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だがキスでまたぼうっとなった薔太は次から次に行われる初めての行為に頭がまるで追いつかない。そうしているまに引き抜かれた帯で両手首を戒められた。
ぎゅっと縛られた痛みが、切ないほどの紫央の激情そのものに感じる。
それが嬉しいと感じてしまう自分も、いよいよ恋に狂っている。
紫央の形よい唇がちりっとしたとした痛みとぬめる熱さを残しながら、胸から臍と薔太の滑らかな肌をたどる。
「あっ、ああ」
太腿を押され開かされた足の間に首をもたげた薔太自身が、熱くぬるぬるとした粘膜に包まれた。初めて与えられた口淫の刺激に、目の前にちかちかち星が散る。
「だ、だめぇ、まって、いやああ」
頭を押し返そうにも手首は戒められ、紫央の髪に指先で触れるのがやっとだ。掴まれていない片足は自由だから、踵を紫央の背に回した。だが愛する紫央を蹴りつけるなんて、薔太にはとても出来ない。
「はあっ、ハアハアっ」
じゅぼ、じゅっという水音にも耳を犯され、それでも言いつけを護って「いく、いっちゃう」と叫びながら、薔太は雁首や括れを幾度か舐められただけでまたもあっけなく果てた。
続けざまの放埓に乱れた吐息が止まらない。薔太は腕をぱたんと身体の上に置き、身体から力が抜けしどけなく布団に横たわった。
涙で滲んで紫央の顔が良く見えない。立て続けにはなった薔太のもので汚れた口元を拭う姿が、ぼんやりとエロティックに映った。
「ちゃんと言えたな。いい子だ」
紫央はいつものようにとろりと甘い声でそう労ってきたが、恥ずかしくて薔太は返事ができない。また頬をぼろぼろと涙が伝う。それを無言の抵抗とでも捉えたのだろうか、肩に浴衣を引っかけただけの姿で紫央は立ちあがる。
布団の横を通る彼の身体を横目で盗み見た。紫央は美しい白い肌を持っているが、逞しい胸筋、割れた腹筋からひ弱なさはみじんも感じない。そして自分のものとはまるで違う色形を持つ長大な腰のものを目にして薔太は艶美な吐息を漏らして唇を舌で湿らせた。
(あれで、貫かれたい)
紫央は窓辺近くに置かれていた古紫色の縮緬の布のかかった鏡台の引き出しに手をかけ、引き出した。中に入っていた香袋のビャクダンの香りが辺りに一面に漂った。
ビャクダンは紫仙を彷彿とさせる。言いようもない切なさで涙をボロボロと零していると、紫央が螺鈿の施されている小さな丸い入れ物を手に戻ってきた。
「薔太、今からお前の事。抱くよ」
「……」
薔太はなんとか身体を起こすと告白には返事も返さないくせにこくんと頷いた。
物語の未亡人が主人公に抱かれてありのまま婀娜っぽい姿を彼に差し出すように、自分も全て余すところなく紫央に捧げたい。男同士のまぐあいの知識はぼんやりとしか知らないが、尻を使えば受け入れられるとだけは恥ずかしながらも知っている。現に今、紫央は入れ物から甘い香りのする何かを絡めた指で、薔太の尻のすぼまりに触れている。
なのに頭の中がぐちゃぐちゃだ。気持ちの整理をどうにかしてつけたい。
(このまま気持ちをきちんと伝えられないまま、無理やり抱かれるの? それでいいの?)
自問自答するが何の答えも結びつかない。身体は気だるく、頭には赤い紗のような靄がかかったままだ。
つぷっと長い紫央の指先が入り口を解してくる。正直身体が震えて力が入り、どうしても受け入れることができない。
「薔太? 辛いのか?」
「ち、ちがう、大丈夫」
知らず嗚咽を漏らすほど、薔太は泣きじゃくっていた。明らかに薔太に対して痛ましさを感じている、普段の紫央の声にほっとして、薔太はまた涙が止まらなくなった。
「大丈夫じゃないだろ」
興がそれてしまったら、男の自分が紫央に抱かれるチャンスなんてきっと巡ってこない。秘書の女性や紫央の母が高笑いする姿が頭に浮かんだ。だが、どうしても涙が止まらない。
「うっ……。ううっ」
布団の上に入れ物を取り落としながら、紫央は薔太の背に手を入れ抱き起こし手の戒めをほどいてくれた。目尻の涙を唇で拭ってくれる紫央の胸に縋りついて、薔太は泣きながら訴えた。
「しぃちゃんの、バカ。おっ、俺。さいしょ、待ってって、いった」
最初にまず気持ちを伝えたかったのに、紫央はそれを待ってはくれなかった。
自分は何者でどうすべきかが最善で、色々考えないといけないというのに、今も気持ちがぐちゃぐちゃで、頭の中はまとまらないままだ。その間も紫央が慰めるように薔太の顔中に口づけをしてくれる。
「薔太、すまない……。お前の気持ちを無視した。でも俺はお前を手放すことなんて、どうしてもできない。お前に触れたくて堪らない。昼間お前に別の男が触れているのを見て、手を振り払って殴りたい衝動にかられた。だが今殴りたいのは、俺自身だ」
ぎゅっと縛られた痛みが、切ないほどの紫央の激情そのものに感じる。
それが嬉しいと感じてしまう自分も、いよいよ恋に狂っている。
紫央の形よい唇がちりっとしたとした痛みとぬめる熱さを残しながら、胸から臍と薔太の滑らかな肌をたどる。
「あっ、ああ」
太腿を押され開かされた足の間に首をもたげた薔太自身が、熱くぬるぬるとした粘膜に包まれた。初めて与えられた口淫の刺激に、目の前にちかちかち星が散る。
「だ、だめぇ、まって、いやああ」
頭を押し返そうにも手首は戒められ、紫央の髪に指先で触れるのがやっとだ。掴まれていない片足は自由だから、踵を紫央の背に回した。だが愛する紫央を蹴りつけるなんて、薔太にはとても出来ない。
「はあっ、ハアハアっ」
じゅぼ、じゅっという水音にも耳を犯され、それでも言いつけを護って「いく、いっちゃう」と叫びながら、薔太は雁首や括れを幾度か舐められただけでまたもあっけなく果てた。
続けざまの放埓に乱れた吐息が止まらない。薔太は腕をぱたんと身体の上に置き、身体から力が抜けしどけなく布団に横たわった。
涙で滲んで紫央の顔が良く見えない。立て続けにはなった薔太のもので汚れた口元を拭う姿が、ぼんやりとエロティックに映った。
「ちゃんと言えたな。いい子だ」
紫央はいつものようにとろりと甘い声でそう労ってきたが、恥ずかしくて薔太は返事ができない。また頬をぼろぼろと涙が伝う。それを無言の抵抗とでも捉えたのだろうか、肩に浴衣を引っかけただけの姿で紫央は立ちあがる。
布団の横を通る彼の身体を横目で盗み見た。紫央は美しい白い肌を持っているが、逞しい胸筋、割れた腹筋からひ弱なさはみじんも感じない。そして自分のものとはまるで違う色形を持つ長大な腰のものを目にして薔太は艶美な吐息を漏らして唇を舌で湿らせた。
(あれで、貫かれたい)
紫央は窓辺近くに置かれていた古紫色の縮緬の布のかかった鏡台の引き出しに手をかけ、引き出した。中に入っていた香袋のビャクダンの香りが辺りに一面に漂った。
ビャクダンは紫仙を彷彿とさせる。言いようもない切なさで涙をボロボロと零していると、紫央が螺鈿の施されている小さな丸い入れ物を手に戻ってきた。
「薔太、今からお前の事。抱くよ」
「……」
薔太はなんとか身体を起こすと告白には返事も返さないくせにこくんと頷いた。
物語の未亡人が主人公に抱かれてありのまま婀娜っぽい姿を彼に差し出すように、自分も全て余すところなく紫央に捧げたい。男同士のまぐあいの知識はぼんやりとしか知らないが、尻を使えば受け入れられるとだけは恥ずかしながらも知っている。現に今、紫央は入れ物から甘い香りのする何かを絡めた指で、薔太の尻のすぼまりに触れている。
なのに頭の中がぐちゃぐちゃだ。気持ちの整理をどうにかしてつけたい。
(このまま気持ちをきちんと伝えられないまま、無理やり抱かれるの? それでいいの?)
自問自答するが何の答えも結びつかない。身体は気だるく、頭には赤い紗のような靄がかかったままだ。
つぷっと長い紫央の指先が入り口を解してくる。正直身体が震えて力が入り、どうしても受け入れることができない。
「薔太? 辛いのか?」
「ち、ちがう、大丈夫」
知らず嗚咽を漏らすほど、薔太は泣きじゃくっていた。明らかに薔太に対して痛ましさを感じている、普段の紫央の声にほっとして、薔太はまた涙が止まらなくなった。
「大丈夫じゃないだろ」
興がそれてしまったら、男の自分が紫央に抱かれるチャンスなんてきっと巡ってこない。秘書の女性や紫央の母が高笑いする姿が頭に浮かんだ。だが、どうしても涙が止まらない。
「うっ……。ううっ」
布団の上に入れ物を取り落としながら、紫央は薔太の背に手を入れ抱き起こし手の戒めをほどいてくれた。目尻の涙を唇で拭ってくれる紫央の胸に縋りついて、薔太は泣きながら訴えた。
「しぃちゃんの、バカ。おっ、俺。さいしょ、待ってって、いった」
最初にまず気持ちを伝えたかったのに、紫央はそれを待ってはくれなかった。
自分は何者でどうすべきかが最善で、色々考えないといけないというのに、今も気持ちがぐちゃぐちゃで、頭の中はまとまらないままだ。その間も紫央が慰めるように薔太の顔中に口づけをしてくれる。
「薔太、すまない……。お前の気持ちを無視した。でも俺はお前を手放すことなんて、どうしてもできない。お前に触れたくて堪らない。昼間お前に別の男が触れているのを見て、手を振り払って殴りたい衝動にかられた。だが今殴りたいのは、俺自身だ」
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