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ミモザの恋が実る時
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「なんだよ、バカにしてんの?」
高校の愉快であほっぽくてガサツで騒がしい連中とバカ騒ぎするのも嫌いじゃないけど、こんな発言は絶対に瑞貴の前でしか出来ない。多分瑞貴専用の自分だって思える。だからやっぱり、瑞貴と他の人は全然違うんだ。
「また八広が意味わからないことをいいだしたなあって思って。でもそれってきっといい意味で言ってるんだよね?」
「そうだよ。俺はポジティブなことしか口にしねぇの。ほら高っかい山のてっぺんってきっと空気が良くて澄み渡ってて、遠くも見えるけど足元の緑も綺麗で、青空でいい天気で……」
言っているうちに本格的に意味が分からなくなってきたのに、よしよしみたいな感じに瑞貴に頭を撫ぜられたから、自分でもう一回前髪を直してから、へへっと俺も出たとこそのまんまの笑顔を返せる。
「じゃあ、俺にとっては八広は青空かな。それとも宇宙かな」
「え、なんで?」
「これ以上、上はないってこと」
綺麗な目に俺だけが映ってにっこりされる。こういう笑顔を上品っていうんだろうな。瑞貴のお母さんもすごく綺麗な人で、うちの豪快ガサツな母さんみたいな、がははって笑い方じゃなくてこんな風にふわっと笑う。この笑顔見るだけでもなんか、すごく癒されるっていうか。だからやっぱ月に二回、二人で会うのは譲れない。って思ってたんだけど……。
「瑞貴あのさ、俺。日曜日、今までみたいに会えなくなるかもしれない。バ先の先輩に頼まれて、シフト変わることになるかも」
「え……。八広、その先輩と親しいの?」
「まあ、親しいかな」
「……ふうん。頼まれたら断れない程、親しいんだ」
珍しく穏やかでない声色で、こいつが俺といて機嫌が悪くなることは珍しいから流石に焦ってしまう。
「いや、っていうか、先輩、彼女さんが束縛強いみたいで今まで土日どっちもシフトはいってたのに、土日どっちも休んでって言われることもあるみたいなんだ。それでさ、マネージャーにも、日曜入れる人が減ってきたから入ってって言われて……」
「ふーん」
「俺だって、第一第三日曜日は予定あります、友達と会うっていったらさ。ならこっち優先できるっしょって、友達だったら彼女いる人優先してみたいなトーンで言われた」
自分でも納得していないことなのに瑞貴に弁明することになったのがなんだか悲しかった。しょぼっと下を向いていたら、テーブルの上に置いていた手をぎゅっと握られるのが視界に入った。指が長くて節がしっかりしてて、あったかくて、俺よりずっと大きな手。ぎゅっとされる。あの日腕を掴んでこられた時みたいに。びっくりして顔を上げた。
「……友達じゃないなら?」
「?」
「友達じゃないなら、いいの?」
そういって俺の顔を覗き込んできた瑞貴の目が、すごく真剣でなんというか熱っぽいっていうんだろうか。それをみたら頬がかあって熱くなってしまった。見慣れた幼馴染のしゅっとした顔が、なんだか別人みたいに見えたんだ。
手を、どうしたらいいのか分からない。ぴくっと動かしかけたけど、瑞貴は微動だにしない。むしろもっと強く握りこまれてしまった。
あああ、なんだこれ。どうしよ。周りの人が見てるかも。なんて思われる?
はわわわわっと頭の中で焦っていたら、ぐる、ぐるるるるると急にお腹が鳴ってしまった。
「あああっ」
とんでもないタイミングに、恥ずかしくて顔がどんどん真っ赤になる。瑞貴も目を真ん丸にして、そのあと真剣な顔を崩してふき出した。
「あははっ。お腹すいてたよな。やっぱ先にラーメン食べに行こう」
手はぱっと、何事もなかったように離された。
俺はぎゅっと掴まれた心臓もぽてっと落とされたような気持になった。なにこれ、ちょい寂しい?のか。でもでもでもっ。ど、どうしてくれよう、この動揺を。まだどっどっどっどって心臓はまだ鼓動が早いまんまだ。トレイをもってさっさと片づけに行く幼馴染の背中を見送りながら、俺は冷たいカップを持ち上げ続けて冷えた手を熱い頬に当て、どうにか冷まそうと頑張った。
高校の愉快であほっぽくてガサツで騒がしい連中とバカ騒ぎするのも嫌いじゃないけど、こんな発言は絶対に瑞貴の前でしか出来ない。多分瑞貴専用の自分だって思える。だからやっぱり、瑞貴と他の人は全然違うんだ。
「また八広が意味わからないことをいいだしたなあって思って。でもそれってきっといい意味で言ってるんだよね?」
「そうだよ。俺はポジティブなことしか口にしねぇの。ほら高っかい山のてっぺんってきっと空気が良くて澄み渡ってて、遠くも見えるけど足元の緑も綺麗で、青空でいい天気で……」
言っているうちに本格的に意味が分からなくなってきたのに、よしよしみたいな感じに瑞貴に頭を撫ぜられたから、自分でもう一回前髪を直してから、へへっと俺も出たとこそのまんまの笑顔を返せる。
「じゃあ、俺にとっては八広は青空かな。それとも宇宙かな」
「え、なんで?」
「これ以上、上はないってこと」
綺麗な目に俺だけが映ってにっこりされる。こういう笑顔を上品っていうんだろうな。瑞貴のお母さんもすごく綺麗な人で、うちの豪快ガサツな母さんみたいな、がははって笑い方じゃなくてこんな風にふわっと笑う。この笑顔見るだけでもなんか、すごく癒されるっていうか。だからやっぱ月に二回、二人で会うのは譲れない。って思ってたんだけど……。
「瑞貴あのさ、俺。日曜日、今までみたいに会えなくなるかもしれない。バ先の先輩に頼まれて、シフト変わることになるかも」
「え……。八広、その先輩と親しいの?」
「まあ、親しいかな」
「……ふうん。頼まれたら断れない程、親しいんだ」
珍しく穏やかでない声色で、こいつが俺といて機嫌が悪くなることは珍しいから流石に焦ってしまう。
「いや、っていうか、先輩、彼女さんが束縛強いみたいで今まで土日どっちもシフトはいってたのに、土日どっちも休んでって言われることもあるみたいなんだ。それでさ、マネージャーにも、日曜入れる人が減ってきたから入ってって言われて……」
「ふーん」
「俺だって、第一第三日曜日は予定あります、友達と会うっていったらさ。ならこっち優先できるっしょって、友達だったら彼女いる人優先してみたいなトーンで言われた」
自分でも納得していないことなのに瑞貴に弁明することになったのがなんだか悲しかった。しょぼっと下を向いていたら、テーブルの上に置いていた手をぎゅっと握られるのが視界に入った。指が長くて節がしっかりしてて、あったかくて、俺よりずっと大きな手。ぎゅっとされる。あの日腕を掴んでこられた時みたいに。びっくりして顔を上げた。
「……友達じゃないなら?」
「?」
「友達じゃないなら、いいの?」
そういって俺の顔を覗き込んできた瑞貴の目が、すごく真剣でなんというか熱っぽいっていうんだろうか。それをみたら頬がかあって熱くなってしまった。見慣れた幼馴染のしゅっとした顔が、なんだか別人みたいに見えたんだ。
手を、どうしたらいいのか分からない。ぴくっと動かしかけたけど、瑞貴は微動だにしない。むしろもっと強く握りこまれてしまった。
あああ、なんだこれ。どうしよ。周りの人が見てるかも。なんて思われる?
はわわわわっと頭の中で焦っていたら、ぐる、ぐるるるるると急にお腹が鳴ってしまった。
「あああっ」
とんでもないタイミングに、恥ずかしくて顔がどんどん真っ赤になる。瑞貴も目を真ん丸にして、そのあと真剣な顔を崩してふき出した。
「あははっ。お腹すいてたよな。やっぱ先にラーメン食べに行こう」
手はぱっと、何事もなかったように離された。
俺はぎゅっと掴まれた心臓もぽてっと落とされたような気持になった。なにこれ、ちょい寂しい?のか。でもでもでもっ。ど、どうしてくれよう、この動揺を。まだどっどっどっどって心臓はまだ鼓動が早いまんまだ。トレイをもってさっさと片づけに行く幼馴染の背中を見送りながら、俺は冷たいカップを持ち上げ続けて冷えた手を熱い頬に当て、どうにか冷まそうと頑張った。
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