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第5章「新人傭兵」
第65「粘る執着」
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緊張が張り詰めた部屋に四人の男がいる。
白髪の男と薄桜色の瞳をした男が向かい合って座っている。
赤髪の男はつまらなそうに眼を閉じ、茶髪の男は虚空を見つめ微動だにしない。
「俺のギルドに何の用だ。隣国の王子様よお。」
低く唸るような声を出し、眉間にしわを寄せている白髪の男。
その向かいに座っているのは不気味な笑みを張り付け、うっすらと瞼の隙間からのぞく薄桜色の瞳が彼をしっかりとらえている。
「うーん、理由は言えないんだけどね?返してほしい人がいるのさ。」
「断る。」
平行線状態の会話を聞きながら一人、のんきに欠伸をした赤髪の男。
傭兵ギルド所属の副団長ウォレッドである。
緊張で張り詰めた部屋に退屈し、研究途中で急な呼び出しがあったため仕方なく来たが早く帰りたい様子。
再度欠伸をすると、シオンとなのった隣国の王子の後ろにいる、物静かな男に興味がわいた。
先ほどまで虚空を見ついていたはずだが、いつの間にか窓の外で訓練していた訓練兵を食い入るように見つめていたためだ。
彼の上司であるバロウ団長はシオンとは仲が悪い。
何か事件があったというのはないらしいが、なぜかあった時から団長の本能がシオンを拒絶しているらしい。
そんな話を思い出したウォレッドだったが、どうしてもシオンより今は後ろにいる長髪の男が気になる。
「訓練兵が気になりますか?」
「!、、、ああすいません。つい有名どころの訓練兵はどれほど完成された人材がいるのかと気になってしまいまして。」
また窓に目線を向け、食い入るように訓練兵を見つめた。
ウォレッドは彼が誰を見ているかようやくわかった。
「、、、あの赤髪の子が気になりますか?アシュレイ殿。」
熱心に見つめている相手が見抜かれ、動揺が見れると思ったが流石やり手の商人だ。
余裕そうに口角を上げた。
ウォレッドとアシュレイは少し交流があった。彼の研究材料には禁忌の素材を扱うことが多かったためアシュレイによくお世話になったためである。
数年前は気まぐれな商人として名が通り、信頼できる腕がありながら才能を無駄遣いしていると有名だった。しかし例の黒龍の主人を雇った以降腕に磨きがかかり世界でも有数の有名商人と成りあがっていった。
さてはて、、、それなのに関わらずだ。
ウォレッドは思考をめぐらす。
本人が黒龍の主人を捕まえ政府に突き出したと聞く。
黒龍の主人とは一人の少女であった。彼らの店の近くに住む住民によると、アシュレイの事をマスターと呼びよく懐いているごく普通の少女であったらしい。長年の付き合いだったらしく二人には確かな絆が存在していたはずだ。
その絆を裏切る行為をする冷酷な男。
しかし交渉している時はそのようには見えなかった。
どうしてもその時の心情やどれほどの後悔が生まれたのかなどを、根掘り葉掘り聞きたかった。
彼、ウォレッドは普通の人間ではない。
「少々知り合いに似ていましてね。いやはや、ここの訓練兵は基礎が違う。完成度が頭一つ抜けていますね。」
「おほめに預かり公光栄です。このギルドの名に恥じぬよう私たち幹部は精進しております故。」
食い入るようにアシュレイの目をのぞき込む。
確かに隠すのはうまい。しかし彼の奥底にはどろどろした何かが蹲っている。
そうウォレッドは確信していた。
ガシャンと音が後ろからした。
今回の対面はここまでだろう。
「うわ団長、やりすぎですよ流石に・・・。」
ウォレッドは楽し気に口角を上げた。
怒りが頂点に達したのか、シオンと団長の間にあった机にナイフを突き刺した音であった。
「帰れ外道。二度と俺のギルドに足を踏み入れるな。」
「会話できないなぁ、、、とりあえず今日は帰るよ。また来る。」
「シオンとはとことん馬が合わないみたいですね。お邪魔しましたウォレッド殿。イイ見学ができました。」
アシュレイはさっさと部屋を出ていくシオンについて出ていった。
「ウォレッド。何を話していた。」
「別に何も?」
バロウは荒々しい態度でアルコール度数の高い酒を一気に喉に流しこんだ。
ウォレッドは面白いおもちゃでも見つけたかのように細笑む。
数か月前に来たアスは、どんどんと事件を呼び人を巻き込むパンドラの箱だ。
日々に退屈しているウォレッドにとって興味を惹かれないわけがなかった。
緊張が張り詰めた部屋に四人の男がいる。
白髪の男と薄桜色の瞳をした男が向かい合って座っている。
赤髪の男はつまらなそうに眼を閉じ、茶髪の男は虚空を見つめ微動だにしない。
「俺のギルドに何の用だ。隣国の王子様よお。」
低く唸るような声を出し、眉間にしわを寄せている白髪の男。
その向かいに座っているのは不気味な笑みを張り付け、うっすらと瞼の隙間からのぞく薄桜色の瞳が彼をしっかりとらえている。
「うーん、理由は言えないんだけどね?返してほしい人がいるのさ。」
「断る。」
平行線状態の会話を聞きながら一人、のんきに欠伸をした赤髪の男。
傭兵ギルド所属の副団長ウォレッドである。
緊張で張り詰めた部屋に退屈し、研究途中で急な呼び出しがあったため仕方なく来たが早く帰りたい様子。
再度欠伸をすると、シオンとなのった隣国の王子の後ろにいる、物静かな男に興味がわいた。
先ほどまで虚空を見ついていたはずだが、いつの間にか窓の外で訓練していた訓練兵を食い入るように見つめていたためだ。
彼の上司であるバロウ団長はシオンとは仲が悪い。
何か事件があったというのはないらしいが、なぜかあった時から団長の本能がシオンを拒絶しているらしい。
そんな話を思い出したウォレッドだったが、どうしてもシオンより今は後ろにいる長髪の男が気になる。
「訓練兵が気になりますか?」
「!、、、ああすいません。つい有名どころの訓練兵はどれほど完成された人材がいるのかと気になってしまいまして。」
また窓に目線を向け、食い入るように訓練兵を見つめた。
ウォレッドは彼が誰を見ているかようやくわかった。
「、、、あの赤髪の子が気になりますか?アシュレイ殿。」
熱心に見つめている相手が見抜かれ、動揺が見れると思ったが流石やり手の商人だ。
余裕そうに口角を上げた。
ウォレッドとアシュレイは少し交流があった。彼の研究材料には禁忌の素材を扱うことが多かったためアシュレイによくお世話になったためである。
数年前は気まぐれな商人として名が通り、信頼できる腕がありながら才能を無駄遣いしていると有名だった。しかし例の黒龍の主人を雇った以降腕に磨きがかかり世界でも有数の有名商人と成りあがっていった。
さてはて、、、それなのに関わらずだ。
ウォレッドは思考をめぐらす。
本人が黒龍の主人を捕まえ政府に突き出したと聞く。
黒龍の主人とは一人の少女であった。彼らの店の近くに住む住民によると、アシュレイの事をマスターと呼びよく懐いているごく普通の少女であったらしい。長年の付き合いだったらしく二人には確かな絆が存在していたはずだ。
その絆を裏切る行為をする冷酷な男。
しかし交渉している時はそのようには見えなかった。
どうしてもその時の心情やどれほどの後悔が生まれたのかなどを、根掘り葉掘り聞きたかった。
彼、ウォレッドは普通の人間ではない。
「少々知り合いに似ていましてね。いやはや、ここの訓練兵は基礎が違う。完成度が頭一つ抜けていますね。」
「おほめに預かり公光栄です。このギルドの名に恥じぬよう私たち幹部は精進しております故。」
食い入るようにアシュレイの目をのぞき込む。
確かに隠すのはうまい。しかし彼の奥底にはどろどろした何かが蹲っている。
そうウォレッドは確信していた。
ガシャンと音が後ろからした。
今回の対面はここまでだろう。
「うわ団長、やりすぎですよ流石に・・・。」
ウォレッドは楽し気に口角を上げた。
怒りが頂点に達したのか、シオンと団長の間にあった机にナイフを突き刺した音であった。
「帰れ外道。二度と俺のギルドに足を踏み入れるな。」
「会話できないなぁ、、、とりあえず今日は帰るよ。また来る。」
「シオンとはとことん馬が合わないみたいですね。お邪魔しましたウォレッド殿。イイ見学ができました。」
アシュレイはさっさと部屋を出ていくシオンについて出ていった。
「ウォレッド。何を話していた。」
「別に何も?」
バロウは荒々しい態度でアルコール度数の高い酒を一気に喉に流しこんだ。
ウォレッドは面白いおもちゃでも見つけたかのように細笑む。
数か月前に来たアスは、どんどんと事件を呼び人を巻き込むパンドラの箱だ。
日々に退屈しているウォレッドにとって興味を惹かれないわけがなかった。
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