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2.その変態!実は王子?!!
しおりを挟む目の前にいる男性の変態発言から数秒後。
わたくしはようやく口を開く事に成功した。
「…大変申し訳ありませんが、わたくしにはおっしゃっている意味が分かりませんわ。ところで、失礼ながら貴方はどなたでしょうか?初めてパーティーでお会い致しましたが…」
いや、分かっていても理解したくない。
是非とも他の方をあたって欲しい。
それと初対面で変態発言っていかがなものかしら?
そんな意を込めにっこりと伝えると、これまた思わぬ事実が明らかに。
「あぁ、申し遅れたね。僕はフェルジオ・アウラディア。イリーナ嬢には是非とも愛称のフェルと呼んで欲しいな」
(…フェルジオ・アウラディア…ですって?!!)
ちょっと待って欲しい。
先ず、この国の名前がアウラディア王国という。
そしてフェルジオというと王家の第三王子の名前だ。
改めて第三王子の名前を名乗った男性を見てみる。
茶髪の髪の毛をフェルジオ王子の美しいプラチナブロンドに置き換え、眼鏡を外した姿を思い浮かべると、あら不思議。
目の前の男性と記憶を頼りに思い浮かべたフェルジオ様が、ピッタリと重なったのだった。
(本当の本当に、先程の変態発言をしたのがフェルジオ様…?!嘘でしょう?!!)
フェルジオ様とはこれまで挨拶のみだが何度かお会いした事があった。
その時は至って普通の誰もが憧れる素敵な王子様、といった感じだったのに。
一体これはどういう事なのか。
「あの…本当にフェルジオ様…?」
「ふふ、そうだよ。このカツラは変装用に用意させた物なんだ。…いつもの姿だと人が群がる様に押し掛けてくるのに、今回はそれがなかった。変装一つでこうも変わるのは面白いね」
そう言うと男性、フェルジオ様は茶髪のカツラへと手をやり引っ張ると外して見せた。
すると、一つに結われていた胸元まである
プラチナブロンドがぱさり、と姿を現す。
(あぁ…紛れもなく、フェルジオ様…ですわね)
認めたくはない。
けれど確たる証拠がある限り、それはもう叶わない事で。
わたくしは諦めて事の経緯を尋ねる事にした。
「…フェルジオ様。何故、今宵のパーティーへ変装して来られたのですか?」
「それはね、僕自身で婚約者を探しに来たのさ」
「婚約者探し、ですか…」
「あぁ、さすがに父上達が五月蝿くてね…」
この国では幼い頃から決められた婚約者がいるのは珍しくない。
けれど、王家だというにも関わらず、フェルジオ様だけはいつまで経っても婚約者が公表される事はなかった。
不思議に思った人々は色々な噂をしていたものだ。
ちなみにわたくしも婚約者はいない。
わたくしは四人兄妹の三番目なので跡取り関係は問題なし。
その上、両親が今でも仲の良い夫婦な事もあって結婚するなら自分で好きになった方として欲しい、との事。
まぁ、さすがに公爵家なので日々お見合いの打診は舞い込んでくるけれど…特に気になる方がおらず現在十六歳。
フェルジオ様は今年で十七歳になられるから…わたくしの一歳年上となる。
(それにしても、王子自ら変装して婚約者探しとはどういう事なのかしら…?)
不思議に思うが決して言葉にはしない。
これ以上関わったら、ろくなことにならない予感がしたからだ。
「…そうでしたか。婚約者探しの最中に衣服を汚してしまい、本当に申し訳ありませんでした」
「…いいや、構わない。お陰で君とこうして話す事が出来たのだから、ね」
フェルジオ様はそう言うと、茶目っ気たっぷりに笑ってぱちり、と水色の瞳を瞑ってウィンクをしてきた。
思わず一歩後ずさってしまう。
(…あれ?フェルジオ様ってこんな方でしたっけ?!と、取り敢えず、平常心よイリーナ)
「…お気遣い、有り難うございます」
「イリーナ嬢、勘違いしないで欲しいな。僕の本心だよ。僕は君が気に入ったんだ」
「…え?」
フェルジオ様が、わたくしを、気に入った…?!!
困惑するわたくしをよそに更に追い討ちが掛けられる。
__だからね、君には僕の婚約者になって欲しいな。
__そして是非とも僕を罵って?
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