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22.春野先生はかっこいい
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「どうしたの!?」
私と春野先生で恵奈ちゃんたちに駆け寄る。
「足を診てあげてください! 突然痛くなったみたいで」
太陽くんに言われ、春野先生はしゃがみこんで恵奈ちゃんの足を確かめる。
恵奈ちゃんのふくらはぎには、赤い傷があった。透明な糸のようなものも引っかかっている。
「クラゲに刺されたのね」
春野先生は冷静に言って立ち上がる。
「ク、クラゲェ?」
恵奈ちゃんは目に涙をためていた。
「先生と月渚ちゃんでござまで連れて行くから、昴くんと太陽くんは海水を汲んできてくれる? ござの上にきれいな桶があるから、それを使って」
「海水を、ですか? なんのために?」
先生は冷静に指示を出すけれど、太陽くんがうろたえる。
「いいから、大至急よろしくね!」
「よし、太陽、行くぜ! 猛ダッシュ!」
昴くんは太陽くんの返事も待たずに、ござへ走っていく。
「ま、待って、昴!」
太陽も昴くんに続いた。二人はあっという間にござから桶を持ち出し、また海のほうへ走っていく。
私と春野先生は恵奈ちゃんに肩を貸した。恵奈ちゃんをござへ連れて行き、上に座らせる。
「痛いよお……」
改めて足を見てみる。誰かに思いきり引っ掻かれたみたいな、痛々しい傷だった。
「月渚ちゃん、救急箱からピンセットを取ってくれる?」
ゴム手袋をはめている春野先生に指示された。
「は、はい」
「春野先生! 海水!」
私がピンセットを探していると。昴くんたちが戻ってきた。桶には海水がたっぷり汲まれている。
「ありがとう」
春野先生は桶を受け取ると、傷のついた恵奈ちゃんのふくらはぎに海水をかけた。
「恵奈ちゃん。まだクラゲの触手が残っているから、今から取っていくわよ」
春野先生は私からピンセットを受け取る。そして恵奈ちゃんの足にこびりついていた糸のようなものをピンセットで引っ張った。
「いったああああっ!」
恵奈ちゃんが顔を歪めている。クラゲの触手を抜かれるのが痛いみたいだ。
「恵奈ちゃん、がんばって!」
私は恵奈ちゃんの手をぎゅっと握ってあげた。よほど痛いのか、恵奈ちゃんは私の手を力強く握りしめる。
「この応急処置が終わったら近くの診療所で診てもらったほうがいいわね。昴くんと太陽くんは担任の冴島先生を探して。月渚ちゃんは氷のうを作ってくれる? クーラーボックスの中に氷がたくさん入っているわ」
「こ、氷を……」
私は自分の片手を見下ろした。人間とそっくりの、血が通っているような自分の手。
でも、氷を触って濡れたら故障の原因になりかねない。
「大丈夫よ。ゴム手袋があるから」
春野先生は私を真っ直ぐ見て、笑ってみせた。
「ううう……。痛い……」
恵奈ちゃんは痛みのあまり、ぽろぽろと涙を流している。
「恵奈ちゃん、ちょっと手を離すね。ごめんね」
私は恵奈ちゃんから手を離し、ござの上にあったゴム手袋をはめた。
クーラーボックスを開けると、先生が言った通り、氷がたくさん入れられている。私はそれをポリ袋に詰め始める。
「冴島先生はどこだ?」
冴島先生を呼ぶことを頼まれた昴くんと太陽くんは、みんなが泳ぐ海のほうを睨んでいる。けれど海と即席保健室は距離がありすぎて、どこに誰がいるのかわからないようだ。
「昴、とにかく海のほうに行ってみよう!」
二人は海のほうへ駆けだそうとする。
「待って!」
私は手を止めて二人を呼び止めた。
広い海だ。やみくもに探しても、時間がかかるだけ。
「月渚、なんだよっ?」
私は耳を澄ませた。
そうすると波の音が大きくなっていく。まるで海が近づいているみたい。
波の音に混ざって、海水浴を楽しむみんなの声が聞こえてくる。私は大勢の友だちの声の中から、冴島先生の声だけを探す。
「……あっち! 小さい島が見えるでしょ? そっちの方角に冴島先生がいる!」
「えっ……」
太陽くんは信じられないという顔で、海と私を見比べていた。
「太陽、早く行こうぜ!」
太陽くんの腕を昴くんが引っ張る。二人は「冴島先生!」と叫びながら海のほうへ駆けて行った。
私はやっとできた氷のうを春野先生に渡した。先生は恵奈ちゃんの足の傷に氷のうを当てる。
「これで応急処置は終わりよ。頑張ったわね、恵奈ちゃん。あとはお医者さんに診てもらいましょうね」
恵奈ちゃんは泣きながら春野先生に「ありがとうございました」と言った。
太陽くんと昴くんが呼んでくれたおかげで、冴島先生はすぐに来てくれた。恵奈ちゃんは冴島先生が運転する車で近くの診療所へ行って、治療してもらえるらしい。
(よかった……)
一時はどうなるかと思った。恵奈ちゃんが無事で一安心だ。
「はあ、よかったわあ~」
春名先生も、疲れた様子だけど、ほっとしているみたいだった。
普段はフワフワしている春野先生だけど、こういうときは頼もしい。さすが養護の先生だ。
「春野先生、かっこいいですね」
「えへへ、そうでしょう、そうでしょう~? 春野先生はかっこいいのよ~!」
「……自分で自分のことをかっこいいって言う人、いるんですね」
「だって、かっこいいんだからしょうがないでしょ?」
……そういうものなのかなあ?
私と春野先生で恵奈ちゃんたちに駆け寄る。
「足を診てあげてください! 突然痛くなったみたいで」
太陽くんに言われ、春野先生はしゃがみこんで恵奈ちゃんの足を確かめる。
恵奈ちゃんのふくらはぎには、赤い傷があった。透明な糸のようなものも引っかかっている。
「クラゲに刺されたのね」
春野先生は冷静に言って立ち上がる。
「ク、クラゲェ?」
恵奈ちゃんは目に涙をためていた。
「先生と月渚ちゃんでござまで連れて行くから、昴くんと太陽くんは海水を汲んできてくれる? ござの上にきれいな桶があるから、それを使って」
「海水を、ですか? なんのために?」
先生は冷静に指示を出すけれど、太陽くんがうろたえる。
「いいから、大至急よろしくね!」
「よし、太陽、行くぜ! 猛ダッシュ!」
昴くんは太陽くんの返事も待たずに、ござへ走っていく。
「ま、待って、昴!」
太陽も昴くんに続いた。二人はあっという間にござから桶を持ち出し、また海のほうへ走っていく。
私と春野先生は恵奈ちゃんに肩を貸した。恵奈ちゃんをござへ連れて行き、上に座らせる。
「痛いよお……」
改めて足を見てみる。誰かに思いきり引っ掻かれたみたいな、痛々しい傷だった。
「月渚ちゃん、救急箱からピンセットを取ってくれる?」
ゴム手袋をはめている春野先生に指示された。
「は、はい」
「春野先生! 海水!」
私がピンセットを探していると。昴くんたちが戻ってきた。桶には海水がたっぷり汲まれている。
「ありがとう」
春野先生は桶を受け取ると、傷のついた恵奈ちゃんのふくらはぎに海水をかけた。
「恵奈ちゃん。まだクラゲの触手が残っているから、今から取っていくわよ」
春野先生は私からピンセットを受け取る。そして恵奈ちゃんの足にこびりついていた糸のようなものをピンセットで引っ張った。
「いったああああっ!」
恵奈ちゃんが顔を歪めている。クラゲの触手を抜かれるのが痛いみたいだ。
「恵奈ちゃん、がんばって!」
私は恵奈ちゃんの手をぎゅっと握ってあげた。よほど痛いのか、恵奈ちゃんは私の手を力強く握りしめる。
「この応急処置が終わったら近くの診療所で診てもらったほうがいいわね。昴くんと太陽くんは担任の冴島先生を探して。月渚ちゃんは氷のうを作ってくれる? クーラーボックスの中に氷がたくさん入っているわ」
「こ、氷を……」
私は自分の片手を見下ろした。人間とそっくりの、血が通っているような自分の手。
でも、氷を触って濡れたら故障の原因になりかねない。
「大丈夫よ。ゴム手袋があるから」
春野先生は私を真っ直ぐ見て、笑ってみせた。
「ううう……。痛い……」
恵奈ちゃんは痛みのあまり、ぽろぽろと涙を流している。
「恵奈ちゃん、ちょっと手を離すね。ごめんね」
私は恵奈ちゃんから手を離し、ござの上にあったゴム手袋をはめた。
クーラーボックスを開けると、先生が言った通り、氷がたくさん入れられている。私はそれをポリ袋に詰め始める。
「冴島先生はどこだ?」
冴島先生を呼ぶことを頼まれた昴くんと太陽くんは、みんなが泳ぐ海のほうを睨んでいる。けれど海と即席保健室は距離がありすぎて、どこに誰がいるのかわからないようだ。
「昴、とにかく海のほうに行ってみよう!」
二人は海のほうへ駆けだそうとする。
「待って!」
私は手を止めて二人を呼び止めた。
広い海だ。やみくもに探しても、時間がかかるだけ。
「月渚、なんだよっ?」
私は耳を澄ませた。
そうすると波の音が大きくなっていく。まるで海が近づいているみたい。
波の音に混ざって、海水浴を楽しむみんなの声が聞こえてくる。私は大勢の友だちの声の中から、冴島先生の声だけを探す。
「……あっち! 小さい島が見えるでしょ? そっちの方角に冴島先生がいる!」
「えっ……」
太陽くんは信じられないという顔で、海と私を見比べていた。
「太陽、早く行こうぜ!」
太陽くんの腕を昴くんが引っ張る。二人は「冴島先生!」と叫びながら海のほうへ駆けて行った。
私はやっとできた氷のうを春野先生に渡した。先生は恵奈ちゃんの足の傷に氷のうを当てる。
「これで応急処置は終わりよ。頑張ったわね、恵奈ちゃん。あとはお医者さんに診てもらいましょうね」
恵奈ちゃんは泣きながら春野先生に「ありがとうございました」と言った。
太陽くんと昴くんが呼んでくれたおかげで、冴島先生はすぐに来てくれた。恵奈ちゃんは冴島先生が運転する車で近くの診療所へ行って、治療してもらえるらしい。
(よかった……)
一時はどうなるかと思った。恵奈ちゃんが無事で一安心だ。
「はあ、よかったわあ~」
春名先生も、疲れた様子だけど、ほっとしているみたいだった。
普段はフワフワしている春野先生だけど、こういうときは頼もしい。さすが養護の先生だ。
「春野先生、かっこいいですね」
「えへへ、そうでしょう、そうでしょう~? 春野先生はかっこいいのよ~!」
「……自分で自分のことをかっこいいって言う人、いるんですね」
「だって、かっこいいんだからしょうがないでしょ?」
……そういうものなのかなあ?
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