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■第6章: ニヤ国を守れ!
【 第4話: エイト公との交渉 】
しおりを挟む日が明ける前に俺たちは、ヤーシブへと向かった。
ジョセフ(馬)は、グリフに選び抜かれただけあり、走力・持久力が群を抜き優れていた。
いくつかの山を越え、見えてきたのは、整備された大きな道だった。
その手前に、門のような大きな扉があり、そこに2人の衛兵らしき者が立っている。
「止まれーーっ!! お前は何者だ!」
「俺は、ニヤ国第2859代の王子、『タロー』だ! エイト公に会いにきた! ここを通して欲しい!」
俺がそう言うと、衛兵たちは、すんなりとその関門を通してくれた。
門を入ると、そこは、整備の行き届いた綺麗な赤茶色の砂利が敷き詰めてある、幅20mほどある道が続いていた。
その道の両側には、綺麗に丸く刈られた緑の木々が植えられている。
『ザクザクザクザク……』
その道をしばらく馬に乗っていくと、正面にニヤ国よりも遥かに巨大なお城が姿を現した。
城のセンスは、ニヤ国よりも趣味が良く、かっこいい……。
色といい、形といい、とても統一感のある、まさに『ザ・お城』だ。
城に近づいていくと、両側にヤーシブの軍隊らしきヤツらがズラッと並ぶように立っている。
その光景から、俺がヤーシブに来ることを、既に伝令か何かで伝えられているように感じた。
そして、その巨大な城の門の前まで辿り着いた。
そこで、エイト公がやったように、俺もこう大声で名乗った。
「やあやあ我こそは、ニヤ国の王子、『タロー』なり! ニヤ国への攻撃を中止させるため、ここに参った!」
すると、門が開き、俺たちを囲むように、槍を持ったヤツらが先導して、門の中へと迎え入れた。
人数にしておよそ100人くらいか。
今、ここで何かあったら、俺は確実にやられる。
俺が馬を降り、ジョセフと一緒に城の入口まで来ると、エイト公が城から出てきて、徐にこう言った。
「やあ、これはこれは、先日会ったニヤ国の冴えない『タロー王子』じゃないか。今日は一人でノコノコと何しに来たのだ?」
「エイト公……。お願いがあるんだ……」
「今さら、私に何の用なのかね?」
「ニヤ国を攻撃するのは、やめてくれないか……」
「はっはっはっはっ……。面白いことを言うね。タロー王子は。私はもう決めたのだ。ミャー姫にああも拒絶されては、私のプライドが許さない。悪いがその件なら、お断りだ。帰ってくれたまえ」
「エイト公、聞いて欲しい。俺は、ニヤ国の人たちも、ヤーシブ国の人たちも、誰も傷つけたくはない。だから、こんなことはよさないか?」
「もう決まったことだ。私のプライドが傷ついたのだ!」
「どうしても、争いは止められないのか……?」
「タロー王子よ! 私は二度は言わぬ! もう『賽は投げられた』のだ!!」
エイト公のその目は、本気だった……。
恐ろしいまでの迫力を感じた。
このままでは、ヤーシブ国の兵力からすれば、ニヤ国が滅びるのも時間の問題だ。
俺は、決心をした……。
「エイト公、俺の命と引き換えに、ニヤ国を攻めるのをやめてはもらえぬか?」
「んっ? タロー王子の命と引き換え? 貴様も面白いことを言うな。貴様は、名古屋国の王子でもあるのだろう? そうなれば、ニヤ国だけじゃなく、名古屋国も困るんじゃないのか?」
「俺は……、本当は……、名古屋国の王子でも何でもないんだ……」
「はっはっはっはっ、貴様は名古屋国の王子ではないのか? それは滑稽だ。はっはっはっはっ、通りで王子にしては品がないと思っていたよ。はっはっはっはっ……」
エイト公は、高らかに俺のことを笑っていた。
しかし、それが嘘偽り無い現実だ……。
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