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episode 3
リセット
しおりを挟む「…イイ顔」
今にも溶けてなくなってしまいそうなほど恍惚な顔をしている三崎の頬を撫でる。
この時を何度も何度も思い描いてきたけれど、この腕の中にいる彼女は本物なのだろうかと不安になった。
確かめるかのように重ねた唇に胸が疼いて、本当に惚れた女を抱く意味を知った。
抱きたい女と抱ける女の違いだけでなく、心の底から求める度合いや熱量が半端じゃない。
「なぁ…」
短い吐息で返事をくれた三崎を見下ろして。
「このままでいいの?」
「…ハ…え…?」
「お前は『高嶺の花』で『みんなの三崎さん』なのにな」
現実を思い出してもなお俺を求めて欲しいからなのか。
それとも最後の最後、拒絶される前に止めて欲しかったのか。
それはわからない。
俺のこと以外、何も考えて欲しくないというのに、俺はわざとのようにそう口にした。
三崎はまるで顔を背けるかのように頭を振って髪を乱す。
「出張なのにお前とこんなコトして。お前貰っちゃったらアイツら、どんな顔すんだろうな」
お前を抱いたらもう二度と離してやんねぇ。
誰がなんと言おうと。
俺がおまえの全てを貰うから。
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