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ミモザの恋が実る時
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「そんなの、瑞貴が悪いわけじゃないじゃん。中々通話切れなかったの、俺もだし」
「……じゃあ、平日ももっと通話していい?」
「いいに決まってるじゃん。俺も話したくなったら連絡するし」
「よかった。じゃあ、イチゴと抹茶、どっちにする?」
俺と連絡とるぐらいでこんなに嬉しそうな顔するなんて、ほんと可愛い奴だなって思う。
「待たせたの俺なのにごめんな。うーん。悩むなあ。イチゴにしようかな。瑞貴はどれにする?」
「じゃあ、俺は抹茶のにするから、沢山味見していいよ」
「やったあ」
瑞貴の前だとなんも取り繕わなくて済むから嬉しい。先回りして欲しいものを察してくれるからかもしれない。
大事にしてくれるから、俺も瑞貴との時間を大事にしたいって余計に思える。動画ばかり見ている俺と違って、本をよく読んでいる瑞貴はすごく博識で、話をするのがすごく楽しい。
学校の友達とはできないような深い会話もする。人は死んだらどうなんだろうとか、無人島に一冊本を持っていくなら何がいいかとか、戦国時代にタイムスリップしたらお前ならどう生きるとか、将来どんな生き方をしてみたい? とか。荒唐無稽な話からちょっとしたライフハックの相談も何でも気軽に話せる。こんな事話したらどう思われるかな? なんて気にしないで済む。
それとまあ、とにかく、これは確実に、見慣れててもやっぱこいつカッコいいなって度々見惚れるぐらいにイケメンだ。傍に居るだけでこいつと友達ですって隣歩くの、なんか誇らしくて嬉しい気分になれる。いや。小さい頃は俺より背も低くて華奢だったし、今みたいな分かりやすくイケメンって感じじゃなかったけど。そんな頃から一緒にいて楽しかったから、断じて顔や見た目だけで仲良くしているわけじゃないぞ。
もちろん話をしてなくて街を普通に二人で歩いているだけで、なんかわくわくする。
この間は瑞貴の希望で東京の路地裏歩きしてみよう、って言いながら何キロも見知らぬ街をうろうろと歩いた。普通の民家の隙間に稲荷神社があってびっくりしたり、腹をすかせたまま休日のオフィス街に迷い込んで、折角発見した喫茶店は未成年はダメって断られた。腹ペコで寒くて閉口したけど、こんなん高校の友達とだったら険悪な感じになったかもだけど、瑞貴が『断られちゃったね。電車で別の駅に出る?』ってふんわり笑ってくれたから『それもいいな。じゃあ気になった駅で降りて最初に見つけた店でなんか食おう』なんて行き当たりばったりのチャレンジもできる。
彼女とのデートでこんな真似は絶対できないだろう。疲れた、意味わかんない、無駄、つまらないなんて思われたら最悪だし、どこで何食べて何して遊んでってきっちり決めておかないと駄目だろうな。
だけど瑞貴となら行き当たりばったりのそんな小さな冒険も楽しめるし、なんでだろ。馬が合うからふと街中でも気になるものとか目を惹かれるものが似ていて、気になったところに飛び込んでいけるタイミングが似ているんだ。
そういうのは瑞貴としか味わえない、ちょっとした奇跡。癖になるやつ。
席について向かい合う。喉も乾いていたからすぐに口元にストローを運ぶ。ちょっとドロッとした甘いイチゴのシェークとクリームが口いっぱいに広がった。
舌に重たい甘みも、少しだけ疲労を感じていた身体に染み入る。美味しくてにやけてしまったせいか、瑞貴も蕩けるような眼差しで「美味しい?」と聞いてきた。俺は満面の笑みを浮かべて大きく頷いた。
「すげぇ、うまい」
「こっちものむ?」
瑞貴が差しだしてくれたドリンクの黒いストローに吸い付くと、こちらは抹茶の爽やかな苦みが心地よい。飲み終わって幸せだあって目を細めたら、瑞貴が俺の口の端を指先で拭ってくれた。びっくりして見つめ返したら涼しげな顔で指先を舐めとっている。どきっとする仕草に目を奪われたら、「なに?」と微笑まれた。
「うーっ。お前なあ」
また、にこにこ。嬉しそう。とんでもないイケメンだな。うん。
こいつはたまにこういうことしてくるから心臓に悪い。何この思わせぶりな悪い男ムーブ。幼馴染にやること? 心臓ばくばくってなるじゃん。
だけど一緒にいるとやっぱりしっくり落ち着きもするから、瑞貴は俺にとって本当に不思議な存在だ。一緒にいると空気みたいに自然だ。ただそこに居てくれるだけで心地がいい。美味しい空気?ってやつ。吸っていて楽、深呼吸できる。心地よくて気持ちが晴れやかになる。そうなんか、瑞貴といると、天気のいい山の上にいる時みたいなそんな気分になるんだ。
「どうしたの、人の顔じっとみて」
「いや、お前って山頂の景色って感じ」
こんな口からぽろっと零れ落ちた、自分でもわけわからない発言も、瑞貴は慣れっこなのかクスッと笑うにとどめる。
「……じゃあ、平日ももっと通話していい?」
「いいに決まってるじゃん。俺も話したくなったら連絡するし」
「よかった。じゃあ、イチゴと抹茶、どっちにする?」
俺と連絡とるぐらいでこんなに嬉しそうな顔するなんて、ほんと可愛い奴だなって思う。
「待たせたの俺なのにごめんな。うーん。悩むなあ。イチゴにしようかな。瑞貴はどれにする?」
「じゃあ、俺は抹茶のにするから、沢山味見していいよ」
「やったあ」
瑞貴の前だとなんも取り繕わなくて済むから嬉しい。先回りして欲しいものを察してくれるからかもしれない。
大事にしてくれるから、俺も瑞貴との時間を大事にしたいって余計に思える。動画ばかり見ている俺と違って、本をよく読んでいる瑞貴はすごく博識で、話をするのがすごく楽しい。
学校の友達とはできないような深い会話もする。人は死んだらどうなんだろうとか、無人島に一冊本を持っていくなら何がいいかとか、戦国時代にタイムスリップしたらお前ならどう生きるとか、将来どんな生き方をしてみたい? とか。荒唐無稽な話からちょっとしたライフハックの相談も何でも気軽に話せる。こんな事話したらどう思われるかな? なんて気にしないで済む。
それとまあ、とにかく、これは確実に、見慣れててもやっぱこいつカッコいいなって度々見惚れるぐらいにイケメンだ。傍に居るだけでこいつと友達ですって隣歩くの、なんか誇らしくて嬉しい気分になれる。いや。小さい頃は俺より背も低くて華奢だったし、今みたいな分かりやすくイケメンって感じじゃなかったけど。そんな頃から一緒にいて楽しかったから、断じて顔や見た目だけで仲良くしているわけじゃないぞ。
もちろん話をしてなくて街を普通に二人で歩いているだけで、なんかわくわくする。
この間は瑞貴の希望で東京の路地裏歩きしてみよう、って言いながら何キロも見知らぬ街をうろうろと歩いた。普通の民家の隙間に稲荷神社があってびっくりしたり、腹をすかせたまま休日のオフィス街に迷い込んで、折角発見した喫茶店は未成年はダメって断られた。腹ペコで寒くて閉口したけど、こんなん高校の友達とだったら険悪な感じになったかもだけど、瑞貴が『断られちゃったね。電車で別の駅に出る?』ってふんわり笑ってくれたから『それもいいな。じゃあ気になった駅で降りて最初に見つけた店でなんか食おう』なんて行き当たりばったりのチャレンジもできる。
彼女とのデートでこんな真似は絶対できないだろう。疲れた、意味わかんない、無駄、つまらないなんて思われたら最悪だし、どこで何食べて何して遊んでってきっちり決めておかないと駄目だろうな。
だけど瑞貴となら行き当たりばったりのそんな小さな冒険も楽しめるし、なんでだろ。馬が合うからふと街中でも気になるものとか目を惹かれるものが似ていて、気になったところに飛び込んでいけるタイミングが似ているんだ。
そういうのは瑞貴としか味わえない、ちょっとした奇跡。癖になるやつ。
席について向かい合う。喉も乾いていたからすぐに口元にストローを運ぶ。ちょっとドロッとした甘いイチゴのシェークとクリームが口いっぱいに広がった。
舌に重たい甘みも、少しだけ疲労を感じていた身体に染み入る。美味しくてにやけてしまったせいか、瑞貴も蕩けるような眼差しで「美味しい?」と聞いてきた。俺は満面の笑みを浮かべて大きく頷いた。
「すげぇ、うまい」
「こっちものむ?」
瑞貴が差しだしてくれたドリンクの黒いストローに吸い付くと、こちらは抹茶の爽やかな苦みが心地よい。飲み終わって幸せだあって目を細めたら、瑞貴が俺の口の端を指先で拭ってくれた。びっくりして見つめ返したら涼しげな顔で指先を舐めとっている。どきっとする仕草に目を奪われたら、「なに?」と微笑まれた。
「うーっ。お前なあ」
また、にこにこ。嬉しそう。とんでもないイケメンだな。うん。
こいつはたまにこういうことしてくるから心臓に悪い。何この思わせぶりな悪い男ムーブ。幼馴染にやること? 心臓ばくばくってなるじゃん。
だけど一緒にいるとやっぱりしっくり落ち着きもするから、瑞貴は俺にとって本当に不思議な存在だ。一緒にいると空気みたいに自然だ。ただそこに居てくれるだけで心地がいい。美味しい空気?ってやつ。吸っていて楽、深呼吸できる。心地よくて気持ちが晴れやかになる。そうなんか、瑞貴といると、天気のいい山の上にいる時みたいなそんな気分になるんだ。
「どうしたの、人の顔じっとみて」
「いや、お前って山頂の景色って感じ」
こんな口からぽろっと零れ落ちた、自分でもわけわからない発言も、瑞貴は慣れっこなのかクスッと笑うにとどめる。
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