、最初の面接の時どうだったのか知りたくなってきたな。
「トサカ君、被害者の生徒は大丈夫でしたか?」
「......保健医が言うには''あと少し遅かったら死んでたかもしれない''と」
「それは危ないとこでしたね」
「ああ。それでも後遺症は残ったそうだが....」
「命あれば十分ですよ」
「おい、待て。なんで俺様の問いには答えねぇんだよ」
「ということはまだ話せる状態ではないと?」
「無視か!?」
「は、話せる状態じゃない.....です」
キョドらなくても大丈夫だよトサカ君。委員長なんてしょっちゅう怒ってるから見慣れてるでしょ?大丈夫大丈夫。
「そうですか。トサカ君、風紀の何人かでその生徒の護衛をお願いします。吊るす男は被害者が生きていると知ると証拠隠滅のため必ずまた殺しにくるはずです」
「......それなら根岸を見張ってた方が早いんじゃ?」
「馬鹿が。根岸が犯人なわけねぇだろ。あいつは一年前まで片腕だったんだ。あの体型であの腕じゃあ人一人吊るすのだってできねぇよ」
「さ....っちょ.....す!」
いや、それわかんないからトサカ君。
まぁさしずめ「さすが委員長です!」ってとこかな。その委員長本人はトサカ君の言葉を理解できてないのか、なんとも言えない顔してるけど。
「といっても根岸君の行動は怪しすぎますし、そう思うのもしょうがないでしょう」
因みにおかっぱヘアーの先輩に作ってもらった消灯時間の名簿に根岸君の名はなかった。聞き込み結果はとある生徒を除いて概ね怪しい人が居なかったのだ。
......その生徒についても話を聞きたいから早く根岸君には回復してもらわなきゃ。
「''怪しい''ねぇ……根岸が表裏ある奴だったらどうする?表では虫も殺せねぇなよっちい姿を見せているが、裏では平気で人を殺せる奴だったりとかなぁ?」
委員長の言葉に眉を寄せる。
「根岸君からして表裏はないと思いますよ?裏表といっても結局は本人の人格ですから、根岸君には演じられるとは思いません。あり得るとしたら二重人格の線ですね」
「善の人格の根岸と悪の人格の根岸っていうことか?今まで事件を起こしていたのは悪の根岸??」
「悪の根岸って.....言い方可愛いですねトサカ君。とまぁ冗談はここまでにしときましょう。ね、委員長?」
「冗談なのか!?」
「冗談じゃねぇよ。俺様は可能性の話をしただけだ」
「可能性ですか.........考えときます」
有り得ないということは有り得ないわけだし、頭の片隅に置いておこう。
「......登坂、お前はもう行け。被害者から目を離すなよ?」
「わ、わ...かりまし....たっ」
トサカ君はピシッと足を揃え委員長に敬礼したかと思ったら駆け足で風紀室を出て行った。
.....どこの軍人なのよ。
委員長とトサカ君の関係って傍から見たらどう見えるんだろうか?
もう僕は飼い主とその忠犬にしか見えない。
いや、忠犬ならぬ忠闘鶏だね。
「おい一条」
「なんですか?」
呼ばれた僕はトサカ君が出て行ったドアから委員長に視線を移す。呼んだということは何か用があるんだろう。だけど委員長はなにか悩むようにテーブルに置いてあるコーヒーを見つめ、なかなか次の言葉を口にしない。
「委員長?」
「......お前は他の業務を暫くやらなくていい。吊るす男の捜索に注力しろ」
「それは僕にとってはありがたいことですが、大丈夫なのですか?僕が居ないと早く帰れませんよ」
「やっぱ両方頑張れ」
「委員長のご好意受け取ります。僕は吊るす男の捜査に注力しますね」
「おい聞いてたか?通常業務も――」
「男に二言はないですよね」
「...........チッ」
じゃあ暫くは早く帰れそうだ。僕だけ。
「では僕もこれで.....」
おいとましよう立ち上がりかけた時、ポケットにあるスマホが振動した。
少し逡巡した後、もう一度座り直しスマホを見てみると根岸君から連絡が来ていた。
(なになに.....真澄に一条が俺の口から話を聞きたがってると聞いた。一条なら確かにそう言いそうだなって思ったし、俺も一条に話したいことがある。今日の放課後生徒が逆さ吊りされていた教室で待ってる)
葉谷君に気づかれるほど僕態度に出てたかな?
.....ま、いいや。僕も根岸君と話したいことあったし。
根岸君に了承のメールを送り今度こそ席を立つ。
「では僕は行きますね」
「......あぁ」
そしてトサカ君に続いて風紀室を後にした。
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