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【第9部〜巨人の王国編〜】
第57話 世界樹の成れの果て
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ルシフェルはアナトを、お姫様抱っこしたまま駆け抜けていた。ミカエルやルシフェル配下の大魔王達が、それに続いた。
アナトは緊張感の欠片も無く、キャッキャ喜びながら足をバタバタさせていた。アナトがルシフェルの首にしがみ付いて、ニコニコしている笑顔を見てミカエルは、嫉妬で不機嫌になった。
ルシフェルがアナトを義妹としてでは無く、愛している事を知っているからだ。そうで無ければアナトの為に、唯一神に反抗して叛旗を翻したりはしない。
神々は相手が幼女であろうが、愛したならば性交する。神話には、幼い女児が神の精気で妊娠したと言う話も数多く登場する。ましてやアナトは、年齢を自在に変える事が出来る為に、ルシフェルを受け入れられる姿に変わるかも知れない。だからいくらアナトの見た目が幼なくとも、油断も安心も出来ない。
城内を走り抜けると、再び平原の丘の様な場所に出た。城内でありながら、回廊と外界が交互になる造りに戸惑った。
「ここは…」
そこには巨大な木が、かつてあったと思わせる切り株だけが残っていた。
「これは…何…?」
巨木は枯れてしまい切り株だけだったが、もの凄い神気を感じた。
「これは…かつて世界樹と呼ばれた巨木の成れの果てだ」
「世界樹!?」
世界樹は、巨人の国にそびえ立つ巨木だ。アースガルズ、ミズガルズ、ヨトゥンヘイム、ヘルヘイムなどの9つの世界を内包すると言われる。
その世界樹は枯れてしまい、切り株だけが残されていた。
「巨人達が繁栄した理由は、この世界樹のお陰だった。その実や葉には万病を癒す効果があるとされ、数万枚に1枚の確率で、死者すらも生き返らせる葉が見つかったと言う。唯一神が1計を案じて、世界樹を枯れさせた。怒ったエルが、唯一神に戦争を仕掛けた。唯一神は、大義名分を手にしたのだ。先に戦争を仕掛けたのはエルだとな」
ミカエルは、「唯一神様がその様な真似をするはずが無い!」と言おうとして、言葉を飲んだ。
以前の自分であれば、盲目的に信じたはずだ。しかし自分を、愛しい兄の討伐隊長に任じたのは唯一神様だ。
私達が愛し合う兄妹である事を知りながら、殺し合いをさせたのだ。他の者に殺されるくらいなら、せめて自分の手で愛しい兄を殺す。そう思い、出陣した。あの時の心抉られる想いは、生涯忘れる事は無い。
だから世界樹を枯らしたのが、唯一神様だと聞いても驚かない。
「世界樹に何の用だ!」
茂みの中から怒鳴り声と共に、一斉に矢が放たれた。声から察するに、女だ。恐らく4、5人だろう。そこそこの手練れだが、此方の相手では無い。ルシフェルが連れているのは、かつての魔界四大貴族だ。すなわち、ガープ、ジミマイ、アマイモン、コルソンの4人だ。
「殺さずに生け捕れ!」
ルシフェルが命令すると、数分で彼女達を制圧して捕らえて見せた。
「お前たちは何者だ?」
「何者だと?無礼者め!妾達は、お前達より年長者じゃぞ!」
「何だ見かけによらず、ババァだったんだな?」
キッと睨んだ女性は、美しい顔立ちをしていた。
「お前の名は?」
ソッポを向いて黙秘しようとしたので、コルソンは顎を掴んで顔を向けた。そして口付けをした。
「な、何を!?」
「お前達は、1人残らず俺が可愛がってやる。人妻でも、これ程の美女なら楽しめると言うもの」
それを聞くと彼女達は、震えて泣き出した。
「はははは。陛下、この女はムネモシュネです。そしてあの女は、テミス、こっちの女はティアーで、そこの女がポイベーです」
「ほう、するとテミスとムネモシュネはゼウスの妻だな?」
「はい」
名前を言われた女達は、青ざめた。
「ど、どうして私達の名前を…」
コルソンは言った。
「口付けで、お前の記憶を覗いただけよ」
ムネモシュネは、コルソンに口汚く罵った。
「お前がポイベーか?」
黒髪ショートカットの細身でスタイルの良い女だった。
「コイツがどうしたのですか?」
「ヘラの乳母らしい。殺さないでくれと、命乞いをされた」
ポイベーはそれを聞くと、目を閉じて肩を震わせていた。
「テミスとムネモシュネはゼウスの妻だ。丁重に扱え」
ムネモシュネは毅然として尋ねた。
「ゼウスはどうしたのです?」
ルシフェルは彼女に向き直り、伝えた。
「ゼウスは死んだ」
「死んだ?」
ティターン神族とゼウスのオリュンポス 神族は、覇権を奪い合い殺し合ったが、ティターン神族は全員がゼウスにとっての叔父叔母であった。
ムネモシュネとテミスは、甥であり、かつての夫であるゼウスの死をいたく悲しんだ。
「さて、ティアーよ。ヒューペリオンの妻であるお前は不要だな?」
魔界の四大貴族に囲まれると、どれほど残酷な殺され方をするのかと思い、恐怖で失禁した。
「お、お待ち下さい!私が代わりに罰を受けます。姉を、姉を殺さないで下さい!」
テミスが泣きながら、長女の命乞いをした。それに続いて他の姉妹も命乞いを始めた。
「止めろ、止めろ。そんな芝居が通じると思うなよ?それなら全身の皮を剥いで、太鼓でも作ろうか?」
ジミマイはテミスに馬乗りになり、服を引き裂いて全裸にし、大刀を取り出して見せた。テミスは覚悟を決め、目を閉じてブツブツと何かを口ずさんでいた。
「アナトが怯えているわ。脅すのは、もう良いでしょう?」
ジミマイはテミスの上から降りて、大刀をしまった。
「?」
ミカエルは不安そうな表情をしているアナトを抱っこして、頭や背中を撫でた。縦に抱いて、一定のリズムを刻んで揺すると、アナトは欠伸をしてトロンとした目を閉じて眠った。
「大丈夫、殺さないわ。私達は友好使節団なのよ。殺し合いに来た訳では無いの」
ムネモシュネは何か言いたそうだったが、口を閉じた。
「また生命を狙われては困るからな?」
そう言ってルシフェルは配下に命じて、彼女達を縛った。そこへ長男のオケアノスが現れた。それを見たムネモシュネは、恐怖で顔が凍り付いた表情をした。
オケアノスは、「お前達の犠牲は忘れない」と言い、ニヤリと笑うとルシフェル達は、彼女達に仕掛けられていた爆薬の爆発に巻き込まれた。
大量の土砂を巻き上げ、砂埃でルシフェル達の姿は見えなくなったが、それが治ると周辺には、吹き飛んだ手足や内臓らしき物が散乱しており、生存者の確認は出来なかった。
アナトは緊張感の欠片も無く、キャッキャ喜びながら足をバタバタさせていた。アナトがルシフェルの首にしがみ付いて、ニコニコしている笑顔を見てミカエルは、嫉妬で不機嫌になった。
ルシフェルがアナトを義妹としてでは無く、愛している事を知っているからだ。そうで無ければアナトの為に、唯一神に反抗して叛旗を翻したりはしない。
神々は相手が幼女であろうが、愛したならば性交する。神話には、幼い女児が神の精気で妊娠したと言う話も数多く登場する。ましてやアナトは、年齢を自在に変える事が出来る為に、ルシフェルを受け入れられる姿に変わるかも知れない。だからいくらアナトの見た目が幼なくとも、油断も安心も出来ない。
城内を走り抜けると、再び平原の丘の様な場所に出た。城内でありながら、回廊と外界が交互になる造りに戸惑った。
「ここは…」
そこには巨大な木が、かつてあったと思わせる切り株だけが残っていた。
「これは…何…?」
巨木は枯れてしまい切り株だけだったが、もの凄い神気を感じた。
「これは…かつて世界樹と呼ばれた巨木の成れの果てだ」
「世界樹!?」
世界樹は、巨人の国にそびえ立つ巨木だ。アースガルズ、ミズガルズ、ヨトゥンヘイム、ヘルヘイムなどの9つの世界を内包すると言われる。
その世界樹は枯れてしまい、切り株だけが残されていた。
「巨人達が繁栄した理由は、この世界樹のお陰だった。その実や葉には万病を癒す効果があるとされ、数万枚に1枚の確率で、死者すらも生き返らせる葉が見つかったと言う。唯一神が1計を案じて、世界樹を枯れさせた。怒ったエルが、唯一神に戦争を仕掛けた。唯一神は、大義名分を手にしたのだ。先に戦争を仕掛けたのはエルだとな」
ミカエルは、「唯一神様がその様な真似をするはずが無い!」と言おうとして、言葉を飲んだ。
以前の自分であれば、盲目的に信じたはずだ。しかし自分を、愛しい兄の討伐隊長に任じたのは唯一神様だ。
私達が愛し合う兄妹である事を知りながら、殺し合いをさせたのだ。他の者に殺されるくらいなら、せめて自分の手で愛しい兄を殺す。そう思い、出陣した。あの時の心抉られる想いは、生涯忘れる事は無い。
だから世界樹を枯らしたのが、唯一神様だと聞いても驚かない。
「世界樹に何の用だ!」
茂みの中から怒鳴り声と共に、一斉に矢が放たれた。声から察するに、女だ。恐らく4、5人だろう。そこそこの手練れだが、此方の相手では無い。ルシフェルが連れているのは、かつての魔界四大貴族だ。すなわち、ガープ、ジミマイ、アマイモン、コルソンの4人だ。
「殺さずに生け捕れ!」
ルシフェルが命令すると、数分で彼女達を制圧して捕らえて見せた。
「お前たちは何者だ?」
「何者だと?無礼者め!妾達は、お前達より年長者じゃぞ!」
「何だ見かけによらず、ババァだったんだな?」
キッと睨んだ女性は、美しい顔立ちをしていた。
「お前の名は?」
ソッポを向いて黙秘しようとしたので、コルソンは顎を掴んで顔を向けた。そして口付けをした。
「な、何を!?」
「お前達は、1人残らず俺が可愛がってやる。人妻でも、これ程の美女なら楽しめると言うもの」
それを聞くと彼女達は、震えて泣き出した。
「はははは。陛下、この女はムネモシュネです。そしてあの女は、テミス、こっちの女はティアーで、そこの女がポイベーです」
「ほう、するとテミスとムネモシュネはゼウスの妻だな?」
「はい」
名前を言われた女達は、青ざめた。
「ど、どうして私達の名前を…」
コルソンは言った。
「口付けで、お前の記憶を覗いただけよ」
ムネモシュネは、コルソンに口汚く罵った。
「お前がポイベーか?」
黒髪ショートカットの細身でスタイルの良い女だった。
「コイツがどうしたのですか?」
「ヘラの乳母らしい。殺さないでくれと、命乞いをされた」
ポイベーはそれを聞くと、目を閉じて肩を震わせていた。
「テミスとムネモシュネはゼウスの妻だ。丁重に扱え」
ムネモシュネは毅然として尋ねた。
「ゼウスはどうしたのです?」
ルシフェルは彼女に向き直り、伝えた。
「ゼウスは死んだ」
「死んだ?」
ティターン神族とゼウスのオリュンポス 神族は、覇権を奪い合い殺し合ったが、ティターン神族は全員がゼウスにとっての叔父叔母であった。
ムネモシュネとテミスは、甥であり、かつての夫であるゼウスの死をいたく悲しんだ。
「さて、ティアーよ。ヒューペリオンの妻であるお前は不要だな?」
魔界の四大貴族に囲まれると、どれほど残酷な殺され方をするのかと思い、恐怖で失禁した。
「お、お待ち下さい!私が代わりに罰を受けます。姉を、姉を殺さないで下さい!」
テミスが泣きながら、長女の命乞いをした。それに続いて他の姉妹も命乞いを始めた。
「止めろ、止めろ。そんな芝居が通じると思うなよ?それなら全身の皮を剥いで、太鼓でも作ろうか?」
ジミマイはテミスに馬乗りになり、服を引き裂いて全裸にし、大刀を取り出して見せた。テミスは覚悟を決め、目を閉じてブツブツと何かを口ずさんでいた。
「アナトが怯えているわ。脅すのは、もう良いでしょう?」
ジミマイはテミスの上から降りて、大刀をしまった。
「?」
ミカエルは不安そうな表情をしているアナトを抱っこして、頭や背中を撫でた。縦に抱いて、一定のリズムを刻んで揺すると、アナトは欠伸をしてトロンとした目を閉じて眠った。
「大丈夫、殺さないわ。私達は友好使節団なのよ。殺し合いに来た訳では無いの」
ムネモシュネは何か言いたそうだったが、口を閉じた。
「また生命を狙われては困るからな?」
そう言ってルシフェルは配下に命じて、彼女達を縛った。そこへ長男のオケアノスが現れた。それを見たムネモシュネは、恐怖で顔が凍り付いた表情をした。
オケアノスは、「お前達の犠牲は忘れない」と言い、ニヤリと笑うとルシフェル達は、彼女達に仕掛けられていた爆薬の爆発に巻き込まれた。
大量の土砂を巻き上げ、砂埃でルシフェル達の姿は見えなくなったが、それが治ると周辺には、吹き飛んだ手足や内臓らしき物が散乱しており、生存者の確認は出来なかった。
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