かつて最弱だった魔獣4匹は、最強の頂きまで上り詰めたので同窓会をするようです。

カモミール

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2章:セントフィリアの冒険

45話.祭り 前編

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※セレーネ視点です。

「諸君らの頑張りのおかげで、今日この祭を開催できることに感謝する。今日はこの街、セントフィリア復興の第一歩だ。皆、度重なる不幸に、恐怖によく耐えてくれた。あの伝説の大魔獣クラーケンを討伐できたのも、冒険者や騎士諸君の、外からの協力者たちの、そして、この街みんなの頑張りの賜物だ。本当に心から感謝する。さぁ、今日は悪いことは全て忘れて存分に楽しんでくれたまえ。以上だ」

透き通った青い空の下、領主カイル・エル・ハートブルクが壇上に立ち、スピーチをする。
リアやギルドマスター・カジットを筆頭にした冒険者たち、クラーケン討伐のため集まった騎士たち、街の復興のため尽力した商人たちが広場に集結する。その数は万にも相当する。

そこには、今まで魔獣四王の恐怖に怯えて、家に引きこもっていた人々の姿もあった。

「皆弱くなんかない、か。嘘じゃなかったな」
オルは隣にいたロイド・エル・ハートブルクの方を見てつぶやいた。

ロイドも何も言わず、嬉しそうにオルの方を見る。

どうやら、2人は仲直りしたらしい。オルはロイドから離れようとしていたそうだが、
なんでも、ロイドの方からオルと一緒にいたいと懇願したらしい。

ちなみに、オルは食事を奢ってもらったとかでロイドに借金があるらしかった。
それは、オルがバイトをする事で払わせるらしかったが、どうやらドジって備品などを破壊しまくったらしく、借金が膨らみまくったのだとか。

結局オルの部下であるディアボロスが管理している宝石の一部で支払ったらしい。
オルは宝石の価値などわかっていない。
だが、キラキラしているという理由でそれを集めていたらしく、彼女の住む洞窟には
莫大な財宝が眠っている。

そうして、貸し借りなしの対等な関係になったわけだ。
うまく友達を作れたみたいね。

セレーネはその様子をみて、ルナのことを思い出した。
自分も彼女と友達になるのもいろいろあったものだ。
まぁ、今ではいい思い出なのだが。

「伝説やってさ。大魔獣クラーケンさん」
横を見れば、普通のタコと同じサイズになったクラーケンにマクラがニヤニヤしながら問いかけていた。
「ふんっ!ほっとけ」
不貞腐れたように怒りながらクラーケンは言う。

「ほんとちっちゃくなったわね。どういう仕組みかしら」
クラーケンをまじまじと見ながら、フェルミナが呟く。
「はぁ、なんでこんな化け物どもに関わっちまったんだろ」
クラーケンは諦めたように呟き、項垂れた。


そうして祭りが始まった。

私たちは今日この祭りが終わったら、この街セントラルフィリアを離れ、古城に帰るつもりだ。

2日のつもりが、結局5日も滞在してしまった。
だが、この街で美味しい物を食べるという目的も果たされたし、領主カイルと同盟を結ぶこともできた。
それに、予想していたわけではなかったが捕虜が手に入った。
自由の騎士団の二人、タナとモアだ。この2人をうまく利用すれば、建国計画もスムーズに進むだろう。

想定以上にうまく事が運んでいる。

もうこれ以上この街に用はないし、最後にみんなでこの祭りを楽しみつくして果たして帰ろう。

そう考え、私たちは祭りに参加した。

祭りはの内容は、各店舗が屋台を出す出店のようなものだ。
飲食系の店がメインだが、他にも服屋や家財道具などの日用品。ポーションや武具など冒険者用の店などが出店している。

普通の祭りというよりは、都市総出で宴会をやっているようなものだ。
祭りが始まり、多くの人々は街中のいろんな店を堪能する。

中には外の街からきた観光客も大勢いる。魔獣四王に対する恐怖で皆この街に寄り付かなくなったのに何故?、
という疑問もあるだろう。それにはいくつか理由がある。

1つ目はカイルは領主の権限で、この祭りの存在を大々的に宣伝したことだ。
新たな街の名物、伝説的魔獣・クラーケンのタコ焼きが食べられるという謳い文句もかねて。

クラーケンの足はリアやフェルミナ、オルによって全て斬り飛ばされたり、ちぎられたりして海中に沈んでいた。
それをロイドの頼みで、オルやフェルミナが回収し、料理として活用することにしたのだ。

ロイドがわざわざ頼んだ理由。
クラーケンを釣りに行ったときマクラが、「これたこ焼きにしたら美味しそうやなぁ」とこぼしていたことをロイドは聞き逃さなかったのだ。
たこ焼きとはマクラの国、白蜘蛛の王国スパイダーヴァレスで名物の1つだ。

マクラは資金集めのため、特殊なルートをつかって人間の世界にも輸出していた。それは、巡り巡って
セントラルフィリアにもたどりついており、ロイドもそれを食べたことがあるようだ。

その経験からたこ焼きは売れると思ったのだろう。
ぜひそれを売りたいとマクラに頭を下げた。

マクラは魔獣であり、人間の世界での専売権のようなものは本来適用されない。
それでも頭を下げて頼み込んだのは、ロイドなりの筋の通し方だろう。

マクラは最初報酬の9割渡してくれるんやったらええよ、というとてつもなく理不尽なことを言っていたが、
私やオルがマクラを説得することで、なんとか報酬の1割で商売をする事を許可してくれた。

クラーケンもS級魔獣だ。
そのタコ足には、本体から切り離されても魔力の残滓が大量に残っており、その栄養価はすさまじい。
また、それ以外に魔力の上昇効果もある。

まぁ、魔力上昇の方はそんな大した効果ではないのだが。
すでに魔力の強いものには効果がないだろうし。
精々B級冒険者のMPが100として+1になるくらい。
とはいえ、ターゲット層である一般人のMPが10としたら、+5くらいにはなると思うので、その強みでも十分売り出せる。

それらの効果を全面的に出して宣伝すれば、セントラルフィリアの名物の1つになるかもしれない。

そこで、月に1回足を1本提供することをクラーケンに課した。

領主カイルからの頼みで、クラーケンにはこの街の守護獣として働いてもらうこととなっている。
だが、それとは別にたこ焼き作りにも協力してもらおうということだ。


それらの仕事をクラーケンにお願いすると、

「ふざけるな」

という返答が返ってきたが、フェルミナやオルが前に出て「何か言った?」と笑顔で威圧すると、
直ぐにおとなしくなって言うことを聞いた。

クラーケンの体にはマクラの糸を体内に入れて発信機のようにいつでも探せるようにしている。
これで私たち魔獣四王が帰っても、クラーケンが逃げたり暴れたりする心配もないだろう。

このクラーケンのたこ焼きという商品が色々な意味で話題を呼び、宣伝効果を大きくした。
これが、外の街から人が来た1つ目の理由。


そして、2つ目がカイルが私たち魔獣四王と同盟を結んだことを発表したからだ。

この発表により人間界全域が大騒ぎになったことはいうまでもない。

だが、同時にこのセントラルフィリアと同盟を結んでいる限り、魔獣四王とその勢力全ては絶対にこの都市に危害を加えないという契約書にスライム王セレーネが同意したことも発表した。

この事に対して、民衆からは魔獣四王との約束など信用できないという意見が多くみられた。
また、セントラルフィリアを人族を売った裏切り者と見る者もいた。

しかし、それとは別にセントラルフィリアに行けば安全だと捉え、戻ろうとする元住民の姿もあった。中には移住を選択するものもいた。
どうせ世界のどこにいても魔獣四王の脅威にさらされていることは変わりない。
それならば、当の魔獣四王であるセレーネの約束を信じたいと考えているようだった。



こうして、セントラルフィリアには想定以上に多くの人が集まった。

領主であるカイルも嬉しそうにしていた。



だが、そんな領地運営の話など私達に取っては関係のない話。

マクラも、フェルミナも、オルも、新しくできた友達がこの街の復興を望んでいたから良かったね、くらいの感覚でしかない。

私達は、今好き勝手に楽しむためだけに集まったただの仲良し4人組だ。

それでどんなに世界に影響を与えようが関係はない。

4人で屋台を順に回っていく。

「あら、オルちゃん?よくきたねぇ」
「オルの嬢ちゃん、これ、手伝ってくれたお礼。サービスだよ。後ろの子たちは…友達かい?」
「いっぱいたべてってねぇ」

屋台を回るたびに、店主たちがオルに好意的に話しかけた。
オルは、バイトをしている店の人たちに最中かなり迷惑をかけていた。

だが、それとは別に店の人たちにはかなり気に入られたようだ。

「おー。うまそぉ~。ありがと~、みんな。あ、忙しそうだけどよかったら手伝おうか?」

「「「それだけは勘弁してください」」」

オルの言葉を聞いた途端、全員が同じ反応をした。
それはそれは奇麗に声が重なったものだ。

よっぽど迷惑をかけたのね。その光景をみて思わず苦笑いしてしまう。

マクラとフェルミナも同じようだった。

「あ、あの、私のことは手伝ってください」
その時、オドオドしながらもオルに話しかける女の子がいた。
赤い髪におさげの女の子だ。
オルは振り返り、キョトンとする。

「…ごめん、誰だっけ」
「アリアナです!ほら、魔道具展を経営しているポーションの。新しいポーション作ってきたんだよ。オルちゃんにもらったアドバイスから改良して」
そう言ってアリアナと名乗る女の子はオルにポーションを差し出す。

それは紫色のポーションだった。
通常ポーションは赤、黄、青、緑しかないはずなのに。


「あー、アリアナか。そう言えば約束したなぁ。でもそれならセレーネに聞いた方がいいよ」
「セレーネさん?」

「オル、私この街ではセレスティアって呼んでっていったでしょー」
「あ、そうだった、ごめん」
思わずオルは口に手を当てる。
「ま、もういいかな。どうせもうこの名前は必要なくなるし」
「?」
アリアナという女の方を見ると、何やら驚きで体が固まっているようだった。
「セレスティアってあの!?第一王女ルナさまもよくご利用されるっていう高名な占い師の」

セレーネは昔、セレスティアという偽名で占い師をしていたことがあった。
ルナと会おうにも、彼女は王族。見知らぬ人物と出会っていると知られたら、どんな噂が立つかわかったものじゃない。
そこで、占い師という肩書を使って会いに行くことにしたのだ。

そこで実績もあった方がいいと思い、この街セントラルフィリアで占い師の仕事を一時期していたのだ。

「あの…セレスティアさんが私のポーションについて占ってくれるってことですか?」
「いや、セレーネはポーションには詳しいんだ。前言った詳しい友達っていうのはセレーネの事だし」

「ああ、そうなんですね。あ、ていうかセレーネって名前。どこかできいたことあるんですけど。その、割と最近」

恐る恐るというふうにアリアナが尋ねる。

領主カイルが魔獣四王とセントラルフィリアで同盟を結んだと発表したことは当然セントラルフィリアの住人達の耳にも入っている。
フェルミナはフェルミという本名に限りなく近い偽名を使っていたが、それは誰も魔獣四王と人間の姿をしたフェルミを関連付けないという目算あってのことだ。

だが、そうして発表されてしまえば、勘のいい人間は気づいてしまう。
たとえ人の姿をしていても、人化の術をつかっているのだと。

フェルミの正体も冒険者の何人かは勘ずいているようだ。決して口には出さないが。

オドオドと、自分の考えが外れて欲しそうにしているアリアナに、セレーネは一切を隠さない。

「そう!はじめまして。セレスティアとは偽りの名前。かくしてその正体は、あなたの想像通り。魔獣四王にして世界最強のスライム、スライム王国国王セレーネとはまさにこの私のこと!よろしくね♪」
セレーネが大見得をきる。
「え、えええぶっ」

アリアナが驚いて大声を出そうのするのを、セレーネは彼女の口を押さえて止めた。

「失礼。私の理想通りのリアクションありがとうだけど、あまり周りに注目されたくはないかな」
こくこくとアリアナは首を縦に振り相槌を打った。

「そう怖がりなさんなって。このポーション…すごいね。長年ポーションを研究してきたけど、紫のなんて見たことない。ここは人通りが多すぎるから、向こうでゆっくり話しましょう」
そう言って半ば引きずられる形でアリアナは連れられていく。
「お、オルちゃんた、助けて」

「うーん、別にいいけど、いいのか?私も魔獣四王のオルゴラズベリーなんだけど」

「は、はぁぁぁあ!!?」

オドオドしてた姿からは想像もつかないハッキリとした声をアリアナはあげる。

セレーネはその声をすぐに抑え、アリアナを路地裏へと連れて行く。

勘違いしないで欲しいのだが、別に彼女をどうこうしようというわけではない。

私はポーションを飲むことで、そのポーションの特性を一時的にコピーできる。

アリアナのポーションを飲めばどうなるのか、少し検証してみるだけだ。

その結果次第では、これから建てる王国に在住してもらってポーション開発に協力してもらうかもしれないけど。





◇◇

※オル視点です。

オルは、路地裏に連れて行かれたセレーネを見送った。

先に行って楽しんでいてということだった。

セレーネは、あのポーションに興味を持ったのだろうが、あの娘をどうする気なのだろうか。

おそらくセレーネの能力に役立つと思ったのだろう。
それに、セレーネの味覚だとポーションは美味しいらしい。
なんでも食べる自分でさえ、ポーションをうまいなど感じたこともないらしいけどね。

あんなのを美味しいと感じるのは、セレーネの能力であるポーションとの同化が関係しているのだろうか。

「ま、いっか」

しちこめんどくさいことを考えるのは苦手だ。

私は考えるのを止めた。

祭りは始まったばかりだ。
私は食べるぞ~、と心のなかで意気込み、いい匂いのする方へ走り出した。







__________________________

読んでくださりありがとうございます。

申し訳ないのですが、次話からしばらく不定期更新にさせてください。
理由は、作者が最近忙しくなっただけです。

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