【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ

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第1話 婚約破棄と、誰も味方がいなかった日

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――エリシア・ヴァンローズ。
貴様との婚約を、ここに破棄する。

王太子の冷たい声が、謁見の間に響き渡った。

一瞬、何を言われたのか理解できなかった。けれど次の瞬間、ざわめき立つ周囲の声と、突き刺さるような好奇の視線が、それが紛れもない現実なのだと否応なく突きつけてくる。

「理由は分かっているな?公爵令嬢でありながら、他の令嬢を陥れた罪だ」

――違う。
そんなこと、私はしていません。

そう口に出そうとして、私は言葉を飲み込んだ。隣に立つはずだった家族も、いつも笑いかけてくれていた友人たちも、誰一人としてこちらを見ていなかったから。

(……ああ、そういうことなのね)

私はこの場で、すでに“切り捨てられた存在”なのだ。

(お父様……)

縋るように視線を向けた先で、お父様は、静かに目を逸らした。

(やはり、そうよね。お母様は……最初から、こちらを見るつもりすらない)

「弁明はないのか?」

王太子の問いかけに、私はゆっくりと首を横に振った。

「いいえ。もう十分です」

この人たちは、私が何を言っても、信じる気などない。

それなら――。

「婚約破棄、確かにお受けいたします」

その瞬間、彼らの顔に浮かんだ安堵の表情を、私はきっと、一生忘れないだろう。
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