甘い束縛 ~ 薔薇とクレマチス

天埜鳩愛

文字の大きさ
18 / 21

18

しおりを挟む
ぐずぐずと泣きながら薔太は腕の中から懸命に手を伸ばし、紫央の髪に手を差し入れ、ぐいっと顔を近づけた。まだ胸はしゃくりあげたままだ。だが今伝えなければ、愛おしい男を手に入れるためならばなりふりなど構っている場合ではない。

「しぃちゃん、大好き。俺が、なにものでも、しぃちゃんの事好きな気持ちは本当だから。何があっても、傍に居るって、ちゃんと決めたから」
「薔太」
「好き。好きだ。俺を、抱いて。しぃちゃん」

 誘うように中指の先で紫央のはっきりとした形の唇をなぞったら、紫央はぐっと薔太の頭を掻き抱いて唇を重ねてきた。薔太も唇を開いて、たどたどしく舌を絡ませる。じゅっと先を吸われただけで、また身体が熱くなる。もじもじと足を動かしたあと、薔太は大胆に動き始めた。足を崩し、胡坐をかいた紫央の膝の上に向かい合って、足を大きく開いてどかりと座った。そのまま体重をかけて腹筋で寝転ぶのは耐えている紫央に絡みつきながら、自らも激しく紫央の唇を貪った。見よう見まねで紫央の施された口付けを真似ただけの稚拙さだが、能動的に動くさまが紫央には嬉しく感じたのだろう。腹に擦れる紫央の陽物がさらに天を衝くように立ちあがるのを感じて薔太は増々興奮を高めた。

(俺のキスで、しぃちゃん感じてくれてるのかな)

 そんな風に小悪魔めいた考えが頭を過り、自分の中にこんなにも熱い衝動が隠れていたことにも驚いた。
 唇を離すが名残惜しく、紫央の唇についた雫を子猫の様にぺろぺろと舐めとっていたら、息を乱した紫央が愛しさに溢れた声で尋ねてきた。

「……薔太も俺を好いてくれていると、思っていいんだな?」

 紫央がこれほど感情を露わにした声を聞いたのは付き合いの長い薔太にとっても初めての事だった。初めて会った時など、人形のように見えて、この人は息を吸っているのか、ご飯を食べているのかと思うほどだった。
 だから今、薔太のせいで心を乱す紫央をみて、嬉しくて堪らなかった。薔太は両手の平で涙を拭うとぴしゃりと自分の頬を張った。気合いを入れて、告白したいとすうっと息を吸う。紫央は驚いているようだったが構わない。彼の裸の胸は温かく、薔太はこれを失わなければ他に何もいらないと思った。

「しぃちゃん、愛してるよ。しぃちゃんが俺の甥っ子でも……。血が繋がってても構わない。だって俺にとってしぃちゃんはとっくに、この世でたった一人の家族だから。ここが駄目ならどこか別の場所だっていい。しぃちゃんの傍に居られるなら、俺、どこだっていいんだ」
「甥っ子?」
「だから……。俺をしぃちゃんのものにして下さい」
「薔太……」

 潤んだ瞳で男の首に腕を投げかけ、薔太はコケティッシュな仕草で小首を傾げて紫央を誘惑する。紫央は一度息を飲み、魅入られたように無言で誓いの口付けをしてきた。
 薔太はそれを目を瞑って受け、唇が離れると互いに見つめあって少しだけ微笑んだ。それから今度はゆっくりと二人で褥に寝そべった。
 薔太は涙で睫毛の先を濡らしたまま悪戯っぽく指先を紫央のものに這わせた。やはり海の向こうの血が混じっているせいか幹といい張り出たエラといい、立派すぎて薔太は頬を染めてしげしげと見つめてしまった。

「しぃちゃんの、これ。俺の中、入るのかなあ。おっきいね」

 だが目があった熱い吐息を漏らす紫央の視線が艶めかしすぎて、恥ずかしくてたまらなくなる。
 枕元に転がっていた螺鈿の小箱が行灯の光をゆらりと反射する。紫央が再びそれを手に取って中から薔薇の香りが漂う蜜ろうのようなものを指先にたっぷりと塗りこめた。

「多分……、今日は入らないな」
「さっきはしようとしてたのに、入れてくれないの?」

 薔太は再び仰向けに寝転ぶと、蝶が羽を広げるように、薔太は淫らに大きく足を広げて、自らの足を両手で掴んだ。

「ねえ、こうしていたら、入る?」
「っつ! 薔太、お前って子はっ!」

 薔太の媚態に煽られた紫央だが薔太をごろりとうつ伏せに寝かせなおすとぐっと腰を立てさせた。まるで動物の交尾のような姿勢に薔太は艶めかしく「んっ」と吐息を漏らしてから兆した自らを布団にこすり付けた。
 その仕草にすぐに気づいた紫央の大きな掌が再び前を扱き始めた。

「薔太、足を閉じて」

 何をしようとしているのかはいまいち分からないが前を弄られた薔太は再び速いピッチで喘ぎながらも指示に従った。

「あ、あうっつ!」

 突然熱く硬いもので自らのものが擦り上げられた。それが紫央の陽物であることに気付いた時には気が狂わんばかりの快感に布団に顔をこすり付けながら薔太は乱れ、喘ぎ続けた。

「一緒に……、いきたい」

 すでに前から雫を垂らしていた薔太のものは、ぐっと紫央の掌の中に戒められ、すごい勢いで紫央が腰を動かしてきた。

「薔太! 薔太」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

肩甲骨に薔薇の種(アルファポリス版・完結済)

おにぎり1000米
BL
エンジニアの三波朋晴はモデルに間違われることもある美形のオメガだが、学生の頃から誰とも固定した関係を持つことができないでいる。しかしとあるきっかけで年上のベータ、佐枝峡と出会い、好意をもつが… *オメガバース(独自設定あり)ベータ×オメガ 年齢差カプ *『まばゆいほどに深い闇』の脇キャラによるスピンオフなので、キャラクターがかぶります。本編+後日談。他サイト掲載作品の改稿修正版につきアルファポリス版としましたが、内容はあまり変わりません。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 【花言葉】 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです! 【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。 ◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL短編

水無月
BL
兄弟や幼馴染物に偏りがちです。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

処理中です...