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第六章 貴方が狩りゲーで重視するのはなんですか?
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しおりを挟むあああああああぁぁああああ!!
手が痛い!!!!!
双剣を握る度に腕が震える。
もう無理だと、手を離してしまいたいと、放り投げ出したいと
心の内でもう1人の僕がそう叫ぶ。
歯を噛み締め、せめて口から出ないようにはしてるがいつまでそれが持つか分からない。
「~~!早く壊れてください!!!!」
だから早く倒れて。
弱音が口から零れ落ちる前に。
そのためなら僕の身体が壊れようと構わないから
────矛盾してるって?
あは、そうかもね。
弱音が先か身体が壊れるのが先か……
【ガァッッ!!!!】
鎌を受け止めた双剣から嫌な感触が手を伝った。
「スイッチ!!」
「りょーかい!」
すぐさま萩野君と入れ替わり双剣をそこら辺に投げ捨てる。その時、柄に引っ付いていた皮膚が破け血が流れた。口から呻きが漏れる。
見てみると真っ赤に染まったボロボロの手が目に入った。
これじゃあ暫くペンすら握れない。
傷が空気に触れてピリピリと痛む。
「......予備の双剣を」
それでも痛みに耐え双剣を握る。
あと残っているのは2本の短剣のみ。萩野君はどうやら最後の片手剣を使っているようだ。これでもう萩野君が使っている片手剣が使い物にならなくなったら僕が一人で相手することになる。
「おい燈弥。次はオレが行く」
萩野君から視線を逸らさず聞こえた声に首を横に振った。
「サマ臣君の出番がいつ来るかわからないのでダメです。いざその時になったら僕と萩野君では役不足。なんせこの手の有様ですから」
「はっ、見る限りまだまだじゃね?その時っつうのは。それにオレが次でなきゃお前潰れるぞ」
「......武器の扱いはどうなんです?できるのですか?」
「お前の戦い方を見たからイケる」
カタラと同様にこの人も化け物だったね。そういえば。
僕の戦う姿を見たから戦えるとかどんな冗談?って普通の人になら言えるけど、この人の前だと「そっか」って納得で終わる。
「頼みましたよ」
「おう」
短剣2本を持ち萩野君とすぐさまスイッチできる距離にいくサマ臣君の背に頭を下げる。
正直助かった。休憩時間を貰えるのはありがたい。
深呼吸。
――さて、作戦の確認だ。
まず僕と萩野君であの鎧にヒビを入れる(まぁ、もっぱらヒビを入れる役は僕で、萩野君は僕の休憩時間を稼ぐ役になってるけど)。
次にそのヒビを利用しサマ臣君が鎧を壊す。
最後に財前君が弓で核を貫く。
武器は双剣2つに短剣2本、片手剣3本、バックラー、弓。
しかしそれはもう僕が持つこの双剣と、サマ臣君が持つ短剣2本、萩野君が持つ片手剣───
「剣が折れたっ、スイッチ!スイッチィィ!!!」
「おっ前!剣の消耗考えて振るえよ!?」
「今日初めてまともに握ったのにそれは無理でしょ!」
片手剣は使えなくなり、戦えるのは僕とサマ臣君だけになった。
短剣2本とこの双剣で何としてもあの鎧に大きなヒビを入れなければならない。イケるかな?
ギリギリ.....か?
――やるしかない。今更不安に思ったってこれ以上の作戦は無いのだから。
それに、一番の問題はまだ別にある。
それはトドメを任せた財前君だ。
彼に最後をお願いしたまでは良かった。自信満々に任せてくれ!と胸を張っていたし。
ただ、サマ臣君の時間稼ぎが思ったよりも長かったので、各自どれだけ武器を扱えるか試すことにした時、それは発覚した。
財前君に弓を引かせてみたところ、矢は飛ばず地面に落ちたのだ。
飛距離1メートルにも満たない。
言い訳を聞けば、
『サナートの友達に弓引かせてもらった時はちゃんと的の真ん中に当たったんだ!』
とのこと。
つまり実物の弓は初めてということ。
このことに萩野君は大爆笑していたが僕は笑えなかった。
だって、カタラの鎧を砕くために僕・萩野君・サマ臣君は全武器を使って挑むのだ。
トドメをさせる力と武器が残っているか怪しい。
だから財前君を頼りにしていたのに、弓を使えませんじゃ話にならない。
てなわけで、財前君には今弓の練習をしてもらっている。ここにいないのはそのため。
ははっ。今思えば、全く.....とんだ博打じゃないか。僕がこんな『絶対の勝利』を保証できない作戦を行うしかないなんて屈辱だよ。
「ちっ!燈弥!!」
どうやら休憩時間は終わりのようだ。
サマ臣君と打ち合うカタラの心臓部分を見てみれば、パラパラと欠片のようなものが地面に落ちている。
「あと一押しですね。萩野君!!財前君にもうすぐだと伝えてください!」
「ぐえ、りょうかーい!」
屍のように転がっていた萩野君はのそりと立ち上がり、森へと消えていく。
彼には随分と頑張ってもらったなぁ.....。片手剣で2つの鎌を相手するのは熟練者じゃないと難しいと聞く。それを彼はやってのけた。
――今思ったけど、やっぱり一番命を張ったのは萩野君かもしれない。
嗚呼、萩野君がいてくれて本当に良かった。まぁ口には出さないけど。
「スイッチだ燈弥!」
「任せてください!サマ臣君は決定打の準備を!!」
「そんなもんとっくにできてらァ」
それはそれは.....流石だね。
剣を薙ぎながら笑みを浮かべる。
【ギィィェエエエエエ!!】
カタラは自身が追い込まれているとわかっているのか、声高く叫んだ。
「あははは.....気合いでも入れたんですか?そんな叫んで。....ゴホン、貴方に僕の言う言葉が理解できるのかわかりませんが聞きたいことがあります。貴方は狩りゲーで重視するのはなんですか?」
【......】
警戒するようにこちらを見るカタラに内心バカバカしいと呆れる。答えが返って来るはずがないに、一体どうしたんだ僕。
「DPS?相性?属性?命中率?貫通力?」
相手は尚もだんまりだ。
「僕は――連続攻撃数です。そのために双剣を選びましたから。.....さぁこれで最後、僕の全てをぶつけましょう」
これで僕が何をしようとしているのかわかったよね?......あ、言葉が通じてないんだっけ。
喋り損だなぁ僕。
まぁいいや。
フィナーレといこうか。
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