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生家二日目

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  生家二日目 


 明るさを感じ私は目を覚ました。
「エリーゼ、おはよう。よく眠れたか」
「はい、よく眠れました」
「ドラガル様は眠れました?」
とドラガル様に尋ねた。
「あぁ、エリーゼを抱き締めながら眠ったからよく眠れたよ」
とドラガル様は笑顔で返答した。私は一緒に朝を迎えたことが嬉しくドラガル様に抱き付いた。
「エリーゼ、その格好で抱き付かれるとちょっとまずいのだが・・」
とドラガル様は苦笑いしながら言ってきた。私は自分の着ているものを思い出し急いでドラガル様から離れた。
「すみませんでした。私、着替えてきます」
そう言って寝台から出ようとした私の手をドラガル様は捕まえると
「俺が部屋に戻るからエリーゼはその後着替えてくれるか。じゃないとこんな明るいところをそんな格好で歩かれると刺激が強すぎるから」
と言ってきた。私はそう言われ初めて自分の軽率な行動に気が付いた。ドラガル様は寝台から出ると自室へと戻って行った。一人残された私は寂しく感じたが、今からまたドラガル様と過ごせると考えると寂しさは消えウキウキした気持でピクニックに出掛ける準備をした。
 私が準備をしているとドラガル様が続きのドアをノックしてきた。
「はい、どうぞ」
と私が言うとドラガル様が入って来た。
「どうだ、準備は出来たか」
「はい、後は帽子をかぶったら準備完了です」
そう言いながら帽子をかぶった。
「じゃあ、行こうか」
「はい」
私たちはキッチンでお弁当をもらうと二人で歩いて湖に向かった。ドラガル様がお弁当の入ったバスケットを持ってくれ、私が敷物などを持った。二人で手を繋ぎながら歩いていると一台の馬車がドラガル様の屋敷に向かって走って行った。私たちが話をしながら歩いていると先程通過した馬車が戻って来て私たちの横で停車した。中からは現れた人が
「ドラガル様ですか」
と尋ねてきた。ドラガル様が
「あぁ、そうだが」
と答えるとドラガル様に封筒を手渡した。それには急ぎ王宮へ戻るように書いてあったようでドラガル様は私の方を見ると
「エリーゼすまない。急ぎ王宮へ戻らなければならなくなった。屋敷に戻ろう」
と私に言い、馬車の人には
「俺は自分の馬で王宮へ向かう。先に戻っていてくれ」
と言っていた。私たちは急いで屋敷に戻ると急いで身支度をした。そうして私に
「用事が終わったらすぐに戻ってくる。それまでここで待っていてくれるか」
と言ってきた。私は
「そんなに早く用事は終わるのですか」
と問うと、
「あぁ、大丈夫だ。すぐに終わらせてくる」
とドラガル様は返答したので
「分かりました。お待ちしています」
と返事をした。ドラガル様はドラゴに跨り王宮へと向かわれた。
 ドラガル様が王宮へ向かわれて一人になった私をマルクたちみんなが慰めてくれた。ドラガル様と一緒に食べる予定だったお弁当はエマとケイトと一緒に食べ、午後からは庭に出てエドガーの手伝いをして時間を潰した。そうして夕方になってもドラガル様は戻ってこられなかった。するとロンとタイガが夕食作りに誘ってくれた。私はみんなと自分が手伝った夕食を食べ楽しい時間を過ごすことができた。しかし、湯あみを済ませ部屋の寝台に横になると急に寂しさが募ってきた。私はネックレスに触れ寂しさを紛らわしていたが、さらに寂しくなるばかりだった。ふと続きの扉を見た時、ドラガル様の寝台で眠ったら怒られるかしらと考えた。ドラガル様の事だから大丈夫だろうと思い私は起き上がるとドラガル様の部屋へと入って行った。ドラガル様は余程急いでいたのか服がソファーの上に置いたままになっていた。私はその服を片付けようと手に持った。すると急に愛おしさが込上げ気付くと胸に抱きかかえていた。私は服を持ったままドラガル様の寝台の中に潜り込んだ。すると布団からドラガル様の香りがするのだ。私は嬉しくなりドラガル様に包まれているような気分で眠りにつくことができた。
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