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【第8部〜龍戦争〜】
第12話 武蔵の次の標的
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武蔵は龍人族の追撃を振り切ると、私を放り投げ捨てて去って行った。
「酷い。雑に扱われたわ…」
怒って追いかけても勝てないので、武蔵が去った方向を眺めていた。
「陛下、ご無事で」
「見ての通り無事だよ」
フレイアの元に急いで戻り、切断された両腕を回復魔法で治した。斬殺された魔道部隊も生き返らせた。本当に私の能力はチート過ぎる。全ての被害を無かった事に出来るからだ。
白金龍王も神魔の我々とは同盟を結んでくれた。これで龍人族との争いは終わりかな?赤龍王・劉邦はまだ死んだままだ。密かに骨の一部を魔法箱に保管しているから、いつでも生き返らせる事が出来る。しかし阿籍に対して、何となく後ろめたい気持ちがあって、今日まで躊躇している。
「私の夫は阿籍1人じゃないんだけどな…」
ボソっと呟いて、溜息を吐いた。
「それにしても武蔵は何がしたいんだろう?武者修行なだけなのかな?」
「 建速須佐之男命をご存知でしょう?武蔵は須佐男に憧れて、龍退治をしようとしているのです」
「八岐大蛇の事ね?でもあの話は須佐男が、正面から戦っても勝てないと思ったから、酒で酔わせて眠った頃に首を斬り落としたんだよ。武蔵の奴は、正面から斬り倒してるんだから、比較にならないよ」
確か須佐男は、オクタス(S8)ランクだったはずだ。今の武蔵は少なくともテンダラース(S10)ランクを超えているから、須佐男よりも遥かに強いはずだ。
「あれ?そう言えば龍は全員、武蔵に倒されたから、もう終わりかな?なら次は何処に行くんだろう?」
また修羅の国に戻って、休みなく斬り合うのかも知れないが、それならもう私には関わりの無い事だ。
「いえ、まだ1人おります。とんでもない者が」
「誰?」
「黄龍です。正確には更にもう1人、黄帝の側近に応龍と言う者もおります。若くて強く黄龍の子供にあたります」
「黄帝か…」
「黄帝ですか…」
東洋天界と西洋天界を統一して、天道神君として君臨する私も、黄帝・軒轅には一目置いている。と言うより、黄帝の勢力は我関せずを貫く独立勢力だ。黄帝は東洋天界に位置し、天帝と梵天と並ぶ三大勢力の一角だった。しかし、圧倒的な軍事力を誇り、他を寄せ付ける事は無かった為に、私も敵対せずに独立を認めていたのだ。
「ここで黄帝の名を聞くとはね…」
黄龍がきっかけで、黄帝と戦争になるかも知れない。それだけは阻止しなくてはならない。だが、それほどの者ならば、武蔵の次の狙いは間違いなく黄龍だろう。
「黄龍って、何処にいるのかな?」
「皇上、四神が忉利天を守っておりますが、その中心を守るのが黄龍でございます」
「えっ?私も忉利天に居た事あるけど、会った事が無いけど?」
「はい、結界が張られた地下の部屋におりますので、普段は誰も会う事は御座いません」
「なるほど…まさに灯台下暗しだわ…。玉座の下にいるなんて…」
何か重要な事を見落としている気がする…。そうだ黄龍がいるなら、武蔵は天界を襲撃するはずだ。東洋天界が危ない。気の強い舎脂あたりが抵抗すれば、皆殺しにされるだろう。
私は事情を話して、全軍で天界へと向かった。
「間に合えば良いが…」
祈る事しか出来ない自分に苛立ちを覚えた。
「陛下に真実を伝えておく必要があります」
「何なの?改まって」
ルシエラが畏まった言い方をするので、怪訝な表情で見つめた。
「はい実は黄龍は、忉利天を守っている訳では御座いません。黄帝を牽制する為に先代の天帝であった神農によって人質にされ、封印されているのです。封印が解かれ、武蔵と争うかも知れませんが、黄龍は我々の敵となって襲って来るでしょう。黄龍の封印が解かれたと知れば、黄帝は報復に攻めて来ます。絶対に逃してはなりません。再封印出来ない場合は、必ず殺して下さい」
ゲートを抜けて天界に着くと、嫌な予感通り神兵達の死体が至る所に転がって死臭を漂わせていた。
「酷い。雑に扱われたわ…」
怒って追いかけても勝てないので、武蔵が去った方向を眺めていた。
「陛下、ご無事で」
「見ての通り無事だよ」
フレイアの元に急いで戻り、切断された両腕を回復魔法で治した。斬殺された魔道部隊も生き返らせた。本当に私の能力はチート過ぎる。全ての被害を無かった事に出来るからだ。
白金龍王も神魔の我々とは同盟を結んでくれた。これで龍人族との争いは終わりかな?赤龍王・劉邦はまだ死んだままだ。密かに骨の一部を魔法箱に保管しているから、いつでも生き返らせる事が出来る。しかし阿籍に対して、何となく後ろめたい気持ちがあって、今日まで躊躇している。
「私の夫は阿籍1人じゃないんだけどな…」
ボソっと呟いて、溜息を吐いた。
「それにしても武蔵は何がしたいんだろう?武者修行なだけなのかな?」
「 建速須佐之男命をご存知でしょう?武蔵は須佐男に憧れて、龍退治をしようとしているのです」
「八岐大蛇の事ね?でもあの話は須佐男が、正面から戦っても勝てないと思ったから、酒で酔わせて眠った頃に首を斬り落としたんだよ。武蔵の奴は、正面から斬り倒してるんだから、比較にならないよ」
確か須佐男は、オクタス(S8)ランクだったはずだ。今の武蔵は少なくともテンダラース(S10)ランクを超えているから、須佐男よりも遥かに強いはずだ。
「あれ?そう言えば龍は全員、武蔵に倒されたから、もう終わりかな?なら次は何処に行くんだろう?」
また修羅の国に戻って、休みなく斬り合うのかも知れないが、それならもう私には関わりの無い事だ。
「いえ、まだ1人おります。とんでもない者が」
「誰?」
「黄龍です。正確には更にもう1人、黄帝の側近に応龍と言う者もおります。若くて強く黄龍の子供にあたります」
「黄帝か…」
「黄帝ですか…」
東洋天界と西洋天界を統一して、天道神君として君臨する私も、黄帝・軒轅には一目置いている。と言うより、黄帝の勢力は我関せずを貫く独立勢力だ。黄帝は東洋天界に位置し、天帝と梵天と並ぶ三大勢力の一角だった。しかし、圧倒的な軍事力を誇り、他を寄せ付ける事は無かった為に、私も敵対せずに独立を認めていたのだ。
「ここで黄帝の名を聞くとはね…」
黄龍がきっかけで、黄帝と戦争になるかも知れない。それだけは阻止しなくてはならない。だが、それほどの者ならば、武蔵の次の狙いは間違いなく黄龍だろう。
「黄龍って、何処にいるのかな?」
「皇上、四神が忉利天を守っておりますが、その中心を守るのが黄龍でございます」
「えっ?私も忉利天に居た事あるけど、会った事が無いけど?」
「はい、結界が張られた地下の部屋におりますので、普段は誰も会う事は御座いません」
「なるほど…まさに灯台下暗しだわ…。玉座の下にいるなんて…」
何か重要な事を見落としている気がする…。そうだ黄龍がいるなら、武蔵は天界を襲撃するはずだ。東洋天界が危ない。気の強い舎脂あたりが抵抗すれば、皆殺しにされるだろう。
私は事情を話して、全軍で天界へと向かった。
「間に合えば良いが…」
祈る事しか出来ない自分に苛立ちを覚えた。
「陛下に真実を伝えておく必要があります」
「何なの?改まって」
ルシエラが畏まった言い方をするので、怪訝な表情で見つめた。
「はい実は黄龍は、忉利天を守っている訳では御座いません。黄帝を牽制する為に先代の天帝であった神農によって人質にされ、封印されているのです。封印が解かれ、武蔵と争うかも知れませんが、黄龍は我々の敵となって襲って来るでしょう。黄龍の封印が解かれたと知れば、黄帝は報復に攻めて来ます。絶対に逃してはなりません。再封印出来ない場合は、必ず殺して下さい」
ゲートを抜けて天界に着くと、嫌な予感通り神兵達の死体が至る所に転がって死臭を漂わせていた。
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