その日、女の子になった私。

奈津輝としか

文字の大きさ
314 / 375
【第9部〜巨人の王国編〜】

第16話 西楚の覇王と共に

しおりを挟む
 魔王達は私の様に、分厚い黒雲を抜けて影の世界から人間界に来る事は出来ない。だから、魔界から人間界に通じるゲートを目指した。
「遅かったな?待っていたぞ麻里奈!」
阿籍ア・ジー…」
 私が阿籍ア・ジーと呼んだ者は、瑞稀アナト虞美人ユー・メイレンだった時の夫である項籍、つまり西楚の覇王・項羽の事だ。瑞稀アナトと別れた後、私の事も瑞稀アナトだと言って、私と付き合い始めた。言わば元カレだ。
「どうして魔界ここにいるの?」
「元々、余はここのゲートを守っておったのだ。お前は必ずここを通ると思い、張っておったのよ」
 そう言うと、手首を掴んで抱き寄せた。
「止めて!もう貴方とは終わったのよ!今、私には付き合っている人がいるの」
 両手で引き離そうと拒むと、顔を真っ赤にして怒り出した。
「余の女に手を出した奴は何処のどいつだ!?斬り捨ててくれる!」
 項羽は10魔王には入っていないが、その強さは魔界最強クラスだ。瑞稀アナト以外には従わない為、好きにさせていた。他の魔王達も項羽の強さは知っている。
「その男を今から殺しに行くんだ!お前も来るか?」
 ビゼルが声を掛けると、項羽は無言で承知した。余計な事をと思ったが、項羽にさらわれて犯される恐れがある。だからそうなるくらいなら、大人しく付いて来てくれた方がマシだと考え直した。それに強くて頼りになるのは間違いない。
 ゲートが輝いて開かれると、吸い込まれる様にゲートくぐった。

「何処なんだ、ここは?」
「ここは日本よ」
「日本だと?」
 項羽は何故、日本なんだ?と言う顔をした。
瑞稀アナトが日本人だから、地上に戻った時に都合が良い様に、中国から日本に座標を変更したのよ」
 なるほど、と納得した。
日本ここからは、影の世界を移動して行きましょう」
 影の世界を移動して中国の国境を侵犯すると、警告音が鳴り響いた。そして影の世界の薄暗い東支那海から6隻の潜水艦が浮上し、更にこちらに向かってくる空母らしき船影が見える。
「はんっ、人間如きが!」
「ビゼル、人間の兵器を舐めないで!核ミサイルなら極大爆炎魔法フレア並みの破壊力があるのよ」
「何だって!?」
「しかも恐らく全ての攻撃に、貫通魔法が施されているわよ」
「馬鹿な…それなら防御なんて紙では無いか!」
「だから舐め無いで、全力で叩き潰すのよ」
光之神槍ライトニングジャベリン
 先制攻撃を仕掛けたのは、中国軍の方が早かった。影の世界から侵入を試みた時点で敵だと認識され、問答無用で攻撃をして来たのだ。潜水艦からミサイルが発射された。
「避けろ!」
 反射的にわしたが、誘導ミサイルの直撃をミューズは受けて、暗い海面に落下した。
 その直後に私の呪文が命中し、1隻撃沈させた。それとほぼ同時に、他の潜水艦からミサイル攻撃を受けた。それは目の前でぜて炸裂し、その破片を避けられずに腹と胸を貫通して落下した。海面に叩きつけられると、全身の骨が砕ける音が聞こえ、内臓を潰して海の底に沈んだ。
 意識が遠のきながら、「冷たい…、暗い…」と感じ、この暗い海にもサメがいて、食べられたら嫌だなと思い恐怖した。
 するとスクリュー音を発して、回転しながら何かが向かって来るのが見えた。「魚雷だ!」ギリギリで避けて即死は回避した。だが浮上する力は残っておらず、呼吸が出来なくて苦しみもがいた。
 不意に手を掴まれて抱き寄せられ、そのまま海面に浮上した。
「ぷはあっ…げほ、ごほ、ごほっ…」
 死にかけたと思い、辺りを見回すとロードや項羽達があらかた敵を片付けていた。私を助けてくれた人は誰かと思ったら、ビゼルだった。
「有難う」
 そう言うと、ビゼルは照れ臭そうに頬を染めて、顔をそむけた。恩人だし、可愛い所があるなと感じて、お礼に首に手を回して頬に軽くキスをした。
陛下ビーシャア、愛している」
 その気にさせてしまったビゼルに口付けされ、濡れた下着の中に手を入れて直接胸を揉まれた。
「ちょっ、止めて!」
「お前から誘ったんだ」
 そう言うと、スカートの中に手を入れられて、下着の上から敏感な部分を触れられた。
「キャッ!」
 パンツも海で濡れており、肌に張り付いているから、その上から触られても直接触られた様な刺激を受ける。
「貴様!殺すぞ!」
 項羽が鬼の形相でビゼルに斬りかかると、ビゼルは何とかかわして戟を受け、手が痺れた。
 二撃目をお見舞いしようとしたので、私は起き上がって両手を広げてかばった。
「仲間同士で争わないで!」
陛下ビーシャア、胸が見えてます!」
 前が肌けて、下着をまくり上げられた為、胸が丸出し状態になっていた。
 ロードの指摘に顔を赤らめて、右手で胸を隠して左手で衣服を整えた。
「ビゼル、マジで最低だよ。助けてくれたのは嬉しいけど、それにつけ込んだら最低だよ?」
 ビゼルは力無く項垂うなだれた。項羽は、ビゼルが私に怒られてしょんぼりしたので、ザマが良いと笑った。その間に、ミューズは回復して戦線復帰していた。
 だが、中国軍の攻撃はこれでは終わらずに、更に向かって来た戦闘機からミサイルや銃撃を受けた。そのほとんどの攻撃を避ける事が出来ずに受け、回復呪文に追われた。
 戦闘は約4時間も続き、侵入どころか最高指導部に我々の存在を知られてしまった。
「コソコソとするのは性に合わん。堂々と攻め入れば良い」
 項羽らしい言葉だ。
『神眼』
 項羽のステイタスを見ると、すでに神格が貯まり、種属は人間でも仙人でも無くて「神」となっていたが、驚いたのはテンダラース(S10ランク)になっていた事だ。
 他の魔王達もレベルアップしているのが分かる。頼もしい味方だと感じながら、遂に中華の地に降り立った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...