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「やあああ。しぃちゃんのバカ」
腹を濡らし、飛沫がすべて出し切るまで、腰がかくかくと動き続ける。
「ああっ……」
その間もそして濡れた唇のまま、顔を上げると薔太が震えながら気をやる様をまじまじと眺めていた紫央が満足げに微笑んでいた。
「いったのか。あっけないな」
「ううっ……」
浴衣の身ごろを力なく引いて身体を隠そうとしたが、だらしなく開いた足を閉じられないように彼にしては乱暴な仕草で開かされた。薔太のうっすらと腹筋の跡がつく薄い腹はまだ息を乱れさせたまま上下を繰り返し、だらりと力なく垂れた竿からの雫がとろとろとそこに垂れている。
「こんな格好で罵られてもなあ。バカって言いながらいかれたのは初めてだ」
薔太はあどけなさの残る上気した頬ととろんと潤む瞳とで、いつにない程色っぽく色悪とでもいうべき美貌を際立たせた男をじっと見あげる。
仄かな灯りの中、紫央の表情の全てがありありと見えたわけではない。だが雨戸を閉め、行灯の灯りだけに照らされた部屋の中は静かで降り始めた雨音と互いの息遣いだけが聞こえている。二人きりのこの場所では紫央をいつもの兄代わりの優しい男から、一人の凄艶な魅力を持つ大人の雄へと意識させるに十分だった。
腹を撫ぜられ指先で絡めとられた薔太が放ったものを、紫央が蜂蜜の様に舐めとっている。その仕草があまりに刺激的で、放ったばかりだというのに腹の奥が重たく、ずくんと疼き、また兆してしまいそうになる。
自分の身体が何より正直で、どうしていいか余計に分からなくなった。
「ごめんなさい、もう、許して……」
もはや帯だけ残った浴衣の前を完全にはだけられ、薔太は泣きを入れた。
「謝らなくてもいい。素直に感じてくれればいい。でも次は行く前に『いく』って言いなさい」
薔太はいつものように素直に、こくんと頷いた。
「はい」
「よろしい」
満足げに微笑んだ紫央の唇が、いつものように優しく額に口づけを落としてくる。胸がきゅんっと切なくなった。
(次なんて、あるのだろうか。こんなことをしてしまって良いのだろうか)
「薔太はいつだって可愛い。いい子だよ」
渦巻く葛藤を胸に秘めたままでも、紫央が優しいと嬉しくてたまらない。
「いい子……」
「薔太。初めて会った時からずっと、俺はお前だけを愛してる。これからも俺の傍に居てくれると、今度こそ約束してくれるか?」
「……」
指きりの形に小指を差し出された。古風なまじないも、今宵ならば何か大きな力を持ってしまいそうだ。
大好きな紫央から望まれている。応えてもいいのだろうか。迷う薔太は脱力した身体でゆっくりと腕を上げると指には絡めず、紫央の頬を撫ぜた。
紫央は寂しげにその手を取って自らの頬に押し付けた。そして愛おし気に目を伏せる。
「薔太……」
一連の仕草も目を奪われるほどに美男だ。西洋の血が濃い端正な造作だが、やはり所作は優雅な紫仙にも似ている。子供の頃に初めて会った時から、今までずっと、薔太は紫央のその姿形や声に見惚れ続けてきた。
(好き、しぃちゃん、大好き。……でも、ずっと傍に居るって約束して、いいのだろうか)
「それが答えなのか」
返事に迷う薔太に紫央は端正な顔立ちの頬を僅かに赤く染め、嘆息した。そしていつもの冷静さを失ったような顔つきになり綺麗な眉を吊り上げる。
「大学で見識を広めるのは良かったが……。色々な外野の声に惑わされる必要はない」
「しぃちゃん……」
「ただ、俺にこんな風にされるのは、嫌だった?」
掌に縋るように口づけをされた。薔太は首を振る。
「……嫌じゃ、ないよ」
「じゃあ、なんで俺から離れるなんて言うんだ? このままお前の全てを奪ったら……。諦めて俺の傍に居てくれるのか?」
「しぃ……」
途端、さらに足を大きく開かされ、持ち上げられた内腿に吸い付かれた。繰り返される口づけの痕に次々に赤い花が咲く。
怖れなのか興奮なのか、薔太の身体はまた震えていた。
「俺が怖いか?」
「……うん」
怖いに決まっている。好きな人に沢山触れて貰えて嬉しくて、気持ち良すぎて、怖い。
だから頷くと、また先ほどの怖い紫央に戻ってしまった。いつだって優しかった紫央がまるで知らない男のようだ。
「薔太。愛してる、愛してるんだ。俺は、お前しかいらない。お前が手に入るなら、この場所も家も、仕事も、全て捨ててもいい」
「しぃちゃん……」
「紫仙は捨てきれなかった。だから手に入れることは出来なかった。俺は、出来る」
「え……」
色々な問いが頭に浮かんだが、また唇を吸われつつ、頭の上に両手をまとめ上げられた。
「このままここに、薔太を閉じ込めておきたい。誰の目にも触れさせたくない。俺だけの薔太……」
(しぃちゃん……、答えないと。しぃちゃんのことが好きって、俺も……)
腹を濡らし、飛沫がすべて出し切るまで、腰がかくかくと動き続ける。
「ああっ……」
その間もそして濡れた唇のまま、顔を上げると薔太が震えながら気をやる様をまじまじと眺めていた紫央が満足げに微笑んでいた。
「いったのか。あっけないな」
「ううっ……」
浴衣の身ごろを力なく引いて身体を隠そうとしたが、だらしなく開いた足を閉じられないように彼にしては乱暴な仕草で開かされた。薔太のうっすらと腹筋の跡がつく薄い腹はまだ息を乱れさせたまま上下を繰り返し、だらりと力なく垂れた竿からの雫がとろとろとそこに垂れている。
「こんな格好で罵られてもなあ。バカって言いながらいかれたのは初めてだ」
薔太はあどけなさの残る上気した頬ととろんと潤む瞳とで、いつにない程色っぽく色悪とでもいうべき美貌を際立たせた男をじっと見あげる。
仄かな灯りの中、紫央の表情の全てがありありと見えたわけではない。だが雨戸を閉め、行灯の灯りだけに照らされた部屋の中は静かで降り始めた雨音と互いの息遣いだけが聞こえている。二人きりのこの場所では紫央をいつもの兄代わりの優しい男から、一人の凄艶な魅力を持つ大人の雄へと意識させるに十分だった。
腹を撫ぜられ指先で絡めとられた薔太が放ったものを、紫央が蜂蜜の様に舐めとっている。その仕草があまりに刺激的で、放ったばかりだというのに腹の奥が重たく、ずくんと疼き、また兆してしまいそうになる。
自分の身体が何より正直で、どうしていいか余計に分からなくなった。
「ごめんなさい、もう、許して……」
もはや帯だけ残った浴衣の前を完全にはだけられ、薔太は泣きを入れた。
「謝らなくてもいい。素直に感じてくれればいい。でも次は行く前に『いく』って言いなさい」
薔太はいつものように素直に、こくんと頷いた。
「はい」
「よろしい」
満足げに微笑んだ紫央の唇が、いつものように優しく額に口づけを落としてくる。胸がきゅんっと切なくなった。
(次なんて、あるのだろうか。こんなことをしてしまって良いのだろうか)
「薔太はいつだって可愛い。いい子だよ」
渦巻く葛藤を胸に秘めたままでも、紫央が優しいと嬉しくてたまらない。
「いい子……」
「薔太。初めて会った時からずっと、俺はお前だけを愛してる。これからも俺の傍に居てくれると、今度こそ約束してくれるか?」
「……」
指きりの形に小指を差し出された。古風なまじないも、今宵ならば何か大きな力を持ってしまいそうだ。
大好きな紫央から望まれている。応えてもいいのだろうか。迷う薔太は脱力した身体でゆっくりと腕を上げると指には絡めず、紫央の頬を撫ぜた。
紫央は寂しげにその手を取って自らの頬に押し付けた。そして愛おし気に目を伏せる。
「薔太……」
一連の仕草も目を奪われるほどに美男だ。西洋の血が濃い端正な造作だが、やはり所作は優雅な紫仙にも似ている。子供の頃に初めて会った時から、今までずっと、薔太は紫央のその姿形や声に見惚れ続けてきた。
(好き、しぃちゃん、大好き。……でも、ずっと傍に居るって約束して、いいのだろうか)
「それが答えなのか」
返事に迷う薔太に紫央は端正な顔立ちの頬を僅かに赤く染め、嘆息した。そしていつもの冷静さを失ったような顔つきになり綺麗な眉を吊り上げる。
「大学で見識を広めるのは良かったが……。色々な外野の声に惑わされる必要はない」
「しぃちゃん……」
「ただ、俺にこんな風にされるのは、嫌だった?」
掌に縋るように口づけをされた。薔太は首を振る。
「……嫌じゃ、ないよ」
「じゃあ、なんで俺から離れるなんて言うんだ? このままお前の全てを奪ったら……。諦めて俺の傍に居てくれるのか?」
「しぃ……」
途端、さらに足を大きく開かされ、持ち上げられた内腿に吸い付かれた。繰り返される口づけの痕に次々に赤い花が咲く。
怖れなのか興奮なのか、薔太の身体はまた震えていた。
「俺が怖いか?」
「……うん」
怖いに決まっている。好きな人に沢山触れて貰えて嬉しくて、気持ち良すぎて、怖い。
だから頷くと、また先ほどの怖い紫央に戻ってしまった。いつだって優しかった紫央がまるで知らない男のようだ。
「薔太。愛してる、愛してるんだ。俺は、お前しかいらない。お前が手に入るなら、この場所も家も、仕事も、全て捨ててもいい」
「しぃちゃん……」
「紫仙は捨てきれなかった。だから手に入れることは出来なかった。俺は、出来る」
「え……」
色々な問いが頭に浮かんだが、また唇を吸われつつ、頭の上に両手をまとめ上げられた。
「このままここに、薔太を閉じ込めておきたい。誰の目にも触れさせたくない。俺だけの薔太……」
(しぃちゃん……、答えないと。しぃちゃんのことが好きって、俺も……)
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