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第27話 内緒の悪戯
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結局、夢も記憶も、自分の過去もわからないまま、二週間が過ぎた。
何もわからないまま漫然と日々が過ぎるのは、漠然と不安だ。
(一つだけ、はっきりわかるのは。俺の記憶が戻ることを誰も望んでいないってことだ。慶寿様ですら、望んでない)
桃源を統べる麒麟すら望まない記憶を取り戻そうとするのは、蜜梨の我儘だと思えた。
(だったら、忘れたままでいい。夢だって、また何かあったら秘果さんに相談して。心惟だって助けてくれるんだし、大丈夫だ)
蜜梨は過去の自分を封印する決意をした。
そんなことを考えながら、蜜梨は趣味部屋の机に向かって、絵を描いていた。
私室の奥に秘果が再現してくれた現世のBL部屋が、蜜梨にとり一番の癒しだ。
桃源は現世の仕事ほど訓練や瞑想の時間が詰め込まれていないから、余暇がある。そういう時間は、籠ってBL本を読んで過ごす。
最近は、少しずつ絵を描き始めた。
現世のようにスマホやパッドがないから、絵は紙に筆かペンで描く。
「慣れないと感覚が難しい。タッチペンとは違うよな」
とはいえ、子供の頃は紙に鉛筆で描いていたわけだから、描けないこともない。
「また胡伯か。他の絵は描かんのか」
後ろから心惟が覗きこんだ。
「久々だから描き慣れてるキャラがいいの。ペンで描くのも久々なの」
「慣れてはいるだろうな。散々描いていたからな」
蜜梨は、ぐっとペンを握った。
心惟に指摘されると、胡伯というか秘果を描いているような気分になって、恥ずかしい。
そんな蜜梨は気にも止めずに、心惟が本棚のBL本を読み始めた。
「心惟って本当にBL好きなんだ」
「お前が腐るほど読んでいたからな。文字通り、一緒に腐った」
腐ネタで冗談が言える程度には、好きらしい。
「心惟だって桃源の凶なんだから、男同士の恋愛は普通だろ? 腐男子とは違うんじゃないの?」
秘果の場合は、腐男子というより桃源の恋愛感覚の延長で現世のBLを読んでいるように感じた。
現世で言うなら腐男子よりゲイ寄りなんだと思う。
「私は凶だ。恋愛感情などない。番も持たないし、子も成さない。完全にお前の影響だ」
指摘を全否定して、責任を押し付けられた。
そういわれると、蜜梨としても反論のしようがない。
「なんか、すんません……。凶を腐男子にしちゃったのか。俺、罪深いな」
「そう思うのなら、責任を取れ」
「いや、無理だよ。既に沼ってる奴に今更、何にもできないよ」
本を持ったまま、心惟が蜜梨に顔を寄せた。
耳に吐息を吹きかけて、舌で輪郭をなぞるように舐め挙げる。
「ひぁぁあぁ、何してんの、ねぇ!」
仰け反って耳を手で隠す。
心惟がにんまりと笑った。
「漫画によく出てくるだろう。吐息をかけて耳を舐めたり食ったりすると、気持ちがいいのか試した」
「おまっ、それっ、される側じゃないと感覚、わからないだろ!」
「する側で試してみたい。私はバリタチだと言っただろう。当然、攻めの目線だ」
「恋愛感情ないのにバリタチって、何? するのは好きなの?」
じりじりと迫る心惟から逃げて、後ろに下がる。
「気持ちの良いことは好きだ。凶が性を喰らっても不思議ではなかろう」
「性欲って本能だよ? 繁殖しないのにあるの? 煩悩なの? 七つの罪とかだから?」
狭い椅子に逃げ場はない。
顔を掴まえられて、耳をパクリと喰われた。
「ひぃぁぁあ! 喰われるぅ」
心惟に噛まれると、本当に喰われそうで怖い。
「ふむ、気持ち良さそう、ではないな。むしろ、怯えて震えている」
「相手がお前だからだ! 本気で喰われそうなんだよ、饕餮だろ、お前! 悪食で何でも食うんだろ!」
何でも喰らう悪食の饕餮に体の一部を食まれたら、怯えもする。
「そう怯えるな、お前を喰うわけがなかろう。大事な宿主だぞ」
耳元で囁かれて、くすぐったくて震えた。
「これでもサービスのつもりだぞ。漫画の描写は本当に気持ちがいいのか、検証させてやる。他にしてほしい仕草があれば言え」
心惟が、ずっと耳元で話している。
舐められたところに吐息が掛かって、やけに敏感に感じる。
ゾクゾクして、変な声が漏れそうになる。
「やってみたい、仕草なんか、ない。くすぐったい、も、やめて」
蜜梨を覗き込んだ心惟の目が笑んだ。
「涙目になって身を震わして。可愛いな、蜜梨。そんなに気持ちが良いか?」
「きもちく、ない、からぁ……ひぁ!」
心惟が耳に唇を当てて、吸い上げる。
耳の穴をくりくりと舌先で舐めると、チュクチュクと音を立てて舐め始めた。
「や、音、わざとっ、やだ……、ぁ、ぅんっ」
「良い声だ。もっと悦くなれ、蜜梨」
「や、んっ、やらぁ」
自分でも初めて聞くような甘えた声が出て、思わず口を噤んだ。
いつの間にか掴んでいた心惟の服を、ぎゅっと引き寄せる。
心惟が蜜梨を腕に抱いた。
「秘果に隠れて蜜梨を悦くするのは、楽しいな。こら、声を我慢するな。もっと啼け」
「んっ……、んぁっ……きもちく、ない。たのしくも、ないぃ。絶対、言付ける、からなぁ」
快楽に耐えて涙が溜まった蜜梨の目尻を、心惟の舌が舐め上げた。
その感触すら気持ち良くて、フルリと震えた。
「言付ければ、同じことを秘果にされるぞ。私と秘果、どちらが気持ち良いか、比べるのも楽しかろう」
「そんなん、全然、楽しくない、ばかぁ」
いつもなら良いタイミングで助けに来てくれるはずの秘果が、今日に限って来ない。
耳だけでなく、目やら首やらにも口付けられた。
蜜梨はしばらく、心惟に遊ばれていた。
何もわからないまま漫然と日々が過ぎるのは、漠然と不安だ。
(一つだけ、はっきりわかるのは。俺の記憶が戻ることを誰も望んでいないってことだ。慶寿様ですら、望んでない)
桃源を統べる麒麟すら望まない記憶を取り戻そうとするのは、蜜梨の我儘だと思えた。
(だったら、忘れたままでいい。夢だって、また何かあったら秘果さんに相談して。心惟だって助けてくれるんだし、大丈夫だ)
蜜梨は過去の自分を封印する決意をした。
そんなことを考えながら、蜜梨は趣味部屋の机に向かって、絵を描いていた。
私室の奥に秘果が再現してくれた現世のBL部屋が、蜜梨にとり一番の癒しだ。
桃源は現世の仕事ほど訓練や瞑想の時間が詰め込まれていないから、余暇がある。そういう時間は、籠ってBL本を読んで過ごす。
最近は、少しずつ絵を描き始めた。
現世のようにスマホやパッドがないから、絵は紙に筆かペンで描く。
「慣れないと感覚が難しい。タッチペンとは違うよな」
とはいえ、子供の頃は紙に鉛筆で描いていたわけだから、描けないこともない。
「また胡伯か。他の絵は描かんのか」
後ろから心惟が覗きこんだ。
「久々だから描き慣れてるキャラがいいの。ペンで描くのも久々なの」
「慣れてはいるだろうな。散々描いていたからな」
蜜梨は、ぐっとペンを握った。
心惟に指摘されると、胡伯というか秘果を描いているような気分になって、恥ずかしい。
そんな蜜梨は気にも止めずに、心惟が本棚のBL本を読み始めた。
「心惟って本当にBL好きなんだ」
「お前が腐るほど読んでいたからな。文字通り、一緒に腐った」
腐ネタで冗談が言える程度には、好きらしい。
「心惟だって桃源の凶なんだから、男同士の恋愛は普通だろ? 腐男子とは違うんじゃないの?」
秘果の場合は、腐男子というより桃源の恋愛感覚の延長で現世のBLを読んでいるように感じた。
現世で言うなら腐男子よりゲイ寄りなんだと思う。
「私は凶だ。恋愛感情などない。番も持たないし、子も成さない。完全にお前の影響だ」
指摘を全否定して、責任を押し付けられた。
そういわれると、蜜梨としても反論のしようがない。
「なんか、すんません……。凶を腐男子にしちゃったのか。俺、罪深いな」
「そう思うのなら、責任を取れ」
「いや、無理だよ。既に沼ってる奴に今更、何にもできないよ」
本を持ったまま、心惟が蜜梨に顔を寄せた。
耳に吐息を吹きかけて、舌で輪郭をなぞるように舐め挙げる。
「ひぁぁあぁ、何してんの、ねぇ!」
仰け反って耳を手で隠す。
心惟がにんまりと笑った。
「漫画によく出てくるだろう。吐息をかけて耳を舐めたり食ったりすると、気持ちがいいのか試した」
「おまっ、それっ、される側じゃないと感覚、わからないだろ!」
「する側で試してみたい。私はバリタチだと言っただろう。当然、攻めの目線だ」
「恋愛感情ないのにバリタチって、何? するのは好きなの?」
じりじりと迫る心惟から逃げて、後ろに下がる。
「気持ちの良いことは好きだ。凶が性を喰らっても不思議ではなかろう」
「性欲って本能だよ? 繁殖しないのにあるの? 煩悩なの? 七つの罪とかだから?」
狭い椅子に逃げ場はない。
顔を掴まえられて、耳をパクリと喰われた。
「ひぃぁぁあ! 喰われるぅ」
心惟に噛まれると、本当に喰われそうで怖い。
「ふむ、気持ち良さそう、ではないな。むしろ、怯えて震えている」
「相手がお前だからだ! 本気で喰われそうなんだよ、饕餮だろ、お前! 悪食で何でも食うんだろ!」
何でも喰らう悪食の饕餮に体の一部を食まれたら、怯えもする。
「そう怯えるな、お前を喰うわけがなかろう。大事な宿主だぞ」
耳元で囁かれて、くすぐったくて震えた。
「これでもサービスのつもりだぞ。漫画の描写は本当に気持ちがいいのか、検証させてやる。他にしてほしい仕草があれば言え」
心惟が、ずっと耳元で話している。
舐められたところに吐息が掛かって、やけに敏感に感じる。
ゾクゾクして、変な声が漏れそうになる。
「やってみたい、仕草なんか、ない。くすぐったい、も、やめて」
蜜梨を覗き込んだ心惟の目が笑んだ。
「涙目になって身を震わして。可愛いな、蜜梨。そんなに気持ちが良いか?」
「きもちく、ない、からぁ……ひぁ!」
心惟が耳に唇を当てて、吸い上げる。
耳の穴をくりくりと舌先で舐めると、チュクチュクと音を立てて舐め始めた。
「や、音、わざとっ、やだ……、ぁ、ぅんっ」
「良い声だ。もっと悦くなれ、蜜梨」
「や、んっ、やらぁ」
自分でも初めて聞くような甘えた声が出て、思わず口を噤んだ。
いつの間にか掴んでいた心惟の服を、ぎゅっと引き寄せる。
心惟が蜜梨を腕に抱いた。
「秘果に隠れて蜜梨を悦くするのは、楽しいな。こら、声を我慢するな。もっと啼け」
「んっ……、んぁっ……きもちく、ない。たのしくも、ないぃ。絶対、言付ける、からなぁ」
快楽に耐えて涙が溜まった蜜梨の目尻を、心惟の舌が舐め上げた。
その感触すら気持ち良くて、フルリと震えた。
「言付ければ、同じことを秘果にされるぞ。私と秘果、どちらが気持ち良いか、比べるのも楽しかろう」
「そんなん、全然、楽しくない、ばかぁ」
いつもなら良いタイミングで助けに来てくれるはずの秘果が、今日に限って来ない。
耳だけでなく、目やら首やらにも口付けられた。
蜜梨はしばらく、心惟に遊ばれていた。
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