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【たすけはこない】
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「助けは来ない。」
悪夢の中で蓮花の守護霊に確かにそう言われた。
違う意味であっても、
今なら確かにそうだともいえる。
〖回想〗
〖忌み子 狐賀氏と別れる1年前〗
アリルにだけは入ってこないで。
と狐賀氏に言って、
配信をきいたり、したりしていた。
それはもう、自由を謳歌した。
…
何故なら、
配信中は狐賀氏と通話をしなくていいのだから。
では、ここで今1度、我が白馬の王子のなり損ないの”義兄ちゃん”の話をしよう。
〖回想再開〗
ぶりっ子は嫌われるが人によっては男ウケする。
西尾維新の物語シリーズの千石 撫子がその良い例だ。
弱い立場の皮を被る事は誰しもある。
今回の私はそうだった。
義兄ちゃんがハッカーでなくとも、忌み子に相当するような大きな力があると確信して、私は義兄ちゃんに近づいたのだから。
80パーセントくらい。
いや、藁にもすがる、5パーの可能性に賭けて。
私は本気で1番私の幼い姿を善性に頼んで、
本気でかわいこぶった。
あえて、際どいくらい義兄ちゃんの話を配信でもした。
義兄ちゃんがそんなタイミングで配信に来た時も、相応しい撫子ちゃんのような振る舞いをして歓迎した。
「お。お、お…。」
義兄ちゃんがコメントで「お?」と返す。
「お兄ちゃんが!お兄ちゃんで、
お兄ちゃんは!お兄ちゃんで、
お兄ちゃんだ!」
…と私はわざとらしい震え声でそう騒いだ。
義兄ちゃんもコメントで
「僕が、僕で、僕は僕で、僕だ。どうした?妹!?」
と返す。
「…う、ううん。
ちょっと、義兄ちゃんが来て、
びっくりしただけ…。」
毎回こんなやり取りをする訳ではないが、
そんな平和は長くは続かない。
何故なら、私は義兄ちゃんを選ばなかった。
それには決定的な理由があったのだ。
義兄ちゃんは生霊を飛ばす程に
凄まじい私への執着を見せたからだ。
生霊が憑いている時は決まって、
体が石のように重く、とても眠たくなる。
何よりも私は見えてしまう。
鏡の前にさえ立てばわかる。
義兄ちゃんが後ろにいる。
それはコナンの犯人のような黒い姿で、
息を荒くして私をじっと見つめている。
義兄ちゃんの生霊は私への執着だけで現れたのではない。
私が厄介ファンを義兄ちゃんにつけた段階で、私は義兄ちゃんから離れようとしたからだ。
カッパの時や神職や同期の生霊に比べたら、
義兄ちゃんの生霊が1番窘め易かった。
そんなの簡単だ。
義兄ちゃんはハッカーなのだから、私を見れる時は常に見ている。
だから、私の配信で義兄ちゃんの生霊を幽波紋と呼んで、遠回しに義兄ちゃんを本気で馬鹿にするのだ。
「やーい!やーい!
お前の幽波紋コナンの犯人~!!」
生霊は私から3m距離を置くようになった。
やはり、義兄ちゃんは私が義兄ちゃんに懐いていると誤解しているらしい。
厄介ファンがいても尚、あの配信はまだ繁盛していて、実際のところ義兄ちゃんは調子に乗っていた。
…たすけてくれないの?
じゃあいらない。
こんなお兄ちゃんは私達いらない。
義兄ちゃんが会いに来た時も
私は少し希望をもっていた。
「助けに来たよ。」
と格好よく言ってくれるかと少し期待した。
でも、その発言は私の体目当てに思えた。
生憎もう、その頃には榊乃葉氏《せいせい》に私は出会って、DMで助けを乞いていた。
正直、義兄ちゃんが私の何に依存しているのかもよくわかっていなかった。
私の座敷童子としての力にまだ縋りたかったのか、妹と付き合いたい発言の通り本当に付き合いたさで来たのか…
そんなもの知りたくもない。
でも、少なくとも…
私の丸裸を見ておいて、あれはない。
対価に釣り合わない。
素敵な義家族だと思ったのに。
全部お前(義兄)のせいだ。
悪夢の中で蓮花の守護霊に確かにそう言われた。
違う意味であっても、
今なら確かにそうだともいえる。
〖回想〗
〖忌み子 狐賀氏と別れる1年前〗
アリルにだけは入ってこないで。
と狐賀氏に言って、
配信をきいたり、したりしていた。
それはもう、自由を謳歌した。
…
何故なら、
配信中は狐賀氏と通話をしなくていいのだから。
では、ここで今1度、我が白馬の王子のなり損ないの”義兄ちゃん”の話をしよう。
〖回想再開〗
ぶりっ子は嫌われるが人によっては男ウケする。
西尾維新の物語シリーズの千石 撫子がその良い例だ。
弱い立場の皮を被る事は誰しもある。
今回の私はそうだった。
義兄ちゃんがハッカーでなくとも、忌み子に相当するような大きな力があると確信して、私は義兄ちゃんに近づいたのだから。
80パーセントくらい。
いや、藁にもすがる、5パーの可能性に賭けて。
私は本気で1番私の幼い姿を善性に頼んで、
本気でかわいこぶった。
あえて、際どいくらい義兄ちゃんの話を配信でもした。
義兄ちゃんがそんなタイミングで配信に来た時も、相応しい撫子ちゃんのような振る舞いをして歓迎した。
「お。お、お…。」
義兄ちゃんがコメントで「お?」と返す。
「お兄ちゃんが!お兄ちゃんで、
お兄ちゃんは!お兄ちゃんで、
お兄ちゃんだ!」
…と私はわざとらしい震え声でそう騒いだ。
義兄ちゃんもコメントで
「僕が、僕で、僕は僕で、僕だ。どうした?妹!?」
と返す。
「…う、ううん。
ちょっと、義兄ちゃんが来て、
びっくりしただけ…。」
毎回こんなやり取りをする訳ではないが、
そんな平和は長くは続かない。
何故なら、私は義兄ちゃんを選ばなかった。
それには決定的な理由があったのだ。
義兄ちゃんは生霊を飛ばす程に
凄まじい私への執着を見せたからだ。
生霊が憑いている時は決まって、
体が石のように重く、とても眠たくなる。
何よりも私は見えてしまう。
鏡の前にさえ立てばわかる。
義兄ちゃんが後ろにいる。
それはコナンの犯人のような黒い姿で、
息を荒くして私をじっと見つめている。
義兄ちゃんの生霊は私への執着だけで現れたのではない。
私が厄介ファンを義兄ちゃんにつけた段階で、私は義兄ちゃんから離れようとしたからだ。
カッパの時や神職や同期の生霊に比べたら、
義兄ちゃんの生霊が1番窘め易かった。
そんなの簡単だ。
義兄ちゃんはハッカーなのだから、私を見れる時は常に見ている。
だから、私の配信で義兄ちゃんの生霊を幽波紋と呼んで、遠回しに義兄ちゃんを本気で馬鹿にするのだ。
「やーい!やーい!
お前の幽波紋コナンの犯人~!!」
生霊は私から3m距離を置くようになった。
やはり、義兄ちゃんは私が義兄ちゃんに懐いていると誤解しているらしい。
厄介ファンがいても尚、あの配信はまだ繁盛していて、実際のところ義兄ちゃんは調子に乗っていた。
…たすけてくれないの?
じゃあいらない。
こんなお兄ちゃんは私達いらない。
義兄ちゃんが会いに来た時も
私は少し希望をもっていた。
「助けに来たよ。」
と格好よく言ってくれるかと少し期待した。
でも、その発言は私の体目当てに思えた。
生憎もう、その頃には榊乃葉氏《せいせい》に私は出会って、DMで助けを乞いていた。
正直、義兄ちゃんが私の何に依存しているのかもよくわかっていなかった。
私の座敷童子としての力にまだ縋りたかったのか、妹と付き合いたい発言の通り本当に付き合いたさで来たのか…
そんなもの知りたくもない。
でも、少なくとも…
私の丸裸を見ておいて、あれはない。
対価に釣り合わない。
素敵な義家族だと思ったのに。
全部お前(義兄)のせいだ。
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