鳳凰の巣には雛が眠る〜かつて遊び人だった俺と慰み者だった君が恋人になるまで〜

タケミヤタツミ

文字の大きさ
15 / 57
二章:冷たい鳥籠(雛子過去編)

15:劣等感*

しおりを挟む
立て続けに二回達した雛子は弛緩したまま。
半ば抱えられる形で部屋に連れられ、鷹人のベッドに降ろされても無抵抗。

決して軽くない雛子を持ち上げられるだけ、やはり体格に見合った筋力があるらしい。
流石にトイレで長居など出来ず、先程は狭くて寝そべることも出来なかったのでその点だけは良かったのだが。
ここは例えるなら化け物のねぐら
牙を立てられ、喰い荒らされるのは分かっている。


「親父が帰ってくるまではここに居ることにしたから、お前には俺の世話役をしてもらう」

実質、これから一ヶ月ずっと犯すという宣言か。

それもそうだ、屋敷の仕事もしない役立たずがお嬢様扱いされていることこそ妙な状況。
使用人という名目で当主の手元に置かれていたが実際のところは愛玩具。
性欲処理なんて今更の話であり、いっそのこと身体だけ求められる方が気も楽だろう。

そうなるとジャケットを脱ぎ捨てた鷹人がネクタイも外す仕草すら可笑しい。
押し殺して含み笑いに留め、雛子は真っ暗闇の双眸で見上げる。


「分かりました……何とお呼びすれば宜しいですか?」
「鷹人でいい」

長い指が雛子の首筋を撫でると、制服のリボンタイに触れる。
そのまま握り潰された黒い蝶々。
無残に命を散らして、胸元が開かれてしまう。

菫色をしたワンピースの制服は清楚で上品。
背も高めなので雛子は大きいサイズを着ているのだが、それでも前が少し閉じ難かった。
大きめの林檎二つ分に実った乳房に、白桃のような尻を押し込めるには部分的に布が足りない。


「……服の上から見ても分かっていたが、いやらしい身体だな」

ショーツと同じくブラも砂糖菓子のような純白のレース仕立て。
重たげな乳房を寄せて深い谷間を作り、甘やかに装飾する。

トイレでは制服越しに胸を鷲掴みされたので警戒したが、今度は揉みほぐす形。
まだブラは着けている訳だが上半分は素肌、相変わらず冷たい指なので直に触れているところから体温が奪われていく。
そうしているうちにフロントホックも外され、コーラルピンクに色付いた先端まで姿を現す。

「あの、鷹人様……残りは自分で脱ぎましょうか……」

女中達はそう呼んでいたので雛子も倣うと、鷹人が動揺を呑んだ顔を見せた。
ただし気の所為のような儚さ。
ベッドで「様」なんて呼ぶのは可笑しかったろうか。

「いや、まだ良い……冠羽女学園の制服を汚す機会なんてそう無いしな……」
「……そうですか」

当主も制服を着せて事に及ぶのが好きだった。
背徳感はスパイスになる。

捲れたスカートにも鷹人の冷えた手が這ってきて、雛子は背筋が震えた。
内腿を閉じようとしても、ショーツを脱がされて守りを失った秘部は交わった後なのでまだ柔らかい。
侵入する指を待ち望んでいたように蜜が垂れてくる。

「んん……ッ、あぅ……」

調教された身体は男に触れられると快楽として受け止めてしまう。
それも久々のことなので素直に「気持ち良い」と口にしてしまいそうな危うさがあった。
まるで砂に雨水が染みるような感覚すら。


そう、まだ治まらないのは雛子も同じこと。
奥が酷く切なくて気が狂う。
引き抜かれた指から糸を紡がれ、どうにも寂しかった。

しかし当然の話、鷹人は行為をやめた訳でない。
体勢を入れ替えてシーツに寝そべると雛子を抱き寄せてきた。
蜜に濡れた指で小さな顎を掴み、真っ直ぐに視線で突き刺しながら命令する。

「次はお前が上になれ」
「や、でも……私、ちょっと、重いですし……」

ただでさえ金髪で目立つ雛子は肉付きの良い身体つきが少しばかりコンプレックス。
子供の頃は少年のようだっただけに、自分の外見が女になりつつあることに戸惑いが残っている。
歯切れの悪い返事をしたのはそうした理由だったが、鷹人があからさまに苛立った顔をするものでますます訳が分からない。


「……親父にいつもそう言われてるのか?」

ああ、今度は何となく読めた。

先程から幾度も当主のことを口にするのは雛子を責め立てているだけでない。
鷹人自身が最も気にしている事柄だからか。


仕事を理由に家庭を顧みなかった父親の留守中、寵愛している女を寝取るなんて甘美な秘密。
仄暗い優越感に浸りたいだけか。
或いは、いっそ露見して怒り狂う様が見たいのかもしれない。
そうすれば当主は鷹人のことを見てくれる。

でなければ父親の手垢に塗れた女をわざわざ抱く理由など他にあるものか。
かの有名な最上家の跡取りなんて、それこそ否応無しに男も女も次々と寄って来るだろうに。


どうやら雛子が黙ったままなのを肯定と受け取ったらしい。
勝手に騎乗位での睦事を想像しているのだろう、鷹人がますます苛々を露わにする。
確かにそんな頃もあった、過去の話。
その父親が今や、靴下を咥えたり性器を足蹴にされるのが大好きな犬に成り下がっているとは思うまい。

「いいから……早く自分で挿れて、腰を振れ」
「あっ、うぅ……はい、失礼します……」

面倒そうながらも鷹人が避妊具を着けるのを確認してから、はしたないと思いつつ雛子も恐る恐る跨った。
菫色のスカートの中、ゴムに包まれた切っ先が潤んだ花弁と擦れ合う。


「っン、く、あぁッ……ふ、うぁ……っ」

聳える雄はそれなりに長さがあるので雛子が上下に動いても抜けない。
布に隠された結合部からしゃぶりつく水音。
腰を打ちつける度に重い乳房が弾んでいやらしい。
鷹人も堪らなくなってきたのか上体を起こし、制服の襟を握って膨らんできた乳首に吸い付く。

「はぁ……ッ、お前のナカ熱いな、トロトロだ……」

火が着いて熱くて蕩けそうな雛子の身体は燭台の蝋燭のようになる。
激しく揺れても、深く芯を刺しているので倒れない。


快楽に支配されてぐちゃぐちゃに交わり合う、汗ばんだ身体二つ。
乳首を舐め転がしながら、鷹人の手は下へ這う。
スカートの中へ忍び込むと丸い尻を掴み、長い指が谷間に喰い込む。

「ひッ……」
「……こっちも開発済みか、あのエロ親父」

奥で戦慄いていた蕾に指先が挿し込まれて、雛子が息を呑む。
そうは言うが、本当は泡だらけの手で触れた時から察していたのかもしれない。

思わぬところを探り当てられて小さく震えた雛子を鷹人は嘲笑う。
吸っていた乳首から顔を上げ、不意に唇が奪われる。
舌で掻き混ぜられた唾液が顎を伝って乳房に点々と落ちた。
こうしている間にも蕾の指は抜かれず。
それどころか、ゆっくりと深くなっていく。


「こっちも後でな……最近忙しくて溜まってたから、連休中はしっかり可愛がってやるよ」

浮気になるのだろうか、これは。
そもそも誰も好きじゃないのに。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...