かつて最弱だった魔獣4匹は、最強の頂きまで上り詰めたので同窓会をするようです。

カモミール

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3章:動く世界とやりたいことをする魔獣四王

54話..ルナ王女の一行はというと

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突然だが、王女であり、当時魔獣四王たちの中心人物でもあったルナ・リリベスティ・クリスティナに
恩を感じているのは誰かお分かりだろうか?

ルナ王女ともっとも親交が深いセレーネかと思うものが大半だろう。
魔獣四王の配下の者たちも、セレーネがルナ王女のことを口にするときの頬の緩み切った顔をみて、そう思うに違いない。

だが、恩という観点でいえば、セレーネ以上にそれを深く感じているものがいた。

それは、魔獣四王の1人、怪鳥王フェルミナであった。

人族という、フェルミナにとって生涯をかけて研究し、楽しみ尽くしたい興味の対象を与えてくれたこと。
それに加えて、もう1つ。
フェルミナは、ルナ王女に助けてもらったことがあるのだ。
それは、まだフェルミナ達魔獣四王が弱かったころの話。


フェルミナは、誰からも助けてもらえなかった。
親は、フェルミナが生まれてすぐ種族の生存競争にやぶれ死亡し、その後は同族の群れでも孤立。

最終的に1人になり、この世界に絶望した時。
救ってくれたのが、ルナ王女だった。

詳細はまた後ほど語るとしよう。
そんなわけで、ルナ王女はフェルミナの命の恩人であり、
生きる指針をも与えてくれた大恩人だのだ。


セレーネが、気持ち悪いくらいルナ王女に懐いているので、一歩距離を置いているが、セレーネがいなければそのポジションにはフェルミナがいたかもしれない。
そのくらいには、フェルミナはルナ王女が好きだった。


せっかく魔獣四王が再開したのに、ルナがいないのではどうにも物足りないと思ってしまう。

「早く会いたいわ」

だがその願いは叶わないだろうとも思う。
ルナは王女であり、今や政治の面でも国に欠かせない存在になっているという話だ。

魔獣の王が勢ぞろいしているこんな危ない地に、来れるはずがない。

かつては弱かったせいでルナと引き離されてしまったが、今度は必死に強くなったせいで会えないとはなんとも皮肉な話だ。

とはいえ、ルナを困らせたくもないので強行に会おうとも思わない。

ハァ、とため息をつく。





◇◇

一方、当のルナ王女はというと。

「くしゅん」

かわいらしいくしゃみをする。
ルナは風邪かしら?それともだれか噂をしているのかしら?
とつぶやきながら小首をかしげた。

「大丈夫ですか?」
そう言いながら、同行している騎士がハンカチを差し出す。
馬車の貴賓室には、ルナ王女含めて、騎士ともう1人を乗せていた。

「ありがとう。リアさん」

笑って、ルナはそのハンカチを受け取る。
その騎士とは、自由の騎士団の1人、叛逆の騎士、リア・エリーゼ・ヴァイロンだった。
王やその臣下から最低でも自由の騎士団1人は同行させるように命令を受けたため、
人選として彼女が一番いいと思ったのだ。

「だ、大丈夫ですか。ルナ王女殿下」

そして、もう1人の同行者は王女という自身よりもはるかに偉い存在に緊張してしり込みしてしまっていた。
自身より偉い人に会うという経験自体が初めてのことだったからだ。

その同行者とは、セントラルフィリアの領主の息子、ロイド・エル・ハートブルクだった。

「ええ、心配してくれてありがとう。ロイド君。そんなにかしこまらなくてもいいのですよ」
「い、いえそんな、ルナ王女殿下に恐れ多いです」

ルナは、ロイドのその返答に苦笑いを浮かべた。
「そうだ。2人とも魔獣四王にあったんでしょ。その話が聞きたいわ」
手を合わせ、嬉しそうにルナは言う。
「そうだ。私もルナ様に聞きたいことがあるんでした」
リアが思い出したように言った。

そうして、その貴賓室には、一国の王女が乗っているとは思えないほどなごやかな会話が流れる。

その貴賓室の周りには、ルナ直属の近衛兵10数名が同行していた。

彼らは、配下ともくだけた雰囲気で話してくれるルナを見て、相変わらず王女殿下はお優しいと思い、頬を緩める。

王女という高貴な身分でありながら、誰にでも分け隔てなく接し、時に慈悲を下さるルナを皆が尊敬していた。

近衛兵たちは、いざという時は、たとえ死んでもルナだけは逃がそうと決意を固める。

そのいざという時のことをルナ王女に話したら何故か能天気に一蹴されてしまったが、それでもだ。

こうして一行は、目的地である古城に近づいていく。
森を抜け、古城が見えてきた。


ルナは貴賓室の窓から顔を出し、古城を見る。

「懐かしいわね。ここも」

ルナの脳裏には、かつて魔獣四王がそう呼ばれる前、共に時を過ごして記憶が脳裏によみがえってくる。

皆で優雅に紅茶を飲んだこと。
フェルミナにせがまれて、人間界のゲームで遊んだこと。
夜泣きをするオルを慰めたこと。
いたずらをするマクラをしかったこと。
フェルミナと本の話をしたこと。
そして、セレーネと夢を語り合った事。

どれもとても大切で、今も鮮明に思い出せる愛おしい思い出だ。

今ならきっとみんなで会える。この日を心待ちにしていた。

理由はどうあれ、突き放してしまった事を謝ろう。

それで、これまでの話をして、それから…


ルナの頭のなかでは、ワクワクでいっぱいだ。

再開は近いのであった。



__________________________

読んでくださりありがとうございます。

ルナ王女と魔獣四王の再開にずいぶんかかってしまってますね。
展開が遅いと思う方もいるかもしれませんが、準備期間だと思って暖かい目で見てくれると嬉しいです。
次回はいよいよ再開を書く予定です。



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