皆様覚悟してくださいませ。偽聖女の義妹から全て取り戻します。今まで受けた仕打ちは倍にしてお返し致します。

くろねこ

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二十一

再教育の進捗

――公爵夫人タミア・フォン・ハーベルトの場合

再教育は、感情論では始めなかった。必要なのは反省ではなく、結果だからだ。

開始から、二週間。

私は、執事長から提出された報告書に目を落とす。


一週目

・社交マナー再履修
・発声、姿勢、視線の使い方
・沈黙の意味、会話の切り上げ方

結果:途中で三度、声を荒げる

「なぜ私がこんなことを……!」という発言あり。

減点。

公爵夫人は、感情を制御できなければ価値がない。


二週目

・社交界の構造理解
・誰が決定権を持ち、誰が噂を流すか
・“無意味な挨拶”と“意味のある接触”の区別

結果:初めて、相手の名前と立場を一致させる。

「この方は……港湾利権でしたか?」

進歩。だが、三年遅い。



財務理解テスト

・宝飾購入額
・公爵家の年予算
・社交にかけられる上限費用

タミア、答えられず。

「お金のことは、難しくて……」

私は顔を上げる。

「難しいのは管理であって、浪費ではありません」

その場で、今後三ヶ月の支出上限を三割削減。反論は却下。



神殿対応シミュレーション

想定質問:

「聖女は本当に力を持っているのか?」

タミアの回答:

「神殿がそう言っていますので……」

失格。

答えは、こうだ。

「神殿が認定した、ではなく“結果が出ている”と示しなさい」

他人の権威を借りる癖。
これが、彼女の最大の欠点だ。



三週目・変化

声量が下がった。感情の起伏が減った。
叱責されても、反射的に言い返さなくなった。

理由は単純。

言い返すたびに、翌日の課題が倍になると学習したからだ。

人は、痛みで変わる。


オリビアの所感

タミアは、才能がないわけではない。
ただし――

・判断が遅い
・責任を避ける
・努力を「屈辱」と思っている

公爵夫人に最も向かない性質を、完璧に揃えている。だが。「役に立たない」と「使えない」は違う。使える形に削るだけだ。



現在の評価

・公爵夫人としての価値:再構築中
・単独判断能力:低
・補佐付き社交要員:可
・再発防止監視:必須

総合評価:「前に出さなければ、害はない」



私は、報告書を閉じる。

「……順調ね」

浮遊クッションに身を沈めながら、呟く。壊すより、作り替えた方が安上がり。

それに――

努力しても報われない地獄を、少し味わわせるのも教育だ。

次は。

義母を“成果が出る社交”に実地投入する段階。

失敗すれば、また一段、下げるだけ。

「さて……」

私は、目を細める。

「どこまで耐えられるかしら、公爵夫人?」




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