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【第9部〜巨人の王国編〜】
第48話 総力戦
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韋駄天が自慢の俊足で居城に1番乗りを果たすと、大黒天軍は続々と乗り込んだ。
「明らかに罠じゃないの?」
私は高さんに同意を求め、何の警戒も無く飛び込んで行く大黒天軍に青ざめた。
「勇気と無謀は同義じゃないのよ」
敵は守るべき城門を守らず、城内奥深くへと誘導している様に見えた。しかし大黒天軍は興奮状態であり、恐怖を感じていないから警戒心も薄く、城内のギガンテス族を見つけると一斉に躍り掛かっていた。
「不味い、この地形は!」
高さんが叫ぶよりも早く、狭い回廊の左右にそびえ立つ壁上から、矢が雨の様に降り注いだ。
「そんな事はお見通しよ」
大聖歓喜天が何やら呪文を唱えると、巨人族並みに巨体となり身体は鋼の塊となって仲間を守った。
「ひゅ~ぅ、凄いわね」
矢の罠などは、お見通しだったとは恐れ入った。こんな防ぎ方があった為に、恐れずに突撃したのかと感心した。てっきり無策で、突っ込んでいるのかと思っていた。
「お前、オレ達を馬鹿だと思っているだろう?」
韋駄天に指摘されて、笑って誤魔化した。
今度は蔦を編んで作られた巨大な球に、油を塗って火を放った。巨大な火球がいくつも降り注ぎ、熱さのあまり大聖歓喜天は悲鳴を上げて暴れた。
床が跳ねる程の震動で立っていられなくなり、暴れる事で大聖歓喜天の屋根に隙間が出来て、そこから火球が飛び込んで来た。
「ギャアァ」
幾人かの兵が犠牲となった。そこへ多羅菩薩が、4本の腕を広げて身体を回転させると突風が巻き起こり、火球の火を消した。
多羅菩薩は手を緩める事無く風を巻き起こし、降り注ぐ火球を逆に壁上に送り返した。今度はギガンテス達が火に襲われ、熱さから逃れる為に壁上から飛び降りて生命を落とす者もいた。
「今よ!」
一気に狭回廊を抜けた。その瞬間、連弩が襲い、全身をハリネズミの様に矢が刺さって絶命した。と思ったら、原初人類が土壁となって矢を防いでくれた。
「アダム…有難う…」
頑強な土壁は矢を通さず、私は無傷であったが、核を傷付けられた原初人類は、息絶えていた。
原初人類の死に顔は、私の生命を救えて誇らしそうに微笑んでいた。
「アダム…」
私は溢れる涙を抑え、嗚咽するほど号泣しそうになるのを、両手で口を押さえて必死に堪えた。まだ泣いてはダメだ。泣くくらいなら、1歩でも先に進んでエウリュメドーン王を殺して仇を討つのだ。自分に言い聞かせ、涙を拭った。
ここは死と隣り合わせの戦場だ。弱音を吐いた者から容赦無く死が訪れる。生き残りたければ、相手を殺すしか無い。
『光速飛翔』
原初人類の土壁から光速で飛び出して、連弩の雨を潜り抜けて斬りかかった。
模倣によって得た能力を全開放した。由太后の飛燕剣と影歩法を駆使して、右に左にギガンテスを斬って捨てた。敵は連弩や弓矢を構えている為、間合いに入られると防ぎようが無い。僅か1分の間に、50人以上を斬った。
「麻里奈に続け!」
大黒天が檄を飛ばして、飛び交う矢を払いのけながら自ら突撃して来た。そこへ敵の将らしき者が数名ほど、斬り込んで来た。
「エウリュトス」
「エピアルテース」
「エンケラドス」
「クリュティオス」
「トオーン」
「ヒッポリュトス」
「ポリュボテス」
以上7将に対して此方側は、ドゥルガー、カーリー、多羅菩薩、大聖歓喜天、韋駄天、麻里奈、高さんの7人が迎え撃った。
大自在天妃は、後方支援で私達7人のステイタスに強化魔法を掛け、回復魔法をかけ続けた。
大黒天は、戦況に睨みを利かせて流動的に兵を動かせる様にしていた。
双璧アルキュオネウスも兵を率いて睨みを利かせ、シヴァ軍に合わせて陣形を変化させて見せた。
「くくく、アルテミスも良かったが、お前のかなりの器量良しだな?俺が可愛がった後、部下に下賜してマワさせるとしよう。アルテミスの様に」
ヒッポリュトスのその言葉だけで、アルテミスの身に何が起こったのか推測された。愛し合う彼氏だと思っていた男からの裏切り、さぞかし無念だったに違いない。
「お前だけは…お前だけは絶対にこの手で殺してやる!」
『死誘鎮魂歌!』
ヒッポリュトスは闇の即死呪文を受けると、一瞬で魂が掻き消えて絶命し、ゆっくりと音を立てずに前のめりに倒れた。
「はぁ?嘘でしょう?何で効くのよ!今から斬り刻んで、アルテミスの分も苦しめてから殺してやるつもりだったのに!!」
大切な仲間を殺した宿敵とも言える相手が、信じられないほどあっさりと死んだ。これほど虚無感を覚える事は無い。
「まさか、お前ら闇耐性が無いのか?」
『死誘鎮魂歌』
試しに唱えると、残りの6人全員とも即死して倒れた。
「は?…ははははは…。もう笑うしか無いわね」
最初から使っていれば、被害は最小限に食い止められたかも知れない。何だか阿呆らしいのと、悔しいやら情け無いやら色々な感情が押し寄せて来て頭が混乱し、気が付いたら泣いていた。
「麻里奈…お前は悪くない。悪く無いんだ。誰も即死呪文が通じるとは思わないさ」
高は麻里奈の顔を胸に抱くと、両手で服を握り締めて、声を殺して肩を震わせていた。
「明らかに罠じゃないの?」
私は高さんに同意を求め、何の警戒も無く飛び込んで行く大黒天軍に青ざめた。
「勇気と無謀は同義じゃないのよ」
敵は守るべき城門を守らず、城内奥深くへと誘導している様に見えた。しかし大黒天軍は興奮状態であり、恐怖を感じていないから警戒心も薄く、城内のギガンテス族を見つけると一斉に躍り掛かっていた。
「不味い、この地形は!」
高さんが叫ぶよりも早く、狭い回廊の左右にそびえ立つ壁上から、矢が雨の様に降り注いだ。
「そんな事はお見通しよ」
大聖歓喜天が何やら呪文を唱えると、巨人族並みに巨体となり身体は鋼の塊となって仲間を守った。
「ひゅ~ぅ、凄いわね」
矢の罠などは、お見通しだったとは恐れ入った。こんな防ぎ方があった為に、恐れずに突撃したのかと感心した。てっきり無策で、突っ込んでいるのかと思っていた。
「お前、オレ達を馬鹿だと思っているだろう?」
韋駄天に指摘されて、笑って誤魔化した。
今度は蔦を編んで作られた巨大な球に、油を塗って火を放った。巨大な火球がいくつも降り注ぎ、熱さのあまり大聖歓喜天は悲鳴を上げて暴れた。
床が跳ねる程の震動で立っていられなくなり、暴れる事で大聖歓喜天の屋根に隙間が出来て、そこから火球が飛び込んで来た。
「ギャアァ」
幾人かの兵が犠牲となった。そこへ多羅菩薩が、4本の腕を広げて身体を回転させると突風が巻き起こり、火球の火を消した。
多羅菩薩は手を緩める事無く風を巻き起こし、降り注ぐ火球を逆に壁上に送り返した。今度はギガンテス達が火に襲われ、熱さから逃れる為に壁上から飛び降りて生命を落とす者もいた。
「今よ!」
一気に狭回廊を抜けた。その瞬間、連弩が襲い、全身をハリネズミの様に矢が刺さって絶命した。と思ったら、原初人類が土壁となって矢を防いでくれた。
「アダム…有難う…」
頑強な土壁は矢を通さず、私は無傷であったが、核を傷付けられた原初人類は、息絶えていた。
原初人類の死に顔は、私の生命を救えて誇らしそうに微笑んでいた。
「アダム…」
私は溢れる涙を抑え、嗚咽するほど号泣しそうになるのを、両手で口を押さえて必死に堪えた。まだ泣いてはダメだ。泣くくらいなら、1歩でも先に進んでエウリュメドーン王を殺して仇を討つのだ。自分に言い聞かせ、涙を拭った。
ここは死と隣り合わせの戦場だ。弱音を吐いた者から容赦無く死が訪れる。生き残りたければ、相手を殺すしか無い。
『光速飛翔』
原初人類の土壁から光速で飛び出して、連弩の雨を潜り抜けて斬りかかった。
模倣によって得た能力を全開放した。由太后の飛燕剣と影歩法を駆使して、右に左にギガンテスを斬って捨てた。敵は連弩や弓矢を構えている為、間合いに入られると防ぎようが無い。僅か1分の間に、50人以上を斬った。
「麻里奈に続け!」
大黒天が檄を飛ばして、飛び交う矢を払いのけながら自ら突撃して来た。そこへ敵の将らしき者が数名ほど、斬り込んで来た。
「エウリュトス」
「エピアルテース」
「エンケラドス」
「クリュティオス」
「トオーン」
「ヒッポリュトス」
「ポリュボテス」
以上7将に対して此方側は、ドゥルガー、カーリー、多羅菩薩、大聖歓喜天、韋駄天、麻里奈、高さんの7人が迎え撃った。
大自在天妃は、後方支援で私達7人のステイタスに強化魔法を掛け、回復魔法をかけ続けた。
大黒天は、戦況に睨みを利かせて流動的に兵を動かせる様にしていた。
双璧アルキュオネウスも兵を率いて睨みを利かせ、シヴァ軍に合わせて陣形を変化させて見せた。
「くくく、アルテミスも良かったが、お前のかなりの器量良しだな?俺が可愛がった後、部下に下賜してマワさせるとしよう。アルテミスの様に」
ヒッポリュトスのその言葉だけで、アルテミスの身に何が起こったのか推測された。愛し合う彼氏だと思っていた男からの裏切り、さぞかし無念だったに違いない。
「お前だけは…お前だけは絶対にこの手で殺してやる!」
『死誘鎮魂歌!』
ヒッポリュトスは闇の即死呪文を受けると、一瞬で魂が掻き消えて絶命し、ゆっくりと音を立てずに前のめりに倒れた。
「はぁ?嘘でしょう?何で効くのよ!今から斬り刻んで、アルテミスの分も苦しめてから殺してやるつもりだったのに!!」
大切な仲間を殺した宿敵とも言える相手が、信じられないほどあっさりと死んだ。これほど虚無感を覚える事は無い。
「まさか、お前ら闇耐性が無いのか?」
『死誘鎮魂歌』
試しに唱えると、残りの6人全員とも即死して倒れた。
「は?…ははははは…。もう笑うしか無いわね」
最初から使っていれば、被害は最小限に食い止められたかも知れない。何だか阿呆らしいのと、悔しいやら情け無いやら色々な感情が押し寄せて来て頭が混乱し、気が付いたら泣いていた。
「麻里奈…お前は悪くない。悪く無いんだ。誰も即死呪文が通じるとは思わないさ」
高は麻里奈の顔を胸に抱くと、両手で服を握り締めて、声を殺して肩を震わせていた。
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