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第七章 異彩の絵師 東洲斎写楽
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秋の興行が終わり、東洲斎写楽の絵も一つ、けじめがついた。秋に出した似絵は、皐月の大首絵より評判が良かった。
「最初の大首絵も評判にはなったが、秋の絵は夏より売れた。初めは、お喜乃に好きに描かせる。次は誇張を削り、お喜乃の良さを下げねぇ程度に衆人の好みに寄せる。当たっただろ」
満足そうに重三郎が鼻を鳴らした。
大判、細判、共に全身像のみを描き果せた満足は、喜乃も感じているようだ。
今回、一つ二つの助言はしたものの、やはり寸法の取り方を教えた程度だった。長喜自身にも仕事が多く舞い込み、自分の絵で忙しくしていた。
長月も半ばに差し掛かった頃、重三郎が次の談合のため、吾柳庵を訪ねて来た。
「次は、ついに霜月の顔見世だ。今回は初日に写楽の絵を並べる。見立でいくぜ」
顔見世興行は、歌舞伎の正月といえる。役者絵を扱う絵草子屋にとっても、外せない大事な行事であった。
「一座で細判十五枚前後、間判五枚くれぇは売り出してぇ。前ぇみてぇに大判大首絵だの雲母摺だのと派手にぁしねぇ。衆人は写楽の絵を、もう知っている。奇抜な趣向は抜きだ。他の絵師と並べて、実力を見せ付けるんだ」
息巻く重三郎を前に、喜乃が珍しく黙り込んだ。
重三郎が片眉を上げる。
「お喜乃は見立が不得手でなぁ。本物を、じっくり観て描くのが好きなんだ。だから写しも、あまり描かねぇんだよ」
見立とは、手本を参考に決まった型ものを描く法だ。時を掛けて実物を観察し、絵にする喜乃には不利な手法だった。
喜乃が申し訳なさそうに俯いた。
「芝居を観て描くと、人を描いている気になるのだけれど。絵を見て描くと、ただ絵を真似ているだけのような気になって、巧くいかないの」
つまり円ではなく面の絵になってしまう、と長喜は解していた。絵の中で生きるが如く生々しさを放つ役者が、薄っぺらな紙になる。それくらい、喜乃の絵が変わる。
重三郎が腕を組んで眉間を寄せた。
「三座ともに仕事を受けた後だ。芝居小屋も、顔見世なら見立で初日に欲しがる。描けねぇなら余所に譲るしかねぇが、お前ぇは、いいのか?」
重三郎が目を大きくして喜乃を見詰めた。
喜乃が体を強張らせた。
「いいか、お喜乃。歌舞伎にとって年に一度の大舞台で、三座総ての役者絵を衆多売りに出す。こねぇな機会は誰でも踏めるわけじゃぁねぇ。ましてや新参早々の絵師にぁ、まず廻ってこねぇ話だ。覚悟を持って挑みな」
喜乃が、ごくりと唾を飲み込んだ。
もしかすると、蜂須賀家が絡んでいるのかもしれないと、長喜は思った。
重三郎は明言しないが、夏の雲母摺や秋の白雲母摺など、写楽の絵には金が掛かっている。以前に重三郎が過料となり歌麿が離れた耕書堂は今、稼ぎが良いとは言い難い。
だが、重喜と治昭が金銭や仕事の斡旋で支援をしてくれているのなら、総てに得心がいく。
更に、喜乃や長喜へ口止めされているとしたら。重三郎は事情を話さず喜乃に仕事を受けさせるしかない。
(お喜乃の父ちゃんから直に文を貰っていんだ。そんくれぇは、有り得るよなぁ。十郎兵衛様も耕書堂に頻繁に出入りしているはずだしなぁ)
吾柳庵に来なくなった代わりに、十郎兵衛は耕書堂に出向くようになった。東洲斎写楽を装うためだ。十郎兵衛と重三郎の間で、密談が交わされていても不思議はない。
(杞憂かもしれねぇし、悪い想像かもしれねぇが。しかしまぁ、お喜乃に断る暇はなさそうだな)
重三郎の話は、仕事を受ける前提で進んでいる。喜乃にとり、それが果たして幸せなのかと、頭を過った。
喜乃の顔を、こっそり覗く。恐竦を滲ませているが、気概にも溢れている。
長喜は、ほっと胸を撫で降ろした。
「滅多にねぇ好機だと、蔦重さんは教えてくれているんだぜ。不得手なら練習すりゃぁいいさ。まだ時はあるんだ。俺が指南してやるよ」
ぽん、と喜乃の背中を叩く。
ぴくりと肩を上げた喜乃が、長喜を振り返る。半端に開いた口を引き結び、深く頷いた。
「謹んでお引き受け申し上げます。これ以上にない好機を恵んでくださり、感謝致します。覚悟を持って、臨ませていただきます」
重三郎に向き直った喜乃が、指を突いて頭を下げた。
「そうけぇ。なら、この仕事は耕書堂で受けるぜ。神無月の中頃までにぁ、仕上げてくれよ」
心なしか、重三郎の顔に安堵が差した気がした。
「それとな、都座から一つ、条件が付いた。菊之丞が、今までのように酷ぇ顔に描くんなら、自分の絵は描いてくれるな、とな。顔の描き方を、変えられるか?」
三代目の瀬川菊之丞は美貌で口跡もよく「浜村屋大明神」と称されるほどの人気女形だ。だが、年齢は四十四歳と初老に差し掛かり、肌の弛みは否めない。また、受口や鼻の歪みなども見逃さずに、喜乃は描き切っていた。
「歌麿兄さんの教えの通り、本人より美しく描かないと、いけない、ですか?」
聞きづらそうに、喜乃が問う。
重三郎が首を振った。
「少し、違うな。お喜乃の描きてぇように本然を描くのは大事だ。だが、役者への尊敬を忘れんな。役者は、相当な覚悟と修練で板の上に立ってんだ。お前ぇなら、もっと奥に光る役者の粋を、絵にできんだろ。しっかり見抜けってぇ話だ」
喜乃の表情が明るく変わる。
「わかりました。前の芝居を思い出して、いろんな絵をよく観て、もう一度、描いてみます」
喜乃の顔が引き締まる。
重三郎が、長喜に向き直った。
「役者絵本を勇助に持たせるから、待っていな。それまで、指南を頼むぜ、長喜。手前ぇの絵も遅れんなよ」
長喜は困り顔で頷いた。
「蔦重さんは、相も変わらず厳しいや。ここんところ、俺の仕事が多すぎねぇか?」
「何を言いやがる。手前ぇは、もっと仕事を受けてもいいんだ。いいや、受けるべきなんだよ。こんぐれぇで根を上げやがったら、許さねぇぞ」
きっと、重三郎が鋭く睨む。思わず肩が上がった。
長喜と重三郎のやり取りの隣で、喜乃が黙ったまま自分の拳を、じっと見詰めていた。その姿が、やけに長喜の心に残った。
【補足情報】
今回は、写楽について少しだけ。
わずか九ヶ月という短い期間で隆盛の如く消えた謎の絵師写楽。写楽の活動期間は大きく四期に分けられます。デビューの五月(夏)が第一期、次いで秋の第二期、十一月の顔見世興行が第三期、年明けの第四期です。十一月の顔見世は歌舞伎の正月と言われるほど重要な月で、芝居小屋は盛り上がり錦絵も多く出ました。
作中にある中見と見立、顔見世のように盛り上がりが確実な興業の時は、大抵事前に絵を描く見立てで仕上げて、初日の興行開始に合わせて売りに出すのが主流でした。写楽にとっても三期は転機だったようで、「下手になった」と評価する専門家が多いです。一概に下手って訳じゃないと個人的には思うけど、「じゃぁ、何で下手になったのかな」というあたりを物語に落とし込んだのが、ここからのお話です。写楽の絵でいまだに世の中に出回っているのは、ほとんどが一期の大首絵です。それしか知らない方が三期や四期の絵を見たら、写楽だと気が付かないかもしれませんね。専門家ですら別人説・複数人説を唱える人がいるくらいなので。気が向いたら、写楽の絵を眺めながらお話を読んでいただけると面白いかなと思います。
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満足そうに重三郎が鼻を鳴らした。
大判、細判、共に全身像のみを描き果せた満足は、喜乃も感じているようだ。
今回、一つ二つの助言はしたものの、やはり寸法の取り方を教えた程度だった。長喜自身にも仕事が多く舞い込み、自分の絵で忙しくしていた。
長月も半ばに差し掛かった頃、重三郎が次の談合のため、吾柳庵を訪ねて来た。
「次は、ついに霜月の顔見世だ。今回は初日に写楽の絵を並べる。見立でいくぜ」
顔見世興行は、歌舞伎の正月といえる。役者絵を扱う絵草子屋にとっても、外せない大事な行事であった。
「一座で細判十五枚前後、間判五枚くれぇは売り出してぇ。前ぇみてぇに大判大首絵だの雲母摺だのと派手にぁしねぇ。衆人は写楽の絵を、もう知っている。奇抜な趣向は抜きだ。他の絵師と並べて、実力を見せ付けるんだ」
息巻く重三郎を前に、喜乃が珍しく黙り込んだ。
重三郎が片眉を上げる。
「お喜乃は見立が不得手でなぁ。本物を、じっくり観て描くのが好きなんだ。だから写しも、あまり描かねぇんだよ」
見立とは、手本を参考に決まった型ものを描く法だ。時を掛けて実物を観察し、絵にする喜乃には不利な手法だった。
喜乃が申し訳なさそうに俯いた。
「芝居を観て描くと、人を描いている気になるのだけれど。絵を見て描くと、ただ絵を真似ているだけのような気になって、巧くいかないの」
つまり円ではなく面の絵になってしまう、と長喜は解していた。絵の中で生きるが如く生々しさを放つ役者が、薄っぺらな紙になる。それくらい、喜乃の絵が変わる。
重三郎が腕を組んで眉間を寄せた。
「三座ともに仕事を受けた後だ。芝居小屋も、顔見世なら見立で初日に欲しがる。描けねぇなら余所に譲るしかねぇが、お前ぇは、いいのか?」
重三郎が目を大きくして喜乃を見詰めた。
喜乃が体を強張らせた。
「いいか、お喜乃。歌舞伎にとって年に一度の大舞台で、三座総ての役者絵を衆多売りに出す。こねぇな機会は誰でも踏めるわけじゃぁねぇ。ましてや新参早々の絵師にぁ、まず廻ってこねぇ話だ。覚悟を持って挑みな」
喜乃が、ごくりと唾を飲み込んだ。
もしかすると、蜂須賀家が絡んでいるのかもしれないと、長喜は思った。
重三郎は明言しないが、夏の雲母摺や秋の白雲母摺など、写楽の絵には金が掛かっている。以前に重三郎が過料となり歌麿が離れた耕書堂は今、稼ぎが良いとは言い難い。
だが、重喜と治昭が金銭や仕事の斡旋で支援をしてくれているのなら、総てに得心がいく。
更に、喜乃や長喜へ口止めされているとしたら。重三郎は事情を話さず喜乃に仕事を受けさせるしかない。
(お喜乃の父ちゃんから直に文を貰っていんだ。そんくれぇは、有り得るよなぁ。十郎兵衛様も耕書堂に頻繁に出入りしているはずだしなぁ)
吾柳庵に来なくなった代わりに、十郎兵衛は耕書堂に出向くようになった。東洲斎写楽を装うためだ。十郎兵衛と重三郎の間で、密談が交わされていても不思議はない。
(杞憂かもしれねぇし、悪い想像かもしれねぇが。しかしまぁ、お喜乃に断る暇はなさそうだな)
重三郎の話は、仕事を受ける前提で進んでいる。喜乃にとり、それが果たして幸せなのかと、頭を過った。
喜乃の顔を、こっそり覗く。恐竦を滲ませているが、気概にも溢れている。
長喜は、ほっと胸を撫で降ろした。
「滅多にねぇ好機だと、蔦重さんは教えてくれているんだぜ。不得手なら練習すりゃぁいいさ。まだ時はあるんだ。俺が指南してやるよ」
ぽん、と喜乃の背中を叩く。
ぴくりと肩を上げた喜乃が、長喜を振り返る。半端に開いた口を引き結び、深く頷いた。
「謹んでお引き受け申し上げます。これ以上にない好機を恵んでくださり、感謝致します。覚悟を持って、臨ませていただきます」
重三郎に向き直った喜乃が、指を突いて頭を下げた。
「そうけぇ。なら、この仕事は耕書堂で受けるぜ。神無月の中頃までにぁ、仕上げてくれよ」
心なしか、重三郎の顔に安堵が差した気がした。
「それとな、都座から一つ、条件が付いた。菊之丞が、今までのように酷ぇ顔に描くんなら、自分の絵は描いてくれるな、とな。顔の描き方を、変えられるか?」
三代目の瀬川菊之丞は美貌で口跡もよく「浜村屋大明神」と称されるほどの人気女形だ。だが、年齢は四十四歳と初老に差し掛かり、肌の弛みは否めない。また、受口や鼻の歪みなども見逃さずに、喜乃は描き切っていた。
「歌麿兄さんの教えの通り、本人より美しく描かないと、いけない、ですか?」
聞きづらそうに、喜乃が問う。
重三郎が首を振った。
「少し、違うな。お喜乃の描きてぇように本然を描くのは大事だ。だが、役者への尊敬を忘れんな。役者は、相当な覚悟と修練で板の上に立ってんだ。お前ぇなら、もっと奥に光る役者の粋を、絵にできんだろ。しっかり見抜けってぇ話だ」
喜乃の表情が明るく変わる。
「わかりました。前の芝居を思い出して、いろんな絵をよく観て、もう一度、描いてみます」
喜乃の顔が引き締まる。
重三郎が、長喜に向き直った。
「役者絵本を勇助に持たせるから、待っていな。それまで、指南を頼むぜ、長喜。手前ぇの絵も遅れんなよ」
長喜は困り顔で頷いた。
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「何を言いやがる。手前ぇは、もっと仕事を受けてもいいんだ。いいや、受けるべきなんだよ。こんぐれぇで根を上げやがったら、許さねぇぞ」
きっと、重三郎が鋭く睨む。思わず肩が上がった。
長喜と重三郎のやり取りの隣で、喜乃が黙ったまま自分の拳を、じっと見詰めていた。その姿が、やけに長喜の心に残った。
【補足情報】
今回は、写楽について少しだけ。
わずか九ヶ月という短い期間で隆盛の如く消えた謎の絵師写楽。写楽の活動期間は大きく四期に分けられます。デビューの五月(夏)が第一期、次いで秋の第二期、十一月の顔見世興行が第三期、年明けの第四期です。十一月の顔見世は歌舞伎の正月と言われるほど重要な月で、芝居小屋は盛り上がり錦絵も多く出ました。
作中にある中見と見立、顔見世のように盛り上がりが確実な興業の時は、大抵事前に絵を描く見立てで仕上げて、初日の興行開始に合わせて売りに出すのが主流でした。写楽にとっても三期は転機だったようで、「下手になった」と評価する専門家が多いです。一概に下手って訳じゃないと個人的には思うけど、「じゃぁ、何で下手になったのかな」というあたりを物語に落とし込んだのが、ここからのお話です。写楽の絵でいまだに世の中に出回っているのは、ほとんどが一期の大首絵です。それしか知らない方が三期や四期の絵を見たら、写楽だと気が付かないかもしれませんね。専門家ですら別人説・複数人説を唱える人がいるくらいなので。気が向いたら、写楽の絵を眺めながらお話を読んでいただけると面白いかなと思います。
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