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淫魔さん獣人世界へ
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「よっ、久しぶりだな」
まだ精力が切れていないので通常の食事を買いにスーパーへ出かけたら、どや顔の友人に出会った。
「なっ! おまえその淫力どうしたんだよ!」
だがそのどや顔の理由も納得できる。
なにせ以前見た時よりも格が二つも上がっていたのだ。
俺たち淫魔は異世界の住人の精力を奪う事で淫魔としての格が上がり淫力を上げる事が出来る。
淫力を上げる事によって様々な恩恵が得られるが、格が上がると王様から褒賞も出るし、一度に搾り取れる精力も上がるとそれだけ得られるお金も増える。
本来は徐々に淫魔としての格が上がっていくので、一気にレベルアップした目の前の友人に驚かずにはいられなかった。
「いいだろー、実は滅茶苦茶いい狩場に出会ったんだー……まぁ暫くは行かないけど」
「くッ、素直に羨ましい。それにしても暫くは行かないってのはどうしてだ? そんなにいい狩場なら誰かに取られる前にさっさと収穫すればいいだろ?」
「あーいや、その、実は逃げてきたんだ。だからもう暫くはいいかなって」
「逃げてきた?」
「そそ、あのままだったら強制送還されそうだったし」
「そんなにか!」
強制送還、俺達淫魔は異世界に行くにあたって専用の器を作って行くのだが、その器が壊れる程の衝撃が加わるとこの世界へ強制送還されるようになっている。
だがつまり淫魔がやり殺されそうになったという事だ、流石に興味が沸く。
「こっちの事情はこんな感じだけど、そっちは?」
「俺? 俺は6番世界に行って帰って来て、暫くいいかなぁと思ってたとこだ」
「あぁ、此処に近い世界に」
「そこそこ」
6番世界、彼等の言葉で言うと地球という世界。そんでもって俺が行って来たのは俺が住んでいる街と似ている日本という国だ。
電車などの交通機関や電子機器等の操作が似ているから直ぐに馴染めて楽なんだ。
違いと言えば空に様々な扉が浮いていない事と、人間という種族が闊歩していることくらいだろうか。
「……俺が行って来た世界も文明的にはそれに近かったな」
「おいおい、こんなところでお前の狩場の話なんてするなよな」
流石に驚いて耳打ちすれば、曖昧な笑顔を浮かべて友人は俺をスーパーから連れ出した。
狩場に興味はあるが、そう言う特別な狩場は聞かないのがルールだ。俺だってそれくらいの自制心はある。
とか思っていたんだが、友人の家に連れ込まれて神妙な顔をして手紙を渡された。
「これを渡して来てくれるなら教えるよ」
「これは、手紙?」
「言ったろ、俺は逃げてきたんだ。相手に何も伝えずにな。だからせめて手紙でお別れくらい言おうかなと、結構愛着あったんだけど」
「……だがな、流石にお前が強制送還されるような連中にちょっかい出すのは、俺の格じゃあ心もとない」
「……大丈夫だ、28番世界だから。確かお前、あそこの器耐久型オーダーメイドだったろ」
「28!」
28番世界は俺も一時入り浸っていたことがある。
あそこは6番世界と同じような文明だが、住んでいるのは獣が二足歩行した様な獣人だったはずだ。
獣人だし結構激しい性交を求められるかもとオーダーメイドで器を作ったのだが、実際はそこまでじゃあ無かったので、物珍しさに世界中観光して帰って来たけど……あれは何十年前だったかな? もしかしてもう百年経つか? そのくらい前に行ったきりだ。
「あの世界はお前が急速に力を付ける程変わったのか?」
「……そこまでは言えない、だが俺の紹介が無ければたどり着けないと思う」
「……分かった、正直興味が勝った、その提案に乗る」
*****
「お客さん着きましたよ、此処が茂府佐冨市役所です」
「どうもありがとうございます」
お金を払ってタクシーを降りる。
タクシーの窓ガラスにはこの世界の俺が映っていたが、少しだけ頬の毛が跳ねていたので撫でて直す。
此処での俺は細マッチョな狐獣人だ、金色の毛並みがサラサラしていて気持ちがいい。
さて、俺が市役所までやって来た理由は二つ。
一つはこの世界の仕事をするための繋ぎの淫魔と接触するため。
もう一つは友人の手紙を届ける為。その人はこの市役所の職員らしいから。
受付で職員の名前と友人の名前を告げる。その人に友人の名前を告げれば来てくれるはずだ。
果たしてやって来たのは友人が言っていた特徴と同じ背格好の虎獣人だった。
そしてもう一人、俺が用の有るウサギ獣人も後ろから付いてきている。
その人に手紙を渡し、友人に会わせて欲しいと言われたが、自分もこれがポストに入っていて友人の行先は知らないと言ったらしょんぼりされた。
……あいつ、立鳥後を濁しまくってるじゃないか。手紙を渡してほしいなんて言われたからなんとなくは察していたけど、本来は帰る時に自分の記憶は消すもんだ。
まぁでも手紙を見てもし会ったらいつまでも待っている事を伝えてほしいと言われたので、あいつも帰ってくる気満々で記憶を消さなかったんだろうな。
虎獣人さんが帰って行くのを見届けた俺は、ウサギ獣人に向き直る。
「お久しぶりです、今回もよろしくお願いします」
「うん、久しぶりね~、百年ぶりくらい?」
「さぁどうでしょうか、自分も最後に来たのが何時なのか定かでは無くて」
「まぁ定命の者達みたいに時間なんて気にしても仕方ないしね~。はいこれ、これが紹介出来る仕事一覧で、その中で赤い丸がしてあるのが君の友人が抜けた穴、君に責任取って欲しいなぁ」
「……アイツ本当に急いで逃げ帰ったんですね」
「まぁそう言わないであげて~、最後はもう幽鬼みたいだったからねぇ」
「謹んで赤丸を受けます、これは学生寮の調理場ですか」
「領というよりはアパートに近いね~。学生限定で安く貸し出しているアパートで、そのアパートの一階に食堂があって、自炊しない人が食べにくるんだよねぇ。アパートは四階建ての1LDKだから広いよ、職員用の部屋もあるからそこに住めるように手配してあげるぅ、取り合えず今日はコッチのビジホのこの部屋に泊まってねぇ、後で行くからね」
「了解です」
指定されたビジホは本当に何処にでもありそうな綺麗なビジホだった。
一度外に出て街を見回ってから部屋に帰り、18時が過ぎた時に繋ぎ様がやって来た。
「お待たせ~」
そこからはこの世界の事のすり合わせと仕事の説明。先方にはもう連絡を入れて下さったらしい。
説明が一段落着いたところで、俺はずっと気になっていた疑問をぶつけてみた。
「あの、この街は何か秘密があるのですか? アイツの格があんなに上がったからどんな街かと思ったら普通の街ですし」
「あれね。この街には一つだけ山があるんだけどね、その山の地下を流れている龍脈があってねぇ。丁度龍脈の気の流れが漏れ出した場所にあった幾つかの家の住人が、凄い事になっちゃたんだよね~」
「そんな事が……」
「手を出すのはいいけど、逃げるならちゃんと処理をしてから逃げてねぇ」
「了解です」
この世界での気は身体に大きく影響する、今の話が本当ならばアイツが逃げ帰ったのも頷ける。絶倫なんて目じゃないような時間やられまくったに違いない。
それを考えてぶるりと体が震えた。
恐怖ではなく、本能的な欲求で。
*****
翌日から俺は調理場に入った。と言っても最初は盛り付けと軽い調理が主な仕事だ。
これでも此処に居る獣人達の何倍も生きているわけで、料理の経験値もそこそこ豊富だ。流石にプロになった事は無いけど。
この食堂の仕様は、食券を買ってそのメニューを出す事。
そんでもって新人の俺はその食券を受け取る係になるわけで、そうすればアパートよりもうこれマンションでいいじゃんと思える此処の住人と触れ合うことが出来る。
それが俺の得物を吟味する時間になる。
……のだが。
一週間働いてみて目ぼしい人はいなかった。
よくよく考えれば、アイツは職場で出会った訳では無さそうなので、俺も街に繰り出して得物を漁らなければならない。
と、そんな決意をした翌日の朝、初めて見る顔があった。
狼型の獣人で、毛並みは黒い。しゃんとしていれば格好いいと思うが、寝ぐせなのか毛並みがぐちゃぐちゃで服も少し皺がある。
一言で言えば、寝坊した! だろうか。きっといつもは自炊しているのだろうが寝坊して時間が無かったのだろう。
にしてもこの人……凄いな。
成る程、これだけの気が巡っていればお腹も空くだろうし、そんなデカイ体型にもなるだろう。毛並みのセットよりも朝食を食いっぱぐれる方が怖いのもよく分かる。
あと姿勢が悪い。体型はガチムチ? っぽくて背が高いのに加えて猫背のせいで逆に威圧感がある。
まぁ折角だし彼に手伝って貰おうかな。
食券を受け取る際、彼に淫魔の魔力を少しだけ流す。これで彼は今日の夜俺の夢を見る。
淫魔の魔力は日に日に強くなるから三日もすれば俺とエッチな事をする夢を見るだろう。そうしたら精力を頂くとしよう。
翌日、彼は朝も昼も晩も食堂に来なかった。
経験上一度会った程度の人が明確に夢に出てきたらチラチラ見に来るもんだけどなぁ。
その翌日も彼は来なかった。
もしや気のせいで上手く淫魔の力が作用していないのだろうか?
……仕方ない、苦手だけど夢の中に入って確認するか。
その晩、俺は自分の淫魔の力が作用している夢の中へと飛んだ。この術は苦手なので時間にして五分ほどしか作用しない。更に今の俺の格では夢を見させながら実際に性交をさせる事も出来ない。人間達にしたら長い間生きていても、俺達淫魔にしたらまだ俺はひよっこなのだ。
夢の中は彼の部屋? だと思うけど、その部屋のベッドに俺が裸で寝転がり、その上で彼が泣いている所だった。
……意味が分からん。
え、ちょっと待って、今日はもう滅茶苦茶エッチな夢を見るはずなのになんでこんなことになってるんだ?
お? 夢の中の俺が彼を撫でて性交しようと迫るぞ。ふむ、成る程彼のアソコを自分に入れようとしているという事は、彼は入れる側という事か。この世界は男性同士もごく当たり前だから同性でやれる人を探さないでいいのは楽だよな。夢を見れば相手が本能的にどっちをやりたいのかも分かるし。
さてそろそろ始まるのかと思ったらイヤイヤと首を振ってベッドから落ちる狼君。
もしかしてあれか? 好きな人がいるからその人とじゃないとやりたくないって事か?
……無理強いは俺の趣味じゃないし、更に苦手だけどエロイ夢から彼を慰めて悩みを聞く夢にシフトさせてッってもう時間か!
何とかシフトチェンジが完了したところでスーッと自分の部屋に戻って来たのでふて寝をすることにした。
翌晩、今日も彼は来なかったので夢を覗き見る事にした。
「好きな人がいるの?」
丁度夢の中の俺が聞きたい事を聞いてくれた。
それに彼は首を横に振る。
違うのか、それじゃあなんであそこまで忌避感があったのだろうか?
翌日の御昼過ぎ、なんと彼が食堂に現れた!
チラチラと此方を意識するように見てくるので何度か目を合わせる。こうすることで次につながる。
人が少ない時間なので休憩に入り、賄いのご飯を持って彼の隣にトレイを置く。
「こんにちは、お隣いいですか?」
「え、あの、はい」
彼が内気なのはなんとなく分かる。
今も背を丸めて端っこで食べているし。
「別に何というわけではないのですけどね、視線が気になった物だから来てしまって」
「すいません」
「あ、いや本当に気になっただけですから」
「……」
「もし会って話すのが苦手ならコレ、自分のSNSのアカウントです、何か気になる事があったらいつでも連絡してくださいね。それじゃあ」
ともう一度トレイを持って違う場所に座ってご飯を食べる。
因みにスマホは此方の仕事に就いてから初めての休日に契約しに行った。やっぱり情報が得られる媒体があると何かと便利だしね。
暫くすると 彼はいなくなったけれどもメッセージが来ていた。
要約すると、夢に見たから少しだけ気になってチラチラ見てしまった事が書かれていた。
そんなの全然気にしないし、むしろ夢で会ってくれてありがとうと冗談めかして返信する。
翌朝、彼に朝の挨拶をすると返してくれた。
その後も少しだけやり取りするようになって、一か月たってようやく学校の話や自分の事を話してくれるようになった。
正直彼でなければならない理由は無いのだけれども、淫魔の意地というかプライドというか、一度目を付けた得物を面倒臭いからという理由だけで放り出すのは俺としては無しだ。
昼休憩の間、彼が今日学校の授業であったことを教えてくれた。
彼は大学三年生で、親の勧めで経済学部に入ったらしい。家は父子家庭だが大学に入ると同時に父親が海外に転勤になったのでこのアパートに住む事になったらしい。
近いので実家に一人暮らしでも良かったのだが、離婚した時のちょっとしたトラウマがあるからさっさと家から出たかったそうだ。
そんな彼と更に二か月過ごし、今日会って話したいと彼から部屋に誘われた。
これはもしや近しくなって恋心的なのが芽生えてきたか?
メッセージをするようになってから一旦彼の中の淫力を自分に戻したので、夢に関しての相談でないのは確かだ。俺の場合夢は短期戦略向けであり長期に俺の夢だけ見させるのは流石に不信すぎる。
一応シャワーを浴びてから色々準備をして彼の部屋へ行くと、夢で見た部屋と同じだった。リビングには濃い青のソファーがあり緑のカーペット、ソファーの先にはテレビが置かれている。此処まで同じならベッドも白黒のモノトーンの物だろう。
「おまたせ、お邪魔します」
「全然待ってないから、汚い部屋だけど、どうぞ」
「いやいや綺麗だよ」
「……それであの、本題なのですが」
おぉいきなり本題! さて、なんて言われるかな。
「あの、本当に申し訳ないのですが、メッセージ止めたいです」
「……ごめんね、気が付かなくて、凄い迷惑だった?」
「いえ、そんな事は無くて、むしろ嬉しかったんですけど、でも、これ以上はダメだから」
まさかの拒否!
うーん、いくらひよっことはいえ長い淫魔生活の中で初めての反応だ。
一体何をしくじったのか、後学のためにも少し聞いてみよう。
「良ければ理由を教えてくれないかな?」
「……怖いんだ」
「怖い?」
「怖い。彰人さんを好きになりそうで」
「……人を好きになるのが怖い?」
「違うんです、でもその、父さんと母さんが離婚する理由を知っていたから、何時か俺も」
「……」
「父さんは、その……母さんに求めすぎて、それで母さんがもう無理って離婚したんです。父さんはお前も自分と同じだから気を付けろって。俺は、好きな人に拒絶されるのも壊してしまうのも嫌だから……」
……成る程、小さなトラウマが月日を追うごとに大きくなってしまったのかな。
そりゃいきなり迫れば嫌だという訳か、快楽への渇望よりも恐怖心が勝ってしまう。
さて、どうしようかな。此処まで来てそれじゃあはい諦めますとは言えない。というか淫魔が恐怖心に負けて堪るか! 快楽への渇望を増幅させる!
「そんな事があったのか。それじゃあまぁ仕方ないかな。正直言えば俺も圭太君の事気になってたから嬉しいよ。こうやって打ち明けてもいいと思えるほど俺の事想ってくれて」
「彰人さん」
「……それなら最後に少し近づいてもいいかな」
ソファーで向き合っていた俺はさっと彼に体をくっ付けて目を見る。
「うぅ」
「せめて思い出にキスしてもいいかな?」
「そ、それは」
「ダメかな、でも俺からだから、圭太君はそのままでもいいよ」
「……ん」
目を瞑った彼に口付けをして、耳を撫でてそちらに驚いているうちに舌を押し入れる。
「んんぅ!」
圭太君が何やら唸っているが気にせず舌を絡ませる。彼も拙く此方に合わせる様に絡みつかせてくる。たどたどしいディープキスだが興奮してきた。
彼も俺とのキスで全身を蝕むように快楽の波が押し寄せているはずだ。淫魔にはそう言う力がある。それに夢に入るよりも実践の方が得意なんだ俺は。
「ハァ、ハァ」
一旦キスを辞めて離れると、息の荒い圭太君が太ももに腕を置き少し丸まっていた。
「……彰人、さん。彰人さん」
「圭太君」
「お、オレ……助けて」
「圭太君?」
圭太君をソファーの背凭れに寄りかからせると、手をぐっと握り込んでいたのでそっと触れると、その手は汗で濡れていた。
それからズボンを窮屈そうに押し上げているモノも目に入る。
「彰人さん、を、襲いたくて、でもダメだから」
「……圭太君、助けてあげるよ」
ハァハァと息を荒げている口を塞ぎ再度舌を絡ませる。
彼にまたがる様にして頭を抱えながら深いキスをしていると、彼の腕がきつく俺を縛る。
唇を離すと、名残惜しそうに見つめる圭太君にもう先程のような怯えは無い。
淫魔の魔力が体に回ったのだろう、快楽が恐怖に勝った!
自分の固くなっているモノを彼の体に擦り付けると、一瞬ピシりと彼の体が固まった。
「大丈夫だから、しよう? 準備して来てあるんだ」
「……」
彼は何も言わずに俺を抱きかかえたまま寝室へと向かった。
彼の太い腕で軽々と持ち上げられ、ベッドにストンと落とされる。
「……」
ちょっと目が据わってるような気がするが、淡々と脱ぎだした圭太君に合わせて俺も脱ぎ去る。
中々いい体だな圭太君、そう言えばたまに学校のジムを利用していると言っていたっけ。
「彰人さんが」
「ん?」
「彰人さんが、悪いんですよ」
「……そうだな、俺が悪い」
「……オレが、どんなに我慢したか」
全裸になった俺を圭太君が軽く押してベッドに倒れさせ、仰向けで倒れた俺をコロリとうつ伏せにする。
圭太君の太いアソコからは既に我慢汁が垂れていた。
「うっ」
前戯も無くいきなり圭太君の太いのが俺の中に入って来る。
淫魔なのでそれくらい余裕だが、普通の人なら痛くてもうセックスどころではないだろう。
グイグイと押し込まれ一気に中を広げられるたびに声が漏れる。
「ハァハァ、入った」
俺の体を押しつぶすように圧し掛かって来た圭太君の顔が俺の顔に近くに来る。
そして俺の頭を自分の方に向けさせ、強引に唇を重ね舌を絡ませる。
「ん、んぅ」
キスをしたままゆるりと持ち上がった腰が一気に落ちてくる。
ゆっくりと抜かれる彼を逃がさないように締めると、俺を押し広げて奥をついてくる。
奥をつかれると全身に快楽が走り、彼の唇で蓋をされているのでくぐもった喘ぎ声が咥内に広がる。
「ぐぅぅ、でるぅ!」
最後に激しくピストンをして俺の中に彼の精液が入って来る。
その濃厚な精力に思わず声にならないような叫び声をあげてしまう。
なんて、なんて濃厚で体全体にいきわたるような精力なんだろうか。
「彰人、さん。オレのになって」
「圭太君?」
「誰にも惚れないように、誰も見ないように、ずっと、ずっとずっと小さくなって、何も見ないようにして生きてきた。でも彰人を知ったから、もう元に戻れないよ、オレのになって、オレのに、あきと」
「……いいよ」
「ッ、がああああああ」
「圭太君!」
いきなり吼えた彼に驚き振り返ると、そのまま体を反転させられて体が悲鳴を上げる程きつく抱きしめられる。
「フー、フー、彰人に全部、ぜん、ぶ」
「ぐぅ、うっ、あっ」
「あきと、オレのあきと」
「うぁ、そ、そこぁうあ、い、いぅ」
ガンガンと奥を突かれ思い出したように前立腺を押し上げられ、俺は彼に抱き着きながら喘ぎ吐精した。
「オレも!」
先ほどよりも量の多い精液がドプリの中に流れ込んでくる。
その心地よさが全身を快楽で包み込み俺の体が二度三度震え、漸く力が抜けてベッドに身を委ねる。
ふぅと一息つこうとして口を開けた瞬間、彼の唇が重ねられて深いキスを求められてまた奥を抉られ続ける。
「またでる」
「ひぐぅ」
中に出されて、今度はうつ伏せにされて逃げないようにと抱き着かれたままバッグで出される。そのまま尻尾を掴まれて腰を支えられながら続行し、尻尾をぎゅっと握られると思わず体が跳ね中が締まり彼の腰の動きが激しくなる。
「オレの全部、彰人に出すからな!」
性格変わってない? とぼんやり思いながらも俺は彼に頷いた。
そして気が付いたら朝だった。
「もう朝に……オレ、まだ彰人に全部出してないのに」
「……明後日は休日だろう? また明後日ちゃんと付き合うから」
一晩中喘いでいたせいでかすれた声で彼に微笑みかける。
「今日の夜は?」
「睡眠は大事だよ、ちゃんと寝ないと体を壊す」
「……」
「……ちょっとだけだぞ」
「ありがとう彰人! その、フェラして貰いたくて」
「シャワールームでしてあげるよ、そっちの方が都合いいから」
と言ってから彼がまだまだデカイのを最期だからと滅茶苦茶に激しく俺を貪って中に出して漸く抜いた。
だがまだ雄々しく勃起しているそれを収めるために、彼がセックスで乱れた毛並みをシャワーで整えている間に咥える。
顎が痛くなる事は淫魔なのでないが、それでも彼の太いのを歯を当てないように気を付けて舌で撫でながら吸い付いて口を締めるのは中々難しい。
だが俺もフェラは嫌いじゃない、圭太君の固いのを咥えながら我慢できず自分のも弄ってしまう。
それを見た圭太君が俺の頭をガッチリと掴んで腰を振り俺の喉にまだまだ濃い精液を流し込む。彼の精液をちゃんと飲み欲して……もう一回お代わりを強制されて、まだまだ続けたいとしょんぼりされながらなんとか一緒に部屋を出た。
今日は少し遅い時間からの勤務なので今から仕度をしても間に合う。
一度部屋に戻りベッドに倒れ込む。
「ふぅ、ふぅ、ヤバイ、一回でこんなに」
格が上がるまでは行っていないが、一気に力が増したので風邪のような症状が体に襲い掛かって来る。
それでも暫くじっとしていれば治るが、もしこの状態でも犯され続けたらと思うと……アイツが逃げ帰ったのも少し分かる気がする。
それでも今のところ器が壊れる程ではないし、俺はもう少しこっちで頑張れそうだ。
……なんて思っていたけど、週末の激しさは形容しがたい程で、淫魔と言えどセックスで壊れそうになる事なんてあるんだなと現実逃避をする羽目になった。
結局俺は彼と付き合い始め、彼が海外に就職するからついて来てほしいと言われて勿論ホイホイついて行き、彼のお父さんに挨拶をしたりなんかしていたら、結婚する事になり……。
「まさかの幸せ家庭を作る事になりました。って感じだなこっちは、お前もちゃんと戻って来たんだな」
「オーダーメイドで強度だけ異様に強くして戻って来たから一週間だろうが一か月だろうが耐えられるぜ!」
海外から帰省した時に友人がこの世界に戻って来た事を知りお互い近況報告をしていると、圭太が俺達のいるレストランへ向ってくるのが窓から見えた。
「じゃあ俺は行くから、またな」
まだ精力が切れていないので通常の食事を買いにスーパーへ出かけたら、どや顔の友人に出会った。
「なっ! おまえその淫力どうしたんだよ!」
だがそのどや顔の理由も納得できる。
なにせ以前見た時よりも格が二つも上がっていたのだ。
俺たち淫魔は異世界の住人の精力を奪う事で淫魔としての格が上がり淫力を上げる事が出来る。
淫力を上げる事によって様々な恩恵が得られるが、格が上がると王様から褒賞も出るし、一度に搾り取れる精力も上がるとそれだけ得られるお金も増える。
本来は徐々に淫魔としての格が上がっていくので、一気にレベルアップした目の前の友人に驚かずにはいられなかった。
「いいだろー、実は滅茶苦茶いい狩場に出会ったんだー……まぁ暫くは行かないけど」
「くッ、素直に羨ましい。それにしても暫くは行かないってのはどうしてだ? そんなにいい狩場なら誰かに取られる前にさっさと収穫すればいいだろ?」
「あーいや、その、実は逃げてきたんだ。だからもう暫くはいいかなって」
「逃げてきた?」
「そそ、あのままだったら強制送還されそうだったし」
「そんなにか!」
強制送還、俺達淫魔は異世界に行くにあたって専用の器を作って行くのだが、その器が壊れる程の衝撃が加わるとこの世界へ強制送還されるようになっている。
だがつまり淫魔がやり殺されそうになったという事だ、流石に興味が沸く。
「こっちの事情はこんな感じだけど、そっちは?」
「俺? 俺は6番世界に行って帰って来て、暫くいいかなぁと思ってたとこだ」
「あぁ、此処に近い世界に」
「そこそこ」
6番世界、彼等の言葉で言うと地球という世界。そんでもって俺が行って来たのは俺が住んでいる街と似ている日本という国だ。
電車などの交通機関や電子機器等の操作が似ているから直ぐに馴染めて楽なんだ。
違いと言えば空に様々な扉が浮いていない事と、人間という種族が闊歩していることくらいだろうか。
「……俺が行って来た世界も文明的にはそれに近かったな」
「おいおい、こんなところでお前の狩場の話なんてするなよな」
流石に驚いて耳打ちすれば、曖昧な笑顔を浮かべて友人は俺をスーパーから連れ出した。
狩場に興味はあるが、そう言う特別な狩場は聞かないのがルールだ。俺だってそれくらいの自制心はある。
とか思っていたんだが、友人の家に連れ込まれて神妙な顔をして手紙を渡された。
「これを渡して来てくれるなら教えるよ」
「これは、手紙?」
「言ったろ、俺は逃げてきたんだ。相手に何も伝えずにな。だからせめて手紙でお別れくらい言おうかなと、結構愛着あったんだけど」
「……だがな、流石にお前が強制送還されるような連中にちょっかい出すのは、俺の格じゃあ心もとない」
「……大丈夫だ、28番世界だから。確かお前、あそこの器耐久型オーダーメイドだったろ」
「28!」
28番世界は俺も一時入り浸っていたことがある。
あそこは6番世界と同じような文明だが、住んでいるのは獣が二足歩行した様な獣人だったはずだ。
獣人だし結構激しい性交を求められるかもとオーダーメイドで器を作ったのだが、実際はそこまでじゃあ無かったので、物珍しさに世界中観光して帰って来たけど……あれは何十年前だったかな? もしかしてもう百年経つか? そのくらい前に行ったきりだ。
「あの世界はお前が急速に力を付ける程変わったのか?」
「……そこまでは言えない、だが俺の紹介が無ければたどり着けないと思う」
「……分かった、正直興味が勝った、その提案に乗る」
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「お客さん着きましたよ、此処が茂府佐冨市役所です」
「どうもありがとうございます」
お金を払ってタクシーを降りる。
タクシーの窓ガラスにはこの世界の俺が映っていたが、少しだけ頬の毛が跳ねていたので撫でて直す。
此処での俺は細マッチョな狐獣人だ、金色の毛並みがサラサラしていて気持ちがいい。
さて、俺が市役所までやって来た理由は二つ。
一つはこの世界の仕事をするための繋ぎの淫魔と接触するため。
もう一つは友人の手紙を届ける為。その人はこの市役所の職員らしいから。
受付で職員の名前と友人の名前を告げる。その人に友人の名前を告げれば来てくれるはずだ。
果たしてやって来たのは友人が言っていた特徴と同じ背格好の虎獣人だった。
そしてもう一人、俺が用の有るウサギ獣人も後ろから付いてきている。
その人に手紙を渡し、友人に会わせて欲しいと言われたが、自分もこれがポストに入っていて友人の行先は知らないと言ったらしょんぼりされた。
……あいつ、立鳥後を濁しまくってるじゃないか。手紙を渡してほしいなんて言われたからなんとなくは察していたけど、本来は帰る時に自分の記憶は消すもんだ。
まぁでも手紙を見てもし会ったらいつまでも待っている事を伝えてほしいと言われたので、あいつも帰ってくる気満々で記憶を消さなかったんだろうな。
虎獣人さんが帰って行くのを見届けた俺は、ウサギ獣人に向き直る。
「お久しぶりです、今回もよろしくお願いします」
「うん、久しぶりね~、百年ぶりくらい?」
「さぁどうでしょうか、自分も最後に来たのが何時なのか定かでは無くて」
「まぁ定命の者達みたいに時間なんて気にしても仕方ないしね~。はいこれ、これが紹介出来る仕事一覧で、その中で赤い丸がしてあるのが君の友人が抜けた穴、君に責任取って欲しいなぁ」
「……アイツ本当に急いで逃げ帰ったんですね」
「まぁそう言わないであげて~、最後はもう幽鬼みたいだったからねぇ」
「謹んで赤丸を受けます、これは学生寮の調理場ですか」
「領というよりはアパートに近いね~。学生限定で安く貸し出しているアパートで、そのアパートの一階に食堂があって、自炊しない人が食べにくるんだよねぇ。アパートは四階建ての1LDKだから広いよ、職員用の部屋もあるからそこに住めるように手配してあげるぅ、取り合えず今日はコッチのビジホのこの部屋に泊まってねぇ、後で行くからね」
「了解です」
指定されたビジホは本当に何処にでもありそうな綺麗なビジホだった。
一度外に出て街を見回ってから部屋に帰り、18時が過ぎた時に繋ぎ様がやって来た。
「お待たせ~」
そこからはこの世界の事のすり合わせと仕事の説明。先方にはもう連絡を入れて下さったらしい。
説明が一段落着いたところで、俺はずっと気になっていた疑問をぶつけてみた。
「あの、この街は何か秘密があるのですか? アイツの格があんなに上がったからどんな街かと思ったら普通の街ですし」
「あれね。この街には一つだけ山があるんだけどね、その山の地下を流れている龍脈があってねぇ。丁度龍脈の気の流れが漏れ出した場所にあった幾つかの家の住人が、凄い事になっちゃたんだよね~」
「そんな事が……」
「手を出すのはいいけど、逃げるならちゃんと処理をしてから逃げてねぇ」
「了解です」
この世界での気は身体に大きく影響する、今の話が本当ならばアイツが逃げ帰ったのも頷ける。絶倫なんて目じゃないような時間やられまくったに違いない。
それを考えてぶるりと体が震えた。
恐怖ではなく、本能的な欲求で。
*****
翌日から俺は調理場に入った。と言っても最初は盛り付けと軽い調理が主な仕事だ。
これでも此処に居る獣人達の何倍も生きているわけで、料理の経験値もそこそこ豊富だ。流石にプロになった事は無いけど。
この食堂の仕様は、食券を買ってそのメニューを出す事。
そんでもって新人の俺はその食券を受け取る係になるわけで、そうすればアパートよりもうこれマンションでいいじゃんと思える此処の住人と触れ合うことが出来る。
それが俺の得物を吟味する時間になる。
……のだが。
一週間働いてみて目ぼしい人はいなかった。
よくよく考えれば、アイツは職場で出会った訳では無さそうなので、俺も街に繰り出して得物を漁らなければならない。
と、そんな決意をした翌日の朝、初めて見る顔があった。
狼型の獣人で、毛並みは黒い。しゃんとしていれば格好いいと思うが、寝ぐせなのか毛並みがぐちゃぐちゃで服も少し皺がある。
一言で言えば、寝坊した! だろうか。きっといつもは自炊しているのだろうが寝坊して時間が無かったのだろう。
にしてもこの人……凄いな。
成る程、これだけの気が巡っていればお腹も空くだろうし、そんなデカイ体型にもなるだろう。毛並みのセットよりも朝食を食いっぱぐれる方が怖いのもよく分かる。
あと姿勢が悪い。体型はガチムチ? っぽくて背が高いのに加えて猫背のせいで逆に威圧感がある。
まぁ折角だし彼に手伝って貰おうかな。
食券を受け取る際、彼に淫魔の魔力を少しだけ流す。これで彼は今日の夜俺の夢を見る。
淫魔の魔力は日に日に強くなるから三日もすれば俺とエッチな事をする夢を見るだろう。そうしたら精力を頂くとしよう。
翌日、彼は朝も昼も晩も食堂に来なかった。
経験上一度会った程度の人が明確に夢に出てきたらチラチラ見に来るもんだけどなぁ。
その翌日も彼は来なかった。
もしや気のせいで上手く淫魔の力が作用していないのだろうか?
……仕方ない、苦手だけど夢の中に入って確認するか。
その晩、俺は自分の淫魔の力が作用している夢の中へと飛んだ。この術は苦手なので時間にして五分ほどしか作用しない。更に今の俺の格では夢を見させながら実際に性交をさせる事も出来ない。人間達にしたら長い間生きていても、俺達淫魔にしたらまだ俺はひよっこなのだ。
夢の中は彼の部屋? だと思うけど、その部屋のベッドに俺が裸で寝転がり、その上で彼が泣いている所だった。
……意味が分からん。
え、ちょっと待って、今日はもう滅茶苦茶エッチな夢を見るはずなのになんでこんなことになってるんだ?
お? 夢の中の俺が彼を撫でて性交しようと迫るぞ。ふむ、成る程彼のアソコを自分に入れようとしているという事は、彼は入れる側という事か。この世界は男性同士もごく当たり前だから同性でやれる人を探さないでいいのは楽だよな。夢を見れば相手が本能的にどっちをやりたいのかも分かるし。
さてそろそろ始まるのかと思ったらイヤイヤと首を振ってベッドから落ちる狼君。
もしかしてあれか? 好きな人がいるからその人とじゃないとやりたくないって事か?
……無理強いは俺の趣味じゃないし、更に苦手だけどエロイ夢から彼を慰めて悩みを聞く夢にシフトさせてッってもう時間か!
何とかシフトチェンジが完了したところでスーッと自分の部屋に戻って来たのでふて寝をすることにした。
翌晩、今日も彼は来なかったので夢を覗き見る事にした。
「好きな人がいるの?」
丁度夢の中の俺が聞きたい事を聞いてくれた。
それに彼は首を横に振る。
違うのか、それじゃあなんであそこまで忌避感があったのだろうか?
翌日の御昼過ぎ、なんと彼が食堂に現れた!
チラチラと此方を意識するように見てくるので何度か目を合わせる。こうすることで次につながる。
人が少ない時間なので休憩に入り、賄いのご飯を持って彼の隣にトレイを置く。
「こんにちは、お隣いいですか?」
「え、あの、はい」
彼が内気なのはなんとなく分かる。
今も背を丸めて端っこで食べているし。
「別に何というわけではないのですけどね、視線が気になった物だから来てしまって」
「すいません」
「あ、いや本当に気になっただけですから」
「……」
「もし会って話すのが苦手ならコレ、自分のSNSのアカウントです、何か気になる事があったらいつでも連絡してくださいね。それじゃあ」
ともう一度トレイを持って違う場所に座ってご飯を食べる。
因みにスマホは此方の仕事に就いてから初めての休日に契約しに行った。やっぱり情報が得られる媒体があると何かと便利だしね。
暫くすると 彼はいなくなったけれどもメッセージが来ていた。
要約すると、夢に見たから少しだけ気になってチラチラ見てしまった事が書かれていた。
そんなの全然気にしないし、むしろ夢で会ってくれてありがとうと冗談めかして返信する。
翌朝、彼に朝の挨拶をすると返してくれた。
その後も少しだけやり取りするようになって、一か月たってようやく学校の話や自分の事を話してくれるようになった。
正直彼でなければならない理由は無いのだけれども、淫魔の意地というかプライドというか、一度目を付けた得物を面倒臭いからという理由だけで放り出すのは俺としては無しだ。
昼休憩の間、彼が今日学校の授業であったことを教えてくれた。
彼は大学三年生で、親の勧めで経済学部に入ったらしい。家は父子家庭だが大学に入ると同時に父親が海外に転勤になったのでこのアパートに住む事になったらしい。
近いので実家に一人暮らしでも良かったのだが、離婚した時のちょっとしたトラウマがあるからさっさと家から出たかったそうだ。
そんな彼と更に二か月過ごし、今日会って話したいと彼から部屋に誘われた。
これはもしや近しくなって恋心的なのが芽生えてきたか?
メッセージをするようになってから一旦彼の中の淫力を自分に戻したので、夢に関しての相談でないのは確かだ。俺の場合夢は短期戦略向けであり長期に俺の夢だけ見させるのは流石に不信すぎる。
一応シャワーを浴びてから色々準備をして彼の部屋へ行くと、夢で見た部屋と同じだった。リビングには濃い青のソファーがあり緑のカーペット、ソファーの先にはテレビが置かれている。此処まで同じならベッドも白黒のモノトーンの物だろう。
「おまたせ、お邪魔します」
「全然待ってないから、汚い部屋だけど、どうぞ」
「いやいや綺麗だよ」
「……それであの、本題なのですが」
おぉいきなり本題! さて、なんて言われるかな。
「あの、本当に申し訳ないのですが、メッセージ止めたいです」
「……ごめんね、気が付かなくて、凄い迷惑だった?」
「いえ、そんな事は無くて、むしろ嬉しかったんですけど、でも、これ以上はダメだから」
まさかの拒否!
うーん、いくらひよっことはいえ長い淫魔生活の中で初めての反応だ。
一体何をしくじったのか、後学のためにも少し聞いてみよう。
「良ければ理由を教えてくれないかな?」
「……怖いんだ」
「怖い?」
「怖い。彰人さんを好きになりそうで」
「……人を好きになるのが怖い?」
「違うんです、でもその、父さんと母さんが離婚する理由を知っていたから、何時か俺も」
「……」
「父さんは、その……母さんに求めすぎて、それで母さんがもう無理って離婚したんです。父さんはお前も自分と同じだから気を付けろって。俺は、好きな人に拒絶されるのも壊してしまうのも嫌だから……」
……成る程、小さなトラウマが月日を追うごとに大きくなってしまったのかな。
そりゃいきなり迫れば嫌だという訳か、快楽への渇望よりも恐怖心が勝ってしまう。
さて、どうしようかな。此処まで来てそれじゃあはい諦めますとは言えない。というか淫魔が恐怖心に負けて堪るか! 快楽への渇望を増幅させる!
「そんな事があったのか。それじゃあまぁ仕方ないかな。正直言えば俺も圭太君の事気になってたから嬉しいよ。こうやって打ち明けてもいいと思えるほど俺の事想ってくれて」
「彰人さん」
「……それなら最後に少し近づいてもいいかな」
ソファーで向き合っていた俺はさっと彼に体をくっ付けて目を見る。
「うぅ」
「せめて思い出にキスしてもいいかな?」
「そ、それは」
「ダメかな、でも俺からだから、圭太君はそのままでもいいよ」
「……ん」
目を瞑った彼に口付けをして、耳を撫でてそちらに驚いているうちに舌を押し入れる。
「んんぅ!」
圭太君が何やら唸っているが気にせず舌を絡ませる。彼も拙く此方に合わせる様に絡みつかせてくる。たどたどしいディープキスだが興奮してきた。
彼も俺とのキスで全身を蝕むように快楽の波が押し寄せているはずだ。淫魔にはそう言う力がある。それに夢に入るよりも実践の方が得意なんだ俺は。
「ハァ、ハァ」
一旦キスを辞めて離れると、息の荒い圭太君が太ももに腕を置き少し丸まっていた。
「……彰人、さん。彰人さん」
「圭太君」
「お、オレ……助けて」
「圭太君?」
圭太君をソファーの背凭れに寄りかからせると、手をぐっと握り込んでいたのでそっと触れると、その手は汗で濡れていた。
それからズボンを窮屈そうに押し上げているモノも目に入る。
「彰人さん、を、襲いたくて、でもダメだから」
「……圭太君、助けてあげるよ」
ハァハァと息を荒げている口を塞ぎ再度舌を絡ませる。
彼にまたがる様にして頭を抱えながら深いキスをしていると、彼の腕がきつく俺を縛る。
唇を離すと、名残惜しそうに見つめる圭太君にもう先程のような怯えは無い。
淫魔の魔力が体に回ったのだろう、快楽が恐怖に勝った!
自分の固くなっているモノを彼の体に擦り付けると、一瞬ピシりと彼の体が固まった。
「大丈夫だから、しよう? 準備して来てあるんだ」
「……」
彼は何も言わずに俺を抱きかかえたまま寝室へと向かった。
彼の太い腕で軽々と持ち上げられ、ベッドにストンと落とされる。
「……」
ちょっと目が据わってるような気がするが、淡々と脱ぎだした圭太君に合わせて俺も脱ぎ去る。
中々いい体だな圭太君、そう言えばたまに学校のジムを利用していると言っていたっけ。
「彰人さんが」
「ん?」
「彰人さんが、悪いんですよ」
「……そうだな、俺が悪い」
「……オレが、どんなに我慢したか」
全裸になった俺を圭太君が軽く押してベッドに倒れさせ、仰向けで倒れた俺をコロリとうつ伏せにする。
圭太君の太いアソコからは既に我慢汁が垂れていた。
「うっ」
前戯も無くいきなり圭太君の太いのが俺の中に入って来る。
淫魔なのでそれくらい余裕だが、普通の人なら痛くてもうセックスどころではないだろう。
グイグイと押し込まれ一気に中を広げられるたびに声が漏れる。
「ハァハァ、入った」
俺の体を押しつぶすように圧し掛かって来た圭太君の顔が俺の顔に近くに来る。
そして俺の頭を自分の方に向けさせ、強引に唇を重ね舌を絡ませる。
「ん、んぅ」
キスをしたままゆるりと持ち上がった腰が一気に落ちてくる。
ゆっくりと抜かれる彼を逃がさないように締めると、俺を押し広げて奥をついてくる。
奥をつかれると全身に快楽が走り、彼の唇で蓋をされているのでくぐもった喘ぎ声が咥内に広がる。
「ぐぅぅ、でるぅ!」
最後に激しくピストンをして俺の中に彼の精液が入って来る。
その濃厚な精力に思わず声にならないような叫び声をあげてしまう。
なんて、なんて濃厚で体全体にいきわたるような精力なんだろうか。
「彰人、さん。オレのになって」
「圭太君?」
「誰にも惚れないように、誰も見ないように、ずっと、ずっとずっと小さくなって、何も見ないようにして生きてきた。でも彰人を知ったから、もう元に戻れないよ、オレのになって、オレのに、あきと」
「……いいよ」
「ッ、がああああああ」
「圭太君!」
いきなり吼えた彼に驚き振り返ると、そのまま体を反転させられて体が悲鳴を上げる程きつく抱きしめられる。
「フー、フー、彰人に全部、ぜん、ぶ」
「ぐぅ、うっ、あっ」
「あきと、オレのあきと」
「うぁ、そ、そこぁうあ、い、いぅ」
ガンガンと奥を突かれ思い出したように前立腺を押し上げられ、俺は彼に抱き着きながら喘ぎ吐精した。
「オレも!」
先ほどよりも量の多い精液がドプリの中に流れ込んでくる。
その心地よさが全身を快楽で包み込み俺の体が二度三度震え、漸く力が抜けてベッドに身を委ねる。
ふぅと一息つこうとして口を開けた瞬間、彼の唇が重ねられて深いキスを求められてまた奥を抉られ続ける。
「またでる」
「ひぐぅ」
中に出されて、今度はうつ伏せにされて逃げないようにと抱き着かれたままバッグで出される。そのまま尻尾を掴まれて腰を支えられながら続行し、尻尾をぎゅっと握られると思わず体が跳ね中が締まり彼の腰の動きが激しくなる。
「オレの全部、彰人に出すからな!」
性格変わってない? とぼんやり思いながらも俺は彼に頷いた。
そして気が付いたら朝だった。
「もう朝に……オレ、まだ彰人に全部出してないのに」
「……明後日は休日だろう? また明後日ちゃんと付き合うから」
一晩中喘いでいたせいでかすれた声で彼に微笑みかける。
「今日の夜は?」
「睡眠は大事だよ、ちゃんと寝ないと体を壊す」
「……」
「……ちょっとだけだぞ」
「ありがとう彰人! その、フェラして貰いたくて」
「シャワールームでしてあげるよ、そっちの方が都合いいから」
と言ってから彼がまだまだデカイのを最期だからと滅茶苦茶に激しく俺を貪って中に出して漸く抜いた。
だがまだ雄々しく勃起しているそれを収めるために、彼がセックスで乱れた毛並みをシャワーで整えている間に咥える。
顎が痛くなる事は淫魔なのでないが、それでも彼の太いのを歯を当てないように気を付けて舌で撫でながら吸い付いて口を締めるのは中々難しい。
だが俺もフェラは嫌いじゃない、圭太君の固いのを咥えながら我慢できず自分のも弄ってしまう。
それを見た圭太君が俺の頭をガッチリと掴んで腰を振り俺の喉にまだまだ濃い精液を流し込む。彼の精液をちゃんと飲み欲して……もう一回お代わりを強制されて、まだまだ続けたいとしょんぼりされながらなんとか一緒に部屋を出た。
今日は少し遅い時間からの勤務なので今から仕度をしても間に合う。
一度部屋に戻りベッドに倒れ込む。
「ふぅ、ふぅ、ヤバイ、一回でこんなに」
格が上がるまでは行っていないが、一気に力が増したので風邪のような症状が体に襲い掛かって来る。
それでも暫くじっとしていれば治るが、もしこの状態でも犯され続けたらと思うと……アイツが逃げ帰ったのも少し分かる気がする。
それでも今のところ器が壊れる程ではないし、俺はもう少しこっちで頑張れそうだ。
……なんて思っていたけど、週末の激しさは形容しがたい程で、淫魔と言えどセックスで壊れそうになる事なんてあるんだなと現実逃避をする羽目になった。
結局俺は彼と付き合い始め、彼が海外に就職するからついて来てほしいと言われて勿論ホイホイついて行き、彼のお父さんに挨拶をしたりなんかしていたら、結婚する事になり……。
「まさかの幸せ家庭を作る事になりました。って感じだなこっちは、お前もちゃんと戻って来たんだな」
「オーダーメイドで強度だけ異様に強くして戻って来たから一週間だろうが一か月だろうが耐えられるぜ!」
海外から帰省した時に友人がこの世界に戻って来た事を知りお互い近況報告をしていると、圭太が俺達のいるレストランへ向ってくるのが窓から見えた。
「じゃあ俺は行くから、またな」
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