4 / 17
仲間ですよ
しおりを挟む
食事を済ませて、街の中を狐の姿で2人の後を付いて行く。
狐の姿で走るのは早いが、普通に歩くとなると歩幅が合わない。
ずっと小走り状態だ。
サトの九尾狐の姿は小さいのだ。
悪役顔王子に尻尾持たれて逆さ釣りにされるほど。
猫くらいの大きさだ。
なので、駄目元で悪役顔王子の肩に飛び乗ってみた…が、やはり振り落とされた。
『チッ』舌打ち。
「チッて何!!ペットなら可愛がりなさいよぉ。」
言っても無駄なので、「人間の姿になったほうが楽かなぁ」と言ったら、それはそれで派手で目立つので却下された。
結局、悪役顔王子が仕方ないなと肩に乗らしてくれた。最初から優しくすれば良いのに。
「ここだ、ここだ。」とカイトが大きな店の前で騒ぐ。
この街にあるギルドだ。
この街は『アデル』。
山に囲まれた街である。
街の人々は主に農家。農業だけでは街は維持できず、周りの山から魔物が下りてくる事も多々あり、ギルドを置く事で街の安全と、冒険者の衣食住の収入により成り立っている。
ただ、冒険者の中には、街を荒らし、女子供に悪さする者もいて、あまり冒険者に良い印象を持たない人も多いらしい。
なので、飲食店や宿屋は商売上、良い顔をしているが、農家は冷ややかな目で見ている。
ここに限らず、どこのギルドもそんな問題を抱えているようだ。
ギルドの中に入ると、様々な冒険者達が壁に張り出された仕事を選んでいたり、受付で登録したりしていた。
脇には、休憩スペースもあり、冒険者が他の冒険者と合流をしたり、仲間を勧誘したり、情報収集している。
その中に手を挙げ、こちらに向かって手を振る男性がいる。
「熊がいる。デカイ熊だ。」言葉にしたつもりは無かったが、言葉に出てたらしい。
サトは、熊のような男性にビビり、尾を下げ、シェルシオの首に抱きついた。
「おいおい、くすぐったいな。」
シェルシオはサトを邪険にしつつも、モフモフに満更でもないようだ。
合流して立ち話。
「シオ、変なモノ拾ったな。」と、サトを見て熊は言った。
シオとは、シェルシオの事だ。
変なモノって、私!?
「ああ、ペットにした。」とシオ。
冗談だと思ってたけど、やっぱりペット認定されてるのですね。
「変なモノじゃなく、九尾狐ですぅ。」シオにさらにギュッと抱きついた。
「あんまり近寄るな。怯える。」シオは熊と距離をとる。
「話せるのか!可愛いな。抱かせろよ。聖獣か?」熊がそれでも手を伸ばす。
やはり、話せる獣は聖獣という認識なのだろう。
この熊はきっとモフモフ好きに違いない。
でも、無理です。怖いです。
サトがシオを見つめ訴えると、シオは熊が伸ばした手をパシッと叩いてくれた。
「珍しく、気に入ってるねぇ。」と馬鹿笑いする。
するとシオは無表情でわからないが、照れたのか。
「飽きたら売るか、太らせて食べる。」と返した。
まだ、その線消えてないのですね……。
あらためて、熊が名乗る。
「リックだ。元傭兵だ。よろしくな。」とニカッと歯を見せて笑う。
デカくて、顔も髭面で怖いが、まだ若そうである。
赤茶色の髪にハチミツ色の瞳。
背中にはカイトの剣よりもどデカい剣を担いでおり、ベージュの軍服には、短剣など仕込んである。
おずおずと顔を向け
「サトです。」とだけ名乗った。
すると、また懲りずに「うおぉ」と雄叫びをあげて
「やっぱり可愛い。抱かせろ!抱かせてくれ!」と迫るのを、シオが思い切り足蹴りをかました。
狐の姿で走るのは早いが、普通に歩くとなると歩幅が合わない。
ずっと小走り状態だ。
サトの九尾狐の姿は小さいのだ。
悪役顔王子に尻尾持たれて逆さ釣りにされるほど。
猫くらいの大きさだ。
なので、駄目元で悪役顔王子の肩に飛び乗ってみた…が、やはり振り落とされた。
『チッ』舌打ち。
「チッて何!!ペットなら可愛がりなさいよぉ。」
言っても無駄なので、「人間の姿になったほうが楽かなぁ」と言ったら、それはそれで派手で目立つので却下された。
結局、悪役顔王子が仕方ないなと肩に乗らしてくれた。最初から優しくすれば良いのに。
「ここだ、ここだ。」とカイトが大きな店の前で騒ぐ。
この街にあるギルドだ。
この街は『アデル』。
山に囲まれた街である。
街の人々は主に農家。農業だけでは街は維持できず、周りの山から魔物が下りてくる事も多々あり、ギルドを置く事で街の安全と、冒険者の衣食住の収入により成り立っている。
ただ、冒険者の中には、街を荒らし、女子供に悪さする者もいて、あまり冒険者に良い印象を持たない人も多いらしい。
なので、飲食店や宿屋は商売上、良い顔をしているが、農家は冷ややかな目で見ている。
ここに限らず、どこのギルドもそんな問題を抱えているようだ。
ギルドの中に入ると、様々な冒険者達が壁に張り出された仕事を選んでいたり、受付で登録したりしていた。
脇には、休憩スペースもあり、冒険者が他の冒険者と合流をしたり、仲間を勧誘したり、情報収集している。
その中に手を挙げ、こちらに向かって手を振る男性がいる。
「熊がいる。デカイ熊だ。」言葉にしたつもりは無かったが、言葉に出てたらしい。
サトは、熊のような男性にビビり、尾を下げ、シェルシオの首に抱きついた。
「おいおい、くすぐったいな。」
シェルシオはサトを邪険にしつつも、モフモフに満更でもないようだ。
合流して立ち話。
「シオ、変なモノ拾ったな。」と、サトを見て熊は言った。
シオとは、シェルシオの事だ。
変なモノって、私!?
「ああ、ペットにした。」とシオ。
冗談だと思ってたけど、やっぱりペット認定されてるのですね。
「変なモノじゃなく、九尾狐ですぅ。」シオにさらにギュッと抱きついた。
「あんまり近寄るな。怯える。」シオは熊と距離をとる。
「話せるのか!可愛いな。抱かせろよ。聖獣か?」熊がそれでも手を伸ばす。
やはり、話せる獣は聖獣という認識なのだろう。
この熊はきっとモフモフ好きに違いない。
でも、無理です。怖いです。
サトがシオを見つめ訴えると、シオは熊が伸ばした手をパシッと叩いてくれた。
「珍しく、気に入ってるねぇ。」と馬鹿笑いする。
するとシオは無表情でわからないが、照れたのか。
「飽きたら売るか、太らせて食べる。」と返した。
まだ、その線消えてないのですね……。
あらためて、熊が名乗る。
「リックだ。元傭兵だ。よろしくな。」とニカッと歯を見せて笑う。
デカくて、顔も髭面で怖いが、まだ若そうである。
赤茶色の髪にハチミツ色の瞳。
背中にはカイトの剣よりもどデカい剣を担いでおり、ベージュの軍服には、短剣など仕込んである。
おずおずと顔を向け
「サトです。」とだけ名乗った。
すると、また懲りずに「うおぉ」と雄叫びをあげて
「やっぱり可愛い。抱かせろ!抱かせてくれ!」と迫るのを、シオが思い切り足蹴りをかました。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
皇帝は虐げられた身代わり妃の瞳に溺れる
えくれあ
恋愛
丞相の娘として生まれながら、蔡 重華は生まれ持った髪の色によりそれを認められず使用人のような扱いを受けて育った。
一方、母違いの妹である蔡 鈴麗は父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った。そんな鈴麗は、破格の待遇での皇帝への輿入れが決まる。
しかし、わがまま放題で育った鈴麗は輿入れ当日、後先を考えることなく逃げ出してしまった。困った父は、こんな時だけ重華を娘扱いし、鈴麗が見つかるまで身代わりを務めるように命じる。
皇帝である李 晧月は、後宮の妃嬪たちに全く興味を示さないことで有名だ。きっと重華にも興味は示さず、身代わりだと気づかれることなくやり過ごせると思っていたのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる