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番外編 ヒート休暇のお店番 11
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旧領主の館は街の小高い丘の上に立つ。夜会の客が表門から移動する間にメテオは裏口から勢いよく飛び出すと一直線に街まで駆け下りる。
一度街の中心部まで降り、そこから再び商店街のある坂道を目指さねばならないのだ。
人が少ない場所はできるだけ走り、人混みのを避けるように地元の人間が成通した裏道を抜ける。
商店街もう閉店準備に取り掛かっていたため、人出の減った坂道を登って丘の上を目指す。途中香水店の前も通ったが、ランは鍵を持って出ていないのだ。
花火を開始する数分前。合図の花火が遥か上空でバンっと景気の良い音を一度だけ立てた。
メテオはジャケットを肩に担ぎ上げながら息を弾ませて階段を駆け上がる。体力がない方ではないが下ろしたての硬い革靴で何分も走り回り、足が痛むが構わない。
丘の上の公園についたとき、そこは商店街の面々を含んだ地元の人々でごった返していた。
何人かはメテオの姿を見かけると陽気に挨拶をしてきたが、メテオは会釈しつつもランとリアムの姿を探してそう広くない公園を足早に歩き回る。
するとひときわ大きな人影が斜め前を横切った。それは友人達と連れ立ったリアムだったのだが、ランの姿は傍らに見当たらない。
嫌な予感にメテオは理由を尋ねるまでもなく、リアムに詰め寄り胸ぐらを掴みあげた。
「おい! ランはどこだ! 農園に送っていったのか?!」
ただでさえ月が眉のように細くて暗いところにつけ、死角から急に現れたメテオに掴みかかられたリアムは、バランスを崩して友人に背中から強くぶつかった。
「なにすんだよ」
「ランはどこだと聞いている!」
何だ喧嘩か? と周囲にわらわらと人垣ができる。
リアムは美しい装いを着崩したメテオに、憤りを抑えず怒鳴り返した。
「知らねぇよ。ランが勝手にどっかにいったんだ!」
瞬間、メテオがリアムの顔面を容赦なく殴りつけ、取っ組み合いの喧嘩が始まった。
友人たちはどちらにも加勢することはない。
身体の大きな2匹の狼のような彼らの喧嘩に、周りのものも巻き添えにならないように人垣を押さえつけて少し興奮しつつ見守った。
酔っ払った商店街の親父たちが二人を面白可笑しく囃したて、それを彼らの妻や娘がたしなめそこもまた口論が勃発したりとあたりは騒然となってしまった。
リアムはランとの消化できていないやり取りで燻った悔しさを立ち昇らせ、メテオはメテオで父からランのことを頼まれながらも無責任に放り出したリアムに怒髪天となり。
二人は人目も憚らずに殴り合いをつづけた。
ピピッピーっと、警邏隊の警笛がなり終わる前に、二人の顔を狙うように水が被せられた。
見ればミリヤの隣に仁王立ちになったリアムの母が、ミリヤに言われて二人に花の水やり用のホースから水を浴びせかけたところだった。
続いて背の低いミリヤが二人の胸元近くにバケツの水をさらにぶっかける。
「冷たっ! 母ちゃん、婆ちゃんやめてくれ!」
ミリヤはもう、メテオより更に顔を真っ赤にして膝が痛むというのに地団駄を踏んで怒鳴り散らした。
「このバカ孫! ランから目を離すなといっただろうが!!! 祭りにはどんなやつがくるか分からない! オメガを預かるものは責任を持て! お前の姉さんも母さんも、そうしてこの街のみんなに守ってもらってきたんだぞ!! くっ 痛いっ」
膝を抱えて転がったミリヤをみて、流石にリアムはバツの悪そうな顔をしてその場にしゃがみ込む
「婆ちゃん、膝に悪いってのに。いわんこっちゃない」
そういうと警邏隊の後ろから人をかきわけかきわけやってきたリアムの父が、婆ちゃんを担いで背中に背負いあげた。
「このバカ孫を殴らんと気が済まん!」
「そんなことより、警邏隊さん! オメガの男の子が一人迷子になってるかもしれません!
探してあげてください。お願いします」
冷静なリアムの母の言葉でメテオは我に返る。
「ランと別れたのはどこでだ?」
「港近くだよ…… 俺も探したけどいなかったから、もしかしたらここに来れば謝れると思って……」
謝らなきゃいけないことをしたのかと、蹴りつけたい気分になったがいつの間にか背後に回った警邏隊が二人の身体を押さえていたのでそれはできなかった。
「とにかく弟を探しに行かせてください」
「今日も何件かキドゥの若者との間で小競り合いはありましたから、心配ですね。私達も探します」
メテオは戒められていた腕を離されると頭を下げて再び駆け出す。
花火がいよいよ上がり始めた。みな、また我に返ったように丘の端っこの海を見下ろせる柵に殺到した。
腹に響くような花火の爆発音。
坂を駆け下りる胸の鼓動、息を吐く声と重なり煩いほどだ。
こんなにもばくばくと心臓を爆ぜさせられたことはない。
君に向かう。想いはいつも一筋に君へ。
ラン、どこかで心細くしていないか。
泣いていないか。俺を呼んではいないか。
農園の家にいるときランがふくれっ面をして飛び出したら、すぐにこちらが折れて迎えに行った。
商店街に来てからは飛び出して迷子にさせるのが怖くて、嫌われまいとランにできるだけ穏やかに接したかもしれない。
一度だけ些細なやり取りから小さなランが店を飛び出し、メテオはそれに気づかず見失ってしまったことがあった。
大抵は商店街の中で他の店主が見守っていて僅かな時間で居場所がしれたのに、ある時どうしても見つからなかったことがあった。
心配で海の市場も捜したし、もしも溺れていたら大変と漁師たちにも声掛けして回った。
どうしても見つからなくて……
一度店に帰ったら出張先から戻ったメルトが裏の工房に荷物をとりにいき、そこにこっそり窓から忍び込んで眠りこけたランの姿を見つけたとき女神に心から感謝したものだ。
急に思い立った。
工房にも鍵はもちろんかけているから中には入れないが、店舗と工房の間には小さな庭がある。小さなテーブルと椅子がおいてあり、ランが可愛がっている花の溢れる花壇がある。そこは閉店してしまえば家族しか立ち入らないような場所だし、階段側からなら、工房裏の門を通って間に忍びこめば人目にもつかない。
もう一度坂の上に戻り、今度は香水店側の店舗裏の階段の門を開けた。
この門を夜に通るものはほぼいないため、真っ暗に近い。幸い片付けを進めている店舗の窓からこぼれた明かりで、所々の行方は追えた。
手すりを掴みながら声を張り上げて降りていく。
「ラン! ラン! いるのか??」
どんどん降りていく。宝飾店の裏、昼間はランが好きな縞々の猫がひだまりで寝ている。
帽子屋の裏。ここの奥さんはお菓子作りが上手で、ランは階段のこのあたりでよく座って食べさせてもらっていた。
しかし今は殆どまっ暗闇だ。
あと数段。早る気持ちはあるが、膝が笑うほど走り回って、工房の裏手についた。
一度街の中心部まで降り、そこから再び商店街のある坂道を目指さねばならないのだ。
人が少ない場所はできるだけ走り、人混みのを避けるように地元の人間が成通した裏道を抜ける。
商店街もう閉店準備に取り掛かっていたため、人出の減った坂道を登って丘の上を目指す。途中香水店の前も通ったが、ランは鍵を持って出ていないのだ。
花火を開始する数分前。合図の花火が遥か上空でバンっと景気の良い音を一度だけ立てた。
メテオはジャケットを肩に担ぎ上げながら息を弾ませて階段を駆け上がる。体力がない方ではないが下ろしたての硬い革靴で何分も走り回り、足が痛むが構わない。
丘の上の公園についたとき、そこは商店街の面々を含んだ地元の人々でごった返していた。
何人かはメテオの姿を見かけると陽気に挨拶をしてきたが、メテオは会釈しつつもランとリアムの姿を探してそう広くない公園を足早に歩き回る。
するとひときわ大きな人影が斜め前を横切った。それは友人達と連れ立ったリアムだったのだが、ランの姿は傍らに見当たらない。
嫌な予感にメテオは理由を尋ねるまでもなく、リアムに詰め寄り胸ぐらを掴みあげた。
「おい! ランはどこだ! 農園に送っていったのか?!」
ただでさえ月が眉のように細くて暗いところにつけ、死角から急に現れたメテオに掴みかかられたリアムは、バランスを崩して友人に背中から強くぶつかった。
「なにすんだよ」
「ランはどこだと聞いている!」
何だ喧嘩か? と周囲にわらわらと人垣ができる。
リアムは美しい装いを着崩したメテオに、憤りを抑えず怒鳴り返した。
「知らねぇよ。ランが勝手にどっかにいったんだ!」
瞬間、メテオがリアムの顔面を容赦なく殴りつけ、取っ組み合いの喧嘩が始まった。
友人たちはどちらにも加勢することはない。
身体の大きな2匹の狼のような彼らの喧嘩に、周りのものも巻き添えにならないように人垣を押さえつけて少し興奮しつつ見守った。
酔っ払った商店街の親父たちが二人を面白可笑しく囃したて、それを彼らの妻や娘がたしなめそこもまた口論が勃発したりとあたりは騒然となってしまった。
リアムはランとの消化できていないやり取りで燻った悔しさを立ち昇らせ、メテオはメテオで父からランのことを頼まれながらも無責任に放り出したリアムに怒髪天となり。
二人は人目も憚らずに殴り合いをつづけた。
ピピッピーっと、警邏隊の警笛がなり終わる前に、二人の顔を狙うように水が被せられた。
見ればミリヤの隣に仁王立ちになったリアムの母が、ミリヤに言われて二人に花の水やり用のホースから水を浴びせかけたところだった。
続いて背の低いミリヤが二人の胸元近くにバケツの水をさらにぶっかける。
「冷たっ! 母ちゃん、婆ちゃんやめてくれ!」
ミリヤはもう、メテオより更に顔を真っ赤にして膝が痛むというのに地団駄を踏んで怒鳴り散らした。
「このバカ孫! ランから目を離すなといっただろうが!!! 祭りにはどんなやつがくるか分からない! オメガを預かるものは責任を持て! お前の姉さんも母さんも、そうしてこの街のみんなに守ってもらってきたんだぞ!! くっ 痛いっ」
膝を抱えて転がったミリヤをみて、流石にリアムはバツの悪そうな顔をしてその場にしゃがみ込む
「婆ちゃん、膝に悪いってのに。いわんこっちゃない」
そういうと警邏隊の後ろから人をかきわけかきわけやってきたリアムの父が、婆ちゃんを担いで背中に背負いあげた。
「このバカ孫を殴らんと気が済まん!」
「そんなことより、警邏隊さん! オメガの男の子が一人迷子になってるかもしれません!
探してあげてください。お願いします」
冷静なリアムの母の言葉でメテオは我に返る。
「ランと別れたのはどこでだ?」
「港近くだよ…… 俺も探したけどいなかったから、もしかしたらここに来れば謝れると思って……」
謝らなきゃいけないことをしたのかと、蹴りつけたい気分になったがいつの間にか背後に回った警邏隊が二人の身体を押さえていたのでそれはできなかった。
「とにかく弟を探しに行かせてください」
「今日も何件かキドゥの若者との間で小競り合いはありましたから、心配ですね。私達も探します」
メテオは戒められていた腕を離されると頭を下げて再び駆け出す。
花火がいよいよ上がり始めた。みな、また我に返ったように丘の端っこの海を見下ろせる柵に殺到した。
腹に響くような花火の爆発音。
坂を駆け下りる胸の鼓動、息を吐く声と重なり煩いほどだ。
こんなにもばくばくと心臓を爆ぜさせられたことはない。
君に向かう。想いはいつも一筋に君へ。
ラン、どこかで心細くしていないか。
泣いていないか。俺を呼んではいないか。
農園の家にいるときランがふくれっ面をして飛び出したら、すぐにこちらが折れて迎えに行った。
商店街に来てからは飛び出して迷子にさせるのが怖くて、嫌われまいとランにできるだけ穏やかに接したかもしれない。
一度だけ些細なやり取りから小さなランが店を飛び出し、メテオはそれに気づかず見失ってしまったことがあった。
大抵は商店街の中で他の店主が見守っていて僅かな時間で居場所がしれたのに、ある時どうしても見つからなかったことがあった。
心配で海の市場も捜したし、もしも溺れていたら大変と漁師たちにも声掛けして回った。
どうしても見つからなくて……
一度店に帰ったら出張先から戻ったメルトが裏の工房に荷物をとりにいき、そこにこっそり窓から忍び込んで眠りこけたランの姿を見つけたとき女神に心から感謝したものだ。
急に思い立った。
工房にも鍵はもちろんかけているから中には入れないが、店舗と工房の間には小さな庭がある。小さなテーブルと椅子がおいてあり、ランが可愛がっている花の溢れる花壇がある。そこは閉店してしまえば家族しか立ち入らないような場所だし、階段側からなら、工房裏の門を通って間に忍びこめば人目にもつかない。
もう一度坂の上に戻り、今度は香水店側の店舗裏の階段の門を開けた。
この門を夜に通るものはほぼいないため、真っ暗に近い。幸い片付けを進めている店舗の窓からこぼれた明かりで、所々の行方は追えた。
手すりを掴みながら声を張り上げて降りていく。
「ラン! ラン! いるのか??」
どんどん降りていく。宝飾店の裏、昼間はランが好きな縞々の猫がひだまりで寝ている。
帽子屋の裏。ここの奥さんはお菓子作りが上手で、ランは階段のこのあたりでよく座って食べさせてもらっていた。
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