上 下
2 / 3

麗しき箱入り娘

しおりを挟む
 生まれた時から前世の記憶と言われるモノがあった。最初は、自分の空想の中の記憶や夢の中の記憶だと思っていたが余りにも鮮明な記憶に直ぐに前世の記憶だという事に気付いた。クリスティンは自分の小さな才能に気付く。人の小さな秘密や探し物が直ぐに分かり見つけられた。
 そして、その記憶を活かしクリスティンは探偵の真似事を始めた。

「お嬢様、朝ですよ起きて下さい!」
「お嬢様ぁ~?まだおねむですか?」

 開かれたカーテンの隙間から眩しい光がクリスティンの顔を照らす。クリスティンは眉間に皺を寄せると布団の中へと潜り込む。
 双子の執事は顔を見合わせるとニヤリと微笑みノアがポケットから何かを取り出すとポイッと投げ、同時にルカが叫んだ。

「お嬢様!ゴキブリです!動かないで!」
「きゃぁぁぁぁぁぁあ!!!とって!とってぇ!!!」

 慌てて起き上がり両手を空中で振り回す。慌てるクリスティンを見ながらルカ達はクスクスと笑う。

「…………また、悪戯ね!?」
「毎回、新鮮に騙されるお嬢様が悪いんですよ?」
「そぉですよ?お嬢様が悪いんです。」

 ぷくッと頬を膨らませるクリスティンを見ながら二人はケラケラと笑う。

「さ、今日の朝食はビスケットと新鮮なフルーツですよ。」
「まぁ!楽しみだわ!」

 先ほどまで怒っていたが、朝食のメニューを聞くとケロッと表情を変えてベットから降りると身支度を始めた。
 クリスティン・ホームズは数千年前から続く貴族の箱入り娘。そして、前世の記憶を持つ探偵でもあるのだ。
しおりを挟む

処理中です...