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第2章「慌ただしい日常」
第28話「雪まつり①」
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アスチルベ目線
________________________________________________
うわぁ!凄い賑わい!!
今まで見慣れてきた町の風景とは変わって、この雪まつりの為に着飾っている。
町を行き交う人々の中では、明らかに観光客らしき者が混ざっている。
よっぽど注目を浴びているのだろうか。まぁ、マルガリータ村で有名なのは特産物とこの祭りだしね。
でも、最近は料理にも注目されているらしく、どこか新聞で見たことがあるような料理人を稀に見かける。
「アスチルベ。選手受付はあそこらしいぞ。」
「グエ……ちょっといきなり引っ張らないでよ。首がしまっちゃう……。」
「小さなことを気にするな。」
「小さな……事……。」
何を言ってもどうにもならないと数年付き合っているので分かる。
渋々カウンターの方に目を向けると長蛇の列が続いている。
「長い時間をどう潰そうかな……。」
「割り込む事もできるが?」
「どうやって?」
「なに、前後の人間の記憶を少し操作すれば良いだけだ。」
「……いいねやろう」
屑同士仲良くやりましょうニッコリ。
遠慮なく前からニ・三番目に割り込もうとした。
「アスチルベ~!丁度良かったわ。私達も並ぼうとしてたのよ。」
「おはようアスチルベ。グラデウスのおっさんもおはよう。」
「リリーお姉ちゃんとミュールじゃん!!うん、丁度良かった一緒に並ぼう!」
「……チッ。タイミングが悪い……」
グラデウスの脇腹を思いっきり摘んで黙らせた。
「よ、ようやく終わった……結局一時間ぐらい並んだよ。」
「だから割り込もうと言ったのだ。」
「割り込む?」
「ああっと!!何でもないよリリーお姉ちゃん!それよりもミュールと一緒にエントリーするらしいけど意気込みはどうですか?!」
「え~、今年は私達が勝つわ!!」
「押忍!」
どうやら準備満タンらしい。今までに見たことがないほど闘志に満ち溢れいる。
それに比べてグラデウスはというと欠伸をしている始末。
「あ、アシュレイさんじゃないかしら?」
リリーお姉ちゃんが向ける方向に目線を凝らすと、マスターとアイリスさんが一緒に座っていた。
昔の話でも盛り上がっているのか、お互い砕けた態度の笑顔で話している。
アイリスさんは相変わらず美しさ容姿で、座っているだけでも眩しい。
マスターは上機嫌な様子で酒を大ジョッキで飲んでいる。
「あの人のあんな顔見たことがなかったよ俺。」
「そうね、私もなかったわ。」
私は見るのが二度目なのであまり動揺はしないけど、やっぱり二度見してしまう。
万年怒りおじさんみたいな人が優しげな微笑みをしているのだ。しょうがない。
“開会式の時間になりました。出場する選手は会場に集まってください。繰り返します……”
「時間だな。それじゃあアスチルベとグラデウスのおっさんもがんばれよ。」
「ばいばい~。」
二人と別れて私達も会場へ向かう。
会場に着くとまず始めに首から下げるタイプの札を貰う。
これで選手の現在位置が分かるようになるので、出場の時間を知らせやすいらしい。
それと同時に監視もされているということだ。
次にバトルをやるここの闘技場にて控室が幾つか用意されている。
試合前にその控室へ行かないと出場出来ないため場所を案内される。
最後にこの大会についてのルールは開会式のときに大雑把に教えられるが、第一試合の前にもう一度詳しくルール説明を受ける。
そして自分の出番がくるまでゆっくり祭りを楽しむという流れだ。
「いい順番を引いたな。」
「ぜんっぜんよくないよ?!一番最初の試合だよ?」
「序盤で戦っておけば二回戦目までに体力を回復できる時間があるではないか。」
「……そうだわ。そう考えたらいい順番かも、、、いや思えないわ。
だって第一試合って一番注目度集まるじゃん!!」
納得行かずグチグチぼやいていると、久しぶりに聞いた大きな声が向こうから近づいてくる。
「アスチルベェ~!!久しぶりだな!」
眩しい笑顔と本当に嬉しそうな表情。可愛いなヨウタは。
「グラデウスさんもお久しぶりっすね。それより今日は是非勝ち残ってくれよ!ブロック戦では別々になっちゃったからな。」
ヨウタはわかり易く態度を変えて話を続ける。グラデウスとは犬猿の仲なのだろうか。
「そうだね。ヨウタと戦わずに負けるなんて悔しいもん。やるからには勝つから。」
「押忍!!それじゃ!」
ヨウタはそれだけ言い残すとさっさと何処かに行ってしまった。
本当に風のような人だなあの人は…。
「アスチルベ、そろそろ控室に行かねば。」
「うん、行こう。よぉ~し燃えてきた!!」
こうしてマルガリータ村雪まつり、一日目が幕を開けた。
To be continue⇨
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うわぁ!凄い賑わい!!
今まで見慣れてきた町の風景とは変わって、この雪まつりの為に着飾っている。
町を行き交う人々の中では、明らかに観光客らしき者が混ざっている。
よっぽど注目を浴びているのだろうか。まぁ、マルガリータ村で有名なのは特産物とこの祭りだしね。
でも、最近は料理にも注目されているらしく、どこか新聞で見たことがあるような料理人を稀に見かける。
「アスチルベ。選手受付はあそこらしいぞ。」
「グエ……ちょっといきなり引っ張らないでよ。首がしまっちゃう……。」
「小さなことを気にするな。」
「小さな……事……。」
何を言ってもどうにもならないと数年付き合っているので分かる。
渋々カウンターの方に目を向けると長蛇の列が続いている。
「長い時間をどう潰そうかな……。」
「割り込む事もできるが?」
「どうやって?」
「なに、前後の人間の記憶を少し操作すれば良いだけだ。」
「……いいねやろう」
屑同士仲良くやりましょうニッコリ。
遠慮なく前からニ・三番目に割り込もうとした。
「アスチルベ~!丁度良かったわ。私達も並ぼうとしてたのよ。」
「おはようアスチルベ。グラデウスのおっさんもおはよう。」
「リリーお姉ちゃんとミュールじゃん!!うん、丁度良かった一緒に並ぼう!」
「……チッ。タイミングが悪い……」
グラデウスの脇腹を思いっきり摘んで黙らせた。
「よ、ようやく終わった……結局一時間ぐらい並んだよ。」
「だから割り込もうと言ったのだ。」
「割り込む?」
「ああっと!!何でもないよリリーお姉ちゃん!それよりもミュールと一緒にエントリーするらしいけど意気込みはどうですか?!」
「え~、今年は私達が勝つわ!!」
「押忍!」
どうやら準備満タンらしい。今までに見たことがないほど闘志に満ち溢れいる。
それに比べてグラデウスはというと欠伸をしている始末。
「あ、アシュレイさんじゃないかしら?」
リリーお姉ちゃんが向ける方向に目線を凝らすと、マスターとアイリスさんが一緒に座っていた。
昔の話でも盛り上がっているのか、お互い砕けた態度の笑顔で話している。
アイリスさんは相変わらず美しさ容姿で、座っているだけでも眩しい。
マスターは上機嫌な様子で酒を大ジョッキで飲んでいる。
「あの人のあんな顔見たことがなかったよ俺。」
「そうね、私もなかったわ。」
私は見るのが二度目なのであまり動揺はしないけど、やっぱり二度見してしまう。
万年怒りおじさんみたいな人が優しげな微笑みをしているのだ。しょうがない。
“開会式の時間になりました。出場する選手は会場に集まってください。繰り返します……”
「時間だな。それじゃあアスチルベとグラデウスのおっさんもがんばれよ。」
「ばいばい~。」
二人と別れて私達も会場へ向かう。
会場に着くとまず始めに首から下げるタイプの札を貰う。
これで選手の現在位置が分かるようになるので、出場の時間を知らせやすいらしい。
それと同時に監視もされているということだ。
次にバトルをやるここの闘技場にて控室が幾つか用意されている。
試合前にその控室へ行かないと出場出来ないため場所を案内される。
最後にこの大会についてのルールは開会式のときに大雑把に教えられるが、第一試合の前にもう一度詳しくルール説明を受ける。
そして自分の出番がくるまでゆっくり祭りを楽しむという流れだ。
「いい順番を引いたな。」
「ぜんっぜんよくないよ?!一番最初の試合だよ?」
「序盤で戦っておけば二回戦目までに体力を回復できる時間があるではないか。」
「……そうだわ。そう考えたらいい順番かも、、、いや思えないわ。
だって第一試合って一番注目度集まるじゃん!!」
納得行かずグチグチぼやいていると、久しぶりに聞いた大きな声が向こうから近づいてくる。
「アスチルベェ~!!久しぶりだな!」
眩しい笑顔と本当に嬉しそうな表情。可愛いなヨウタは。
「グラデウスさんもお久しぶりっすね。それより今日は是非勝ち残ってくれよ!ブロック戦では別々になっちゃったからな。」
ヨウタはわかり易く態度を変えて話を続ける。グラデウスとは犬猿の仲なのだろうか。
「そうだね。ヨウタと戦わずに負けるなんて悔しいもん。やるからには勝つから。」
「押忍!!それじゃ!」
ヨウタはそれだけ言い残すとさっさと何処かに行ってしまった。
本当に風のような人だなあの人は…。
「アスチルベ、そろそろ控室に行かねば。」
「うん、行こう。よぉ~し燃えてきた!!」
こうしてマルガリータ村雪まつり、一日目が幕を開けた。
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