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君の胸に彼岸花を添えて
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「君は幽霊という存在を信じるかい?薫君。」
楠木《くすのき》 薫《かおる》は目の前の男の問いかけに沈黙で答えた。
「クスノキ探偵事務所」にある日、不気味な男がやって来た。傷だらけで服もボロボロなやつれた男はソファに腰を下すと突如として口を開き薫に問いかけてきたのだ。
薫は困惑の表情を浮かべる。謎の質問を投げかけてきた依頼人を訝しげに見つめていると男は思い出したように口を開いた。
「おっと、名乗るのを忘れていたね……。俺の名前は百合川《ゆりかわ》 杏寿郎《きょうじゅろう》。覚えているかい?」
「…………ぁ!」
百合川 杏寿郎は薫の高校生時代の先輩であり薫の“男性”としての姿を知る唯一の人間である。高校を卒業してからは一切、連絡を取る事も無く薫も彼の顔を忘れていた程だった。
「それにしても、よく私が高校時代の楠木薫だって気付きましたね。」
「薫君の目の下の泣き黒子が印象に残っていてね。それに、薫君は昔から顔立ちが綺麗だったから。直ぐに気付いたよ。」
「綺麗だなんて……そんなお世辞を言っても何も出ませんよ。
そういえば、どうしてそんなに傷だらけなんですか?」
「あぁ、実は今回君に依頼したい事に関係しているんだ。
君は子守トンネルってしってるかい?」
「有名な心霊スポットよね。」
子守トンネルとは、有名な心霊スポットである。そこを車で走ると助手席に血塗れの女が現れ突如として自分の腸を抉り出したり、奇声を発したりと多くの人間がその女を目撃しているらしい。だが、その幽霊が現れるには条件《ルール》がある。
一つ、運転手が男性である事。
二つ、車はスポーツカーであるかそれに似た外見である事。
三つ、トンネルの中で端に寄り、エンジンを切る事。
この三つの条件《ルール》を守らなければ現れない。
「俺はそれが、本当かどうか知りたくてつい先日ね……三つの条件を忠実に再現してやってみたんだ。」
「まさか、それが原因で……その怪我を?」
「うん!いやぁ、吃驚したよ。昔から霊感体質だったんだけどね、襲われたのは初めてだよ。」
杏寿郎は満面の笑みを浮かべて答えるが薫はキョトンとした顔をしたままフリーズする。目の前に居る男は幽霊に襲われたと言ったのだ。普通ならば、そんな体験をした人間は正気を失うか恐怖に慄くかのどちらかだと思っていたがどうやら、薫の思っていた常識は杏寿郎には通じないようだ。
「お、襲われた?」
「うん。今まで聞いていた話だとね女が自分の腸を抉り出したり、奇声を発したりするって言う感じで直接は人に危害を加える事は無かったはずなんだけどね。
俺が車を運転してたら突然、包丁を取り出して襲い掛かって来たんだ。慌てて車を発進させたら女が自分の腹や胸を刺し始めたんだ。それを見て驚いちゃってそのままガードレールに激突だよ。あはは!」
其処までの体験をしてどうしてこの人は笑っているのだと薫は思ったが口には出さなかった。
杏寿郎は笑っていたかと思うと、真剣な顔をして薫の方に顔を近づける。
「君にお願いしたいのは、僕ともう一度あのトンネルに行って欲しいんだ。
そして、どうしてあの幽霊が現れるのか調べてほしい。」
楠木《くすのき》 薫《かおる》は目の前の男の問いかけに沈黙で答えた。
「クスノキ探偵事務所」にある日、不気味な男がやって来た。傷だらけで服もボロボロなやつれた男はソファに腰を下すと突如として口を開き薫に問いかけてきたのだ。
薫は困惑の表情を浮かべる。謎の質問を投げかけてきた依頼人を訝しげに見つめていると男は思い出したように口を開いた。
「おっと、名乗るのを忘れていたね……。俺の名前は百合川《ゆりかわ》 杏寿郎《きょうじゅろう》。覚えているかい?」
「…………ぁ!」
百合川 杏寿郎は薫の高校生時代の先輩であり薫の“男性”としての姿を知る唯一の人間である。高校を卒業してからは一切、連絡を取る事も無く薫も彼の顔を忘れていた程だった。
「それにしても、よく私が高校時代の楠木薫だって気付きましたね。」
「薫君の目の下の泣き黒子が印象に残っていてね。それに、薫君は昔から顔立ちが綺麗だったから。直ぐに気付いたよ。」
「綺麗だなんて……そんなお世辞を言っても何も出ませんよ。
そういえば、どうしてそんなに傷だらけなんですか?」
「あぁ、実は今回君に依頼したい事に関係しているんだ。
君は子守トンネルってしってるかい?」
「有名な心霊スポットよね。」
子守トンネルとは、有名な心霊スポットである。そこを車で走ると助手席に血塗れの女が現れ突如として自分の腸を抉り出したり、奇声を発したりと多くの人間がその女を目撃しているらしい。だが、その幽霊が現れるには条件《ルール》がある。
一つ、運転手が男性である事。
二つ、車はスポーツカーであるかそれに似た外見である事。
三つ、トンネルの中で端に寄り、エンジンを切る事。
この三つの条件《ルール》を守らなければ現れない。
「俺はそれが、本当かどうか知りたくてつい先日ね……三つの条件を忠実に再現してやってみたんだ。」
「まさか、それが原因で……その怪我を?」
「うん!いやぁ、吃驚したよ。昔から霊感体質だったんだけどね、襲われたのは初めてだよ。」
杏寿郎は満面の笑みを浮かべて答えるが薫はキョトンとした顔をしたままフリーズする。目の前に居る男は幽霊に襲われたと言ったのだ。普通ならば、そんな体験をした人間は正気を失うか恐怖に慄くかのどちらかだと思っていたがどうやら、薫の思っていた常識は杏寿郎には通じないようだ。
「お、襲われた?」
「うん。今まで聞いていた話だとね女が自分の腸を抉り出したり、奇声を発したりするって言う感じで直接は人に危害を加える事は無かったはずなんだけどね。
俺が車を運転してたら突然、包丁を取り出して襲い掛かって来たんだ。慌てて車を発進させたら女が自分の腹や胸を刺し始めたんだ。それを見て驚いちゃってそのままガードレールに激突だよ。あはは!」
其処までの体験をしてどうしてこの人は笑っているのだと薫は思ったが口には出さなかった。
杏寿郎は笑っていたかと思うと、真剣な顔をして薫の方に顔を近づける。
「君にお願いしたいのは、僕ともう一度あのトンネルに行って欲しいんだ。
そして、どうしてあの幽霊が現れるのか調べてほしい。」
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