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2章:セントフィリアの冒険
22話.セレーネと真蜘羅の過去④:黒幕になりたい
しおりを挟む「懐かしいやろ?あの日のこと我は鮮明に覚えてるわ」
「私も覚えてるけど」
13、いや、あれは14年まえやったか。
あの日の記憶がよみがえった。
「そう、あの時、セレちゃんに勝負を挑んで、私の浅知恵を全部見抜かれて完膚なきまでにしてやられた時。我は恋に落ちたんやわ」
「そっち!?てっきり、コボルトから助けた方かと思ったんだけど。あの時の私は控えめに見てもカッコよかったし」
ニヤリと笑って自慢気にセレーネは言った。
セレーネも過去を思い出して、我の告白で驚くと同時に
得意げな気分になったのだろう。
確かにそこもかっこよかったけど。
「我もたいがいやけど、セレちゃん意外と自信過剰やな。そこも素敵なんやけど」
「じゃなくて困るよ。た、たしかにマクラのことは好きだけど、恋愛対象としては見れないし、というか私らどっちもメスでしょ?け、結婚なんてできないし。大体私にはルナが」
慣れないことに顔を赤く染めて恥じらいながら
セレーネはいう。
セレちゃんのこんな表情を見たのは初めてや。
いつもクールであろうと頑張っとるしなぁ。
それだけでも告白してよかったわ。
眼福眼福。
「けど、人間の世界じゃ、今は多様性は認められてて女同士で結婚することだってあるらしいで」
「ちょっ、ちょっと待って!大体マクラが思ってるそれは恋心じゃない可能性もあるんじゃ」
セレーネが前提を覆すような発言をする。
「どういうことや?」
「ほら、親愛とか尊敬がいきすぎて好きと勘違いしちゃったなんてよくあることでしょ。ね?」
「……確かに好きとは言っとるけど、恋なんてどんなもんか我は知らんな」
確かにこの気持ちが恋かどうかなんて我は知らんけど。
けどそれはそれとしてその場しのぎが下手やで。セレちゃん。
「そうだよ!納得した?」
「でも、この気持ちは恋の方だと思うんやけどなぁ。ま、今はそれでええわ。結局我が言いたいのは、もっと我を頼れってことだけやし。けど、セレちゃん独占したいから今後はどんどん突撃してくな」
ぎゅっと真蜘羅は抱きついてく。
それは親愛のあいさつのつもりだった。
だが、真蜘羅の腕はヌルリと私の体をすり抜けた。
「はぁ、無駄話はそろそろ終わりにしよ」
溜息をつき、奇麗な青い髪をいじくりながらセレーネは言う。
無駄話とは失礼な。
「…セレちゃんのいけず」
とはいえ、セレちゃんを困らせたかったわけやないし、今日はこのくらいにしとこうか。
今後もセレちゃんと一緒に入れる機会はいくらでもある。
「着いたよ。領主サマのお屋敷だ」
◇◇◇
※セレーネ視点です。
目の前には大きな屋敷があった。高い塀のあるお城の様な豪邸だ。
さすが、大都市セントラルフィリアの領主の家ってところかな。
さて、ここでの話し合いは今後の鍵だ。
領主との交渉次第で、今後人と魔獣との関係が大きく変わる。
ひいてはルナの目的の行末も。
となると、必要なことは。
チラリと真蜘羅の方をみる。
真蜘羅がいると、多分失敗するよなぁ。
「マクラ、悪いんだけど、ここで待っててもらえる?」
「ここまで来て放置プレイ!?」
「悪いんだけど、これから大人の話し合いがあるから」
「子供扱い!?オルちゃんと同じ扱いってそれはさすがに傷つくんやけど」
「とにかく、大人しく待っててね」
そう言って私は真蜘羅を置き去りにして屋敷のベルを鳴らす。
真蜘羅はいじけて頬杖をつき、不貞腐れた顔で待ってくれているようだ。
悪いね。
ま、できれば失敗したくないから真蜘羅には待っててもらおう。
かつて、この街を賑わせた占い師、セレスティアの名前を出すと、門番は快く迎えてくれた。
そして、すぐに屋敷の主にして領主、カイル・エル・ハートブルクと連絡を取り、面談の準備をしてくれた。
廊下を通る時、窓から少し街を見渡した。
私の特技の一つで、自身の体液で望遠鏡の対物レンズのような膜を作り、コンタクトレンズのように目にハメる。
これでかなり遠くまで見ることができる。
レンズの作り方次第で、色々見え方は調整できるし、
私の役立つ特技の一つだ。
視線の先には、オルがいた。
隣には少年がいるようで、どうやら2人で
何かの仕事を手伝っているようだ。
オルはせっせと大量の荷物を運んでおり、その少年はそれを手伝っているようだ。
2人の楽しそうな顔を見て、思わず微笑む。
能力で未来を見て、オルがこの街で会う少年と仲良くなることは分かっていたが、
占い通りになってよかったな。
オルは昔から私達以外友達がいなかったし、
最強になった今でも、魔獣四王の中で唯一部下を1人しか持っていない変わり者だ。
私含め他の3匹の王は大軍を率いているというのに。
だから、この機会に少しは人付き合いを学ぶのも彼女にとって悪くないだろう。
「どうかしましたか?」
オルを見て立ち止まっている私を見て、
使用人が声をかける。
「いや、何も。ごめんね」
そう言って私は再び廊下を歩いた。
歩きながら私は少し思考を巡らせた。
私の中途半端な未来視とアドリブだけでどうにかなるか少し不安だったが、思いのほか何とかなるものだ。
意図していなかったが、クラーケン襲来はタイミングが良かった。フェルミナがそれを討伐に向かってくれて尚良し。
オルもこの街の商人達と仲良くやってくれてるみたいだし、それも良し。
真蜘羅は……
うん、あれは焦ったなぁ。
まさか、いきなり告白されるなんて思ってなかった。
私の未来視で見とけば、もうちょい冷静に対応できたかも。
私のクールな暗躍者の仮面はあれで剥がされそうになった。
私は黒幕になりたかった。
魔獣四王の皆んなと遊びながら、
裏から世界の流れをコントロールして、ルナの望む世界を作るそんな黒幕に。
そうすることで、
この世界を我がもの顔で好き勝手弄んでる
支配者気取りのアイツの目論見をぶち壊せる。
だから、ミステリアスな女を演じてたのに、早々に真蜘羅に崩されそうになったな。
けど、街の状況も理解できたし、他の魔獣四王達の動向も悪くない。
盤面は整ってきてる。
「つきました。こちらです」
案内の使用人が面談の部屋まで案内をしてくれた、
さて、じゃあ行くか。
ルナの夢、世界平和のために。
◇◇
ーーーーー
真蜘羅は屋敷の前で大人しく待っていた。
この街は今本当に治安が悪いようで、領主の屋敷の前だというのに、チンピラが何人か襲ってきた。
ま、ちょうどいい椅子ができてラッキーや。
さて、暇やなぁ。
セレちゃんの言うことはなるべく聞きたいけど、
退屈は嫌いや。
さて、どないしよう。
その時、くすり指の糸が反応した。
「これは・・・」
この指の糸は部下からの緊急連絡。
つまり敵襲の知らせだ。それも結構なピンチの時の。
古城が襲撃されたんやろうか。
あそこには我含めた魔獣四王全員の配下が勢揃いしてる。
並大抵の敵なら問題なく蹴散らせるはずだが。
その戦力でも対処しきれない危機ということだろうか。
「セレちゃんと一緒におれんし、こっちの方が面白そうやなぁ」
真蜘羅はニヤリと笑った。
真蜘羅は立ち上がり、下半身の蜘蛛の足を展開する。
そして、足に力を込めて思いっきり
地面を蹴り、目にも止まらないスピードで移動を始めた。
「我が行くまで待っときや」
___________________________________
読んでくださりありがとうございます。
読者の皆さんにお知らせがあります。
[お知らせ①]
投稿のためのストックが尽きてしまいました。
なので、あと2話(番外編含む)投稿したら、
当初予定していたように、週一投稿にします。
時間は毎週金曜日20時に投稿します。
(それ以外の日でもできそうなら投稿するかもしれません)
更新頻度おちてしまいごめんなさい<(_ _)>
よかったらこれからも見てもらえると幸いです(>_<)
[お知らせ②]
13話から16話のフェルミナの冒険①~④で登場したリア・エリーゼ・ヴァイロンの
短編製作中です。投稿日はでき次第ですが、3月中には投稿しようと思います。
よかったら見てください(>_<)
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