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04.逃走劇の終わり
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どれくらい走っただろうか。ベラーノの足の速さに合わせていたイシェインは、突然後ろに引っ張られて足を止めた。
振り返ればそこには、膝をついて息を切らすベラーノの姿がある。
いくら幻想騎士とはいえ、体力には限界がある。ベラーノはまだ若く、鍛錬で体を鍛える暇はなかった。
それに幻想騎士に求められるのは奇跡の力であって、普通の騎士のように訓練して実力をつける事は少ない。
加えて、ベラーノを引っ張っていたのは肉体強化の奇跡を持つイシェイン。その体力と足の速さは男性騎士を優に越える。
無理をさせてしまったようだと、イシェインはベラーノに向き直って膝をつく。大きく上下する肩に手を置いて、ゆっくりと撫でる。
「あと少しだから、もう少し頑張れる? ベラーノ」
酷な事を言っている自覚はある。けれど、このままでは追いつかれてしまう。
耳をすませば聞こえていた戦闘音は、少し前に止んでいた。
恐らく、ヴァランカはもう。
イシェインは胸に走った痛みを耐えて、ぎこちなくも笑みを浮かべた。
嫌味を言う事もあったが、普段は分け隔てなく穏やかな微笑を浮かべていた銀髪の幻想騎士の真似をしたつもりだったが、上手くいかなかった。
「……変な顔」
ベラーノがくすりと笑った。奇跡の代償から少し回復したらしい。まだ反応速度は早くはないが、普段の彼に戻りつつある。
イシェインの火傷も、今は悪化していない。治るのには時間がかかるが、それでも普通の人間と比べれば治癒能力は高い。
このまま追いつかれなければ、或いは終焉の地までみんなを連れて行けるかもしれない。
そう考えるイシェインの視界の端に、フッと何かが映った。
反射的に立ち上がり、拳を構えたイシェインは目を細める。ベラーノが遅れて緊張した様子で振り返った。
暗くてよく見えないが、少し低い位置に白い何かがある。
それは夜風と戯れるように、左右に揺れている。
闇の中でもぼんやりと浮かび上がる白亜。それは、ヴァランカの艶やかな銀髪を思い起こさせた。
「……ヴァランカ?」
そんなはずは無いと頭が否定する。けれど、一縷の望みを持ってそう声を発してしまった。
違和感に気付く。もし本当にヴァランカだとしたら、なぜあんな低い位置に髪があるのだろう。
確かにヴァランカの髪は長いが、上の方に白はない。つまりヴァランカは立っていない。まるで、膝をついているような低さ。あるいは、切り落とされた首が誰かの手によって無造作に運ばれているような。
危険を悟ったイシェインがベラーノの腕を掴んだ瞬間、ガシャンッと上から檻が降ってきた。
その囲いから溢れ出る魔力は、少し離れた暗闇にいるヴァランカのもので間違いないはずなのに。
背中を氷塊が滑り落ちる。
ヴァランカの意思ではない。何者かがヴァランカを操り、その奇跡の力を操作しているのだ。
イシェインは檻の中にも関わらず臨戦態勢を取り、ベラーノを背後に庇った。
ヴァランカが近づいてくる。その両脇には見たことの無い騎士が伴い、ヴァランカの両腕を掴んで引きずり歩いていた。
「ヴァランカ!」
堪らず声を上げたイシェインの悲痛な叫びに、ヴァランカはピクリとも動かない。
その頭からは血が流れ、白皙の肌を伝ってポタポタと地面に赤いシミを残していた。
捕われたヴァランカとその腕を掴む騎士の後ろから、ぞろぞろと討伐隊がやってくる。
そして長身の騎士達に囲まれて現れたのは、三人の少女だった。
討伐隊に相応しくない、武器も持たない少女達はイシェインより、否、ベラーノより若く見える。
恐らく成人も迎えていない。十五、六歳の無垢な乙女達。
腰の辺りで切り揃えられた撫子色の髪の少女が一歩歩み出る。リーフグリーンの丸い瞳が、静かにイシェインとベラーノを映した。
「幻想騎士イシェイン、幻想騎士ベラーノ。貴方達を迎えに参りました」
「迎え? ふふ、おかしな事を言うのね。ヴァランカを殺しておきながら」
少女の軽やかな言葉にイシェインは吐き捨てるように応えた。
しかしすぐに疑問を覚える。本当にヴァランカは死んでいるのだろうか。
意識がないのは確実だが、その体は消えていない。幻想騎士は骸を残せない。死んでしまったら、その亡骸は光になって消えて、後に残るのは幻晶花ただ一つである。
加えて、今自分達を閉じ込めているのはヴァランカの奇跡が生み出した檻で違いないだろう。
ヴァランカの奇跡は自身が想像したものを現実世界に生み出す奇跡。その奇跡の力で、何もない上空から檻を落とすことが出来たのだろう。
身体がある、奇跡の力が使われている、それらを考慮すれば、まだヴァランカは生きていると言うことになる。
「幻想騎士ヴァランカは生きています。殺すつもりもありません。貴方達の価値を、陛下が改めましたので」
価値。まるで物を扱っているようだとイシェインは泣きそうな顔で嘲笑した。
戦争の為に生まれて、戦争が終わったから捨てられて、その次は価値があるから拾ってやるなどと。
対等な命に対する扱いではない。
幻想騎士は人間の限界を越えるが、決して人間以外の存在ではないのだ。
心もある。親もいる。仲間がいて友人がいて、恋人だっている。子供も、作れる世の中ならばいたかもしれない。
「冗談じゃないわ。愚王スプレンドに使い潰されるくらいなら、死んだ方がマシよ」
「あらそう。でも貴方達に選択肢なんてないの」
朱色の髪をサイドテールに纏めた少女が、桃色の髪の少女の傍らを通り抜けて檻に近づいてくる。
その無防備な姿にイシェインは驚愕した。
この距離なら檻の中からでも少女を殺せる。しかし、まだ何もしていない、何も出来なさそうな少女を殺せるほど、イシェインの心は冷たくなかった。
それが致命的な隙となる。
「この距離なら掴めるわ」
スッと赤い髪の少女の、深紅の瞳が細められた。
イシェインが瞬きをすると、少女の手の中に光り輝く水晶の花があった。
本能的に悟る。
幻想騎士が持つ命の核。心臓とはまた別の、致命的な弱点。
淡い青色の光を放つそれは、イシェインの幻晶花だ。
言葉を失うイシェインの背後で、ベラーノが何か叫んだが、イシェインには理解出来なかった。
「頭を冷やしてもらうわね」
少女が青い花を握りしめたその時、体の中で鏡にヒビが入るような音が聞こえて、イシェインは膝から崩れ落ち意識を手放した。
振り返ればそこには、膝をついて息を切らすベラーノの姿がある。
いくら幻想騎士とはいえ、体力には限界がある。ベラーノはまだ若く、鍛錬で体を鍛える暇はなかった。
それに幻想騎士に求められるのは奇跡の力であって、普通の騎士のように訓練して実力をつける事は少ない。
加えて、ベラーノを引っ張っていたのは肉体強化の奇跡を持つイシェイン。その体力と足の速さは男性騎士を優に越える。
無理をさせてしまったようだと、イシェインはベラーノに向き直って膝をつく。大きく上下する肩に手を置いて、ゆっくりと撫でる。
「あと少しだから、もう少し頑張れる? ベラーノ」
酷な事を言っている自覚はある。けれど、このままでは追いつかれてしまう。
耳をすませば聞こえていた戦闘音は、少し前に止んでいた。
恐らく、ヴァランカはもう。
イシェインは胸に走った痛みを耐えて、ぎこちなくも笑みを浮かべた。
嫌味を言う事もあったが、普段は分け隔てなく穏やかな微笑を浮かべていた銀髪の幻想騎士の真似をしたつもりだったが、上手くいかなかった。
「……変な顔」
ベラーノがくすりと笑った。奇跡の代償から少し回復したらしい。まだ反応速度は早くはないが、普段の彼に戻りつつある。
イシェインの火傷も、今は悪化していない。治るのには時間がかかるが、それでも普通の人間と比べれば治癒能力は高い。
このまま追いつかれなければ、或いは終焉の地までみんなを連れて行けるかもしれない。
そう考えるイシェインの視界の端に、フッと何かが映った。
反射的に立ち上がり、拳を構えたイシェインは目を細める。ベラーノが遅れて緊張した様子で振り返った。
暗くてよく見えないが、少し低い位置に白い何かがある。
それは夜風と戯れるように、左右に揺れている。
闇の中でもぼんやりと浮かび上がる白亜。それは、ヴァランカの艶やかな銀髪を思い起こさせた。
「……ヴァランカ?」
そんなはずは無いと頭が否定する。けれど、一縷の望みを持ってそう声を発してしまった。
違和感に気付く。もし本当にヴァランカだとしたら、なぜあんな低い位置に髪があるのだろう。
確かにヴァランカの髪は長いが、上の方に白はない。つまりヴァランカは立っていない。まるで、膝をついているような低さ。あるいは、切り落とされた首が誰かの手によって無造作に運ばれているような。
危険を悟ったイシェインがベラーノの腕を掴んだ瞬間、ガシャンッと上から檻が降ってきた。
その囲いから溢れ出る魔力は、少し離れた暗闇にいるヴァランカのもので間違いないはずなのに。
背中を氷塊が滑り落ちる。
ヴァランカの意思ではない。何者かがヴァランカを操り、その奇跡の力を操作しているのだ。
イシェインは檻の中にも関わらず臨戦態勢を取り、ベラーノを背後に庇った。
ヴァランカが近づいてくる。その両脇には見たことの無い騎士が伴い、ヴァランカの両腕を掴んで引きずり歩いていた。
「ヴァランカ!」
堪らず声を上げたイシェインの悲痛な叫びに、ヴァランカはピクリとも動かない。
その頭からは血が流れ、白皙の肌を伝ってポタポタと地面に赤いシミを残していた。
捕われたヴァランカとその腕を掴む騎士の後ろから、ぞろぞろと討伐隊がやってくる。
そして長身の騎士達に囲まれて現れたのは、三人の少女だった。
討伐隊に相応しくない、武器も持たない少女達はイシェインより、否、ベラーノより若く見える。
恐らく成人も迎えていない。十五、六歳の無垢な乙女達。
腰の辺りで切り揃えられた撫子色の髪の少女が一歩歩み出る。リーフグリーンの丸い瞳が、静かにイシェインとベラーノを映した。
「幻想騎士イシェイン、幻想騎士ベラーノ。貴方達を迎えに参りました」
「迎え? ふふ、おかしな事を言うのね。ヴァランカを殺しておきながら」
少女の軽やかな言葉にイシェインは吐き捨てるように応えた。
しかしすぐに疑問を覚える。本当にヴァランカは死んでいるのだろうか。
意識がないのは確実だが、その体は消えていない。幻想騎士は骸を残せない。死んでしまったら、その亡骸は光になって消えて、後に残るのは幻晶花ただ一つである。
加えて、今自分達を閉じ込めているのはヴァランカの奇跡が生み出した檻で違いないだろう。
ヴァランカの奇跡は自身が想像したものを現実世界に生み出す奇跡。その奇跡の力で、何もない上空から檻を落とすことが出来たのだろう。
身体がある、奇跡の力が使われている、それらを考慮すれば、まだヴァランカは生きていると言うことになる。
「幻想騎士ヴァランカは生きています。殺すつもりもありません。貴方達の価値を、陛下が改めましたので」
価値。まるで物を扱っているようだとイシェインは泣きそうな顔で嘲笑した。
戦争の為に生まれて、戦争が終わったから捨てられて、その次は価値があるから拾ってやるなどと。
対等な命に対する扱いではない。
幻想騎士は人間の限界を越えるが、決して人間以外の存在ではないのだ。
心もある。親もいる。仲間がいて友人がいて、恋人だっている。子供も、作れる世の中ならばいたかもしれない。
「冗談じゃないわ。愚王スプレンドに使い潰されるくらいなら、死んだ方がマシよ」
「あらそう。でも貴方達に選択肢なんてないの」
朱色の髪をサイドテールに纏めた少女が、桃色の髪の少女の傍らを通り抜けて檻に近づいてくる。
その無防備な姿にイシェインは驚愕した。
この距離なら檻の中からでも少女を殺せる。しかし、まだ何もしていない、何も出来なさそうな少女を殺せるほど、イシェインの心は冷たくなかった。
それが致命的な隙となる。
「この距離なら掴めるわ」
スッと赤い髪の少女の、深紅の瞳が細められた。
イシェインが瞬きをすると、少女の手の中に光り輝く水晶の花があった。
本能的に悟る。
幻想騎士が持つ命の核。心臓とはまた別の、致命的な弱点。
淡い青色の光を放つそれは、イシェインの幻晶花だ。
言葉を失うイシェインの背後で、ベラーノが何か叫んだが、イシェインには理解出来なかった。
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