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1話 「おはようアリス。」
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第一章 第一節 「おはようアリス。」
「おはようアリス。」
まだ眠い、寝かせて……あと5分、あと10分……。
……アリス?
それって私のこと?
……と、言うか、誰なの?あなたは、私を起こすあなたは。
イマイチ頭が追いつかないがアリスと呼ばれた女の子は重たそうに身体を起こした。
「おはようございます……えっと、誰ですか……?」
アリス(仮)はありがちなセリフを口にした。
「…?何を言っているのアリス。ボクは白兎だよ。」
白兎と名乗った少女はテンプレ的な回答をした。
まあ、ここまではありがちである。
疑問となるのはアリス(仮)の冷静さだが気にしてはいけない。そういう風に出来ているから。
「さあほら起き上がってアリス!そして行こうアリス。早くしないと始まっちゃうよ!」
…白兎が同居人と仮定するならば敬語はおかしいだろう。
「行くって何処へ?」
白兎の言うことがまるで理解出来ない、とアリス(仮)は示す。
「お茶会。」
情報量の多さにアリス(仮)は追いつかない。
ここはどこ、私はだれ、貴方は誰、どこへ行くの、謎のお茶会。
ここは…聞けていないけど恐らくは私の寝室、私が寝ていたんだものきっとそうだわ。
私はアリスと呼ばれた、……違う気がするけれど違うという根拠も無いし仮定としてアリスでいいだろう。
とりあえず私はアリスだ。
この人は…白兎、そう名乗った、ここで嘘をつく意味はあるかないか分からないけれど私の寝室(恐らく)に入ってきたんだ、同居人か何かだろう、同居人と仮定するならば彼女に嘘をつく意味はない、だとすれば彼女は白兎である。
お茶会は……お茶会は分からない。
お茶会とは何だろう。
そのままの意味なら紅茶を飲んでお菓子を食べるんだったはず。
…なぜ私はお茶会に呼ばれているのだろう。
分からない。
「お茶会?」
「そうだよアリス、一昨日帽子屋とイカレ兎に誘われていたじゃない。早く行かなきゃ主役はアリスなんだから!」
「帽子屋?イカレ兎?誘われた?」
白兎はキョトンとした。
「何言ってんのアリス、一昨日帽子屋とイカレ兎が君の誕生日じゃない日のパーティを開くって言っていたよ、アリスその場に居たでしょう?ボクだって聞いていたよ。」
「誕生日じゃない日のパーティ……」
不思議な文化だ。
「そう、誕生日じゃない日のパーティ。だから行かなくちゃ。」
「…とにかく行かなきゃ行けないの?」
「そうだね。」
つまり私はよく分からないけれど見ず知らずの人のところへ誕生日じゃない日を祝われに行くわけか。…複雑だな。
…複雑過ぎて全くついていけない。
「そうなんだ……」
「行きたくないのアリス?」
「うーん、祝ってもらうみたいだし行かなくちゃ行けないのだろうけれど少し頭が追いつかないの。」
「どうして?」
そりゃおはようから何も覚えていない上に突然パーティに行こうだなんて誰だって頭は追いつかないだろう。不思議過ぎるであろう。
「だって不思議だから」
白兎は眉を顰めた。
「…ふーん、おかしなアリス。ボクからしたら今日のアリスの方が不思議だよ、あんなに楽しみにしてたお茶会を拒んでいるんだもの。」
「それは……」
それは…なんだ、別にお茶会を拒む理由…明白な理由は無いはずだ、ただただ理解出来ないからと行きたくない。私は今何も覚えていない、でももし私が本当にお茶会の約束をしていたら、お誕生日じゃない日を祝うのが普通なのだとしたらとてつもなく失礼な気がしてきた。
…行くべきだろう。
彼女の口振りからして私は一昨日帽子屋とイカレ兎に会っているのだ、お誕生日じゃない日という記念日?に祝ってもらう程の仲なのだろう、そして私はそれをとても楽しみにしていた。私からしてもそれなりの仲だったのだろう。
何か思い出す手掛かりになるかもしれない。
きっと今すべきなのはとりあえず何かを思い出すこと、何もかも覚えていないのだから……。
「ごめんなさい、おかしなこと言ったね、行くよ。楽しみ過ぎてどうかしてしまったみたい。」
私は無理に笑っておいた、きっとお誕生日じゃない日は祝うものなのだろうから、きっと嬉しそうにしているべき日だから。
「おはようアリス。」
まだ眠い、寝かせて……あと5分、あと10分……。
……アリス?
それって私のこと?
……と、言うか、誰なの?あなたは、私を起こすあなたは。
イマイチ頭が追いつかないがアリスと呼ばれた女の子は重たそうに身体を起こした。
「おはようございます……えっと、誰ですか……?」
アリス(仮)はありがちなセリフを口にした。
「…?何を言っているのアリス。ボクは白兎だよ。」
白兎と名乗った少女はテンプレ的な回答をした。
まあ、ここまではありがちである。
疑問となるのはアリス(仮)の冷静さだが気にしてはいけない。そういう風に出来ているから。
「さあほら起き上がってアリス!そして行こうアリス。早くしないと始まっちゃうよ!」
…白兎が同居人と仮定するならば敬語はおかしいだろう。
「行くって何処へ?」
白兎の言うことがまるで理解出来ない、とアリス(仮)は示す。
「お茶会。」
情報量の多さにアリス(仮)は追いつかない。
ここはどこ、私はだれ、貴方は誰、どこへ行くの、謎のお茶会。
ここは…聞けていないけど恐らくは私の寝室、私が寝ていたんだものきっとそうだわ。
私はアリスと呼ばれた、……違う気がするけれど違うという根拠も無いし仮定としてアリスでいいだろう。
とりあえず私はアリスだ。
この人は…白兎、そう名乗った、ここで嘘をつく意味はあるかないか分からないけれど私の寝室(恐らく)に入ってきたんだ、同居人か何かだろう、同居人と仮定するならば彼女に嘘をつく意味はない、だとすれば彼女は白兎である。
お茶会は……お茶会は分からない。
お茶会とは何だろう。
そのままの意味なら紅茶を飲んでお菓子を食べるんだったはず。
…なぜ私はお茶会に呼ばれているのだろう。
分からない。
「お茶会?」
「そうだよアリス、一昨日帽子屋とイカレ兎に誘われていたじゃない。早く行かなきゃ主役はアリスなんだから!」
「帽子屋?イカレ兎?誘われた?」
白兎はキョトンとした。
「何言ってんのアリス、一昨日帽子屋とイカレ兎が君の誕生日じゃない日のパーティを開くって言っていたよ、アリスその場に居たでしょう?ボクだって聞いていたよ。」
「誕生日じゃない日のパーティ……」
不思議な文化だ。
「そう、誕生日じゃない日のパーティ。だから行かなくちゃ。」
「…とにかく行かなきゃ行けないの?」
「そうだね。」
つまり私はよく分からないけれど見ず知らずの人のところへ誕生日じゃない日を祝われに行くわけか。…複雑だな。
…複雑過ぎて全くついていけない。
「そうなんだ……」
「行きたくないのアリス?」
「うーん、祝ってもらうみたいだし行かなくちゃ行けないのだろうけれど少し頭が追いつかないの。」
「どうして?」
そりゃおはようから何も覚えていない上に突然パーティに行こうだなんて誰だって頭は追いつかないだろう。不思議過ぎるであろう。
「だって不思議だから」
白兎は眉を顰めた。
「…ふーん、おかしなアリス。ボクからしたら今日のアリスの方が不思議だよ、あんなに楽しみにしてたお茶会を拒んでいるんだもの。」
「それは……」
それは…なんだ、別にお茶会を拒む理由…明白な理由は無いはずだ、ただただ理解出来ないからと行きたくない。私は今何も覚えていない、でももし私が本当にお茶会の約束をしていたら、お誕生日じゃない日を祝うのが普通なのだとしたらとてつもなく失礼な気がしてきた。
…行くべきだろう。
彼女の口振りからして私は一昨日帽子屋とイカレ兎に会っているのだ、お誕生日じゃない日という記念日?に祝ってもらう程の仲なのだろう、そして私はそれをとても楽しみにしていた。私からしてもそれなりの仲だったのだろう。
何か思い出す手掛かりになるかもしれない。
きっと今すべきなのはとりあえず何かを思い出すこと、何もかも覚えていないのだから……。
「ごめんなさい、おかしなこと言ったね、行くよ。楽しみ過ぎてどうかしてしまったみたい。」
私は無理に笑っておいた、きっとお誕生日じゃない日は祝うものなのだろうから、きっと嬉しそうにしているべき日だから。
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