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荒れた村ですよ
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誕生日会もでき、とっても幸せです。
次の日には、旅支度を整えてシオのおウチ、すなわちお城に向かいます。
お城に行くまでに、いくつか村を通り抜けるそうです。
出発した大きな街から、すぐの村は街の影響なのか豊かに感じられましたが、進むにつれて、なんだか胸が痛い感じになってきました。
街と王都との中間あたりは、ちょうど険しい山がありました。
山といっても、普通にイメージする木々生い茂る山ではありません。
たとえれば……石の山?採石場みたいな……、つまり木が生えていない山です。
地質、土壌に問題あり。
そこにぽつんと村がありました。
村として、農作物を育てるには向いてない場所。
農作物を育てられなければ、自給自足は厳しい。別の特産物があるかもしれないけど、潤っているようには見えません。
詳しくは知りませんが、きっと国へ年貢を納めたりしなければいけないのであれば、無理に等しいとサトは思う。
畑らしい場所は土が干からびて、ヒビが入っています。川原の近くの小範囲で辛うじて緑の畑があるだけ。
苦しい生活のゆえ、たぶん若い人は出稼ぎに出て過疎化が進んでしまい、環境が悪化している。
老人ばかりだ。
「さらに酷くなったな。」とカイトが言った。
1年に数回通るが、そのたびに悪化しているという。
「ここは、人が住むのに適した場所には見えません。村を移すことはできないのですか?」とサトは聞いたが、
ここに住んでいるねは、罪人の家族とか訳ありの人達であり、差別にあったり追い出されたりして流れ着いて住み着いた人達の集落だと説明された。
だからって…。
サトは悲しい気分になり、抱きついているシオの腕に力を無意識にいれた。
……だからって、罪人の家族は罪人か?みんな平等に幸せになる権利はある。
忘れちゃいけませんよ。
サトは豊穣の力があるのです。自然を愛する者なのです。
シオの手を繋ぎ引っ張って、村に入る。
育たない畑の土を生きるために一生懸命耕す老人に声をかける。
「何の野菜と果物が好きですか?」と。
老人は、「へっ??」と訳がわからない顔をしたが、サトの無邪気で、悪気が無い笑顔に、ほおを緩め、少し遠くの空を眺めて考え、答えた。
「甘い果物がいいのぉ~、桃とか。胡桃で婆さんに故郷のお菓子を作ってもらいたいのぉ~。野菜は、キュウリが好きだぞ。大根の煮物も食べたいなぁ。……食べれるものなら何でもいいがな。」と夢見るように答えた。
「シオ、あの山に緑が戻れば、この村も過ごしやすいかな?」シオに聞いてみた。
「緑と川があれば、食料になる動物も住み着くだろうし、土壌も潤うだろう。野菜だけでなく、山菜、キノコも取れるしな。」
「じゃあ、頑張る!!」サトはシオの手を握ったまま、屈んで地面に手をつく。
『チリンチリンチリンチリンチリンチリン…』鈴が凄い勢いで鳴る。
グワーンと魔方陣の光が天を貫いたと思うと、上空で弾け、村と険しい岩山にキラキラとした破片の様なものが降る。
キラキラとした破片は地面に染み込み、緑を芽吹きグングンと木々、草花、畑には野菜や果物が育った。
小川までできて流れている。
数分の間に、緑豊かな山里が出来上がった。
「ふうっ」とサトは息を吐いたかと思うと、その場に崩れ落ちそうになった。
支えてくれたのは、もちろんシオ。
「ちょっと、力を使い過ぎたようです。」テヘッと笑い、気を失ってしまった。
次の日には、旅支度を整えてシオのおウチ、すなわちお城に向かいます。
お城に行くまでに、いくつか村を通り抜けるそうです。
出発した大きな街から、すぐの村は街の影響なのか豊かに感じられましたが、進むにつれて、なんだか胸が痛い感じになってきました。
街と王都との中間あたりは、ちょうど険しい山がありました。
山といっても、普通にイメージする木々生い茂る山ではありません。
たとえれば……石の山?採石場みたいな……、つまり木が生えていない山です。
地質、土壌に問題あり。
そこにぽつんと村がありました。
村として、農作物を育てるには向いてない場所。
農作物を育てられなければ、自給自足は厳しい。別の特産物があるかもしれないけど、潤っているようには見えません。
詳しくは知りませんが、きっと国へ年貢を納めたりしなければいけないのであれば、無理に等しいとサトは思う。
畑らしい場所は土が干からびて、ヒビが入っています。川原の近くの小範囲で辛うじて緑の畑があるだけ。
苦しい生活のゆえ、たぶん若い人は出稼ぎに出て過疎化が進んでしまい、環境が悪化している。
老人ばかりだ。
「さらに酷くなったな。」とカイトが言った。
1年に数回通るが、そのたびに悪化しているという。
「ここは、人が住むのに適した場所には見えません。村を移すことはできないのですか?」とサトは聞いたが、
ここに住んでいるねは、罪人の家族とか訳ありの人達であり、差別にあったり追い出されたりして流れ着いて住み着いた人達の集落だと説明された。
だからって…。
サトは悲しい気分になり、抱きついているシオの腕に力を無意識にいれた。
……だからって、罪人の家族は罪人か?みんな平等に幸せになる権利はある。
忘れちゃいけませんよ。
サトは豊穣の力があるのです。自然を愛する者なのです。
シオの手を繋ぎ引っ張って、村に入る。
育たない畑の土を生きるために一生懸命耕す老人に声をかける。
「何の野菜と果物が好きですか?」と。
老人は、「へっ??」と訳がわからない顔をしたが、サトの無邪気で、悪気が無い笑顔に、ほおを緩め、少し遠くの空を眺めて考え、答えた。
「甘い果物がいいのぉ~、桃とか。胡桃で婆さんに故郷のお菓子を作ってもらいたいのぉ~。野菜は、キュウリが好きだぞ。大根の煮物も食べたいなぁ。……食べれるものなら何でもいいがな。」と夢見るように答えた。
「シオ、あの山に緑が戻れば、この村も過ごしやすいかな?」シオに聞いてみた。
「緑と川があれば、食料になる動物も住み着くだろうし、土壌も潤うだろう。野菜だけでなく、山菜、キノコも取れるしな。」
「じゃあ、頑張る!!」サトはシオの手を握ったまま、屈んで地面に手をつく。
『チリンチリンチリンチリンチリンチリン…』鈴が凄い勢いで鳴る。
グワーンと魔方陣の光が天を貫いたと思うと、上空で弾け、村と険しい岩山にキラキラとした破片の様なものが降る。
キラキラとした破片は地面に染み込み、緑を芽吹きグングンと木々、草花、畑には野菜や果物が育った。
小川までできて流れている。
数分の間に、緑豊かな山里が出来上がった。
「ふうっ」とサトは息を吐いたかと思うと、その場に崩れ落ちそうになった。
支えてくれたのは、もちろんシオ。
「ちょっと、力を使い過ぎたようです。」テヘッと笑い、気を失ってしまった。
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