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【第8部〜龍戦争〜】
第20話 雪英の嘆き
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「それにしても暗いわね」
冷宮の窓も板で塞がれている為に、僅かな隙間からしか陽が入って来ない。
「娘娘、女性に戻られたんですね?」
「あ、うん。私の正体は、って言うかアナトだからね。男に生まれ変わって、生まれて来ちゃったりすると、『女性変化』って言うスキルで女性に…元の姿に戻るんだけど、時間制限があるのよ。そして段々と男に戻れなくなる。まぁ本来は女なんだから当然なんだけどね?でも、それまで男として過ごした期間と言うか、人生がある訳で、その間に出来た友人とか恋人とかどうするのよ?みたいな。分かるかな?言いたい事。で、完全に女に戻ると今度は、『男性変化』と言うスキルが手に入るのよ。だからさっきの姿は、私が男だった時の姿なの」
「そんなんですね?ステキでした」
「ふふふ、有難う。初めて言われたかな?でもね、貴女を娶ると言ったけど、男でいられる時間に制限があるの」
「大丈夫です。少しの間でも十分です。一緒にいられれば…」
本当に可愛い事を言ってくれる。私はアナトのままだったが、雪英を抱き寄せて口付けをして舌を絡め合った。子宮の奥がムズムズして来る。身体が快楽を求めている。私も女性として感じたくなる。
女性の姿のまま雪英と裸で抱き合っていると、戸を叩かれた。
「食事です」
戸の隙間から食事が差し出された。冷宮の者への食事は粗末だ。太后から罰を受け、冷遇されているのだ。宮女達からも嫌がらせを受ける。食事に毒が盛られる可能性もある。もっとも、身体状態異常無効スキル持ちの私には、毒は効かないのだが。
差し出された食事は、お粥にお漬物、それから汁物だった。兵士と共に食べていた物なので、別にこれで十分だ。私の身分では粗末過ぎて口にしない者もいただろうけど、私は別に気にしない。
「娘娘、悔しいです」
雪英は泣き出した。
「食事が粗末だから泣いてるの?」
「娘娘に対して、これはあんまりです」
「ははは、そう?でも戦場では、この食事は贅沢だったよ。それに、幸いここは魔力封鎖されて無い。私が本気ならここから出るのは簡単だし、食事なんて魔法で幾らでも出せる」
『上菜』
食卓に唐揚げに麻婆豆腐、フカヒレのスープや青梗菜と搾菜のサラダを出して見せた。
「ほらね?食べたければ好きなだけ、好きな料理が出せる。私が食べた事がある料理限定だけど」
笑って小皿に唐揚げを入れて雪英に渡すと、笑顔になった。
「娘娘、凄いです」
「 好吃吗?(美味しい?)」
「 好吃!(美味しいです!)」
「口に合って良かった」
これも食べてみて、とお茶碗に乗せてあげる。食べ合いっこしたりと、楽しく食事をした。
「さて、お腹も満たされたし、ここは少し暗いわね」
『魔法箱』
懐中電灯式のランタンを取り出してベッドに取り付けた。
「わぁ、明るいです」
「電池は取り敢えず沢山あるから、暫くは大丈夫よ」
「電池?」
「うん、実は私も仕組みは良く知らないんだけどね?」
(だって、買って保管してただけだしね)
「まぁ一応色々入っているから、冷宮でも困らないしね。埃っぽいから、掃除しようか」
「はい、掃除します」
「あははは、そんな必要はないよ」
『自動洗浄』
呪文を唱えると、室内の埃は一瞬で消えた。
「凄いです」
そう言った雪英の元気が無くなったみたいだった。
「どうかしたの?」
「いえ、娘娘に頼りっぱなしで、私はお付きの侍女なのに、何のお役にも立てず情け無いです」
「そんな事、考えてたの?良いのよ、貴女は私の妹分だって言ったでしょう?」
私は雪英を抱き寄せて口付けをした。何て良い娘なんだろう。愛しくて仕方がない。冷宮に入れられてから、食事以外の時間は殆ど雪英とイチャイチャしていた。
「娘娘、そう言えば神魔や龍人族を半分以上まだ生き返らせていませんよね?どうなったのでしょうか?」
「…私達を冷宮なんかに閉じ込めた相手の事なんて心配しても仕方ないわ。私達2人だけなら、黄帝が相手でも恐れる事なんて無いわ。魔法で異空間に逃げて、そこでまた2人で生活すれば良い。戦も政治も考える必要は無い。私達2人だけが平穏で幸せであれば良い。もう神魔の事なんて知った事では無いわ。そう思わせたのは、あいつら自身のせいよ」
もうこれ以上、この話題に触れたく無いと言って話しを変えた。ただ、人間界の事は気になる。核兵器と赤龍によって崩壊させられたのだ。身体の一部でも残っていなければ生き返らせられない。もしかすると、絶滅した人種がいるかも知れないな、と思いを馳せた。
それなら生き返らせるよりも、時間を巻き戻して、皆んな生きていた事にしよう。
「私の時間を巻き戻す呪文は強くない。アーシャを連れて行こう」
そう遠くない日に、冷宮を出る事になるかも知れないな、と思った。
冷宮の窓も板で塞がれている為に、僅かな隙間からしか陽が入って来ない。
「娘娘、女性に戻られたんですね?」
「あ、うん。私の正体は、って言うかアナトだからね。男に生まれ変わって、生まれて来ちゃったりすると、『女性変化』って言うスキルで女性に…元の姿に戻るんだけど、時間制限があるのよ。そして段々と男に戻れなくなる。まぁ本来は女なんだから当然なんだけどね?でも、それまで男として過ごした期間と言うか、人生がある訳で、その間に出来た友人とか恋人とかどうするのよ?みたいな。分かるかな?言いたい事。で、完全に女に戻ると今度は、『男性変化』と言うスキルが手に入るのよ。だからさっきの姿は、私が男だった時の姿なの」
「そんなんですね?ステキでした」
「ふふふ、有難う。初めて言われたかな?でもね、貴女を娶ると言ったけど、男でいられる時間に制限があるの」
「大丈夫です。少しの間でも十分です。一緒にいられれば…」
本当に可愛い事を言ってくれる。私はアナトのままだったが、雪英を抱き寄せて口付けをして舌を絡め合った。子宮の奥がムズムズして来る。身体が快楽を求めている。私も女性として感じたくなる。
女性の姿のまま雪英と裸で抱き合っていると、戸を叩かれた。
「食事です」
戸の隙間から食事が差し出された。冷宮の者への食事は粗末だ。太后から罰を受け、冷遇されているのだ。宮女達からも嫌がらせを受ける。食事に毒が盛られる可能性もある。もっとも、身体状態異常無効スキル持ちの私には、毒は効かないのだが。
差し出された食事は、お粥にお漬物、それから汁物だった。兵士と共に食べていた物なので、別にこれで十分だ。私の身分では粗末過ぎて口にしない者もいただろうけど、私は別に気にしない。
「娘娘、悔しいです」
雪英は泣き出した。
「食事が粗末だから泣いてるの?」
「娘娘に対して、これはあんまりです」
「ははは、そう?でも戦場では、この食事は贅沢だったよ。それに、幸いここは魔力封鎖されて無い。私が本気ならここから出るのは簡単だし、食事なんて魔法で幾らでも出せる」
『上菜』
食卓に唐揚げに麻婆豆腐、フカヒレのスープや青梗菜と搾菜のサラダを出して見せた。
「ほらね?食べたければ好きなだけ、好きな料理が出せる。私が食べた事がある料理限定だけど」
笑って小皿に唐揚げを入れて雪英に渡すと、笑顔になった。
「娘娘、凄いです」
「 好吃吗?(美味しい?)」
「 好吃!(美味しいです!)」
「口に合って良かった」
これも食べてみて、とお茶碗に乗せてあげる。食べ合いっこしたりと、楽しく食事をした。
「さて、お腹も満たされたし、ここは少し暗いわね」
『魔法箱』
懐中電灯式のランタンを取り出してベッドに取り付けた。
「わぁ、明るいです」
「電池は取り敢えず沢山あるから、暫くは大丈夫よ」
「電池?」
「うん、実は私も仕組みは良く知らないんだけどね?」
(だって、買って保管してただけだしね)
「まぁ一応色々入っているから、冷宮でも困らないしね。埃っぽいから、掃除しようか」
「はい、掃除します」
「あははは、そんな必要はないよ」
『自動洗浄』
呪文を唱えると、室内の埃は一瞬で消えた。
「凄いです」
そう言った雪英の元気が無くなったみたいだった。
「どうかしたの?」
「いえ、娘娘に頼りっぱなしで、私はお付きの侍女なのに、何のお役にも立てず情け無いです」
「そんな事、考えてたの?良いのよ、貴女は私の妹分だって言ったでしょう?」
私は雪英を抱き寄せて口付けをした。何て良い娘なんだろう。愛しくて仕方がない。冷宮に入れられてから、食事以外の時間は殆ど雪英とイチャイチャしていた。
「娘娘、そう言えば神魔や龍人族を半分以上まだ生き返らせていませんよね?どうなったのでしょうか?」
「…私達を冷宮なんかに閉じ込めた相手の事なんて心配しても仕方ないわ。私達2人だけなら、黄帝が相手でも恐れる事なんて無いわ。魔法で異空間に逃げて、そこでまた2人で生活すれば良い。戦も政治も考える必要は無い。私達2人だけが平穏で幸せであれば良い。もう神魔の事なんて知った事では無いわ。そう思わせたのは、あいつら自身のせいよ」
もうこれ以上、この話題に触れたく無いと言って話しを変えた。ただ、人間界の事は気になる。核兵器と赤龍によって崩壊させられたのだ。身体の一部でも残っていなければ生き返らせられない。もしかすると、絶滅した人種がいるかも知れないな、と思いを馳せた。
それなら生き返らせるよりも、時間を巻き戻して、皆んな生きていた事にしよう。
「私の時間を巻き戻す呪文は強くない。アーシャを連れて行こう」
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