呪い呪われ恋焦がれ

すぅこ

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嫉妬

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  紅の魔女はイライラとして落ち着きが無かった。

グレドジャーノ伯爵が何日も屋敷に戻らず、帰ってきたかと思えば『翡翠の魔女』に会いに行き、彼女の事を面白そうに話す。
愛する人が他の女の話をして気分が良いわけはない。
いつも、ただ周りにはべらす、お飾りの馬鹿な女性とは違うのだ。
グレドジャーノ伯爵は紅の魔女が気分が悪いのを知っていて、試すのだ。挑発するのだ。

『こんな事なら、殺しておくんだったわ。』
かけた呪いが解けたのも知っている。
老婆の姿で一生愛されず生きていけばいいと思ったのに、こんなにも簡単に愛を手に入れるなんて…。
悔しい。
グレドジャーノも興味を持ってしまった。

紅の魔女は翡翠の魔女を消す決心をした。
                          
~ ~ ~ ~ 一方で~ ~ ~ ~ ~

  グレーと名乗った美しい青年がグレドジャーノ伯爵だとわかり、愛の『賭け』をさせられてしまったヒスイは、体調を崩した。
疲れも限界だったのだ。

ブリーチは密かに城にいるシャドウとオルティニスに伝えに行ってくれた。
ブリーチはグレドジャーノ伯爵とのやりとりも見ていた。それも伝えたようだ。
二人は早々に城での仕事を切り上げ戻って来てくれた。

ベッドには、元の姿の美しいヒスイが横になっていた。
少し痩せ、疲れた顔は、いつもに増して儚げに見えた。
「ずっと側にいてあげれれば…。」シャドウは悔やむ。
騎士とは、いつでも国の為、命を捧げるもの。
国の為、民の為、いつでも戦いに行かなければならない。
ヒスイを愛している。だが、究極の選択を課せられ時、私はどちらを選べば良いのだろうか?
ヒスイを守れるのか、不安になる。



ヒスイは仕事に復帰した。
体の負担もあるので、休みも増やし、緊急時以外は前よりも早く診療所を閉める事にした。
老人達も騎士達も、納得してくれた。

ヒスイは不安を募らせる。

紅の魔女の仲間グレドジャーノ伯爵に『愛』を賭けにされたのに、シャドウと愛を確かめ合い、育む時間も無い。そもそも、出会って間もない二人である。
「シャドウ様…私は本当に愛されているのでしょうか…」
ヒスイはシャドウを思い呟いた。



また事件が起きた。
今度は、かなり複数、大きな魔物が『バッザス』の街を襲撃した。
そう、紅の魔女が堂々と襲ってきたのである。

大きな魔物は建物も木もバサバサとなぎ倒している。ある魔物は火を吹き、ある魔物はバサバサと翼で風を起こし吹き飛ばす。

これだけ大物の魔物が何匹も現れるのは、400年前の伝説以来である。

この街にいる騎士だけでは足りない。
国の騎士の応援はまだか!
翡翠の魔女はどこだ!
街の若者で戦える者の助けを借り、今のところは持ち堪えているが…。
あまり時間がない。
騎士達は思った。


ヒスイは、家に来たガンさんとユミルさんに街の惨状を知らされた。

「老人達や子供をここに避難させて!ここは魔物が入れないように結界がはってあるから!」
そう言って、街に向かった。





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